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ゼロの花嫁-22


ゼロの花嫁 エピローグ「その後の皆様」



カトレアが上機嫌で花壇の花に水をやっていると、馬車の音が聞こえたのでそちらを振り返る。
見慣れた馬車は正門をくぐり屋敷の入り口まで辿り着くが、
馬車の中の人物が降りる前に屋敷の扉が開き、喜色満面のエレオノールが飛び出してくる。
恐らくエレオノールは彼が屋敷に戻る時間が近いので、窓から外を延々伺っていたのだろう。
そわそわする姉の姿を想像して思わず笑みが零れる。
領地は人に任せ、ヴァリエール一家は今ほとんど全員がトリステインの屋敷で暮らしている。
カトレアの体調が良くなった為、その婿探しをする意味でも王都に居るのが一番と父は言っていたが、
むしろ忙しすぎる父の都合のような気もする。
アルビオンから戻ったエレオノールは、それまでが嘘のように謙虚になった。
一度カトレアがその理由を尋ねた所、自分の無力さを思い知ったと恥ずかしげに呟いていた。
エレオノールらしい元気さが失われてしまったのが少し残念ではあるが、もっと嬉しい事があった。
グラモン家の息子さんがエレオノールのお婿さんとして迎えられた事だ。
最初は伯爵の血筋とはいえ、三男なぞ冗談ではないと渋っていた父も、彼の温厚な人柄と、
心に秘めた情熱にほだされ、遂に結婚を認める事になった。
今では、必ずやヴァリエールを継ぐに相応しい男に育て上げてみせると鼻息も荒い。
母は最初から厳しく接していたが、これは誰にでもそうであるし、
より以上に厳しく当たるのはきっと彼が気に入っているからだとカトレアは思っている。
家族がもう一人増えてくれた。それがカトレアには何より嬉しかった。
外出も苦にならなくなったカトレアは、父やエレオノールの紹介で何人か友人を得る事が出来た。
にぎやかすぎる彼女達に付き合うのは疲れる事でもあったが、常に新鮮さがそれに勝った。
こうして生活は劇的に変わったが、皆が皆元気でいてくれるので、カトレアはそれだけで幸せだった。
しかし、たった一つだけカトレアにも気がかりがある。
愛しい愛しい大切な妹ルイズは、今日もまた何処かで危険の最中を駆け抜けているのだろうから。



エルフの森深くまで踏み入ったルイズ、キュルケ、タバサの三人は、木のうろに隠れるように身を潜める。
「あっちゃー、まずったわ。エルフってやっぱり強いのね」
そうぼやくルイズの襟首を引っ掴むのはキュルケだ。
「あったりまえでしょうがああああああ! だから止めとけって言ったのに人の話聞かないから!」
むっとなったルイズもキュルケの襟首を掴み返す。
「何よ! 残らず燃やし尽くしてやるなんて息巻いてたのアンタでしょ!」
そんな二人を無視して周囲を探っていたタバサは、ぽつりと呟く。
「……退路も断たれた。これ……本気でマズイ」
木々が生い茂る森の中は、まるで静止画のように動きを見せず、時折聞こえる鳥や獣の声が響くのみだ。
しかし、ルイズもキュルケもタバサ同様周囲を探ると、その先に潜むエルフ達の影を捉える。
「百……かしら。キュルケ、いざとなったらここら一帯アンタの魔法で消し飛ばしてやりなさい」
「こっちも一緒に吹っ飛ぶわよ。言っとくけど1リーグ超える範囲は調節なんて効かないわよ。
そこ越えたら後は3リーグ四方全部消し飛ばすしかないし、そんな悠長に魔法唱える暇なんて与えてくれないでしょうに」
「相変わらず雑ねぇ」
「うっさい、そもそもエルフのインチキ魔法相手に通用するかどうかもわかんないんだから、今回爆炎はナシよ」
「連中がインチキならアンタのはデタラメじゃない。触れただけで蒸発する炎とか卑怯の域よそれ」
タバサは油断無くエルフ達の動きを探る。
「……私が偏在使えば不意打ちで五人は倒せる。ルイズは?」
キュルケだけでなく、風特化でもないのに偏在使えるタバサも充分デタラメである。
背負った二本の剣を見ながらルイズはやる気無さそうに答えた。

「私も同じぐらいかしら。本当鬱陶しいわねぇ、魔法だけじゃなくて体術もしっかりしてるわコイツ等」
エルフは常識では考えられぬ魔法を用い、相手によっては通常の魔法や剣で触れる事すら難しい者も居る。
しかし彼女達は事も無げにこんな台詞を吐く。
「私がその間に魔法で吹っ飛ばしたとしても、まあ半分は残るわ。んで生き残りの一斉魔法でオシマイっと」
今まで相手にしてきた人間とは根本的に違う、そんな存在であるとわかっていたのだが、
目論見が甘かったと言われれば正にその通りである。
キュルケはルイズのピンクの髪を眺めながらぼやく。
「ま、コレに付き合ってここまで生き延びたんだから、それで良しとするしか無いわね」
タバサもまた危機に似合わぬ微笑を浮かべる。
「こんなキツイのはハヴィランド宮殿攻防戦以来。でも今回は……」

ハルケギニアに後生まで語られる三人の物語は、ここで幕を下ろす。



天蓋の付いたベッドで気だるげに身を起こすアンリエッタは、
隣に寝ていたはずの者が既に衣服を身につけている事に気付き、寝巻きを身にまとう。
「もう……お出になるのですか?」
男は帽子を被りマントを羽織る。
「トリステインの至宝を狙う間男は、それらしく退散すると致しましょう」
ぷっと吹き出したアンリエッタは、ベッドから起き上がり男に寄り添う。
男は軽く彼女を抱きとめ、耳元で小さく囁く。
「……少しだけ、心の内を曝け出してもよろしいでしょうか」
「なんでしょう」
「私は、ウェールズ陛下を忘れさせる事が出来ているのでしょうか」
アンリエッタは今度こそ声に出してくすくすと笑う。
「私の心は、とうに貴方に捉えられておりましてよ、ワルド」
恋文を返せ、そう伝えた相手が九死に一生を得たからとて、では再び元の鞘にとは易々と出来ぬもので。
苦しい想いを抱える日々が続く中、アンリエッタの心を慰めたのはトリステインに次々訪れる朗報と、
事情を察し、事ある毎に気を配ってくれるワルドの存在であった。
満足気に頷くと、ワルドは部屋の窓を開き、窓枠に飛び乗り器用にバランスを取る。
「まあ」
「では、姫君のお心を見事頂戴できましたので、わたくしはこれにて……」
マントを一振りすると、ワルドは影も形も消えてしまった。

ワルドが魔法のマントを用いて転移した先では、オールドオスマンが苦々しげな顔をしていた。
実はこれ、タバサがアルビオンに行った時ネコババしてきた物である。
あの魔法の物品の素性を調べる度、あまりのレアリティに腰をぬかしかけたのも随分前の話だ。
オールドオスマンにこんな顔をされてはワルドも苦笑するしかない。
「お説教ですかな」
「最近は頻度も多くなったでな。年寄りをあまり困らせるものではないぞ」
「美姫に惹かれるは男の悲しい性ですよ。ですが、何度も言っておりますように、私は不実を働くつもりはありません」
オールドオスマンは大仰に両手を広げる。
「いっそ一夜の火遊びにしておいてくれ。本気で彼女を娶るつもりだとか、
 話を聞いた時は全てを忘れて隠居しようかと思ったぞ」
「はははっ、まだまだオールドオスマンのご助力無しには私も独り立ち出来ませぬ故、今後も何とぞよしなに」
今ではオールドオスマンはワルドの良き協力者となっていた。
しかし、そんなオールドオスマンにも、ワルドが本心で彼女に惚れているのかどうか、見極める事は出来なかった。
それ程ワルドという人物は奥が深く、容易に計り知れぬ心を持っていたのだ。
彼がうろたえる様を見たのは、オールドオスマンも数える程しか無い。

内の一つ、ルイズとの決闘は何とも衝撃的であった。
「私が勝ったら婚約解消。負けたら煮るなり焼くなり好きにしてちょうだい」
そう言い放って、スクウェアメイジでありトリステイン最強の騎士であるワルドに挑んだルイズは、
魔法を吸収する剣をかざし、ワルドに勝利を治めたのだ。
既にルイズとの結婚にそこまでの利は無かったので、わざと負けたのかとも思ったが、
敗北した後のワルドの茫然自失とした様は、それが真剣であったのではと思わせる程であった。
それ以降、ルイズ達の奔放っぷりは最早誰の手にも負えぬ程暴走して行った。
ガリア王ジョゼフを退位に追い込んだり、ゲルマニア皇帝をたらしこんだりとやりたい放題である。
何でもロマリアとも揉めたらしいのだが、そこはもう聞きたくないとオールドオスマンは関わるのを拒否した程だ。
今は何処で何をやっているものやら。
「では、私はこれにて」
そう言って立ち去るワルドを見送りながら、オールドオスマンは深く嘆息する。
「ワシの人生って、もしかして悪ガキ共の後始末で終わってしまうんではないのか?」
既にトリステインの重鎮となったワルドを、平然と悪ガキ呼ばわりする自身の稀有な感性と能力は知らんぷりらしい。

のんびりと夜道を散歩するワルドは、ふと、その手に残るぬくもりを思い出す。
思慮が足りない、分別も不足してる、
おおよそ国家を担うに相応しい器ではないと馬鹿にしていたのだが、彼女にも美点はあった。
相手が嫌がる事を出来れば避けたいと思う弱さと紙一重の優しさ、
一つ事に集中すると他が見えなくなる視野の狭さにも繋がる一途さ。
王として全ての民を分け隔て無く愛すべきであるのに、
心寄せた相手に強く惹かれ、一心に何かをしてやろうとする健気さ。
彼女は決して王には向いていないが、こうして肌を重ねて初めてわかった。
妻として、そしておそらく母として、これ以上に素晴らしい女性は居ないのではないだろうかと。
そこまで考え、ワルドは自らの様を振り返り苦笑する。
「何と、これではまるで私が恋をしているようではないか」
それが真実なのか否か、ワルドならば答えを出すのも容易かろうが、もう少しだけ、考えずに置こうと決めたのだった。



ウェールズは正装に身を包み、落ち着かない様子で控え室に向かう。
最初に一目見ておけば動揺してしまう事も無かろうと、その部屋の扉を開く。
ちょうど中に居た女性が外に出ようと扉に手をかけた所であった。
彼女は真っ白なドレスを身に纏っていた。
胸元が大胆に抉れているのは、豊満な胸を持つ彼女の美しさをより際立たせてくれる。
そしてきゅっとしまったウェスト回りは、白のレースがぐるっと一周しており、
大人びた雰囲気の中にも初々しさを残すよう花の柄があしらってある。
その下は大きく膨らんだスカートだ。半透明なレースと、真っ白な生地が交互に折り重なっており、
幾重にも重ねた生地は相互に柄を引き立てあい、奥深い造りになっている。
「マチルダ? 一体何を……」
部屋の中から女中の悲痛な声が聞こえてくる。
「ああっ陛下、良い所に。どうかマチルダ様をお止め下さい」
事情のわからぬウェールズに、マチルダはドレス姿のままぴっと指を突きつける。
「ウェールズ、貴方言ったわよね。結婚しても仕事は続けていいって」
「あ、ああ確かに言ったが……」
「じゃあそうするわ。風石相場の値崩れが始ってる。
 まーたしょうこりもなくあんの性悪ワルドが仕掛けて来てるのよ。今すぐ対応しないと……」
「ちょ、ちょっと待て! これから式だというのに何を言ってるんだ! 列席者は随分前から待っているんだぞ!」
「そんなの待たせておけばいいわよ! どーせ酒飲んで騒ぎに来ただけでしょうに」
「ば、馬鹿言うな! 仮にも国王の結婚式がそんな適当で済むはずが無いだろう!」
「そんな事どうでもいいわよ。それよりすぐに対応しないとまた派手に損失被る事に……」

そこまで言ってマチルダは口を紡ぐ。
扉の辺り、ウェールズの居る更に後ろからただならぬ瘴気が漂って来ている。
「へ~~~い~~~か~~~、ま~~~ち~~~る~~~だ~~~」
憤怒の表情で姿を現したのは、マチルダ、ウェールズ共通の友、アニエスであった。
「げっ! アニエス! いえね、違うのよこれは……」
「ま、待てアニエス! まずは落ち着け、これは所謂あれだ、まりっじぶるーとでもいうかだな……」
二人が揃って言い訳を始めるが、直後の一喝でぴしゃりと黙る。
「やかましい! お前達にわかるか! ようやく! そうさんざ苦労に苦労を重ねてようやく辿り着いた晴れの日に!
 やっと私も肩の荷が降ろせると一息ついたその息も出し切らぬ間に!
 これで私もようやく恋人との時間を、将来を考えられると安心した矢先に!
 こんな所で無様にケンカしてる二人を見た私の気持ちがわかるかああああああああ!」
二人が自分の気持ちに気付き、お互いの気持ちに気付き、自分の気持ちに素直になれるまで。
その全てを延々フォローし続けてきたアニエスは、あまりの情けなさに涙すら浮かべているではないか。
二人共、めっちゃくちゃアニエスに世話になった自覚はある。
というかアニエスが居なければこの日は絶対に来なかったと確信出来る。
その立場とアンリエッタへの未練から、自らの想いにすら気付けなかったウェールズ。
アルビオンの王族!? 親の仇じゃ死にさらせボケええええええええええ! なマチルダ。
この二人をくっつけるのにアニエスが払った労苦は並大抵のものではなかっただろう。
「すまんアニエス! ほらっ! もう大丈夫だ! 私達はふぉーえばー仲良しだぞ!」
「そうよそうよ! もー目に毒すぎて逃げ出すぐらいラブラブなんだから!」
速攻で肩を組んでにこやかスマイルを見せる二人。
それで一応は納得したのか矛先を収めるアニエス。
「……頼みますよ陛下。皆様もうお待ちなんですから……
 マチルダもだぞ! 馬鹿なわがまま言ってないでさっさと行け!」
はいっと元気良く返事をし、二人は並んで式場へと向かう。

ウェールズは隣を歩く、これから妻になる人を見下ろす。
昨晩は「本当に私でいいの?」と不安気に震えていたというのに、夜が空ければすぐこれである。
よくもまあこんなの妻にもらう気になったもんだが、ウェールズにとっては彼女以外考えられなかったのだ。
出自の定かならぬ女性である。嵐のような反発を押し切っての式となった。
ウェールズは既にマチルダから王家との因縁を聞いていたので、逆に出自を明らかにする事も出来なかったのだ。
国家再生の只中、何代にも渡ってアルビオンを支えてきた貴族達は、
そのほとんどが様々な形でアルビオンを去って行った。
最早新たに国を作るのと大差ない労苦を共にしてきた彼女。
今アルビオンに必要なのは血筋ではなく、アルビオンの屋台骨となりうる強い女性でなくてはならない。
と、説得して何とか式にこぎつけたが、ウェールズにとってはまあ、それは言い訳の一つ程度の認識でしかない。
どんな逆境にあっても、逆に平穏な日々の中でも、いつでも必死になって駆け回り、
きらきらと輝いて見える彼女が、愛おしくてたまらないだけなのだから。
「さあ、行こうか」
廊下の終わり、光に満ちた場所へとマチルダを誘うと、少し照れながら、マチルダはウェールズの手を取った。



黙ってやられるだけは性に合わぬ、
踏み込んで一人でも多く道ずれにしちゃるとばかりに飛び込もうとするキュルケとタバサを、ルイズが止める。
「何よ? 何か言い残した事でもあんの?」
「心残りなんて、ギーシュとモンモランシーの式ぐらいだと思うけど……」
「……いや、ね。ずっと前から考えてた事なんだけど……」
珍しく自信無さそうな口ぶりでルイズは話し始めた。

「ほら、使い魔召喚のゲートってあるじゃない。あれってさ、向こうから来るのはいいとして、
 ゲートって言うぐらいだし、こっちからは行けないのかしら?」
通常使い魔召喚の儀式で発生するゲートは、ハルケギニアの獣が呼び出される事から、
ハルケギニアの何処かしらに繋がっていると考えられている。
燦を故郷に帰した時、使い魔である燦と何かが切れた感覚があったとルイズは言っていた。
使い魔の契約が途切れるのは使い魔が死亡した時のみであるが、
存在を感知出来ぬ場所に行った故、死亡したと認識されたのだろう。
以後新たな使い魔を召喚しなかったルイズは、これを移動手段として使えないかと言っているのだが、
そんな利便性の高い魔法であるのなら、今まで誰も確認していないというのはおかしい話である。
案の定タバサは幾つかの事例を聞き知っていた。
「召喚が目的であるし、ゲートにはこちら側に引き寄せる力が働いている」
ルイズも調べてあったのだろう、すぐに反論する。
「だからさ、その引き寄せる力以上の勢いでゲートに突っ込めば、向こうまで突き抜けられるんじゃないかなって」
むむぅと頭を捻るタバサだが、すぐに首を横に振る。
「でもダメ。ゲートの先がどうなってるかわからないし、使い魔は大抵危険な場所に生息している。
 火山の中や空の上に繋がっててもおかしくはない」
「うん、でも召喚する相手が人間だったならどう? それなら周辺の安全はほぼ確保されてると思わない?」
キュルケはルイズが考えていた事をようやく察する。
「……つまり、実験してみようって事よね。サンに繋がるかどうかもわからないけど、
 死ぬしかない今なら、うまくいけば儲けものって事でしょ」
にまーっと笑うルイズ。
タバサはやはり苦々しそうな顔のままだ。
「戻ってくる手段は存在しないかもしれない」
「死ぬよかマシよ。それに、どうせ賭けるなら夢のある未来に賭けたいじゃない」
森の奥の方で微かに動く気配がした。
タバサは即座にプランを立てる。
「ルイズはゲートの維持、私が風で三人を覆う。キュルケは魔法で私達を吹っ飛ばして」
「了解!」
「そうこなくっちゃ!」
ルイズが懐かしき召喚魔法を唱え、タバサが風の守りを用意し、キュルケはありったけの魔力を込め、炎の魔法を放った。



満潮家は何時もの喧騒に包まれていた。
今日は何故か都合が合い、瀬戸組の面々がぞろぞろと満潮家に揃ってしまったのだ。
燦の父豪三郎は、娘を奪った憎き男、満潮永澄に憎憎しげな視線を送るが、燦の手前なので一応我慢はしている。
永澄の父、母、そして許婚としてこの家にやっかいになっている燦、
その付き人であり小人のように小さい蒔が共にこの家に住んでいる。
更に今日は瀬戸組の瀬戸豪三郎、妻の蓮、若頭の政が一緒に来ている。
豪三郎は酒をかっくらいながら吼える。
「大体、三年前に政がこのボーフラ助けんかったら良かったんじゃ!
 何でその時きっちりトドメ刺しとかんかったんじゃ!」
「……燦ちゃんのお父さん、当人前にそーいう事言うのはどうかと思うんだ……」
「すいやせんおやっさん。
 しかしまさかその三年後にまた永澄さんが同じ場所で溺れるなんて思いもしなかったもんで……」
馬鹿丁寧に謝る政に、酒の勢いか普段の鬱憤か、豪三郎は更に八つ当たりする。
「そもそも燦に結婚はまだ早い! というか後一年でこんボーフラぁ結婚出来るようになってしまうやないか!
 早よぶち殺しとかんと取り返しのつかん事になってまうで!」
「……一年後て、僕まだ高校生なんですが……」
「もう、お父ちゃんお酒はそのぐらいにしてっ! 永澄さん困ってる!」
最近は永澄の両親も慣れたもので、豪三郎の罵声にもにこにこと笑っているだけである。

「……二人共両親の責任きちっと果たそうよ……」
さっきから延々永澄がつっこんでいるのだが、誰もがガンスルーである。
全てから逃げたくなって永澄は天井を見上げる。
何故か、そこに真っ黒い楕円があった。

「うっひゃー!」
「ぎゃーー!」
「っ!」

三様の悲鳴と共に、天から女の子達が降って来た。
一同が静まり返る中、痛たたと顔を上げたルイズは、すぐそこに、懐かしいあの顔を見つけた。
「久しぶりねサン、元気だった」


三人の物語は、まだまだ終わってはいないようだ。




    ゼロの花嫁      完





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