「いやだああぁぁあああ!!」
「冗談じゃない!断じて拒否するぞぼかぁ!」
草原に悲痛な声が響き渡る。学院きっての伊達男、ギーシュ・ド・グラモンと、彼に召喚された者の叫びである。
ここ、トリステイン魔法学院で、二年生進級の際に行う春の使い魔召喚の儀式。
そこで彼が召喚したのは、背の丈はギーシュの胸ほどの、ずんぐりむっくりとした体型の醜男であった。
「何が悲しくて、こんなのと口付けにゃあならんのだ!」
ギーシュを指してそんなことをいうのは、崑崙十二仙の一人『懼留孫』の弟子で、土行孫と言う。
何の因果か呼び出されてしまったようだ。
「それはこっちの台詞だ!どうせ呼んでキスするなら、可愛い女の子のほうが良いに決まってるだろう!」
造花の薔薇を大仰に振りながら、猛弁を奮うギーシュ。
「やっぱそうだよな!」
「もちろんだとも!」
意見が合う二人。お前等お似合いじゃないか、と周りで見ている者は思わずにいられない。
「ギーシュ」
低い声と共に水球が飛んでくる。モンモランシーである。
がばごぼと泡を吐くギーシュをよそに、土行孫は他の貴族の子女に
「ヘイ彼女。オイラと契約しないかい?」
なんてナンパをしかけるので、ついでにそっちにも水球を見舞う。二人を正座させ
「ほら、あんた達。あのゼロだってもう契約済ませたんだから、とっととやっちゃいなさいよ」
「げほっ、げほっ…そ、そんなモンモランシー!僕の唇がこんなのに奪われても良いって言うのかい!?」
「別に。使い魔との契約ならノーカンでしょ?さっさとなさいよ」
有無を言わせぬ巻き髪少女。しかし…
「オイラはやだね。なんだって男とキスせにゃならんの」
「そういう決まりなのよ。呼び出された生き物は呼び出したメイジの使い魔となる。
その契約は古来から接吻をもって為す。神聖な儀式なんだから」
「へ!そんなの知ったこっちゃないね。オイラを帰して別の呼び出せよ別の。それで解決じゃん」
「帰す魔法なんてないわよ。それに、別のを呼ぶ、となると、あんたが死ななきゃなんないんだけど…」
そう告げると、ギーシュに目配せするモンモランシー。冗談じゃない、と喚く土行孫と対照的な召喚者は
「あ、あぁ。そうなるね。そう…うぅむ、いくら顔が悪かろうと、メイジの気分一つで平民を殺すのでは貴族の名折れ。
仕方ない。ここは諦めて契約しようじゃないか」
首を振り、気障ったらしい仕草で続けるギーシュであった。
「勝手に決めんなよ!オイラに選択権は!?」
「そんなのあると思ってんの?平民のくせに」
「なんだよそれ!平民ってなんだよ!オイラこれでも神仙の端くれだぞ!」
「はぁ…いいなぁルイズは。あっちも男だけど、ルイズは女の子だもんなぁ…僕も女に生まれたかったよ。いやこの美貌ならもしや…」
危険なことを考えながら、やがて諦めたように造花を振って
「我が名はギーシュ・ド・グラモン。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
ものすごくどーでも良さそうに詠唱を終えれば、ぎゅっと目を瞑って果てしなく嫌そうな顔をしながら顔を、その唇を近づけていく。
「い、いや待て!マジやめろって!」
「あーほら、動かないの」
逃げようとする土行孫の顔ををモンモランシーが後ろから抑える。そして…
「冗談じゃない!断じて拒否するぞぼかぁ!」
草原に悲痛な声が響き渡る。学院きっての伊達男、ギーシュ・ド・グラモンと、彼に召喚された者の叫びである。
ここ、トリステイン魔法学院で、二年生進級の際に行う春の使い魔召喚の儀式。
そこで彼が召喚したのは、背の丈はギーシュの胸ほどの、ずんぐりむっくりとした体型の醜男であった。
「何が悲しくて、こんなのと口付けにゃあならんのだ!」
ギーシュを指してそんなことをいうのは、崑崙十二仙の一人『懼留孫』の弟子で、土行孫と言う。
何の因果か呼び出されてしまったようだ。
「それはこっちの台詞だ!どうせ呼んでキスするなら、可愛い女の子のほうが良いに決まってるだろう!」
造花の薔薇を大仰に振りながら、猛弁を奮うギーシュ。
「やっぱそうだよな!」
「もちろんだとも!」
意見が合う二人。お前等お似合いじゃないか、と周りで見ている者は思わずにいられない。
「ギーシュ」
低い声と共に水球が飛んでくる。モンモランシーである。
がばごぼと泡を吐くギーシュをよそに、土行孫は他の貴族の子女に
「ヘイ彼女。オイラと契約しないかい?」
なんてナンパをしかけるので、ついでにそっちにも水球を見舞う。二人を正座させ
「ほら、あんた達。あのゼロだってもう契約済ませたんだから、とっととやっちゃいなさいよ」
「げほっ、げほっ…そ、そんなモンモランシー!僕の唇がこんなのに奪われても良いって言うのかい!?」
「別に。使い魔との契約ならノーカンでしょ?さっさとなさいよ」
有無を言わせぬ巻き髪少女。しかし…
「オイラはやだね。なんだって男とキスせにゃならんの」
「そういう決まりなのよ。呼び出された生き物は呼び出したメイジの使い魔となる。
その契約は古来から接吻をもって為す。神聖な儀式なんだから」
「へ!そんなの知ったこっちゃないね。オイラを帰して別の呼び出せよ別の。それで解決じゃん」
「帰す魔法なんてないわよ。それに、別のを呼ぶ、となると、あんたが死ななきゃなんないんだけど…」
そう告げると、ギーシュに目配せするモンモランシー。冗談じゃない、と喚く土行孫と対照的な召喚者は
「あ、あぁ。そうなるね。そう…うぅむ、いくら顔が悪かろうと、メイジの気分一つで平民を殺すのでは貴族の名折れ。
仕方ない。ここは諦めて契約しようじゃないか」
首を振り、気障ったらしい仕草で続けるギーシュであった。
「勝手に決めんなよ!オイラに選択権は!?」
「そんなのあると思ってんの?平民のくせに」
「なんだよそれ!平民ってなんだよ!オイラこれでも神仙の端くれだぞ!」
「はぁ…いいなぁルイズは。あっちも男だけど、ルイズは女の子だもんなぁ…僕も女に生まれたかったよ。いやこの美貌ならもしや…」
危険なことを考えながら、やがて諦めたように造花を振って
「我が名はギーシュ・ド・グラモン。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
ものすごくどーでも良さそうに詠唱を終えれば、ぎゅっと目を瞑って果てしなく嫌そうな顔をしながら顔を、その唇を近づけていく。
「い、いや待て!マジやめろって!」
「あーほら、動かないの」
逃げようとする土行孫の顔ををモンモランシーが後ろから抑える。そして…
チュッ
土行孫はもとより、やはりギーシュも耐えられなかったか
『おえぇぇええええええええ』
まったく同じリアクションを取るのだった。
『おえぇぇええええええええ』
まったく同じリアクションを取るのだった。
このメイジと使い魔が、やがてトリステイン、ゲルマニア連合軍とアルビオンとの戦役でそれなりの戦果をあげるらしいのだが、それはまた別の話である。
終わり。
終わり。