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ゼロの騎士団-14

ゼロの騎士団 PART2 幻魔皇帝 クロムウェル 4 「出会いと水の精霊」

その場には何とも言えない空気が流れていた。
そして、その空気を壊したのは最後に現れた者であった。

「すまないが、君は誰だい?私と似ているのだが」

彼は取りあえず、自分と似た存在のゼータに驚きを感じたらしい。
ゼータは一瞬、団長のアレックスを思い出した。
何となく彼の知っているアレックスに雰囲気は似ていたが、来ている鎧などはゼータの知る物では無かった。
「私は、アルガス王国騎馬隊のゼータと申します。失礼ですがあなたは?」
「君が、もしかすると……私は武者荒烈駆主、イザベラの使い魔なんだ」
ゼータの自己紹介に、荒烈駆主は丁寧に応じる。
青を基調とした見事な鎧で、頭部には金色の見た事のない獣の何かの様なものをつけている。
背中には二本の槍らしきものが背負われており、一種の物々しさを感じさせた。
「あなたは、スダ・ドアカワールドまたはアークやマークスリーと言う言葉をご存じですか?」
(この間見た、真駆参に似ている)
出で立ちを見て、なんとなくそんな事を思う。
自分達の鎧とは作りが違うように感じられた。
しかし、それを聞いても、荒烈駆主は申し訳なさそうに、首を振る。
「分からない……私は記憶喪失らしい、気づいたらイザベラに召喚されていたんだ」
荒烈駆主は召喚された時から、記憶を持ち合わせていなかった。
覚えていたのは戦い方と、名前のみであった。
「申し訳ありません、貴方が私の知っている方に似ていたもので、その方は我々の団長なのですが名前まで同じなのです」
「へぇ、そいつは珍しいね」
アレックスも興味深そうに、ゼータの話を聞く。
先程までの殺伐とした、空気から穏やかな空気に流れつつあった。
「何をやってるんだいアレックス、さっさとそいつを切ってしまいなよ」
イザベラはゼータを指差し命令するが荒烈駆主はそれを実行するつもりはない。
「イザベラ、穏やかじゃないなぁ、何が起こったんだい?」
イザベラの不機嫌にはなれていたが物騒な単語に、アレックスが首をかしげる。
「実は……」
ゼータがイザベラに変わり先程の事情を説明する。
それを聞いて、荒烈駆主は何となく理解したらしく。
「ふーん、成程、それはイザベラが悪いよ、すまない、君達の機嫌を損ねるような事をしてしまって」
イザベラの代わりにアレックスが謝罪する。
「なんで、お前が謝るんだい!私は王女なんだよ」
「誰だって、そんな事言われれば気を悪くするさ」
イザベラの怒りに対して、アレックスが正論を返す。一国の重要人物に正論を言うのは時として、自身にとっても危険な事だが、荒烈駆主は意に介さない。
そんな三人の流れを断つかのようにタバサの小さな声が聞こえる。


「報告終了、失礼します」
タバサが報告を終え退出しようとする。
「ああ、ありがとう、ごめんね」
「別にいい……」
「ちょっと、王女は私だよ!勝手に話をするんじゃないよ!」
タバサにも謝るアレックスと、それに応じるタバサ。
本来、このやり取りは家臣達を戦々恐々とさせる物であるが、荒烈駆主が間に入る事でどこか抜ける物があった。
「今度、トリステイン魔法学院に来て下さい、私と同じ仲間がいますから」
「ありがとう、今度イザベラと一緒に行かせてもらうよ」
「なんで、私を連れていくんだよ!それに、誰も許可するとは言ってないよ!」
ゼータとアレックスは声を荒げるイザベラに気にせず、約束を取り付ける。
「ではアレックス殿、お元気で」
「ゼータも、タバサ、イザベラと仲良くやってくれ」
タバサにつられ立ち去るゼータと、それを見送るアレックス。
それを呆れながら、見送るイザベラ。
「はぁ、全くもう、どうでもいいわよ」
(こいつはいつもこうだ………)
二人が退場した後、そこにはもうどうでも良くなったイザベラが居た。

その日、イザベラは召喚成功に人生最大の喜びを感じていた。
「できた!私にもサモン・サーヴァントが出来た」
その声は彼女に久しく忘れていた、物事をなしえた者が出せる喜びの声であった。
(やった、私にも使い魔が召喚出来たんだ、これで馬鹿にする人間もいなくなるだろう)
彼女はそう思い、早速自分の鏡を見つける。しかし……
「なんだい、これは!」
彼女の喜びはその声と共に、終わりを告げる。
「なんで、ゴーレムなのよ!」
それは一般的にゴーレムと呼べるものの縮小したサイズであった。
(なんでなんだい、それは私がゴーレム並の能力とでも言いたいのかい)
彼女にとって付き付けられて現実は、あまりにも過酷であった。使い魔召喚において、使い魔は自身の鏡と言われている。
それは、彼女がゴーレムと言われてもおかしくない事であった。
「ふざけんじゃないよ、こんな事じゃまたあいつ等に笑われちまう……」
(せっかく、強くてカッコイイ使い魔を呼んで見下しているあいつ等に、私の恐ろしさを見せつけてやろうと思ったのに………)
仕えていながら、内心では自身を見下している家臣やメイド達が更に馬鹿にするだろう。そう思うと、目の前で倒れているゴーレムが恨めしく思い、行動に移る。
「いつまで寝ているんだい!ポンコツ!」
荒い言葉と共に、先のとがった部分で倒れている何者かに蹴りを入れる。
しかし、その思いに対しての返事は痛みであった。
「痛っ!な、なんて固いんだい!」
見れば分かるが、材質的に見て硬度が高そうな外見の通り彼女の足に苦痛を与えるだけであった。
(何て固さだよ!けど、それは腕のいいメイジの作ったゴーレムか何かかね……)
ゴーレムの材質はメイジによりまちまちである。目の前のゴーレムはかなりの固さを誇り、見ようによっては腕のいいメイジのゴーレムと考える事も出来る。
「趣味は悪いけどね……」


「……う……こ……こは?」
彼女の蹴りに反応したのか、目の前のゴーレムが目を開けて声を出す。それを見て、イザベラが数歩引きさがる。
「しゃっ、しゃべった!」
ゴーレムとは基本的に作られた人形であり、言葉をしゃべる事はないとされる。
彼女の驚きをよそに、目の前のゴーレムは起き上がり、この部屋の唯一の人間であるイザベラと目が合う。
(うわ、こっち見やがった)
「何だい、お前は、何者何だい!?」
強気な言葉とは裏腹に、彼女の弱気が言葉にも伝わっていたが目の前のゴーレムはそれに気が付いていなかった。
「え……私は……武者……荒烈駆主……だと思う」
「なんで曖昧なんだい!アンタどこから来たの!?何者よ!」
出て来たのは名前のみであり、それも曖昧な為に、彼女を苛立たせた。
「どこから……分からない、私は何者なのだ!」
「私が聞きたいわよ……まぁ、いいわ、私はイザベラガリアの王女イザベラよ!」
自身の言えば多少なりとも目の前のゴーレムも理解するのでは無いか?
(とにかくこいつが何者であっても、契約しなくちゃ)
目の前のゴーレムの素性を明かすのは諦めて、目の前のゴーレムと召喚した目的を実行する。
「王女……君はこの国の姫様のなのかい?」
「そうよ、お前は使い魔になるために私に呼ばれたの!」
イザベラが何も分からない顔の荒烈駆主に指をさす。彼女にしてみればこの契約は不本意であった。
(けど、気に入らないからと言って、殺すのもなんだしね)
しかし、彼を殺して再契約をするのも酷だと思った。
だが、下手に出る訳にはいかず、その事をおくびに出さずに続ける。
「いい、使い魔の契約を拒否したらお前を殺すわよ!私は」
自分としては低音で睨みつける、しかし、その効果は余りなかった。
「いいよ」
彼女の脅し文句を遮り、荒烈駆主はあっさり応じる。
それを聞いたイザベラは、言葉を止め、きょとんとした顔になる。
「……へ?」
「いいよ、特に断る理由もないし」
記憶を失った彼には断る理由がなかった。
そして、何かをする理由も特にはなく彼女の申し出を受け入れる事にした。
(私は何者なのだろう?何をすればいいのか?)
王女なら自分を養ってくれるだろうと言う打算的な考えも無くは無かった。
理由は解らないが、用件を聞いて暴れ出さない荒烈駆主の態度に安心する。
「ふん、わかればいいんだよ!アレックス、今日からアンタは一生私の使い魔だからね!」
「うん、よろしくイザベラ」
それが、イザベラにとって一か月前の出来事であった。

「それから今に至るのよね……」
時間を今に戻し、イザベラは笑顔のアッレクスを見る。
「どうしたんだい、イザベラ?」
(この顔を見ると、怒る気もなくすよ……)
彼の顔はいつも笑っている。少なくともあまり怒った所は見た事が無かった。
「なんでもないよ、今日は疲れたから報告は明日聞くよ、おやすみ」
どうでも良くなり、彼女は家臣を下がらせて、自分の寝室へと戻っていった。
「おやすみ、イザベラ」
彼女が出て行った後、アレックスも隣の寝室に戻って行った。


昨日のやり取りでうやむやにしてしまったが、やはり報告は重要な事である。
アレックスの帰還より一夜明け、イザベラはアレックスの報告を聞く。
イザベラは上座に座り、アレックスを呼ぶ。
「アレックス、ラグドリアン湖の調査報告を聞かせてくれるかい?」
「ああ、結果だけを言うとラグドリアンの件は水の精霊が秘宝を盗まれたから起したそうだ」
アレックスは調査報告を語る。
ラグドリアン湖には水の精霊がおり、何かしら関わっているのでは?と考えていたので、それほど驚くには値しない。
「そうかい、で、何が盗まれたんだって?」
(あそこの精霊は気難しいからね、大方盗まれた腹いせかなんかだろう)
話を聞きながら、イザベラは何となくそう思った。
「水の精霊が言うには、アンドバリの指輪と言う物で死者をも生き返らせるものらしい」
アンドバリの指輪は水の精霊の秘宝であり、死者に命を与えたりすることができると言われている。
しかし、水の精霊から秘宝を盗むのは並大抵の事では無く、大抵は水の精霊の怒りに触れて、返り討ちにあうのが関の山である。
もし、そこから盗んだのだとしたら、かなりの腕のあるメイジと考えても良かった。
「ふん、厄介な物を盗んで言ったねぇ、で犯人は誰なんだい?」
「水の精霊が言うには、クロムウェルと言う名前だよ」
「レコン・キスタの奴と同じ名前じゃないか」
(厄介だねぇ……)
出てきた名前に、イザベラは顔をしかめる。アルビオンは現在内乱状態であり、その状況を作り出したのがクロムウェルであった。
半信半疑であるが、全く無関係と言う訳では無いのだろう。
(返せと言っても、返す訳ないだろうし)
「それで、イザベラ湖の件だけど」
「ん、何だい?」
「水の精霊と約束して、私が取り返すから湖の水を増やさない事にして貰ったから」
アレックスの何気なく言った事に、イザベラは吹き出す。
「な!何勝手なこと言ってるんだい!だいたい、どうやって水の精霊と契約したのさ、水の精霊ってのは、そう簡単に会えるもんじゃないんだよ!」
水の精霊は一つの意志でもあるが、その力は絶大である。また、コンタクトを取ろうにも水のメイジが居なければならず、その性格は気難しいの一言であった。
イザベラはアレックスには事前に調査させておいて、後でタバサにこの問題を解決させようと考えていたのだ。
「ああ、その事なんだけど」
アレックスは数日前の出来事を語りだした。


ラグドリアン湖は森に囲まれた巨大な湖で、夏の避暑や貴族達の園遊の場としても知られている。
その、周りをアレックスは見回していた。
「ふぅ、どうしたものかな」
アレックスはその様子を見て、一人で呟く。アレックスの居る場所は本来湖から離れている場所であるが、今は数メイルも離れていなかった。
(これは酷いな)
数十メイル先にある、沈んだ民家を見つめる。それだけでは無く、水により壊された板や、カーテンの切れ端などが湖には無数に浮かんでいた。
「一体、何が原因何だ?」
ここ数日は、地震や集中的な豪雨もある訳でも無く。地形の変化や雨によるものとは考えにくかった。
避難した、村人の話では前から少しづつ増えていき、いつの間にか集落を呑み込むほどになっていたらしい。
賊を捕まえたり、魔物を退治するのとはわけが違う。
アレックスはしばし考えこんでいると、向こうから人の姿が見えてきた。
「……あの人に聞いてみよう」
周りの村人たちには聞いたので、彼は向こうから来る金髪の女性に聞いてみる事にした。
「すみません、少し話を聞きたいのですがよろしいですか?」
アレックスが聞くと、目の前の人物はその顔には驚きが混じっていた。
「……ニュー?」
「ん、どうかしましたか?」
その女性はモンモランシーであった。
彼女は目の前に居るニュー達と似た種族が居る事に驚きであった。
(ニュー達とそっくりじゃない!)
「いえ、あなたに似たのを知っているから、私はモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ、水のメイジよ、貴方は?」
「貴族の方ですか、私はガリアの騎士で荒烈駆主と申します。
私に似た者が居るのですか?」
記憶のない荒烈駆主も、自分に似た存在が居ることなど初めて知った。
「ええ、私の居る所には、あなたに似ているのが三人いるわよ」
(いろいろと有名だから)
彼らは、召喚されて以来、良くも悪くも高い知名度を持っている。
モンモランシーもギーシュとの繋がりもあり、彼らと何だかんだと会話を交えていた。
「私の様な存在は、この世界では珍しいと聞きましたが」
「珍しいわよ、アンタもアルガスと言う国から来たの?」
彼らが口にしていた異国の名前を、モンモランシーは聞く事にしてみる。
「いえ、解りません、私には記憶がないのです。
ところで、ミス・モンモランシーはどういったご用件で?」
「ラグドリアン湖に用があるのよ、けど、昔はこの辺りには無かったはずよ、村も飲み込まれているみたいだし」
自身の記憶をたどる限り、この辺りは湖が見えることなど無かった。
しかし、モンモランシーの視界には湖の青色が広がっていた。
「私もそのラグドリアン湖に調査に来たのでが……しかし、どうしたらいいのか解らず、貴女に話を聞こうと思っていたのです」
「まぁ、多分水の精霊が絡んでいるんだと思うわ」
自身が考えられる可能性をモンモランシーは上げる。


「水の精霊……何ですかそれは?」
「知らないの?このラグドリアン湖は水の精霊が居るの、多分原因に何かしら関わっているはずよ」
「そうですか、水の精霊に会うにはどうしたら良いのですか?」
(何とかして、水の精霊に合って話を聞かなくては)
アレックスは水の精霊に接触する方法をモンモランシーに問う。
「水の精霊は水のメイジじゃないと会えないわよ。
私もこれから合うつもりだから、ついでに聞いてあげるわ」
「ミス・モンモランシーありがとうございます」
丁寧にアレックスが礼を述べる。
(何か、三人とは違うわね)
何とはなしに、モンモランシーは荒烈駆主を見てそんな事を考えた。
二人は会話を交えながら、湖のほとりに向かった。

湖のほとりに来ると、モンモランシーは自身の使い魔を取り出した。
彼女の使い魔はカラフルな色をした小さなカエルであった。
「ロビン、頼むわね」
指を軽くナイフで切り、自身の使い魔に血をつける。使い魔のロビンは一声鳴いた後、湖の中に飛び込む。
「それは?」
「こうする事で、水の精霊が契約した私の血を確認して合う事が出来るのよ、難しい性格だから、余り変な事はしないでね」
「わかりました」
モンモランシーの注意に素直に荒烈駆主が応じる。それと同時に、湖の中心が丘の用に盛り上がり始める。
光に反射されたそれは、巨大なスライムにも見えた。やがて、そこには人型らしき姿をした者が、荒烈駆主達の2メイル程の所に現れた。
モンモランシーは一息ついた後、一歩前に出る。
「私はモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ、かつてここで、貴女と契約した者です。
私の使い魔に私の血を与えました。覚えておいででしたら私の前に姿をお見せ下さい」
(なるほど、凄い光景だな……)
ともすれば、神秘的な光景に荒烈駆主は息をのむ。
モンモランシーの言葉と共に、人型は姿を変えて、それは女性の姿になる。
それは、どこともつかぬ声で話し始めた。
「覚えている。単なる者よ。貴様の体を流れる体液を、貴様の使い魔を通して確認した」
水の精霊はどうやら、モンモランシーを覚えているようだった。
第一関門を抜け、モンモランシーはホっとする。
「今日はお願いがあってきました、水の精霊の涙、貴女の体の一部を分けて欲しいのです」
モンモランシーがここに来た目的は水の精霊の一部を分けてもらう為であった。水の精霊の涙は素材としても貴重であり、ある目的の為に絶対に必要な物であった。
「断る、単なる物よ、我は今やらなくてはならない事がある」
しかし、水の精霊からは拒絶の言葉のみが紡がれる。
「何故ですか、事情をお聞かせ下さい」
「我は秘宝を取り返さなければならない、その為にこの湖を使い探しているのだ」
(湖の水が増えているのは、その為なのか)
アレックスは内心で呟く。水の精霊は自身が盗まれた秘宝を探していたのだ。


「もしよろしければ、そのお話をお聞かせ下さい」
話を聞いていたアレックスが事情を窺う。
「貴様は?……使いか?」
「私はガリアの騎士で荒烈駆主と申します」
(嘘、契約した人間以外の話を聞くなんて)
驚いた様子で、モンモランシーは荒烈駆主を見る。
「少し前の事、お前と似た物と、そこの物と同じ物が、我が秘宝であるアンドバリの指輪を盗んでいった」
感情のこもらない声で、水の精霊が語る。
(私と似た物?)
荒烈駆主は自身と似た者とはであった事がなかった。だから、モンモランシーからその事を聞いた時、彼は驚いたのだ。
「だから、我は探し続ける。秘宝を見つけるまで」
「でしたら、私に探させて下さい」
それを聞いて、間髪入れずに荒烈駆主が応じる。
「ちょっと、アレックス!何安請け合いしているのよ」
荒烈駆主の申し出に、モンモランシーが口を挟む。
「私が見つけてきます。自分と似た者が盗みを働くのが、私には許せないのです」
何となくではあるが、荒烈駆主は似た者のせいで、大勢の人間が苦しむのが我慢できなかった。
水の精霊はそれを聞いて、感情はこもらないが、どこか納得した様子でうなづく。
「そうか、貴様が行うと言うのなら水を元に戻してやっても良い」
「本当ですか、ありがとうございます。それと、お願いなのですが、もしよろしければ、貴女の一部を分けてくれませんか?」
モンモランシーの方に目配せし、荒烈駆主が水の精霊の涙を所望する。
「……よかろう、これが盗んでいった物の形だ、クロムウェルという、もう一つは解らん」
(人の方はともかく、確かにニュー達に似ているわね)
現れた二つの形を見て、モンモランシーが感想を漏らす。
二人の前に、新たに二つの形が作られる。その形は一つは人間の形をしており、中年の男の顔であった。
もう一つはアレックスの様な鎧をまとったゴーレムの様であり、顔は違うがどことなく荒烈駆主と似ていた。ゼータ達が遭遇したバウである。
「では使いよ、期待しているぞ」
モンモランシーに自身の一部を分け与え、水の精霊は姿を消した。
しばらくした後、元の静かな湖へと戻っていった。
「水の精霊と約束するなんてね」
その様子を見ていたモンモランシーが、惚けた様子で呟いた。
傲慢とも言える水の精霊が、約束をして期待する等と言うとは………
「何か信じられないわね、これからどうするの、アレックス」
「とりあえず、帰って報告します。ミス・モンモランシー、ご協力ありがとうございます」
荒烈駆主はモンモランシーに一礼する。
「私こそありがとう、あなたが居たから貰えたわけだし、じゃあね、アレックス」
モンモランシーも嬉しそうに、来た道を引き返す。
荒烈駆主はそれを見届けた後、自身も帰還するべく、置いてきた馬の方向へ歩き出した。


そこで、荒烈駆主はラグドリアン湖での出来事をイザベラに語り終えた。
「そう言う訳だったのかい、しかし、水の精霊と約束するなんて大した使い魔だよ」
(コイツはやっぱりどこか不思議なところがあるね)
そう考えながら、荒烈駆主の報告を聞いた後、イザベラは感想を述べた。
「それで、イザベラ、クロムウェルを捕まえに行きたいんだ、どこに居るか分かるかい?」
荒烈駆主はクロムウェル捕獲に向けて、許可を願った。
「何を言ってるんだい、クロムウェルはレコン・キスタの首領何だよ、いくらアンタが強くでも軍隊に勝てる訳がないだろ!」
イザベラが荒烈駆主の申し出を強く却下する。
「それはこっちで何とかするよ、下手すれば国同士の問題になるんだから」
「そうか、すまない」
(たしかに、そうなるとまずいな………)
荒烈駆主は申し訳なさそうな顔をする。
「とにかく、御苦労だったね次の任務まで休んでなよ」
イザベラは荒烈駆主を労い、下がらせる事にした。
「どうしたもんかねぇ………」
原因をつかみ、解決方法を見つけてきたが、厄介事も持ってきた。
事が事だけに、イザベラは頭を悩ませた。


「31 私は誰なのだろう」
武者 荒烈駆主
記憶をなくしている。
HP 2500


「32 単なる物よ、何の用だ」
水の精霊
荒烈駆主と約束をする。
データ不明 (相手の攻撃を数ターン無効化する)


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