あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロと世界の破壊者-07b



 トリスタニアの西地区では、突如現れた亜人によって既に多くの平民が殺されていた。
 『オーク鬼が現れた』と言う通報を受けた王宮は即座に魔法衛士隊・グリフォン隊の出動を要請、駆けつけたグリフォン隊が見たものは、無惨にも殺された人々の死体の真ん中に立つ、くすんだ緑色の肌をした亜人だった。
「何だあの亜人は…オーク鬼じゃない?」
 グリフォン隊・隊長、『閃光』のワルドはその亜人を一目見て、オーク鬼とはまったく別の種族だと判断した。
 だがたとえ相手がなんであれ、ここ王都でこれほどまでの狼藉を働いて生かして返すわけにはいかない。
 グリフォン隊は亜人のいる裏路地の上空を取り囲み、一斉に杖を向けた。
「てーっ!」
 グリフォン隊隊長『閃光』のワルドの号令に合わせて騎士達が一斉に攻撃魔法を放った。
 魔法は次々と亜人の身体に炸裂し、その身体を大きく揺らした。
「そこまで!」
 ワルドの指示で雨のように降り注いだ魔法が止む。これほどの攻撃魔法を受ければどんな生物もひとたまりも無い。誰もがそう思っていた。
 しかし舞い上がった土煙の向こうでむくりと影が動いたかと思うと、突如としてそこから一筋の糸が放たれた。
「何!?」
 驚くグリフォン隊の騎士達が反応する間もなく、糸は一体のグリフォンの首に巻き付いた。
 首を絞められて悶えるグリフォンを、その背に跨がった騎士が必至に押さえつけようとするが、突如糸は引っ張られてグリフォン共々思いっきり地面へと叩き付けられてしまう。
「ディック!」
 騎士の一人が落下した騎士の名を叫んだ。
「…ぐっ!」
 落下したディックだったが身体を強く打っただけで何とか一命は取り留めた。しかし今ので搭乗していたグリフォンは絶命してしまったらしく、口から泡を吹いて白目をむいていた。
 更にその前に亜人が迫った。
『ラダ、パパンビン』(また、一人)
 亜人が拳を握ると、その甲の爪が長く伸びた。
「…っ!デル・ウィンデ!」
 しかしそこはトリステインの精鋭、魔法衛士隊。恐怖に負けず杖を敵へと向けて『エア・カッター』を放つ。
 『エア・カッター』は狙い通りに亜人の顔面に炸裂しその顔を真上に反らせた。しかし、反らした"だけ"だった。
 亜人は反らされた顔をゆっくりとディックへと向けた。横並びの六つの丸い眼、側頭部から伸びた突起、まるで蜘蛛がそのまま人型になったような顔だった。
「そ、そんな……!…ま、魔法が効いてない…!!?」
 ディックの中に得体の知れないモノへの恐怖の感情が沸き出した。
 亜人の…いや、得体の知れない化け物の顎がパカリと横に割れた。まるで嘲笑うかのように。
『ギベ』(死ね)
 言うと同時に、化け物はその爪をディックの首元に突き刺し、一瞬でその命を奪った。
「ディックゥゥゥッ!!!」
 騎士の一人が円陣から飛び出した。彼は普段からディックと仲の良い親友だった。
「馬鹿者!一人で突っ込むな!!」
 ワルドが静止したが彼は止まらなかった。渾身の精神力を杖に込めてルーンを唱える。
 そしていざ、魔法を放とうとした時、突如として化け物は彼の視界から消えた。
「何っ!!?何処だ!!?」
 文字通り血眼になって探す彼だったが、その姿は見つからない。
「上だっ!!」
 ワルドの叫びで反射的に上を見上げたが、魔法を放つ間もなく化け物の爪によって袈裟懸けに斬り裂かれ、胸から血を噴き出しながら地面へと落下し、絶命した。
「なっ……!」
 ワルドは愕然としていた。
 通報の内容はオーク鬼の出現、受けた指令はその即座殲滅。しかし目の前に現れた化け物はどうだ?あれだけの魔法を受けてまったくの無傷、そしてグリフォン隊の騎士が二人、あっさりと返り討ちにあってしまった。
 そして今頃になって確信した。今自分達が相手にしているのはオーク鬼など比ではない、未知の亜人。まさしく化け物であると。
『ボセゼ、バギングドググドゲギドビン』(これで、26人)
 化け物は自分を乗せて暴れ回るグリフォンの首を爪で差し貫くと、ワルド達の一団に視線を向けた。
『ヅギパ ガギヅザ』(次はあいつだ)
「っ!散れ!!狙われるぞ!!」
 すぐさま自分達が標的にされた事を察知し指示を出すワルド。しかしそれが仇となり、自分が動くのが僅かに遅れた。
 そこを見逃さず化け物は糸を吐き出し、ワルドの乗ったグリフォンの翼に巻き付いた。
「し、しまっ…!!」
 悔やむ間もなくワルドは飛行能力を失ったグリフォンと共に地面に叩き付けられた。
 先程のディックと同じく即死だけは免れたが、その目の前に化け物が迫る。化け物の顎が、まるで獲物を前にして舌なめずりするかのように左右にパッカリと割れる。
『ゴラゲゾ ボソギデ バギンググシギビン、ボンゲゲル、ショグシャパ ボングムンザ!!』
(お前を殺して27人、このゲゲル、勝者はこのグムンだ!!)
 化け物が爪を振り上げる。
 ワルドは魔法で反撃を試みようと杖を握ろうとしたが、先程のディックの姿が重なって一瞬躊躇ってしまった。
 ならばと懐に忍ばせているものに手を伸ばした。これを使えばその出自を問われ、最悪国を追われかねないが、今ここで死ぬわけにはいかない。
 と、ワルドが意を決したその時、突如化け物の頭部が爆発し、化け物はその身体を大きく仰け反らせた。
 何が起こったかワルドには理解出来なかった。
 だがそのすぐ後ろに、バタバタと慌ただしい足音を立てて二人の男女が現れた事で事態を急速に理解した。
「お前の失敗魔法も案外と役に立つもんだな」
「う、うるさいわね!」
 一人は長身の男、不思議な身なりをしているが、おそらく平民。
 そしてもう一人、桃色がかったブロンドの髪をした、魔法学院の制服を来た美少女。先程の二人の会話から察するに、今の爆発はこの少女が放った魔法によるものらしい。
 だがそれよりも、ワルドは別の事に驚いていた。
 この少女は、自分の記憶の中の少女がそのまま成長した姿だった。いや、自分が見間違える筈が無い。そう確信を持って、彼女の名を呼んだ。
「ルイズ…なのか……?」
 すると桃色の髪の少女、ルイズも、ワルドの顔を見て、彼に気が付いた、
「…ワルド?…ウソっ?ワルド様なの…!?」
「ルイズ!やはり、ルイズなんだね!?」
 何年ぶりかの再会に沸き立つワルドとルイズ。今のこの状況でなければ抱擁を交わして再会の感動を噛み締めたい所だが、事態が事態だ。
「どうやら感動の再会らしいが、それどころじゃないみたいだぞ、お二人さん」
 長身の男が二人を現実へと引き戻した。化け物は未だに健在である。
『ギランパ リントン ボグゲビビギデパ グボギ ギダバダダバ』(今のはリントの攻撃にしては少し痛かったな)
 すると化け物の発した声と思しき音を聞いて、長身の男の表情が変わった。
「うぅ…、やっぱり私の失敗魔法じゃオーク鬼には敵わないか…」
「…いや、こいつはオーク鬼なんかじゃない」
「え…?」
 そう言って男はルイズと化け物の間に立ち、懐から取り出したディケイドライバーを腹に装着した。
「そこのワルドとか言うの、ルイズを頼んだぞ」
「とか…っ!?」
 あまりに平民らしからぬ失礼な物言いにワルドは思わず絶句したが、男はそんなの気にも留めず取り出したカードを目の前に構えた。
「変身!」
 掛声と同時にカードを裏返し、ディケイドライバーにセットする。
『KAMEN RIDE!DECADE!』
 9つの銀色の人影が男の身体に集束し、黒い甲冑がその身体を覆う。7枚の光の板が頭部へと突き刺さり、甲冑の一部を赤く染め、男は仮面ライダーディケイドへと姿を変えた。
「変わった!?」
 思わずワルドは声を上げた。
『ビガラ、クウガ!?…ギジャ、ヂガグバ ドパ クウガ』(貴様、クウガ!?…いや、クウガとは違うな)
 その変化はワルドだけでなく化け物の方も驚かせたらしく、あの化け物が動揺している。
「さて、教えてもらおうか。何でグロンギがここにいるのかをな」
 そう言ってディケイドはパンパンと手を軽く叩き合わせ、化け物に殴り掛かった。
 顔を殴られた化け物は少し後じさったが、空かさず反撃に転じパンチを打ち出す。しかしあっさりとディケイドに受け止められ、逆にカウンターパンチを喰らって蹌踉けた。
 その光景を目にし、ワルドは呆気にとられていた。
 自分達魔法衛士隊の攻撃魔法をものともしなかった化け物を、あの男は謎のマジックアイテムを使ったとは言え、素手で押しているのだ。
「やっぱり、凄いわね…ディケイド…」
「ルイズ…君は彼を知っているようだが、彼は一体何者なのだ…?」
 するとルイズは一瞬考え込んだが、まるで自分の事のように誇らしげに言った。
「彼の名はカドヤ・ツカサ!私の、使い魔よ!」

 ディケイドのパンチが蜘蛛のグロンギ、ズ・グムン・バに炸裂し、グムンは悶絶して地面に倒れ伏した。
「ゴギゲデロサゴグバ?バンゼ グロンギグ ボボビギス?ゾボバサビダ?」
(教えてもらおうか?なんでグロンギがここにいる?何処から来た?)
 するとグムンがゆっくりと起き上がる。
『バンゼ?ゴセパ ゴセグ ゴギゲデ ロサギダギバ。ビズギダサ ボン ヅビグ ドググボガス ゲバギビ ギダボザ』
(何で?それは俺が教えてもらいたいな。気付いたらこの月が二つある世界に居たのだ)
「?ビズギダサザド?ゴラゲパ デヅン ゲバギバサ ビダドギグボバ?」
(?気付いたらだと?お前は別の世界から来たと言うのか?)
『ゴグザ』
(そうだ)
 グムンが頷いた。

 ディケイドとグムンが会話してる中、現場にユウスケと夏海が到着した。
「士くん、やっぱり変身しちゃってます…」
 息を切らせながら、自分の恐れていた事態が現実になってしまった事を目の当たりにして、夏海は気を落とした。
「あれがオーク鬼…?…いや、あれって…!」
 一方でユウスケはグムンを目の当たりにして驚きの表情を見せた。その姿は忘れもしない、自分が以前戦ったものと同じだ。
 少し遅れてキュルケとタバサもそこに到着した。
「あら、もう始まってるの?」
 グムンと対峙するディケイドの姿を見て、キュルケがつまらなそうに言った。
「ダーリン、オーク鬼なんかと見詰め合って、何してるのかしら?」
「…会話をしている?」
 意味不明の言葉を言い合っているディケイドとグムンを見て、タバサが見たままの印象を呟く。
「会話?ダーリンってばオーク鬼の言葉が判るの?」
「…いや、あれはオーク鬼なんてやつじゃない!」
 すると一同の視線がユウスケに集まる。
「…オーク鬼じゃない?」
「さっきツカサもそんな事言ってたけど、ならあれってなんなの?」
「あれは間違いない!グロンギだ!」
「グロンギ…?」
 その場にいた殆どの者が初めて聴く単語に首を捻った。
「グロンギって、あのグロンギですか!?」
 唯一その存在を知っていた夏海だけが驚愕の声を上げた。
「グロンギとは一体なんなのだ?何故キミ達はそれを知っている!?」
 ワルドが捲し立てるように尋ねた。
「詳しい事は俺もよく知らないけど、遺跡から蘇った古代の生物で、俺の世界でたくさんの人を殺して暴れ回ってたんだ。あっちでは、未確認生命体とも呼ばれてた」
「キミの…世界?」
「彼らの土地ではって意味です!彼ら、東方からやって来たんです!」
 慌ててルイズが取り繕う。彼らが異世界からやって来たなんて話、突拍子過ぎるため、とりあえず東方から来たと言う事になっている。
「東方には、あんな恐ろしい生物が存在しているのか…」
 変な勘違いをさせてしまったが、ワルドはそれで納得してくれたようだ。
 そうしてワルドはまた、グムンと話しているディケイドを見た。

「ボボグ ゴラゲン ゲバギジャバギド パバデデギスバサ、バゼゲゲルゾ ゴボバグ?バビグ ロブデビザ?」
(ここがお前の世界じゃないと判っているなら、何故ゲゲルを行う?何が目的だ?)
『ゴンバ ロボパ バギ!ボン ゲバギビロ リントグ ギス!バサダ ボボゼロ ゲゲルゾ ゴボバグ!ゴセガ ガガ ドギグロボザ ン グロンギ!』
(そんなものは無い!この世界にもリントがいる!ならばここでもゲゲルを行う!それがグロンギの性と言うものだ!)
「てめぇっ…!」
 グムンのあまりに一方的な言い分に士は怒りの鉄拳をグムンに打ち込む。
 衝撃でグムンは地面を転がるが、逃がさんとばかりにディケイドが更に追い込む。
 体勢を立て直したグムンは左右に割れた顎から糸を吐き出した。
 咄嗟に右腕で防御したが、糸は右腕に巻き付き、ディケイドの動きを奪った。
 割れた顎が更に左右に開く。まるで笑みを浮かべたかのようだ。
「これで俺の動きを封じたつもりか?」
 しかしディケイドは自由な左手でライドブッカーのグリップを掴むと、抜き打ちでライドブッカーガンモードの弾丸をグムンに撃ち込んだ。
 突然の攻撃に体勢を崩すグムン。空かさずディケイドは更に1発、2発、3発と次々と弾丸を撃ち込む。
 たまらずグムンは糸を切り離して、ディケイドと距離を取る。
「逃がすかよ」
 絡まっていた右腕の糸を引きちぎり、ディケイドが更にグムンへ追い討ちをかける。
 一気に距離を縮めたディケイドがグムンの顔に右ストレートを打ち込む。
 蹌踉けつつもグムンも反撃に転じ、甲の爪で斬り付けようとするが、ディケイドはひらりひらりと軽快な動きでそれを簡単に避け、お返しにと腹に蹴りを打ち込んで更にグムンを悶絶させた。

 その圧倒的な、一方的な展開に、ワルドは息を呑んだ。
「…強いな、彼は……だが…」
 ワルドはディケイドの強さに底知れない脅威を感じていた。
「…本当に、何者なのだ?彼は?」
「ワルド様…?」
「見た事も無いマジックアイテム、見た事も無い銃、何よりも魔法の通じない敵を何故平民のあの男がああも圧倒出来るのだ?マジックアイテムのお陰なのか?それとも…」
 ワルドの視線がルイズに向いた。
「…君の使い魔だからのかい?ルイズ」
「ワ、ワルド様…?」
 憧れの殿方の顔がすぐ目の前に迫り、ルイズの顔が紅潮する。
「あの風貌、あの力、まるで伝説の……。だとするとルイズ、キミはもしかして…」
 ワルドの顔がだんだんと近付き、その息づかいが感じられる距離まで接近する。
 ルイズは何も反論も反撃も出来ず、そんな、こんな所でだとか、白昼堂々と大胆なだとか、頭の中が混乱していた。
 だがそんな折、突如として背後で爆音が轟いた。
 ピンク空間から脱出したルイズとワルドも含め、一同は一斉にそちらを振り向いた。戦っていたディケイドも同様だ。
 爆音は民家の壁が突き破られた音で、衝撃で舞い上がった土煙の中から、別のグロンギが民家の住人の首を掴みながら現れた。
「何!?他にもいたのか!」
 長い髪の新たなグロンギ、メ・ガドラ・ダはルイズ達の姿を見つけると、住人の屍を放り投げ、そちらを新たな標的に定めた。

「ゴラゲ、ゾバビ ババラグ ギダボバ!」
(お前、他に仲間がいたのか!)
 グムンと戦いながら、士が叫んだ。
『ザセロ ゴセパパンビン ザベバンデ ギデデバギゾ』
(誰も俺一人だけなんて言ってないぞ)
 そんなディケイドを嘲笑うかの様にグムンは言い放った。
 ディケイドの怒りのパンチをグムンに叩き込む。

「——エア・ニードルっ!」
 ワルドが『閃光』の二つ名に相応しい速さでルーンを唱え、即座に空気を圧縮した矢、『エア・ニードル』を放った。
 人間であれば簡単に身体を貫通出来る一撃だが、ガドラの身体を僅かに揺らしただけで、効果は殆ど無いようだった、
「くっ…!やはり駄目か!」
「攻撃なら『火』系統のあたしに任せなさい!——フレイム・ボール!」
 続いてルーンを唱えていたキュルケも得意の火系統のラインスペル、『フレイム・ボール』を放った。
 火球を受けてガドラはあっという間に炎に包まれた。
 だがガドラが腕を振るうとその炎はあっという間に掻き消え、その健在ぶりをキュルケ達に示した。
「ウソ!?効果無し!!?」
 その合間にルーンを唱え終わったタバサが次の攻撃を放つ。タバサの最も得意とする呪文、風・風・水のトライアングルスペル、『ウィンディ・アイシクル』だ。
「——ウィンディ・アイシクル!」
 空中に無数の氷の矢が形成され、それらが弾丸のようにガドラに突き刺さった。
「これなら…!」
 キュルケが効果有ったと思い指をぱちんと鳴らした。
 しかし、ガドラに突き刺さった氷の矢はその皮膚を少し凹ますだけで、ガドラが力を入れると矢はあっけなく地面に落ちて砕けた。
「効かない」
「ウソでしょ…」
 魔法をまったく物ともしないグロンギに、キュルケは戦慄する。
 ならば頼れるのはディケイドである士のみ。だが、そのディケイドはグムンと戦ってる最中だ。位置はキュルケ達を挟んで路地の逆方向。グロンギ2体を相手にするには距離がありすぎる。
 万事休すか、と、誰もがそう思った時だった。
 ユウスケが、果敢にもガドラの前に立ち塞がった。
「君っ…!?」
 ワルドが静止しようとしたが、ユウスケは構わず両の手を腰に当てた。
 するとユウスケの腰に銀色のベルト・アークルが出現した。
 ユウスケは、左手をアークルの上辺に、右手を左上方に構え、右手を水平に移動させながら左手をアークルの左側面に持って行く。
「変身っ!」
 掛声と共に左手に右手を押し込む。そして両腕を広げると、アークルに嵌め込まれた霊石"アマダム"が赤い光を放ち、瞬く間にユウスケの身体を赤い鎧が包み込んだ。
「まさか、彼も…!?」
 ワルドが愕然となって呟いた。
「ウソ、まさか本当に…!?」
 事前に話は聞いていたが、実際の所殆ど信じてなかったキュルケが驚嘆する。
 同様に話だけは聞いていたが、実際に目にするのは初めてなルイズとタバサも驚きを隠せない。
 この場で驚いていないのは夏海くらいだ。
「これが、クウガ…」

 かつて、グロンギを封印した古代リントの戦士、『仮面ライダークウガ』である。

「はっ!」
 クウガは拳を掌に叩き付け、構えを取る。
『ザド クウガ!?バゼ ビガラグ ボンゲバギビ ギスボザ!!?』
(クウガだと!?何故貴様がこの世界にいるのだ!!?)
「はぁっ!」
 ガドラの疑問に対し、クウガはパンチで応えた。続けざまに、もう一発パンチを食らわす。
 ガドラは反撃に転じ、自分もパンチを打ち込むが、クウガは上体を低くしてそれを避け、お返しに腹にパンチを打ち込んだ。
『ゴボセ クウガ!ボンバドボソゼロ パセサンゲゲルン ジャラゾグスボバ!?』
(おのれクウガ!こんな所でも我等のゲゲルの邪魔をするのか!?)
 ガドラが、怒りの声を放った。

 クウガの登場に動揺したのはガドラだけでなく、グムンも同様だった。
『ザド クウガ!?ビガラ、ババラビ ギダボバ グ クウガ!!』
(クウガだと!?貴様、仲間にクウガがいたのか!!)
「ザセロ ゴセパパンビン ザベザバンデ ギデデバギゼ!」
(誰も俺一人だけなんて言ってないぜ!)
 さっきのお返しとばかりにディケイドは言い放ち、グムンを殴り倒した。
「ユウスケ!そっちは任せたぞ!」
 士が振り向かぬまま、ガドラと戦うユウスケに向けて叫んだ。
「あぁ!任せろ!」
 ユウスケも振り向かずにそれに応える。

 ガドラは下手にクウガの間合いに踏み込まぬよう、距離を取ってクウガと睨み合っていた。
 だが、その距離はクウガにとって恰好の距離だった。

 一方で、ディケイドに殴り倒されたグムンも立ち上がろうとしていた。
 そのグムンを前に、ディケイドはライドブッカーから新たなカードを取り出した。
 カードを目の高さまで持ち上げると、そのまま裏返し、ディケイドライバーにスロットインする。
『FINAL ATTACK RIDE!DE,DE,DE,DECADE!』
「はっ!」
 ディケイドライバーから小気味の良い音声が鳴り響き、同時にディケイドが宙に飛び上がった。

 クウガもまたガドラに向けて疾走を始めた。
「はぁぁぁぁ…!」
 クウガが地面を蹴り上げる度に、その足が炎に包まれたような光を放つ。
「たぁっ!」
 そしてガドラの目前にて飛び上がった。

 ディケイドとグムンの間に無数の光のカードが二人を遮る様に現れた。そのカードを突き抜ける度にディケイドは加速してゆく。
 飛び上がったクウガは空中で宙返りし、赤い光を纏った右足をガドラに向けた。
「はぁぁぁぁっ!!」
 グムンは回避する事も敵わず、ディケイドの必殺キック、『ディメンションキック』を受けて吹っ飛んだ。
「たぁぁぁぁっ!!」
 勢いを付けたクウガの必殺キック、『マイティキック』をまともに受け、ガドラもまた後方に吹っ飛んだ。
 ガドラがキックを受けた胸に封印の刻印が刻まれ、そこから身体中に光の亀裂が走る。

 グムンとガドラ、2体のグロンギは同時に、断末魔と共に爆散した。

 ディケイドとクウガ、二人の仮面ライダーは各々が倒したグロンギの炎を背にし、互いに向き合った。
 ディケイドがクウガに向かって、サムズアップした。
 クウガは少し照れつつもそれにサムズアップで応えた。お互いの健闘を称える証だ。
 ディケイドとクウガ、いずれこの世界の運命を担う二人の仮面ライダーが、今、このハルケギニアの大地に並び立った。




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