あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

アーカードはそこにいる-2

「…ふむ、珍しいルーンですね。」
先程までどことなく物憂げだったコルベールの表情が、死体に刻まれたルーンを見た途端、研究者のそれになった。
ノートを取り出してスケッチを始める。

儀式を行う前は……それでも、少しは期待していた。
自分を馬鹿にし続けてきた連中を見返せるような、神聖で美しく、強力な使い魔を召喚する。
そんな都合のいい期待をしていた。

確かに召喚は成功した。
生まれて初めて魔法が成功したのだ。嬉しくない筈がない。
だが、その結果がよりにもよって死体である。
御丁寧なことに棺付だ。

(フッ、葬式でもしてたのかしら。最悪ね。)

折角呼び出したというのに、死体では何も出来まい。
結局の所、自分はやっぱり『ゼロ』のままなのだ。
自然と自嘲気味の笑みが零れる。

不意に、掌に痛みを感じた。
どうやら、随分と強い力で握り締めていたようだ。血が滴っている。

「今日はここまで。皆さん、自分の部屋に戻ってください。」
ルーンを写し終わったコルベールの声が解散の合図になった。

「じゃあなゼロ!せいぜい頑張って歩いて来いよ!」
「しかし、死体だけならともかく、あの馬鹿でかい棺は流石にきついんじゃないか?レビテーションも使えないゼロのルイズには!」
「そりゃそうだ!ハハハハハハハハ!!」

一人、また一人と空を飛んで帰っていく生徒達。
そのうちの幾人かが残した捨て台詞に、ルイズは強い視線を向けながらも、言い返すことは出来なかった。

広場で一人立ち尽くしていたルイズは、やがて大きな溜息を一つ吐くと、死体の傍にあった棺に腰を掛けた。

(……どうやって運ぼうかしら、コレ。)

悔しいことだが、確かにレビテーションを使えない自分には、この棺を自分の部屋まで運ぶのは辛い。

(それに死体だって―――っ!?)

先程まで死体があった場所に目をやったルイズは、信じ難い、余りにも信じ難い光景を目にした。

『それ』は動いていた。
『それ』は這い蹲っていた。
『それ』は長い舌を出して。


『それ』は広場に滴り落ちていたルイズの血を舐めていた。

唐突過ぎる展開に、ルイズの思考はついていけなかった。
身動き一つ取ることが出来ずに固まってしまったルイズが、辛うじて感じることが出来たのは、圧倒的な、馬鹿馬鹿しいまでのサイズの『恐怖』だけだった。

やがて血をあらかた舐め終わった『それ』は、体を起こし、ゆっくりとルイズに向かって歩いてきた。
干からびていた筈の体は、今や普通の人と変わりなく―――否、普通の人には持ち得ない気品と妖しさを纏っている。
息をすることすら忘れていたルイズの前に辿り着いた『それ』は、躊躇う事無く跪き、頭を垂れた。

「御怪我は御座いませんか」

地獄の底から響いてくるような低く重い声。
『それ』は頭を上げて言葉を続ける

「御命令を。我が主人」

そう言った『それ』の顔には、笑顔が。
気品と、妖しさと、限りなく深い闇がこびりついているような笑顔を浮かんでいた。


――――ルイズは既に気を失っていた。もう何か色々出しながら。

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