01.夢と現の境界(*1)
「へぇ、東方、終わるんだ」(*2)
自室で修理から戻ってきたノートパソコンを起動し、久しぶりにインターネットを見ていた
平賀才人は、そんな記事を目にしていた。
東方プロジェクト――同人にあまり興味のない彼でも知っているそれは、シューティング
ゲームを中心に音楽、漫画等に展開する一連の作品群であり、ゲームに関しては『神主』と
呼ばれる一人の人間の手により全てが創られていることは、あまりにも有名である。
彼が見たのはその『神主』が数ヶ月ぶりに更新したブログで、これ以降東方プロジェクトを
冠する作品は創らないと宣言した、という記事だった。
平賀才人は、そんな記事を目にしていた。
東方プロジェクト――同人にあまり興味のない彼でも知っているそれは、シューティング
ゲームを中心に音楽、漫画等に展開する一連の作品群であり、ゲームに関しては『神主』と
呼ばれる一人の人間の手により全てが創られていることは、あまりにも有名である。
彼が見たのはその『神主』が数ヶ月ぶりに更新したブログで、これ以降東方プロジェクトを
冠する作品は創らないと宣言した、という記事だった。
「やっぱ、へんな動画とか作られたからかな?」(*3)
彼が東方を知ったのも動画共有サイトにあげられた、通称マッドムービーからである。
とはいっても知っているのはそれぐらいだ。ゲーム自体を遊んだことがあるわけでもない。
思い入れもない。彼にとってそれは、多くの中の一つでしかないのだ。
とはいっても知っているのはそれぐらいだ。ゲーム自体を遊んだことがあるわけでもない。
思い入れもない。彼にとってそれは、多くの中の一つでしかないのだ。
「おっ、返事が来てるじゃん……えっ、明日!?」
出会い系からのメールが来ていることに気がつき、才人は急いで立ち上がった。
明日の準備をしなければ。
明日の準備をしなければ。
「才人、なにやってるの? もうご飯よ」
「はーい」
「はーい」
母親の呼び声に、ノートパソコンを閉じる。そういえば今日の夕飯は好物のハンバーグ
だっけ。自室の扉を閉める頃にはもう頭の中は、夕飯のハンバーグと、明日会う女の子の
ことで一杯になっていた。(*4)
こうしてまた一人、東方プロジェクトを――幻想郷を気にとめる人がいなくなった。こうして
幻想郷は世の人から忘れられていくのだろう。
だっけ。自室の扉を閉める頃にはもう頭の中は、夕飯のハンバーグと、明日会う女の子の
ことで一杯になっていた。(*4)
こうしてまた一人、東方プロジェクトを――幻想郷を気にとめる人がいなくなった。こうして
幻想郷は世の人から忘れられていくのだろう。
さて、幻想郷は世界の非常識が集まる場所。世の中から忘れられたものが集うところ。
ならば、幻想郷自体が世間から忘れられたとしたら――
ならば、幻想郷自体が世間から忘れられたとしたら――
*1:タイトルは音楽アルバム「夢違科学世紀」内の曲名より借用
*2:このお話はフィクションです。妄想です。或る意味、夢です、タイトル的に。
*3:バーのマスターになる準備が整ったとか、酒に関係する理由である可能性の方が高い。神主的に。
*4:きっと頭の中の妄想彼女は、ロリ系ツンデレ少女。本来的に。
*5:脚注も必要だと思った。求聞史紀的に。
*2:このお話はフィクションです。妄想です。或る意味、夢です、タイトル的に。
*3:バーのマスターになる準備が整ったとか、酒に関係する理由である可能性の方が高い。神主的に。
*4:きっと頭の中の妄想彼女は、ロリ系ツンデレ少女。本来的に。
*5:脚注も必要だと思った。求聞史紀的に。