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THE GUN OF ZERO-21b


 求める情報は、一度戻って仲間との協議の上で決めることを告げると、屋敷の中はあわただしく準備が始まった。
 何しろ公爵夫人の毒が解毒されたのである。
 これまでシャルロットを、母の狂気を治す薬で縛り付けていたガリア王室が、今度はシャルロットを亡き者にしようと動き出すのは目に見えていた。
 公爵夫人と屋敷に働く人々は、このガリアの協力者の下に身を隠し、シャルロットはこれまで通りトリステインの学院にその身を置くこととなった。
 マサキ達との連絡役が一人は必要で、やはりそれはこれまでもトリステインにいた者が最も適任だろうという考えからだ。無論、この時点でマサキはクォヴレーの状況変化など知るよしもない。
 どうにか必要最低限の物をまとめようとする騒ぎの中、マサキは公爵夫人に耳打ちした。
「……気をつけた方が良いんじゃないか?絶対に一人か二人は、使用人の中にも息のかかった奴がいるぜ?」
「わかっています」
 マサキ素の言葉遣いだが、それでも公爵夫人は真摯に受け止めていた。
「ですが、今ここでその事を言う訳にはいきません。その事を明らかにして、不要の軋轢を生むことをこそ、私は恐れます。そして何より、そのためにシャルロットを学院に居るままにするのです」
 シャルロットを学院に置く真意に気づき、マサキは息を呑んだ。
「ゼノサキス様、親の身勝手であるとは理解しています。ですがどうか、シャルロットを守ってください……これ以上のお力添えを請うなど、厚かましい願いであるとは知っています。ですがどうか……」
 親を思う子の愛は、やはり子を思う親の愛に匹敵する訳で。
 再びマサキは折れた。
「……判った。けど、それだけだ。シャルロットにも言ったが、もし本格的にアンタ達が蜂起したら、もう俺は関知しない。いいな?」


 魔装機神操者として、義理で出来るのは個人的な防衛だけだ。
 理由がどうであれ、戦乱の発端となりうる事に手は貸さない。
 簒奪者と呼ばれる者であろうと、一国を治めている王を手にかけるのに手を貸すのは、良くて看過するまでだ。
「はい。それだけで……それだけで十分です」

竜の羽衣

 サイバスターと隣り合って置かれているR-1。
「さ、こっちこっち」
 リュウセイに促されるままその胸に開いた穴におそるおそる入るシエスタ。
 クォヴレーに薦められるままリュウセイに頼ってしまったが、本当に大丈夫だろうか?と今更ながらに不安になってくる。
「って、どこに座るの?」
「ん?俺の膝の上だけど」
 みたことの無い服装で、


いざ往かん、我らの戦場へ

『ルイズ、ルイズ……この世界に危機が迫っている。さぁ唱えよ……』
 数日前から見るようになった夢。それは徐々に明確さを増してきていた。
 今ではその姿も徐々に見えるようになっている。長い髪の男だ、あれは。
 昨晩泣き疲れて眠ってしまったルイズは、もはや見慣れたものとなった夢から覚めてからもしばらくベッドの上で動かないままだった。
「……クォヴレー」
 呼んでみたところで、飛んで行ってしまった彼が来るはずもない。
「何よ……何よ……!死ぬまで一緒にいるとか言ってたくせに!たった……たったこれだけのことで居なくなるなんて……!」
 再び涙がこみ上げてきてルイズの頬をぬらす。
 しばらくそうしてぐずっていたが、元より昨日はそうして泣き疲れるほどに泣いたのだ。すぐに気持ちも落ち着いた。
 そして落ち着いてみると、何だか屋敷の中が騒がしいのに気が付いた。
 気にはなったがとりあえず着替えるため誰か小間使いを呼ぼうと鈴を鳴らすが、誰も来ない。
「もう、何やってるのよ!」
 イライラとしながら部屋の戸を開けたところで、ルイズの動きが止まった。
「わ、ワルド子爵……?」
「ああ、ルイズ!僕のルイズ!このタイミングで会えるとは思っていなかったよ!」
 まさにルイズが戸を開けた時、ワルドと父がそこを歩いていた。
「な、何故こんな所に、というかすみません!お見苦しい格好で……っ!?」
 ネグリジェ姿だったのを思い出し、あわてたルイズにワルドが抱きついた。
「わわわわわわワルドぉっ!?」
 いくら婚約者とはいえ、祝言そのものは行っていない仲で、当然の如く公爵も些か気分を害したような表情をしている。
 このままではワルドのためにも良くないと、必死に訴えかける。
「あ、あの、離して!こんな格好じゃあ……」
「……ああ、済まない。出征前に君に会えたものだから、少々気が高ぶって居るようだ」
 ルイズを離しつつ、顔を押さえるワルド。
「出征……?」
「戦争だよ。ガリア王国が、宣戦を布告してきたんだ。ここへは、君のお父上を閣議にお連れするために来たのでね」
 本来ならばワルドクラスの人物が行う任務ではなかったが、領地に帰っていたワルドが登城するに当たって公爵も連れて行くこととなっていた。それだけ、他のヒポグリフ、マンティコア、グリフォンを操る騎士達を動員する余裕が無いとも言える。
「子爵」
「は、済みません」
 公爵の咎めの声に、改めて謝意を示す。だが、もう少しだけ話させて欲しいといったジェスチャーをすると、やれやれと言わんばかりに公爵はため息をつくだけにとどめた。

「ルイズ、この戦争が終わったら、その時には僕が迎えに来るよ。だから、待っていてくれ」
「え……?ワルド?」
「いいね?……参りましょう」
 驚いた顔のルイズを残し、ワルドと公爵はその場を通り過ぎていった。



「昨日の夜、機動兵器の襲撃を受けた。それも、ガリア王室の利になるようなタイミングでだ」
「!それはつまり」
「どこまで繋がりがあるのかはわからねぇが、お前の言うユーゼスって奴とガリアは何か関係があるのかも知れねぇ」
「手分けした甲斐があったか……!」
 だがその関係のあるというガリアが戦争を仕掛けたこのタイミング、本当に間に合ったか?
「ランドール、私の声もクォヴレーに届いている?」
 マサキの膝の上に座っているシャルロットが尋ねた。
「あ?ああ。聞こえてるはずだぜ」
「クォヴレー、あなたやランドールの言っている敵は、四つの目が描かれた仮面を付けた男?」
「!どこで見た!?それを!」
「ガリア王宮内。ガリア王の召喚した使い魔で、王を傀儡として、現在実質全ての権力を握っている男」
「全ての権力……!?まさかこの戦争は!」
「今のガリアが侵攻をするというのなら、間違いなくその男の意志」
 ガンとコクピットハッチの縁を手で叩く。
「拙い、先手を取られた!リュウセイ、すぐにでるぞ!」
「お、おう!」
「マサキ、敵の艦隊を叩く。直接戦場で合流する!」
「わかった!こっちも急ぐぜ!」
 R-1のコクピットから飛び降りつつ、唱える。
「テトラクテュス・グラマトン!」
 ディス・アストラナガンを呼び込んで飛び乗り、翼を展開して大空へと飛び立つ。続けてR-1も上昇し、R-WINGに変形して後を追う。
 南へ向かう中で、レーダーに機影がかかる。
「見えた。いや、違う!?」
 そちらにカメラを向けるが、映し出されるのは帆船に翼の生えたハルケギニアのフネだ。
「クォヴレー、どうなってんだ?ありゃあ、この世界の飛空挺じゃねぇのか?」
「ああ……その筈だ」
「どうした?ってこりゃあ……」
 サイバスターも合流し、そこに見える艦隊に首をひねる。
「ガリア両用艦隊……」
「違う。これではない……俺の早合点だったのか?」
 シャルロットの言葉に焦ったようにコンソールを操作し、レーダーのレンジを変える。
「こちらか!?」
 ここより北東の方角に、レーダーに映る影がある。木製のガリア艦隊よりも遙かに強力に反応している上に、進行速度が比べものにならないほど速い。
「リュウセイ、マサキ、位置情報を転送する。奴の主力はこちらだ!」



 トリステイン王宮。閣議の席上、各方面から続々と情報が寄せられていた。
「報告を」
 マザリーニの言葉に偵察に出ていたマンティコア隊の隊長ド・ゼッサールが進み出る。

「はっ!現在ガリア両用艦隊は、南方より我が領内に進入。歩兵の進行速度に合わせて進行中です」
「数は?」
「兵力数は、2万を超えると思われます」
 重苦しい空気が議場を埋め尽くす。先程確認されたトリステインの動員出来る兵力は、2千のみだ。
「ほ、報告しますっ!」
 そこへヒポグリフ隊の隊員数名が駆け入ってきた。
「ゲルマニアへ向かったガリア艦隊は、全長が500メイルを超える超大型艦14隻による艦隊です!」
「な……」
 一瞬沈黙した会議の席上は、すぐさま沸騰する。
「全長500メイル以上だと!?そんな巨艦があるものか!」
「いえ、確かに、この目で……!あれは500メイルどころか、下手をすれば800メイルはあるかと!」
「馬鹿な!」
「あり得ぬ!諸君等でたらめを述べているのでは……」
「お待ちなさい!」
 紛糾した会議の席上はアンリエッタの発した声で静まりかえる。
「……800メイルはある巨艦と申しましたね?」
「は、は!確かに!」
「それは、黒い船体で船尾が緑色をしていましたか?」
「いかにも!なぜご存じで!?」
「……言ったとおりだわ……」
 二日前に会見を行った銀髪の少年を思い浮かべる。
「殿下、ガリアの巨大艦隊をご存じなのですか?」
 大臣の一人が驚きの声を上げる。
「ルイズの使い魔の、クォヴレー・ゴードンが言っていました。ここハルケギニアに、本来あるべきではない戦力が潜んでいる、と。
 それは、あのアルビオンで王党派とレコン・キスタを壊滅させたゴーレムを操る者の手駒だそうです」
 娘の名前が出たことで、ヴァリエール公爵は一層目尻をきつくつり上げた。
「あのゴーレムの!?」
 皆噂は聞いている。その圧倒的なまでの力も。
「ヴァリエール公、すぐに彼にこのことを知らせて下さい。きっと力となってくれるはずです」
 おお!と議場が盛り上がる。同じように巨大なゴーレムを有している者が味方にいるのならばと、公爵へと議場の大半が期待の視線を向ける。
 だが、眉間にしわを寄せて唸るように公爵は口から声を発する。
「……彼には、昨日の時点で娘の使い魔を止めてもらいました……今現在その行方は知れません」
 一瞬その場の全ての者が息を飲み、ヴァリエール公爵へ批難を集中させた。
 半ば誹謗中傷とも取れる発言を一身に受けながら、それでも一切反論はせず、公爵は鶏の骨へと睨むでもなく、ただ、視線を向けた。
 顔面蒼白となったマザリーニは、議場のテーブルを見つめたままわなわなと唇を震わせていた。
 クォヴレーのディス・アストラナガンについて、公にやんわりと政治的圧力をかけたのは間違いなく宰相である彼だった。だが、それは何も戦力の放逐を企図したところではない。
 彼はその戦力を、王家の物にしようと考えただけである。『使い魔』であるクォヴレーを『献上』させるのでも良い。その主であるルイズを王宮へ任官させるようにし向けるのでも良い。
 ともかく、クォヴレーを自身の影響下へ置きたかったマザリーニなのだが、ここで思惑が交錯する。
 公爵にも、ある程度その思惑は判っていた。だが、実際のディス・アストラナガンの戦闘を目の当たりにした公は、王宮への過度の戦力供給は戦乱の時代を呼び込む物と考え、
さらに実際にクォヴレーの人となりを知ると、その力を野放しにしても自身達へ危害は加えまいと判断して第三の手段を取ったのである。
 その判断自体は、本来ならばいつでもルイズの元を去ることが出来た彼が大人しくしていたことからも過ちではなかったと思えるが、よもやこんな事態が急転直下で発生するとは考えていなかったのだ。
{こんなはずではなかった}
 二人の、正直な気持ちである。



「……我々の退路には、絶望しか有りません。このままガリア軍と対しそのまま突き進むことで、はじめて希望が生まれます!
 ゲルマニアへ派遣された艦隊がトリステインへ充てられるよりも先に、敵艦隊を殲滅しガリアへ突入します!」



 大艦隊の派遣に、トリステインとゲルマニアが右往左往している頃。
 メギロートの大群が、ロマリアを襲撃していた。

「げ、猊下をお守りしろ!」
 魔法は通用するらしいモノの、それだけでは太刀打ちの出来ない巨体、量、そしてサークルレーザーの破壊力に、じわりじわりと戦線は押されていく。
「ダメです、支えきれません!このままでは……!」
「く……」
 一人、エイジス32世は臍をかんだ。
 返す返すも、ガリアの手のモノに『香炉』を奪われたことが悔やまれる。
(こう言うときにこそ、新たなる『虚無』の力が必要なのであろうに……!)
「猊下、お逃げください!我々で血路を開きます故……!」
 退避を促す騎士の言葉に被さるようにして轟音が響き、彼らの居る部屋に巨大な虫の頭が覗いていた。
「く、もうこんな所にまで!」



「……何故だ?何故奴が現れない?残る手の内は、奴自身のジュデッカだけだというのに」
 14隻のフーレを始めとした、ネビーイームの主力部隊。
 それらを壊滅させ、戦闘の余波から荒野となったゲルマニアの地で、クォヴレーは困惑の声を出す。
「この艦隊ってのは、ユーゼスの主戦力なんだよな?」
 リペアキットでR-1を応急修理しつつリュウセイが呟く。
「にも関わらずその主戦力をここで使い潰したって事は……」
「こちらは囮。本命は、ガリア艦隊」
 サイバスター内部で推測が立てられる。
「……踊らされていたのか、俺は?」
「言ってる場合じゃねぇ。すぐにトリステインに戻るぜ!」
 愕然とするクォヴレーに、マサキが叱咤した。
 だがその行動は、既にして遅れていた。


絶望の宴は今から始まる

 彼は、ガリアの竜騎士だった。
 そこを統べる王が無能と呼ばれても、そこにいる自分は誇り高い騎士なのだと、そういう自負があった。
 王が傀儡と化しているらしい、という噂を聞いたとき、意に染まぬ汚れ役をさせられるかも知れないという予感はあった。それでも、騎士である自分の本分は果たすつもりだった。
 しかし、予感通り一方的な侵攻にも似た戦争が始まったとき、彼に課せられた任務は敵方の村を虐殺することでも、歩兵を撃退することでもなく、
ましてや一対一の空中戦であるはずはなく、北花壇騎士だという数名の人員を送る、というものだった。
(俺は……俺は荷物運びではない!)
 何故に自分が、他人の足代わりに、それも日陰者の北花壇騎士の連中を!
 “そろいも揃って同じ仮面をつけた”連中を送らねばならないのか!
 自分達は、馬代わりか!?
「目標空域ラ・ヴァリエール家領上空に到達」
 そんな客の一人……どうもこの5人の客の中でリーダー格らしい男――いや、少年かも知れない――が声を上げると、左右に着いている僚騎に分散して乗っている仲間へ杖の先を照らし合図を送る。
「回収の必要は無し。以後、竜騎士隊はトリステイン攻略に当たられたし」
「!……了解」
 言われるまでもない。こいつらを乗せるのなど二度とゴメンだ。どいつもこいつも似たような声をして、気味が悪くて仕方ない。
 ひょっとして、その頭全体を覆う兜の下も、皆同じ顔なのではないか?
 大地へ落ちていく五つの姿を見送った後、彼は僚騎と共に西南西へと進路をとった。



「ルイズ」
「何よ……」
「このままここにいては危険だ。理由は不明だが、奴はルイズを狙っている。再度の襲撃が無いとも……」
「使い魔を辞めて、居なくなったのはアンタでしょう!?アンタ何様のつもりなのよ!」
 涙混じりのルイズの言葉に、クォヴレーは口をつぐむ。

「平気でいなくなって、一番にて欲しい時に居てくれなくて!無事で良かった?ええ、アンタはそれでいいでしょうね!ユーゼスって奴が狙っていた私が、連れ去られずに済んだんだから!
 アンタにとって良かったのは私の無事じゃないわ!ユーゼスの目的を邪魔出来た事よ!でも母様や姉様達を殺された私はどうなるの!?
 ……ようやくわかったわ。アンタは始めから私の事なんて見てなかったのよ!元々自分の敵を倒すためにハルケギニアにやってきて、私と居るのはついでに過ぎなかった!」
 次々と責める言葉を吐きながら、ルイズはこの一月の間クォヴレーの言葉を思い起こす。
『聞かれなかったからな』
 この一言でクォヴレーはディス・アストラナガンの事を自発的に話そうとはしなかった。
『判った。ルイズが不安になるのなら、今後誰かから物を貰うのは控えるとしよう』
 貰わないのは自分に命令されたから。自分の気持ちを察そうとはしてくれなかった。
『ルイズは俺の主人だからな。俺は応えられる範囲でその命令に従うだけだ』
 ただ単に、命令を実行するだけの応対。
「そんなことは……」
「あるわよ!いっつもはいはい人の言うこと聞くばっかりで、アンタから私に何かしてくれたことが一度でもあった!?
 ミスタ・ゼノサキスを助けるためにアンリエッタ様に掛けあって、リュウセイのために厨房に口添えをして!あんな風に自発的に私にアンタが何かしてくれたことが一度でもあった!?馬鹿にしないで!
 アンタにとって、私があの二人よりも優先順位で劣ってることぐらいとっくに気づいてたわ!」
 二日前の夜。自らの与えた自由時間を削ってまでリュウセイの頼みに応じ、誘いに残りの時間も宛てた。ウェールズを連れてきた夜ですら、それでも自分の時間を主張したこの男がだ。
 悔しかった。
 だから自分にも何か買ってくるように命じたら、その通りに見たこともない『あいす』というとてもおいしいお菓子を買ってきた。でもそれも、所詮は自分の命じたことに過ぎなかった。主人の命に使い魔が従っただけなのだ。
「父様に言われただけで、私の気持ちなんか無視してあっさり居なくなって!そんなアンタが、今度は自分の敵に狙われて居るようだからここを離れろ?巫山戯ないで!私はアンタの戦いのための道具じゃない!」
「巫山戯てるのはお前の方だろうが!」
「あぅっ!?」
 いつの間にか近づいてきていたマサキの平手打ちがルイズを撃った。
「マサキ!何を!?」
「道具じゃない?使い魔を、道具みたいに扱ってるお前が言う台詞か!お前がクォヴレーを利用することしか考えてないなら、クォヴレーだってそれなりの対応しかしないのは当たり前だろうが!」
 シロが、クロが、シルフィードがマサキをじっと見つめる。
「お、お父様にも撲たれたこと無いのに……!」
「殴られるような事をしたのはどこのどいつだ!
 まともな寝床も与えないで、厨房で賄いを貰わなければパン二きれに薄いスープ一皿だけを、床の上で食べさせる?聞いてぞっとしたぜ。この世界でも使い魔は奴隷じゃねぇ!シャルロット達を見てたらそれが判った!なのにお前は何だ!?」
「使い魔で!は、配下の平民をどう扱おうと勝手でしょう!?クォヴレーは何も言わなかったわ!」
「こいつっ……!」
「!」
 再び腕を振り上げるマサキとぎゅっと目を瞑るルイズ。
「マサキ、止めろ」
 その振り上げた腕をクォヴレーの手が掴んでいた。
「クォヴレー!お前がそんなんだから、こいつも!」
「確かに、俺の接し方にも問題があった。だから、止めてくれ」
「……!ちっ……」
 まだ何か言いたげながら、マサキは素直に腕を下ろした。
「何よ、何よ、アンタ達なんか……!」
「ルイズ」
 しゃがみ込み、ルイズと同じ視線にまで降りてからクォヴレーは呼んだ。
「何様だ、と先程聞いたな。だから、俺は今度こそクォヴレー・ゴードンとしてお前に向き合う。その問いに答える」
 未だに涙を浮かべた目のまま、睨み付けてくるルイズに、ゆっくりと語りかける。
「俺の名はクォヴレー・ゴードン。時を越え、数多の世界を彷徨うタイムダイバーだ」
 時を越える、ああ、確か言っていなかったか?自身は見た目通りの年齢ではないと。

 数多の世界を彷徨う、ああ、言っていなかったか?ディス・アストラナガンは世界を越える乗り物だと。
 口にするその度に、この男は『ルイズには関係のない事だったな』と笑い、自分が信じずとも大して気にもかけていなかった。
 だが、それらは全て、自分に提示されていた事象だった。そして自分は、それを戯言だと決めつけ、一蹴し、検討すらしなかった。
「今この世界を、悪意が席巻しようとしている。そしてルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、その悪意がお前を狙っている。理由は不明だが、奴の企みを阻止するためにも身柄の安全を図りたい。
 ……先程言っていたとおり、これはそちらを利用するも同然の行為だ。だがどうか、協力して欲しい」
 頭を下げる彼が口にしていた、それらのこと全てが事実だとするのならば、信じなかった自分は、何なのだ……?
 『ゼロ』と呼ばれていた自分を信じてくれた彼は?
(『ゼロ』……?)
 自身の二つ名を思い出すと共に、一月前の出来事がルイズに思い出された。
『そのままの意味だ。お前の二つ名を聞いて、俺は強そうだと思った。俺が見てきた「ゼロ」と呼ばれるモノは皆強かったからな』
 その言葉の前、クォヴレーは、自分を励ましてくれていなかったか?
『その……普段、お前は「ゼロのルイズ」とバカにされているだろう……ここで授業まで休んでしまうのは、あまり良いことではないと思う』
 アルビオンへ飛んだ夜。何故自分の言いつけを無視してまでこの男は悪魔王を呼び出した?
 自分の、為ではないか。『ゼロ』と呼ばれていた自分の!
 すっかり失念していた。だが、クォヴレーは、ちゃんと、自分のためを思っていてくれたのだ。なのに自分は……。
「……ルイズ?」
 黙りこくってしまった旧主に、とまどいの声を投げかけるクォヴレー。
「……協力に、応じるわ」
 涙を袖でぬぐいながらルイズは応じた。
「ありがとう」
「……あくまでも、協力よ。だからその代わり……」
 ようやく、正面から目を合わせる。
「お願い。母様達の敵を討って……」
「わかった。必ずだ」



「フフフ……遅かったな?あの男の後継者」
「ユーゼス・ゴッツォ……」
「ユーゼス……あんたが、母様を、姉様達を!」
 沈んでいたルイズの眼に、憎悪の炎が灯る。

「よくも今まで邪魔をしてくれたものだ」
「黒いジュデッカ……やはりアルビオンで王党派とレコン・キスタを壊滅させたのは……」
「いかにも、この私だ」
「何故そうする必要があった!?」
「レコン・キスタの背後には、ガリア王があった。あのままレコン・キスタが敗北し、首謀者のオリヴァー・クロムウェルからその事が明るみに出れば、他国からの要らぬ詮索を受けることになったやも知れん。大事の前故、それは避けたかった」
「そのガリア王を傀儡にしてるのはお前だろう!シャルロットから話は聞いてるぜ!」
「傀儡、か。その言葉自体は正しいが、お前達が真意を掴んでいるとは思えんな」
「どういうこった!?」
「今ガリア王の座に座っている男は、ジョゼフではない。私が作り上げたギメル・バルシェムを整形している偽物だ」
「偽物!?」
「……キャリコか。判らんな。そうまでして実権を握り、何故わざわざレコン・キスタの蜂起など行った」
「別に私としては、何ら意図があった訳ではない。レコン・キスタの反乱、その背後にいるガリア王。これらは全て、ハルケギニアが本来辿るはずだった歴史の筋道に沿っているにすぎん。
 私は元より、こんな大陸一つにも満たない部分の覇権などどうでもいいのだ。だが、ある程度は『本来の歴史』に沿って因果律を調整していかねば、私にとって不測の事態が起きかねない。
 異物を取り込んだ世界では、私が知っているこの世界本来の歴史とは大きく外れる可能性があったからな」
 ユーゼスのクロスゲート・パラダイム・システムが不完全であるのは、これから先の事象が判らないことも大きな原因の一つである。そのためにユーゼスが知っているハルケギニア本来の歴史から大きく逸脱する状況は避けねばならなかった。
 そうなってしまえば、今後起きる物事を予測するのが非常に困難となってしまうからだ。今後起きることが判らなくなれば、因果律の操作もおぼつかなくなる。それを補うためにも未来予知が可能なラプラスデモンタイプ・コンピュータを欲していたのだが。
「だが、その本来通りの歴史の流れを阻害したのが、貴様だ。クォヴレー・ゴードン」
 ジュデッカの腕のうち一本がディス・アストラナガンを指さす。
「ニューカッスルでワルド子爵により殺害されるはずだったウェールズ・テューダー、レコン・キスタによって壊滅するはずだった王党派。これらが生き延びたことで因果の流れは大きく乱れ、私自らが動かねばならなかった」
「ワルド様が!?」
「よもや因果律の番人である貴様が、自ら因果律を乱すとはな」
「例えハルケギニアでは、それが正常な歴史の流れなのだとしても、霊達の循環を堰き止めるかのような行為は見逃す訳にはいかない。明らかにそちらの方が異常な状態なのだからな」
「成る程……この程度では動じんか。確かにそれが貴様の立場としては選ぶ道だろう」
 低く、くぐもった笑いを漏らすが、すぐに笑いは止んだ。
「……全くもって鬱陶しい。
 私としては、リュウセイ・ダテの身柄とサイバスターのラプラス・デモンタイプ・コンピュータさえあればそれで良かった。本来通りの歴史の中で、私がこの二つをかすめ取れば済む話だ。
 だからこそ、この時代の変革に置いて中心となるルイズ・フランソワーズの身辺にはあえて何ら因果律の修正を加えず、本来通り平賀才人が呼ばれるままにし、影響を最小限に抑えようとしていた」
「ヒラガ・サイト……?」
 ちくちくと、ルイズの頭の裡を刺激する音だ。
「……だが、呼び出されたのは因果律から外れているが故に全く行動の読めない、操作出来ない貴様だった」
「そうか、ではタバサが俺を監視していたのも」
「そう、それも私だ。
 貴様の動向は全く読めない。故に、少しでも情報が欲しかった。まぁ、先のアルビオンの件など、報告が圧倒的に遅れたこともあった故、効果は薄かったがな」
「自業自得だ、ユーゼス。例えここが次元の狭間に作られた箱庭の世界だろうと、ここが世界である以上、世界は修正力を求める。貴様に好きにさせまいとこの世界が俺を呼び込んだ」
「ククク……本気で、そう思っているのか?」
 再び笑いが響く。
「何だと?」
「私は、私が呼び出された因果律の糸をたどった事がある。その因果の根は、二カ所から発していた。
 一つは、ルイズ・フランソワーズが使い魔召還を行った瞬間。そしてもう一つは、貴様がディス・レヴを回した瞬間だ。……最も、こちらについてはつい先日判ったことなのだがな」
「何……?どういう、意味だ……」

「言ったはずだ。誰よりも貴様こそが、この世界の因果律を乱したのだと。
 貴様が呼び出された時点で、レコン・キスタはディス・レヴの輪廻調整機能により破綻することが決定づけられた。
 しかしそれでは、本来の世界の運行に大きな支障を来す。本来ならば、ガンダールヴのルーンを持つ者を中心として、ハルケギニア全土を覆う戦火へと発展するはずだったのだ。故に世界は貴様のカウンターとなる存在を必要とした。
 だがそのような存在は多くはない。仮にシュウ・シラカワが呼ばれたとしても、この世界に置いて戦乱を呼び込む火種にはならなるまい。
 ギリアム・イェーガーでは尚のこと、この世界にとけ込もうとすれど貴様と積極的に関わろうとはしないだろう。
 イングラム・プリスケンや、ヴィレッタ・プリスケン、または奴らを受け継ぐタイムダイバー達は論外だ。お前に協力するだろうからな。
 ……そして、目を付けられたのが、半ば因果地平の向こうに打ち棄てられていた私だ。
 私は、全くもって無意識的に、ただ自身のためにこの世界を箱庭の裡とした。だが結果、世界に与える影響は微々たるモノに抑えられる事となった。本来の時間軸に与える影響など無きに等しい」
「バカな……それでは……」
「そうだ。私が呼ばれたために貴様もこの世界へ来た?違うな。全ての元凶は貴様だ。嘘だと思うのなら私の因果曲線を辿ってみるが良い。自身の起こした行動へと帰結していることが判るだろうよ」
「……!まさか……俺は、俺のイングラムの因子が……!」
 苦虫を噛み潰したような表情でクォヴレーは呻く。
「……が、私自身がその事に気づくまでにかなりの時間がかかってしまった。わざわざ呼び出した、リュウセイ・ダテ、マサキ・アンドーを捕らえられないどころか、それが敵対することになるとは」
「残念だったな、アンタの思い通りにならなくってよ!」
 へん、とリュウセイが笑い飛ばす。
「全くだ。おかげで保険としていた計画の方を主軸に事を進めねばならなくなった」
「保険だと?」
「そう。サイコドライバーの代わりとなる、『虚無』の力を得るための計画をな」
「『虚無』?なんだそりゃあ?」
 初めて聞いた単語にマサキが首をかしげ、シャルロットが解説を入れる。
「始祖ブリミルの使ったとされる伝説の系統。今では全くその正体は掴めていない」
「伝説などではない。その力は現存する。ここに我々が居ること自体が、その証明でもある」
「俺たちがここにいること?」
「いかにも。古の書に寄れば、虚無の系統は世界全ての物質を構成するとても小さな粒に影響を与える、とある。
 では、その小さな粒とは何か?分子か?原子か?陽子、或いは電子か?
 いずれも違う。答えは、因子だ」
「つまり……どういうこった?」
「……限定的にだが、世界を操れると言うのか?」
「虚無の力の特長は、因果律を操り、次元を越える力を持つこと。そう、時として我々のように、世界を越えて人や物を呼び込むことが出来る」
「待て、それはつまり」
「そう。
 マサキ・アンドーを呼び込んだロマリア教皇エイジス32世、リュウセイ・ダテを呼び込んだティファニア・モード、この私を呼び込んだガリア王ジョゼフ、そしてクォヴレー・ゴードンを呼び込んだルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!
 この者達は皆、虚無の系統の使い手だ」
「虚無の力を得ようとしていると言ったな。では、先程ルイズを狙ったのも」
「因果律に影響を受けない貴様の動向を決めるのは一苦労だった……が、ラ・ヴァリエール公爵の行動ならば今の私でも十分に操れる。
 実際に戦闘を行い、貴様の力の一部を直に見せることで危機感を煽り、末娘の使い魔に使い魔を辞めるよう迫る……とな」
 昨日の昼、自身に有った襲撃。その意図は、ここにあったか。他の二人への攻撃は、その真意をくらますためのモノ……。
「そしてゲルマニアへ向かうフーレ艦隊、必ずや貴様は察知してくれると信じていたぞ?」
「……俺はまんまとそれに乗り、ルイズの守りを手薄にしてしまったという訳か」
 悔しげに呟くクォヴレーに楽しそうにユーゼスは嗤う。
「フフフ……自分と戦った気分はどうだ?」

「……バルシェムをメイジ化させたというのは判る。だが、先程のあの光は何だ?あれ程強力な系統魔法、この一月の間に見たことも聞いたこともない」
「貴様はまるでメイジの重要性に気づいていないようだな。この世界には、二人のメイジが協力してより強力な魔法を起こすことが出来るシステムが存在している。
 使い手の息の合い方など制約は多いが、もし、数十名単位で完全同調出来るメイジが居るのならば、どうなる?」
「……そのための、バルシェムのメイジ化か」
 クローンであり、個体差の少ない量産型メイジ。僅かな訓練でもタイミングを合わせるのは容易いだろう。
「3日前にようやく同調のめどがたったばかりだったがな。海面を凍結させるほどの瞬間的な大寒波を引き起こした」
「3日前……?そうか、一昨日やけに肌寒かったのは」
「バルシェム達の作り上げた流氷によってハルケギニア近辺の熱が軒並み奪われたのだ……もっとも、そのバルシェム達もルイズ・フランソワーズの身柄の確保には失敗したがな」
「待て!俺たちを呼んだのが虚無の系統の使い手って事は……お前まさかティファも!?」
「フフフ……今更何を言っている?貴様等があの村から離れた5分後には、すでにあの娘は私の手の内だ」
「く……くそぉっ!やっぱりあの時契約してりゃ……!ユーゼス!ティファは生きてるんだろうな!?」
「無論だ。先程言ったとおり、あの娘の力はサイコドライバーの代用品として私の求めている物。簡単に死んでしまっては困る……だが、あれを果たして生きていると呼べるのかどうかは、それぞれの感性次第というところかな?フハハハハハハハ……」
「てめえ!ティファに何をした!?」
「フフフ……教えて欲しいかね」
「聞くな、リュウセイ」
 スッとディス・アストラナガンが手で制する。
「けどよ!あいつ、絶対……!」
「お前の怒りを煽っているだけだ。怒りを忘れろとは言わん。だが冷静になれ。それでは助けられるものも助けられなくなる」
「出来るかぁ!そんな器用なこと!」
 R-1が右手に念動フィールドを集束させながらジュデッカに殴りかかる。
「リュウセイ!冷静になれと言っている!クッ、マサキ援護に入るぞ!」
「おう、いけ!ハイ・ファミリア!」
「ガン・スレイヴ、俺の敵を破砕しろ!」
 更にR-1を追い抜く形で計八機の機動砲台が黒い十字架に迫り
「フフフ……第一の地獄、カイーナ」
「があああああああ!?」
 凄まじい瞬発力で砲台の包囲をくぐり抜け、格闘戦を挑んできたR-1の腹部に逆にカウンターで拳を撃ち込んできた。
 落下の途中、かろうじて体勢を立て直すR-1。
「お、俺が、踏み込みのスピードで負けた……!」
「何だあのスピードは!?」
「ま、全く見えにゃかったぜ!」
「フフフ……虚無の力、因果すら律すると言ったぞ?今のは『加速』。文字通りだ」
「く、この世界の魔法、ここまでの力があるというのか?」
 正直、見くびりすぎていた。
「私も保険と思っていたが、目的のために最適化されている分、戦闘時に置いては存外、こちらの方が本命であったぞ?そして、こういうことも出来る」
 ジュデッカの姿がぶれ始め、クォヴレー達の目の前で何体もの何体ものジュデッカが現れた。
 それぞれは薄く、まるきり投射映像のような姿だが、数が多すぎる。本物が紛れ込んでいるが、常に動き回っているために見た目では見つけきれない。
「『幻影』。見ての通りだ」
「なんだそんなもん!ミノフスキー粒子もねぇんだ!レーダーつかやぁ……!なに!?」
「風の遍在とも違う。因果律を操作しての確率分散による幻影、そう簡単に見分けられるものではないぞ……?」
「ふっざけんな!サイフラァァァァッシュ!」
 サイバスターを中心とし、光が広がって幻影を吹き飛ばす。
「ハハハハ!それが正解だ!やはりサイバスターを相手にこれは使えんか」
「人をおちょくりやがって!」
「では、本気でかかるとしようか」
 再び『加速』で一際三機から離れたところへ移動し、ジュデッカの四本の腕が動き始める。
「時空の彼方へ消え去れ!最終地獄、ジュデッカ!」

「上昇しろ!急げ!」
 クォヴレーの呼びかけに、サイバスターとR-1が変形して急上昇する。
 それと入れ違いになるように、ジュデッカより放たれた光弾が地表に激突。トリステインの大地をクレーターに変えていた。
「あ、ああ……!?」
「なんてぇ力だよ、ばけもんめ!」
「くそ……このままじゃ被害が広がるばっかりだ!」
 戦慄する他の面々だが、
(どういうつもりだ……ここにきて、何故時間稼ぎをする)
 一人、思考を始めるクォヴレー。今の攻撃、全く当てる気がなかった。
 ……仕掛けてみるか。
「ゲマトリア修正」
 ディス・アストラナガンの両肩に銃身が展開する。
「!」
「メス・アッシャー、マキシマム・シュート!」
「クォヴレー!?どこ撃ってんだお前は!?」
 全くの見当違いに向かって放たれたアキシオンの破壊の流れは、その射線に自ら割り込んだジュデッカによって、遮られた。
「う、ぐ!」
「何だあいつ!?」
「自分からダメージを受けに行った?」
 しめた、フィールドを展開したが、ジュデッカの体半分は吹き飛んでいる。自己修復を開始しているようだが……!
「テトラクテュス・グラマトン!
 ディス・レヴ、オーバードライブ!」
 ディス・アストラナガンの胸部が開かれ、闇色の光が集束する。
「この、光……」
 かつて見た夢。うっすらとルイズは思い出す。そして再び、聞こえ始める声。
『……よ、……ス・グラ……』
 髪の毛の蒼く染まったクォヴレーが指示を出す。
「マサキ、リュウセイ、俺が奴の動きを止める。そこに一撃を打ち込め!」
「お、おう!念動集中……!」
「判った!サイバスタァァァァァァ!」
「回れ、インフィニティ・シリンダー!
 ユーゼス・ゴッツォ、時の流れを垣間見ろ!
 この無限光の中で!」
 打ち出された光が展開し、魔法陣がジュデッカを捉える。
「ぐぅおおおお!?クロスゲート・パラダイム・システムで……!」
 周囲を飛び回る十個の中性子星。それがユーゼス側からの因果律による反撃を受けて、止まりそうになる。
「今だ二人とも!奴は今俺の攻撃を防ぐので手一杯だ!」
「いっけぇぇぇぇぇ!」
「フィールド集束ぅ……!」
 サイバスターがアカシック・バスターの魔法陣を展開し、念動フィールドを再度右腕に集束させたR-1が変形したサイバードに跨る。
「アァァァァカシック!」
「ブレイカァァァァァ!」
 アカシック・レコードに直接干渉する攻撃を、サイコドライバーの素養を持つ男が一緒になって行った。
 爆光のなか、ジュデッカが崩壊していく。
「……フハハハハハハハ、見事だ。だがこれで私の計画が潰えた訳ではない。フハハハハハハハ!」
「何!?」
「負け惜しみを!」
「いや……おそらくは事実だ!」
 苦々しげな表情で、爆発を繰り返すジュデッカから地平線の向こうにあるガリアへと、クォヴレーは視線を移す。
 3機の通信ウィンドウには、過度のダメージで本性を現したジュデッカコクピット内のスキルニルが映し出されていた。


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