あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

毒の爪の使い魔-53-b


数分後…、漸くシルフィードは解放されたが、散々に叩きつけられた為に全身傷だらけで酷い有様だった。
エルザは再び指を鳴らす。
木の根が次々と地面から飛び出し、シルフィードの身体を幾重にも縛り付けていく。
それを見ながら、エルザは得意げに鼻を鳴らした。
「こんなところだね」
そして、再びタバサに視線を戻す。
「さてと…、今度こそおねえちゃんの血を飲ませて……って行きたかったんだけどな~。
ちょっとつまらない事思い出しちゃったよ…」
何の事か解らないタバサは怪訝な表情をする。
エルザは後方を振り返る。
「ま、直ぐに済むし、楽しみは最後にとっておいた方が良いよね?」
そんな事を言いながら、エルザは歩みを進める。
そのまま歩み寄ったのは…カトレアだった。
エルザは興味深げにカトレアを見つめる。
「ちょっと! ちいねえさまに何かして見なさいよ!? 吹き飛ばして灰一つ残さないわよ!!?」
ルイズが噛み付くような勢いで叫ぶ。
エルザはそれを横目で一瞥し、カトレアに視線を戻す。
カトレアは幾分か恐怖を感じているようだ。やはり彼女でも吸血鬼は怖いのだろう。
エルザは優しく微笑んだ。
「怖がらなくて良いよ? おねえさんの血は吸えないから」
その言葉にカトレアだけでなく、全員が面食らった。
「それは…どう言う意味かしら?」
「どう言う意味も、言ったとおりだよ。おねえさんの血は吸えないの。そう言うおじさんとの決まりなの」
エルザはそう言ってマントの中に手を入れ、大きな物を取り出した。
漆黒のボディに紅い一つ目を付けた幻獣と思しきもの。
それにカトレアは見覚えがあった。実家でジャンガが自分の身体から摘出した、自身が患っていた病の原因だ。
「それは…」
「見覚えあるよね? おねえさんの身体の中に少し前まで入っていて、取り出された時に見ているんだし」
「それがカトレアの中に!? どう言う意味よそれは!?」
エレオノールが叫ぶ。エルザは振り返り、手にしたもの――デスササルンを見せる。
「これがこのおねえさんの病気の原因って事」
「「なっ!?」」
エレオノールとルイズは言葉を失う。
実家でカトレアの話から聞いていたが、これがそうだというのか?
理解すると同時に激しい怒りが二人の中を駆け巡った。
「あなたがカトレアの病気の原因を作ったのね!」
「ちいねえさまがどれだけ苦しんでいたか…、あんたよくも!!?」
エルザはため息を吐く。
「ちょっと違うな…。これは何もエルザがやった事じゃないよ?」
「じゃあ誰よ!? 誰がやったのよ!?」
「それは解らないな」
エルザは再びカトレアを見る。
そして、ニッコリと笑いながらデスササルンをカトレアに突き出す。
「まぁ、とにかく……おねえさんには、またこれを身体の中に入れてもらうよ」
エルザの言葉にカトレアは驚愕する。
「そんな…、折角元気になれて…ルイズや姉さんとこうして旅行が出来るようになったのに…。
どうして、またそれを身体に入れなければならないの?」
エルザは少し困ったような表情で首を傾げた。
「う~ん…、実の所はエルザにも解らない。どうして入れなくちゃいけないのか…。
でも、おじさんから”また入れておいてくれ”って頼まれただけだし」
「ふざけないでよ!!! ちいねえさまは長い間苦しんできたのよ! 漸く元気になれたのにまた病気になるなんて…。
そんなの許せるわけ無いでしょう!!? ちいねえさまから離れなさいよ!!!」
ルイズの叫びにエルザは再度ため息を吐く。
「そんなの知らないよ。頼まれ事をしなくちゃエルザはおじさんに怒られるんだし。
それに、このおねえさんが病気になったって、エルザは痛くも痒くもないもん♪」
ルイズだけでなく、その場の全員が絶句した。
今の発言がどれだけ残酷なものか、目の前の幼い容姿の吸血鬼は理解しているだろうか?
いや、していたとしてもする事は変わらないだろう。
喰われる為に殺される家畜が可哀想になったからといって、止める者が何処に居る?
所詮、吸血鬼にとっては人間は家畜と変わらないのだ。
エルザは冷たい笑みを浮かべ、デスササルンをカトレアへと突き出す。
「さ、おねえさん。これを入れて…」
「いや…」
カトレアは思わず顔を背けた。
「怖くないよ。苦しいのも一瞬…だと思うし」

そう言った瞬間、エルザの視界からカトレアの顔が消えた。

「……え?」

何が起きたか解らない。

目の前の光景が凄まじい勢いで左から右へと流れていく。

流れる光景の中、木の破片が見えた。どうやら、木が砕けているようだ。でも、何に砕かれている?

――それが宙を吹き飛ぶ、彼女自身の身体で砕かれている事に彼女が気が付いたのは、
彼女の身体が地面へと叩きつけられた時だった。



「死にぞこないのクソガキが…、舐めた真似してくれるじゃネェかよ?」
吹き飛んだ相手を睨み付けながらジャンガは唾を吐き捨てた。

彼は森をあちらこちらを行きかい、今しがた漸くこの場所を見つけたのだ。
そこで例の吸血鬼がカトレアにデスササルンを突きつけているのを見るや、
彼は頭に血が上り、神速で駆け寄るやエルザの右側頭部に手加減抜きの蹴りを叩き込んだのだった。

「ジャンガ!?」
ルイズに名を呼ばれ、ジャンガは振り返る。
「よォ、クソガキ。こんな所に何の用だ?」
「あんたと姫さまを探しに来たんでしょうが! 他に理由がある!?」
「あ、そうかよ」
言って、ジャンガはカッターを飛ばす。
ルイズ達を捕らえていた枝や根が切り落とされる。
シルフィードやタバサも解放された。
「ありがとう、ジャンガさん」
解放されたカトレアが礼を言う。
ジャンガはその鼻先に爪を突きつけた。
「…何でお前が此処にいやがる?」
「ルイズがあなたを探しにアルビオンに行くそうだから、付き添いで」
「身体は良いのかよ? 無茶してまた壊れたらどうすんだよ!?」
睨み付けるジャンガにカトレアは微笑んだ。
「ジャンガさんのお陰で身体の調子良いですわ。本当にありがとう」
ハァ~、とため息を吐くジャンガ。
しかし、直ぐに真顔に戻ると森の方へと目を向けた。
「…言いたい事は色々在るが、とりあえず下がってろ。邪魔だからよ」
ルイズが何か言いかけたが、シエスタが抑えた。

「あは、あはは、あははははは」
笑いながらエルザが森の中から姿を見せる。
その笑い方は何処となく不自然だった。
何か、感情を押し殺してるような感じがするのだ。
エルザが歩みを止める。
「おじさん…出て来てくれたんだ。あはは、嬉しいな…嬉しいな…。とっても嬉しいから…」
俯けていた顔を上げる。
「刻んであげる…」
両目はこれ以上無いくらいに見開かれ、口は歪に歪んだ笑みを形作っている。
大抵の者ならば恐怖に震え上がりそうな顔だが、ジャンガは鼻で笑う。
「ハンッ、刻みたいだァ~? そりゃこっちの台詞だ。生意気なクソガキならまだしも、この女に手を出すとはよ…。
…微塵に刻んで魚の餌にしてやる」
「それならエルザはお腹を裂いて、木の枝に引っ掛けてあげる。コウモリとカラスにゆっくりと食べさせるんだから。
…こうやって出会えるのを凄く待ってたんだから。おじさんにもエルザの味わった苦しみを教えてあげたいからね!」
言いながらエルザはマントの中に手を入れ、何かを取り出した。
――巨大な鎌だった。彼女自身の身の丈よりも巨大な大鎌だ。
それを見ながらジャンガは小馬鹿にしたような笑みを浮かべる。否、事実馬鹿にしているのだが。
「そんなデカイもん扱えんのかァ~?」
「エルザには小枝みたいなものだよ
エルザも不敵な笑みを浮かべる。
「そうかい? だが、小枝じゃ俺には掠りもしないゼ!」
そう叫び、ジャンガは駆け出す。
「小枝でも刺さり所が悪かったら死ぬよ? …これはおじさんの首を刈るけどね!」
大鎌を構え、エルザも駆け出した。

「オラッ!!!」
「それッ!!!」

――両者の爪と大鎌がぶつかり合う音が森の中に響き渡った。


新着情報

取得中です。