あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

確率世界のヴァリエール-02


鼻も高々に廊下を歩く。

ふっふっふ。
知らず笑いがこみ上げる。
皆もそりゃあ使い魔は呼べたでしょうけど、
しょせんはけだもの、畜生よ畜生。
でも、私が呼んだのは何たって猫耳の亜人よ。
こんな使い魔を喚べるメイジなんてのはちょっと居ないわ!

昨日の醜態も睡眠不足も何のその、若い心は回復も早かった。
物珍しげにきょろきょろと挙動不審な使い魔を従えて
足取りも軽やかに食堂へ向かう。

げ。

「あらー、おはよう。 泣き虫ルイズちゃん。
 ご機嫌はもう直ったのかな?
 残念だわー、泣き顔も可愛かったのに」



 確率世界のヴァリエール
  - Cats in a Box - 第二話



赤毛のウシチチ女が嫌味ったらしく声をかけてくる。
昨日喚び出してたなんたら言う火トカゲも一緒だ。

「ふん、後ろのあたしの使い魔が見えないの?
 昨日のアレはアレよ、ちょ、ちょっとかわいい所を
 見せてあげただけよ!
 キュルケ、あんたの使い魔も中々スゴそうだけど、
 私の使い魔には敵いっこないわ」
ふふん、と鼻を上げる。

「あらー、この子?」
キュルケが後ろを振り返りしゃがみ込む。
「ま、スゴそうだー、なんてありがとね、ルイズ。
 『メイジの実力を見るには使い魔を見よ』、なーんて言うけど、
 この子ってばあたしにぴったりでしょ? 火のメイジにサラマンダーなんて。
 ねー、フレイム?」
キュルケは自分の後ろに付き従うトラ程もある大トカゲの首を撫でさする。
のんきな顔をもたげて目をつぶりきゅるきゅると鳴くと、尻尾にともる火がゆれる。
喜んでいるようだ。 キュルケもニコニコと笑う。
「で、私にはその子を紹介してくれないの?」

「わー、お姉さん、オッパイ大きいねー。
 僕の名前はシュレディンガー!
 よろしくね、お姉さん」

すぱぁんっ!
後頭部を勢い良くはたく。
「こんな奴に挨拶なんてしなくていいのよ、この猫畜生!」

「あらー、使い魔に手を上げるなんて
 こまったご主人様ねー。 ねえ?」
猫耳頭を胸に抱いて優しくなでる。
「ねえ?」
シュレディンガーも胸に顔を埋めたまま上を見上げて同意する。

「なにを手なずけられてんのよ!
 ほらっ、行くわよ!」
襟首をむんずと捕まれズルズルと引きずられながらも、
シュレディンガーはパタパタと手を振る。
「キュルケにフレイム、まったねー♪」

  。。
 ゚○゚


「おやおや、ルイズ。
 聞いてた通り使い魔は戻ってきた様だね。 そりゃあ良かった。
 しかし、まあったく君は非常識なやつだな、使い魔を食堂に入れるなんて。
 そんなだから「ゼロのルイズ」なんて呼ばれるのだ」

食堂に入るなり、またこれだ。
なまっちろい顔のキザな男が困り顔で呼びかける。
ウキウキ気分を害す事この上ない。

「まったく、どいつもこいつも。
 ギーシュ! 後ろのこの子が見えないの?
 私の召喚魔法は成功したの! 成功させたの!!
 魔法を成功させたんだから、もうゼロなんて呼ばせないわ。
 「ゼロ」なんて汚名は今日を限りに返上よ!
 、、、って、何よそのモグラ!
 あ、あんただって食堂に使い魔を連れてるじゃない!」

「やれやれ、ルイズ。
 この子は使い魔なんかじゃあなくって僕の親友だよ。
 なあ? 僕の可愛いヴェルダンデ」
ヒクヒクと鼻を動かす大モグラにうっとりと顔を寄せる。
「魔法が使えないから「ゼロ」なんじゃあない。
 そういう風に常識が無いから「ゼロ」と呼ばれているんだよ。
 んーでも、ゼロの汚名を返上されてしまったら今度から君をなんと呼ぼう?
 ああ、泣き虫ルイズってのはどうだい?
 いつも怒っている君が見せた涙も、、、中々にステキだったよ?」
ウインクを飛ばす。

「うぐっ」
ど、どいつもこいつも口の減らない奴ばっかり。

「そんな可憐な姿を見せてくれた君にプレゼントだ」
赤い石の嵌ったブローチをテーブルの上に載せて、そっとこちらに向ける。
「な、何よそれ?」
「ステキだろう? 昨日ヴェルダンデが土の中から見つけてくれた
 ルビーの原石を、僕が錬金で細工したのさ。
 土のメイジであるこの僕にとって、このヴェルダンデは最高の友人だよ。
 そうは思わないかい? ルイズ」

「そ、そういうのは彼女のモンモランシーにでもあげなさいよ!」
「おやおや、振られてしまったようだ、慰めてくれるかい? ヴェルダンデ」
大げさな身振りと悲しげな顔で大モグラを撫でる。
「で、君の使い魔クンにはどんなチカラがあるのかな?」

う。

そういえば、昨日からいろいろありすぎて
シュレディンガーにはそんなことを聞いてもいない。
「そ、そーいうのは秘密よ!」
「なあんだ、残念」


そこへ、ハゲたおっさんが食堂に入ってくる。
もう少し髪の毛があれば少しはましな顔立ちなのに。
本当に残念なおっさんだわ。
「ああっ、ルイズ。
 ハゲだ、ハゲが居るよー!」
宝物を見つけたかの様に猫耳頭が指をさす。
すぱぁんっ!
快音を響かせ後頭部をはたく。

「おはよう御座います。ミスタ・コルベール。
 昨日はご迷惑をおかけいたしました」
「い、いやあ。 おはよう、ミス・ヴァリエール。
 噂どおり使い魔は戻っていたようだね。 それは何よりだ」
「昨日は恥ずかしい所をお見せしてしまいまして
 まことに申し訳ありませんでしたわ」
「いやいや、あれだって君の魔法への真摯さゆえだ。
 学問に真摯であるのは良い事だよ。
 で、あちらが君の使い魔だね?」

自分の後ろを覗き込むコルベールの視線を追って、
大モグラと本気でじゃれあう猫耳頭を見つける。
何やってんのよコラ。
「え、ええ、そうですわ。
 いらっしゃいな、シュレディンガー」

猫耳頭が呼ばれてトトトっ、とかけてくる。
「はーい、僕がこの怒りっぽいご主人様の使い魔、
 シュレディンガーです。
 よろしく、 えと、は、ハゲ、べ、、?」
すぱぁんっ!
「コルベールよ! コ・ル・ベ・エ・ル!!
 「ハ」も「ゲ」も入ってないでしょこのバカ猫!」
「あ、あのー、ミス・ヴァリエール?」
「あら、いやですわ。 ミスタ・コルベール。
 うちの使い魔が粗相をしまして」
「もう、ルイズってばすぐぶつんだもん」
すぱぁんっ!

「いやあ、あ、あはは。
 それで、ミス・ヴァリエール。
 コントラクト・サーヴァントはもう済ませたのかな?」

あ。

、、、忘れてた。

  。。
 ゚○゚


昨日と同じく晴れ渡る青空の下、校外の草原でルイズは級友に見守られていた。
まだ日も高くない草原に春先のさわやかな風が吹き抜けるが、
ルイズはひとり、知らず生唾を飲み込む。

(大丈夫、昨日だって結局は成功したんだから大丈夫、、、)

今までに無い緊張だった。
失敗して当たり前、今思えば一種諦めの気持ちさえあった、昨日までは。
しかし成功の喜びを知った今、心は失敗を恐れていた。

(大丈夫、大丈夫、大丈夫!)
心を決めて目を見開く。
ぺたりと内股で座り込んでニコニコと小首をかしげる顔がある。
頭からは「?」マークを出して猫耳をパタつかせている。
(はあ。 気が抜けるわ、実際)

「それではみなさん、今日の授業は昨日の続きからです。
 春の使い魔召喚の儀式、その締めくくりを
 ミス・ヴァリエールに行ってもらいます。
 召喚の儀式に用いられる呪文は二つ。
 そう。 そうですね。
 召喚のための『サモン・サーヴァント』。 そして、
 契約のための『コントラクト・サーヴァント』ですね。
 そもそも使い魔とは、、、、」

コルベールが昨日も語った講義を車座に囲む生徒たちにおこなっている。
今からただ一人魔法を行使するために、精神を集中させるルイズ。
その時間を持たせてやるための彼なりの配慮だったが、
長々としたその講釈は、彼女を刑の執行を待つ囚人の心持ちにさせていた。

すでにその状況に飽きて辺りをきょろきょろと見回していた
シュレディンガーが、突然耳をピンっと立てて叫ぶ。
「わ! ルイズ、ルイズ! あれ見て! 
 月がふたつあるよ?!」

コルベールが困ったように微笑みながら振り返った。
周りからはくすくすと笑いが漏れる。

「し、失礼しましたっ」
使い魔の首根っこをつかみ、ぐいっと頭を寄せる。
(もう、恥ずかしい! 静かにしときなさいよ!)
(だってルイズ、月が)
(月がふたつなんて当たり前でしょ!)
ヒソヒソと問答を繰り返す。

(すごいや、どうなってんだろあれ)
ルイズに叱られ口を閉ざしても、火の付いた好奇心は消えない。

「、、、では、お待たせしたね、ミス・ヴァリエール」
コルベールがルイズに語りかける。

 (ってゆうか、ここってホントにどこなんだろ?)

「は、はいっ。 では。
 我が名はルイズ・フランソワーズ、、、」
ルイズが詠唱を始める。

 (雲が邪魔だな、もっと近くで見たいな、、)

「五つの力を司るペンタゴン、、、」

 (もっとちかくに、、)

「この者に祝福を与え、我の使い魔と、なせ」

 (あの雲の上に、、、)

契約の、口づけ。

そして。
ルイズの世界は、反転した。


============================== 


ごうごうと風が耳を切る。

「え?」

地面が青く透き通る。

「え゛?」

空のかなたの雲の果てには緑の大地が浮かび、
大気が体に渦を巻く。

「ええ゛ーーっっ?!」

ちがう。 チガウ。 違う。
理解が追いつく。 状況を把握する。
ルイズは、さかさまに、空の上に、雲の上に居た。

「あれ、ルイズ?」

風きり音の向こうから、のんきな声が届く。
「何でルイズもここにいんの?」
「は? え? なななn何があくぁwせdrftgyふじこlp!」
「えー、なに? 聞こえないー」

(おおお落ち着いてルイズ素数を数えるのよって素数って何よ!)

「すごいやルイズ!
 もしかして君も『跳』べるの?!」
「はあ?! 何! 聞こえない!!
 なななポブッ!!」
雲の固まりに抱き合ったままに突っ込んだ。

  。。
 ゚○゚


残された生徒たちは混乱の中に居た。
「おいおい、また消えたぞ?!」
「って、今度はルイズも一緒か?!」
「み、みなさん、とにかく落ち着いて!」
コルベールが落ち着き無く叫ぶ。

「うっわ、どーなってんのよコレ。
 ん? なに?
 上がどうかした?」
自分の袖を引く眼鏡をかけた少女に釣られ、キュルケは上空を見やる。

「あれ。」

空を指さし一言つぶやく。
「え? なに?」
首をかしげて指差された方角を睨むキュルケをよそに、
眼鏡の少女は指をかぎに曲げて唇につける。
指笛が辺りに鳴り響くと、翼持つ影が鮮やかに彼女をさらった。


大きな爪に抱え込まれたままに滑空するその翼を両手でつかむと、
くるりと逆上がりをして翼の上に飛び移る。
親しげに顔を近づける飛竜の耳元で
「あの二人。」
とだけ話しかけ、雲の合間を指さす。
そして、少し考えてから
「食べちゃだめ。」
と付け加えた。

「わかったのね姉さま!」
飛竜は体に似合わぬ幼い声で返事をすると、
二度、三度と羽ばたいて太陽めがけ上昇した。

  。。
 ゚○゚


「おちる落ちる落ちてるってばあぁああっー!!」
むなしい絶叫が響き渡る。
「って、え、え? あれ? シュレディンガー!?」
辺りを見渡す。 どこに行った? どこにも居ない!
「どどどどこいったのよシュレ!?」
手足をばたつかせてもがく。

その時、上空から猛スピードで人影が近づく。
「え? え? ああ、あんたは?」
ルイズと同じ学院の制服を着た少女は、
自分と同じく逆さまに自由落下しつつ器用に接近してくる。
「静かに。」
眉一つ動かさず一言つぶやいて彼女を両手で抱きしめると、
手馴れた様子で呪文を詠唱する。
ふわり、と二人の落下速度がゆるやかに減速した。
「こ、これって、『レビテーション』!?」
ゆっくりと下降する二人を飛竜がその背中に迎え入れた。

「たたたt助かったわ、え、ええと」
「タバサ。」
「タバサ、あ、ありがと」

「うん、ありがとー! タバサ」

聞き慣れた間の抜けた声に振り返る。
「あ、あんたいつから?!」
「え? さっき」
シュレディンガーがのほほんと返事を返す。
「あ、ダメなのね! そこはお姉さまの特等席なのね!」

ごす。
無言で杖を伸ばしてタバサが飛竜の頭を小突く。
きゅい、と悲鳴が上がる。
「ご、ごめんなさいなのねお姉さま。
 シルフィードってば、他の人の前で喋らないって
 約束したのにうっかり忘れてたのね」
「タ、タバサ? この飛竜喋れ」
「内緒。」
「で、でもあ」
「内緒。」
「こ」
「内緒。」
「、、わかったわ」

  。。
 ゚○゚


歓声がルイズを迎え入れた。

「やるじゃないのルイズ!
 今までのあなたじゃないとは思ってたけど、
 まさか失敗のバリエーションを変えて来るなんて!
 私の負けだわ。完敗よ」
キュルケの言葉に他の皆も拍手交じりに喝采をあげる。

周りのヤジを無視してコルベールに歩み寄り、告げる。
「もう一度、やります!」

そして。

============================== 

契約の口付けとともに
ルイズの世界は二度目の反転を迎えた。

「なんでまたああぁーー!!」
さかさまに落ちながらも、運命の理不尽な仕打ちに絶叫する。

「やっぱりだ、すごいやルイズ!」
「ええ?
 やっぱりって、な何がっ?!」
二度目で少しは慣れたのか、一度目よりは言葉が耳に入る。
「だからー、コントラ何とかでキスしたでしょお?
 さっきもそうだったから、もしかしたらって思ったんだ。
 そしたらホラ!

 一緒に『跳』べた!!」

抱き合ったまま、風を切って落ちるままに、
シュレディンガーは子供のように喜ぶ。

「て、え?
 じゃあさっきのは、あんたがやってたの?!」
「うん!」
ニコニコと返事をする。
「すごいやルイズ! 魔法使いってスゴいや!!」
「スゴイのはわかったから! ま、まずは下に!
 下に戻って!」
「え? あー、はいはい」

「むぐ?」
無理やりに、今日三度目のキスをした。


============================== 


「そんな力がこの使い魔君に?
 それは凄い! いや、実に興味深い。
 そんな魔法は聞いたことも無いな。いや、伝承にあったか?
 おお、そうだ、契約のルーンを見せてくれるかな?
 体のどこかに刻まれたはずだ」
騒然となった生徒たちを放ったままで
コルベールが興奮した面持ちでまくしたてる。

「んー。 魔法じゃなくって、体質かなあ?」
「体質?」
「そ。 僕はどこにでもいてどこにもいない。
 だからどこにでもいれるんだ」
コルベールの質問に胸を張り自慢げに答える。
「そ、それは何ともはや、、、」

「でもびっくりだよ!
 今まで僕と一緒に『跳べる』人なんて見たことも無かった。
 すごいんだね、魔法使いって!」
「ほお、そうなのかね?
 契約の魔法はメイジと使い魔との心を結ぶためにある。
 それが関係しているのかもしれないねえ」


「ふっふっふ」
ルイズが不敵に笑う。
「キュルケ、ギーシュ!
 見た? コレがこの子の持つチカラよ! 驚きなさい!」
「えー、ルイズもさっき気づいたばっかのクセにー」

すぱぁんっ!
快音が青空にこだました。

  。。
 ゚○゚






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