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雪風とボクとの∞-01


 トリステイン魔法学院では2年生進級の際にある儀式を行う。サモン・サーバントと呼ばれる使い魔召還の儀式だ。
 メイジにとって今後一生のパートナーとして召還されるだけあり、生徒達は全員気合が入っている。「メイジは使い魔で決まる」と言われるトリステインではプライドの高い貴族子弟が意義込むのも当然だ。
 そして儀式当日。生徒達が心配していた天候は見事雲1つ無い空という絶好の儀式日和だ。
「まずはミス・タバサ、あなたです」
「……宇宙の果てのどこかにいる私のしもべよ……神聖で美しくそして強力な使い魔よ……私は心より求め訴える……」
 タバサが召喚呪文を詠唱すると、風が吹き荒れ土煙を巻き上げていく。
「……我が呼びかけに応えて……」
 土煙が治まり召喚された使い魔の姿が現れる。
「ミス・タバサ、成功しましたか」
「………」
 煙の先にいたのは眼鏡をかけた少年で、青い上着と灰色のズボンを纏っていた。
「平民だ!」
「雪風のタバサが平民を召喚したぞ!」
 タバサが召喚した使い魔の姿を見て騒ぎ出す生徒達だったが、コルベールに遮られて場が静寂を取り戻す。
 少年はまだ事態を把握しきれていないようで周囲を眺め回していたが、自分を召喚したタバサの姿を見ると興奮したように接近していった。
「め……」
「……め……何……」
「めがねっ娘で魔女っ娘おーっ!!」
「………!」
 少年のあまりの迫力にタバサは涙目になりつつ駆け出していった。

「とにかくあの使い魔はミス・タバサに任せましょう。ミス・ヴァリエール、次はあなたです」
「はい、必ずや私に相応しい使い魔を……!!」
 タバサに続いてサモン・サーバントに臨むのは、ルイズ・ヴァリエール。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール! 5つの力を司るペンタゴン! 我が運命に従いし使い魔を召喚せよ!!」
 爆発。
「悪の魔力よ! ここに集い闇の世界より我が使い魔を呼び出すのだ! アミアス・アミアス・アミディーヌ!!」
 爆発。
「ふんぐるい・むぐるうなふ・さあばんと・いせかい・うがふなぐる・ふたぐん! いあ!! いあ!!」
 また爆発。
「異なる力と技を背に我は召喚す! 我はルイズヴァリエール! 超常なりし法と理の使い手なり! この世にあらざるものよ! いざ――顕れよ!!」
 さらに爆発。
「ピピルマ・ピピルマ・プリリンパ! パパレホ・パパレホ・ドリミンパ! アダルトタッチで使い魔のご主人様になーれ!!」
 やっぱり爆発。
「宇宙の果てのどこかにいる私のしもべよ! 神聖で美しくそして強力な使い魔よ! 私は心より求め訴えるわ! 我が呼びかけに応えなさい!!」
 そして呪文詠唱と共に今までに無い大爆発が発生する。
 周囲にいた生徒達をなぎ倒すその爆風は、タバサにも容赦無く迫ってくる。
「タバサ、危ない!!」
 前方にいた生徒達が次々吹き飛ばされてマリコルヌが自分に向かって飛来する光景に、タバサは驚愕のあまり硬直してしまった。
「タバサ!!」
 近くにいたキュルケが咄嗟にタバサの襟首をつかんで引き寄せ、爆風の進路上から外す事に成功した。
 しかしその拍子にタバサがかけていた眼鏡が外れて、地面に落ちてしまったのだ。
「……あ……眼鏡が……」
 このままタバサの眼鏡がマリコルヌによって粉砕されてしまうのかと思われたその時!
「めがねが危なーい!!」
 タバサが召喚した少年が、眼鏡を回収しようとマリコルヌの前に躍り出たのだ!
「どえー!!」
 驚愕の叫びを上げるキュルケ。
 懸命に眼鏡に手を伸ばす少年。
「うおおおおおお」
 少年とマリコルヌが激突、転がっていく2人に逃げ遅れた生徒達が巻き込まれる。
 校舎の壁に激突して炎上した生徒達の中から眼鏡片手に生還した少年。
「な、何!? あいつ何なのよ!?」
 少年はタバサの顔に眼鏡を戻すと血まみれの顔に爽やかな笑みを浮かべる。
「大丈夫、めがねは無事だ」
「………」
 そんな少年の姿に、タバサはかすかに頬を赤らめたのだった。
「何で!?」
 ……キュルケの至極当然なツッコミはさておき、これがタバサとその使い魔・南雲三成の運命の出会いとなったのだ。
 そして契約の時が来た。
「……我が名はタバサ……5つの力を司るペンタゴン……この者に祝福を与え我の使い魔と為せ……」
 契約呪文の詠唱を終えたタバサが眼鏡を外して目を閉じ、そっとキスしようとしたその時……、
「めがねをはずすなあー!!」
「……ひっ……ひいいいいい……」
 三成の突然の雄叫びに思わずくずおれるタバサ。
「……はっ」
「……ミ……ミツナリ……」
 我に返ったタバサに三成は背中を向けたまま語り始める。
「……どうやらバレてしまったようだな……。実はボクは無類のめがねっ娘フェチなのだ!!」
(……眼鏡フェチ……)
 三成のその発言に、タバサの脳内には台上の眼鏡を熱心に描いている三成・恍惚の表情で眼鏡を舐め回している三成・今にも悶絶せんばかりにの様子で素肌の上に置いた眼鏡にハチミツを垂らしている三成……といった光景が浮かび上がった。
「ちがーう!! めがねフェチじゃなくて、めがねをかけてる女性が好きなの!」
 タバサの脳内の光景をかき消すかのように手を大きく動かして、三成はタバサの誤解を訂正した。
「特にタバサ、キミのめがね姿は最高だ」
「……そ……そんな……」
 思いがけない称賛に、タバサは思わず両手を顔に当ててかすかに頬を赤らめた。
「なのにキスの時にめがねをはずすなんて……。ボクは全てを裏切られたような気持ちだよ!」
「……そ……そんな……」
 落胆のあまり立ち木代わりに近くに立っていたマリコルヌの顔面を思い切り殴打した三成の様子に、タバサは慌てて彼を説得しようとする。
「……だって……眼鏡を外さないと……眼鏡と眼鏡がぶつかる……」
 両手の掌底を打ち合わせて至極もっともな事を言ったタバサだったが、三成の眼鏡に対する情熱は彼女の予想の遥か斜め上を行っていたのだった。
「そこがいいんだ!!」
「……そこがいいの……」
「チューよりむしろカチッ!!」
「……チューよりむしろカチッ……」

眼鏡と眼鏡が触れ合うは、眼鏡に選ばれし者だけが味わえる甘美な響き。
その音色は極上のワインを注いだグラスの音色にも匹敵すると人は言う……。
眼牙書房「男と女と酒と泪」(平賀才人著)より抜粋

「……ふ……深い……深すぎて届かない……ミツナリ……」
 タバサの眼にはうっすらと涙が浮かんでいた。それほどまでにタバサにとって三成の言葉は深かったのだ。
「タバサ……、俺達もう……終わりだな」
 去りゆく三成の言葉にタバサは落胆の色を隠せなかった。

 召喚の儀式から数時間後、魔法学院に程近い学生街のお洒落なカフェ。
「おんどりゃー!!」
 怒声と共に店内に突撃したルイズは三成にくってかかる。
「ナグモミツナリっ」
「そ、そういうお前はルイズ・ヴァリエール」
「あんたよくもタバサに……私の親友に酷い事しといて、よくものうのうと紅茶すすってられるわね!」
 ルイズは左手で三成の胸倉をつかみ、今にも握った右拳を叩き込まんばかりの表情だ。
「違うよ」
 ルイズのもの凄い剣幕にも三成は動じず、ルイズの顔を……いやその後方にある何かを真剣な表情で見つめていた。
「ただ紅茶を飲んでいたわけではないよ」
(え? まさか)
 ルイズが追った三成の視線の先にあったのは……、
「いらっしゃいませ~。こちらでお召し上がりですか?」
 ……と爽やかそのものの笑顔で接客する、眼鏡をかけた店員の女性だった。
「………」
 彼女の表情にご満悦な三成の胸倉を、ルイズはさらに激しくねじり上げる。
「この最低男が!」
「そうさボクは最低な男さ!」
 そして三成は胸倉をねじられたまま後方に向き直る。
「だからこんな使い魔の事は忘れて、幸せになれと伝えてくれ」
「あんた……」

「……あ……」
 丁度その時、三成を探して町を彷徨っていたタバサは、カフェの窓越しに三成と彼の胸倉をつかんでいるルイズの姿を発見した。
「……ルイズ……駄目……」
 と慌てて店内に入るタバサだったが……、
「……わふっ……」
 その途端タバサの眼鏡が純白に曇り、彼女の視界が閉ざされた。
「はうっ、はううー(はぁと)」
 心臓が締めつけられんばかりのタバサのリアクションに、三成は思わず胸をつかみ奇声を上げた。

寒暖の差により眼鏡が曇り、慌て恥らうその乙女の姿。
その可愛さたるや、昔仙人も見とれ雲から落ちたという伝説が残るほどである。
眼牙書房「世界のレンズ伝説」(平賀才人著)より抜粋

「……み……見えない……どこ……ミツナリどこ……」
「……ここだよ、タバサ!」
 手探りで自分を探すタバサの姿に胸を打たれた三成は、思わずタバサへの呼び声を上げていた。
「……ミツナリ……ミツナリ……」
 おぼつかない足取りながら、声がした方向にタバサは確実に前進していく。
「タバサっ!」
 しばらくの後、おっかなびっくり手探りで歩くタバサが伸ばした腕を三成が両手でしっかり握ったのだった。
「……捕まえた……私ミツナリを……捕まえた……」
 涙を流し三成を見上げるタバサ。
「タバサ……」
 安堵の溜め息を吐いたルイズの視線を受けつつ三成は……、
「よし! もう1回やろう!」
 ……力を込めてタバサの手を握りリプレイを宣言した。
「……え……」
 そして14行前に戻る。
「……ミツナリー……」
「タバサ~(はぁと)」
 手探りで三成の居場所を探すタバサと手拍子でタバサを誘導する三成の傍らでは……、
「あの~、お客様、店内での妙なプレイはちょっと……」
「何で私に言うのよ!」


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