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mission 03 「Unrest」


 スコールとアニエスが一緒に行動して、一ヶ月が過ぎようとした頃。
 今回二人は、少し遠出をする。低価格で難しい仕事も引き受ける二人の元に、国をまたいだゲルマニアの方からわざわざ依頼があったのだ。
 早朝にトリスタニアを出て、一路北へ。途中で二度の野宿を挟み、予定通り港町ラ・ロシェールでもう一泊する。
「話には聞いていたが……これがフネか」
 夕焼け空を見上げ、桟橋に入っていくフネを見上げる。
「ああ、お前は見たことがないんだったか」
『一応羽は生えてるみたいだね~』
 『接続』されているセルフィ・ティルミットが楽しそうに言う。
「船が飛ぶなんて……おかしな気分だ」
「飛んでるところは明日の朝も見られるだろう。さ、宿に行くぞ」
 安宿に部屋を取った時点で日も暮れた。食事をしに近くの酒場に繰り出す。
「良い儲け話がある。どうだ、聞きたい者はいないか」
 白い仮面を付け顔の上半分を隠した男が、その場にいる傭兵達に声を掛けている。
 既に仕事を受けている身であるので二人は聞き流したが、仮面の男の周りでは人垣が出来ていた。
「オーク狩りだったか」
 固いパンを口に運びながらスコールが尋ねる。
「ああ。家畜などを捕られる被害が出ているらしい」
 ゲルマニア産なのだという割に、質の悪いソーセージをフォークで刺しながらアニエスは答える。
「人にしろ亜人(デミ・ヒューマン)にしろ、相手は結局盗人ばかりか……」
 どこか納得したという風に呟くスコール。
「不満なのか?」
「いや、この国が平和なんだと思っただけだ。空の上にあるアルビオンという国は内乱中なんだろう」
「そうらしいな。王党派が圧されていて、レコン・キスタ側が優勢だと聞くが……まぁ、今のところ私たちには関わりのないことだ。後々関わってくることも有るかもしれないが……」
 そこで、スコールの先程の言い回しが思い返された。
「お前、盗賊の類とはあまり戦ったことがないのか?」
「と言うより、あんたと組んでのオーク戦が初めてだ」
 当然といえば当然だ。
 SeeDは最強の傭兵と言われている存在だ。それをたかが盗賊討伐に充てるなど牛刀割鶏である。
 そもそも、インフラがある程度整っているスコールの世界に置いて、そうしたことは管轄の警察組織の仕事だ。
「傭兵ではあったのだろう? それでは……お前はずっと戦場に?」
「だけ、という訳でもない。確かに正規の傭兵になる試験も兼ねた最初の任務は戦場だったが、その後は都市部の中枢でゲリラ戦や暗殺の任務を受けたこともある。
 任務内容も通常戦闘から、要人誘拐、狙撃支援など様々だ」
『なつかしいね~』
「いろいろやっているんだな」
 感心したようにアニエスが呟き、そこで暗殺か……と口が動く。
「レオンハート……表沙汰にならないように人を殺す方法を、知っているか?」
『う、うわぁ! アニエスさん!?』
 顔を近づけて小声で尋ねてくるのに、やはり小声で応える。
「……生憎と俺は暗殺専門という訳じゃない」
 そうか……といくらか気落ちした様子のアニエスに、言葉を続ける。
「だが、擬似魔法があまり普及していないハルケギニアで、足が付かないようにする方法は、俺でもいくつか思いつける」
「後で教えてくれ」
 目の中に暗い意志の炎を燃やすアニエスに、ゆっくりと頷き返した。
『アニエスさんどうしちゃったの~!?』
(おぼろげながら見えてきたな……過去の記憶にかなりこだわる態度に、殺すべき人間がいる素性……復讐か)


 翌日の夕刻、二人は予定通り村に着いた。だが、予定通りではなかったのは、今正に村がオーク達の襲撃を受けていることだった。
「いかん、レオン! 制限無しで戦うぞ!」
「ああ、仕方ない……」
 制限無しとは、擬似魔法漏洩の可能性を犯すことである。危険なことであるが、目の前の危機を見逃すのもまた避けたかった。
 必死に抵抗を続ける村人の前にいるオークに、サンダラを浴びせる。
 家畜を持って行こうとしているオークの後頭部にブリザドをぶつけて昏倒させる。
 娘を拐かそうとしているオークを、飛びかかり様横薙ぎに斬る。
 二人の危険性をようやく認識して、まとめて襲いかかってきた群れに、クエイクを見舞って足場が崩れたところをトルネドで全部吹き飛ばす。
 落着したオーク達は、皆強かに打撲を負っていて、スコールとアニエスが立ちふさがると這々の体で逃げ出した。
 どうせ討伐が任務なので、後から戦うことにはなる。それを見越して、今はひとまず村の状況回復に努めようと二人はそれを見送った。
「私はこの村の村長ですが、ああ、ありがとうございました。メイジ様……」
 年長者に分類される初老の男性が二人の前にやってきて頭を下げた。
「止してくれ、私はメイジじゃない。依頼を受けた傭兵の、アニエスだ」
「は?し、しかし、今のは……」
「それは……」
 さて、どう説明したものかと言いよどむ。
「それは企業秘密だ。俺たちの強さの根本にあるもので、説明は出来ない」
 さらっとスコールがいつものむっつり顔でそう告げる。
(はっきりと言うな)
「はぁ、そうですか……」
 釈然としないながらも、村長は納得してくれたようだ。
「被害の方はどうだ?」
「ああ、連中が来てすぐに駆けつけてくれたので幸い家や垣根が一部壊されたぐらいです」
「そうか……追うか、レオンハート」
「ああ、今ならまだそう遠くは行っていないだろう。根城に案内して貰えそうだ」


 翌朝、オーク達の討伐は完了しスコールとアニエスは村を去っていった。
「う~む、噂通り仕事が速くて料金も良心的だったが……不思議な傭兵達だったなぁ……」
 わざわざトリステインくんだりまで使いを出したかいがあったというものだが、あの魔法のようなものは一体何だったのだろう。
 家の中で領主に収める物品の目録を作りながら村長は首をかしげた。
「村長、入るぜ!」
「何だ」
 声を掛けながら村人の若い者が入ってきた。
「いや、それが村の入り口におかしな二人組がやってきててな」
「おかしな二人組?」
 折角オークが居なくなったと思ったらまた別の厄介ごとだろうか。
「何でも、平民でも使える魔法の力を広めに来たとか言ってるんだよ。どうする、追い返すか?」
 その言葉に村長はハッと目を見開き、横に首を振った。
「いや……まずは話だけでも聞いてみようじゃないか」


「村長が、入って良いってよ。ほら、あっちが村の広場だ」
 村の入り口にとって返した若者が、その二人に開けた場所を指し示す。
「ああ、スミマセンねわざわざ手数を掛けて……ほらビッグスさん、行きますよ」
「はぁ、何だってこんな事になったのかなぁ……軍を辞めて……そう、あのままエスタで就職しようとしたのまではきっと良かったんだ」
 ビッグスと呼ばれた男が、そう愚痴をこぼしながらゆっくりと立ち上がった。
「けど、あんないかれたじじいの研究所に務めたのがいけなかったんだ! ウェッジ! 何で止めなかった!」
 ビッグスにビッと指さされ、ウェッジと呼ばれた方が驚いて後ずさる。
「そんな! 魔法関連で有名なオダイン博士の下でなら食いっぱぐれはないって言ったのはビッグスさんですよ!?」
「あのよ、あんたら……入るのか、入らないのか?」
 口喧嘩を始めたビッグスとウェッジに、呆れ顔で村人が尋ねる。
「ああ、すいませんすいません。ほら、ビッグスさん急ぎましょう。何にしろ、ちゃんと仕事はしないと」
 ウェッジに促され、ようやくビッグスも歩を進める。
「わかった、わかった! しかしメイジめ……良くもわしらを好き勝手使ってくれるもんだ。だいたい、ここで擬似魔法を広めるのが何になるって言うんだ。まぁ、教えた連中からは神様みたいに崇められてるし、その上で給料だけはちゃんと払ってくれてはいるが……」
 愚痴り続けるのは止めなかったが……。



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