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ゼロの騎士団-13b


ゼロの騎士団 PART2 幻魔皇帝 クロムウェル 3 「三人と吸血鬼退治」中編

荷物を置いた三人は最初の部屋に戻っていた。
その中で、エルザは警戒して村長の隣でしがみついていた。
「では、お話を聞いてもいい?」
真ん中に座った、シルフィードが話を切り出す。
(うまく聞き出さなきゃ、こう言うのは苦手なのね)
自身は言葉をしゃべり、知能も高いがこの様な事は慣れている訳でも無く幼い事もあり、シルフィードは苦手に感じていた。
「はい、最初は村の少女で12歳でした、それでここ2カ月で6人がなくなりました」
それに頷き、これまでの出来事を村長が話し出す。
「そこで私は王国に助けを求めました。しかし、やって来た騎士様は三人ともお亡くなりになりました」
(正規の騎士がやられるなんて、なんて任務をお姉さまにおしつけるのね)
そのような任務を下す、あの王女の憎たらしい顔を思い浮かべる。
表情には出さないが、シルフィードもイザベラの顔を思い出して不機嫌になる。
「検分と供養の為に騎士の亡骸を見たいのですが、どうなさいましたか?」
従者らしい口調で、タバサが確認の為に村長に尋ねる。それを聞いて、村長は複雑な顔をする。
「実は……死体は見つからなかったのです」
「では、なぜ死んだと?」
(恐れて逃亡でもしたのか?)
死体が無いのに死んだと言う村長に、ゼータが疑問に思い問いただす。
「村の中央に、騎士様の両腕が置かれていたのです。豪華な装飾品から直にわかりました」
何かを思い出したように、村長が顔を俯く。
「ひどいのね、何でそんなことするのね」
息をのみ、青い顔でシルフィードが顔を押さえる。
「わかりません、村人の時は町の外で殺されて、ただ首元に血をすわれた跡があるだけでした。」
「もしかしたら、吸血鬼は騎士に恨みがあるのかもしれません」
考え込んだ様子で、タバサが推測する。
吸血鬼にとって人間は食料であり、血を吸ったらその場に捨てて置くのが多いとされる。
わざわざ、見せしめにすると言う事は怨恨と考えるのは間違いでは無い。
「騎士様が殺された事、村人のなかにグールがいるかもしれないと言う事で皆が疑心暗鬼になってしまったのです」
「だから、まずは村人全員をかまれた跡が無いか調べるのね、そうする事で、少しは明るくなるかもしれないのね」
タバサがあらかじめ考えていたプランをシルフィードが述べる。
「後、女子供はどこかに集めた方がいいのね、吸血鬼は女子供が大好きなのね」
「!」
その言葉を聞いて、エルザが体を震わせる。
「ごめんね、驚かないで、大丈夫おねえさんが守ってあげるから」
謝りながら、シルフィードが近寄ろうとするが、村長の反対方向にエルザが避ける。
(ううっ、私、嫌われてるのね)
自身が好意を持っている少女に嫌悪されて、シルフィードが悲しそうな表情を浮かべる。
「集めるのでしたら、この家をお使い下さい。何室か客間はありますので」
「私が入口で見張りをします。何人かで交代すれば簡単には近づけないでしょう」
ゼータが入口の見張りを申し出る。中にタバサとシルフィードが居ればそう簡単には侵入できないだろうと踏んでの事だった。
「何だったらこいつを入口に磔にして置くといいのね、こいつならグールにもならないから安心なのね」
シルフィードが非人道的な案を嬉しそうに提案する。
それを聞いて、ゼータは呆れながらシルフィードに抗議する。
「シルフィード、私に対して厳しすぎないか?」
「うるさいのね、騎士に対して礼儀を払うのね、この馬鹿ガーゴイル」
桃色の髪の少女の常套句を真似しながら罵倒する。
彼女にしてみればゼータの事を使い潰すつもりでいたので、それでも足りないと感じていた。
「かまれた後なのですが、一部を除いては全員調べたのです」
「え!そうなの、けど、一部って?」
シルフィードはそれを聞いて、疑問に思う。
検査をしてくれたのは有難かったが一部とは何かしらの問題を抱える事では無いか?そんな考えが頭の中をよぎる。
「一部と言うのが、問題なのでして、最近やって来た親子なのですが母親の体調が悪いと言って、
検査を拒否したのです。元から、外部から来たと言う事もあり、それで尚の事不安を持ったのです。」
閉鎖社会では外部から来た新参と言う物は歓迎されにくい、
ましてや、この状況下で検査を受けないとあっては他の住人の不安を煽るのは仕方のない事であった。
「わかりました、私達が話してみます。村長は皆さんにここに集める話をして下さい。」
「はい、わかりましたくれぐれも穏便にお願いいたします。」

村長と話を終えて、聞いていた親子の家の前にたどり着いた。
「ここがそうなのね……」
(普通の家なのね)
比較的新しい空き家に引っ越して来たらしく、その家は汚れ等が目立つ物では無かった。
壁が少し汚かったが、それでもそれほど気になる物でも無い。
「吸血鬼がいかにもな所に住む訳ねぇだろうが」
「うるさいのね、ナマクラ」
シルフィードの考えを見透かしたように、デルフがからかい半分の声を上げる。
「とにかく、話を伺おう……御免ください」
ゼータが家のドアを叩く、すると中から屈強な体つきの男が出てきた。
「何なんだ、アンタ達は?」
鋭い目つきで男が三人をにらむ。寝不足なのか眼にはクマが出来ておりより一層の威圧感が増している。
こほんと咳払いを一つして、シルフィードは前に出て名乗りを上げる。
「私はガリアの騎士シルフィードなのね、あなたがアレキサンドルさん?マゼンダさんに会いたいのね」
「騎士!俺もお袋も吸血鬼でもグールでもねぇ!帰ってくれ!」
シルフィードの身分を聞いて、アレキサンドルが警戒を強くして声を荒げる。
「落ち着いて、それを調べたいのね、私達が調べれば、あなた達の不信感も和らぐのね」
「お袋は風邪で寝込んでいるんだ!いくら、アンタ達が騎士様とは言え」
「アレキサンドル、お客さんかい?」
二人が入口で言い争っている時に、部屋の奥から小柄な老婆がゆっくりと現れる。
前かがみにして、ゆっくりとした歩調が体調の良くない事を感じさせる。
「その方達は?」
「私はガリアの騎士シルフィードなのね、あなた達の事を調べさせて貰いたいのね」
現れたマゼンダらしき老婆に、身をかがめてシルフィードが尋ねる。
「騎士様ですか、分りました。」
「大丈夫なのね、すぐに終わるのね」
さすがに、騎士と言う言葉の意味を知っているのかマゼンダがすぐに同意する。
「ガーゴイルはアレキサンドルさんを調べるのね」
シルフィードがうって変わって、偉そうな態度でゼータに指示を出す。
それに頷き、ゼータがアレキサンドルの方に向く。
「アレキサンドルさん、調べさせて貰ってもいいですか?」
「……わかった、お袋は弱いんだ、早く済ませてくれ」
親子は同意して、三人を中に招き入れた。外では、そのやり取りを窓からその様子を見ていた。

「こっちの方はオッケーだったのね、ガーゴイル、そっちは?」
「こっちも問題ない……と、言いたいが、アレキサンドルさんこの傷は何です?」
アレキサンドルの手をつかみ、変色した部分を見る。
ゼータが見た限り特に問題はなかったが、手の甲の一部が変色しており、その部分だけが気になった。
「これは火傷の跡だ、家事は俺がやるからできたんだよ、疑っているのか!?」
「……大丈夫、ただの火傷」
タバサが近くで確認して、問題ないとサインを出す。
「これであなた達は大丈夫なのね、私からも皆に言っておくのね」
その言葉を聞いて、二人は少しだけ安堵するがすぐに暗い顔に戻る。
「嬉しいが村の奴らは信用しません、俺達が外部の者だから……」
「ん、何か騒がしいのね」
アレクサンドルの声はそれでも喜びを持たなかった。
窓の外から声が聞こえて、シルフィードが窓を見やる。そこには、先ほどの男達が居た。
「あの人達、まだ懲りてないのね」
まったくと呟きながら、シルフィードが怒りながら出て行こうとする。
「我々も行こう、刺激するのは不味いな、すみません剣を持っていてもらえませんか?」
ゼータがデルフをマゼンダに手渡す。
「俺が代わりに持ちます」
アレキサンドルが代わりに持ち、タバサを除いて二人が出ていく。
窓から見やると、数人が抗議していたが、ゼータを見て渋々去っていく。
「もう、失礼しちゃうのね、もっと信頼してほしいのね」
戻って来て、シルフィードが不満の声を上げる。
シルフィードがあまり騎士らしく見えないせいか、村人も彼女にはあまり敬意を払っては居なかった。
「仕方ないだろう、アレキサンドルさん今日村長の家に子供を集めて、我々が警護します。
貴方にも参加してほしいのですが、よろしいですか?」
「いきなさい、アレキサンドル私は大丈夫だから」
渋るであろうアレキサンドルを察して、マゼンダが先に応える。
「……わかりました、騎士様達には感謝しています。」
家に石を投げつけられたり、前で声を上げたりする事が出来ずに去っていた村人を見て、
アレキサンドルも感謝の気持ちを表し、協力を申し出る。
「ありがとうございます。我々も、行きましょう」
タバサが二人を促し、マゼンダ親子の家を後にした。

夕方
被害にあった家を調査して、村長の家に戻ると、若い女達と子供達が数十人集まっていた。
「結構いるのね、ちゃんと集まってくれたのね」
「お前の案じゃ、村人も信頼しないかも知れないからな」
子供達を嬉しそうに見るシルフィードをデルフが茶化す。
もしかしたら拒否されるかもしれないと考えたが結局は杞憂であった。
「騎士様のお連れのゼータ様を見て、みんな信頼してくれました」
昼間のゼータの剣を見て、シルフィードの力量をある程度は信用したらしい。
(けど、それじゃあ、あの青トンガリのおかげみたいなのね)
自身では無く、ゼータが主な要因を占める事にシルフィードは嫌悪感を示す。
「もうすぐ、夕食の時間です。そうしたらお呼びいたします」
三人に気を使い、村長は部屋を出ていく。
「お姉さまこれからどうするの?」
(変身して、色々あって今日は疲れたのね)
疲労からベッドにダイブしながら、シルフィードが聞く。
「これでそう簡単には手を出せない、けど待っているだけでは駄目」
タバサが何か考えているように見えた。
「タバサ、どうするのだ」
「こちらからアクションを示す、その為に……」
「そんな事をするのか!?しかし……」
ゼータはタバサの案を聞いて、驚きの声をあげる。
村長が迎えに来るまで、三人は話し合った。

玄関では子供達が食事をする為に集まっていたが、険悪な空気が流れていた。
「この、本当に使えない従者だね、お前は!」
その空気の中心はシルフィードであり、その圧力に周りの人々は心配そうに見ている。
「杖を踏むなんて、お前はメイジをなんだとおもっているのね」
「すみません」
杖でタバサを指しながら、シルフィードが難癖をつける。それに対して、タバサは唯、謝るばかりであった。
(おねえちゃん、怖いよ……)
(やっぱり貴族なのね……)
女子供達はシルフィードが温厚に見えるだけに、その怒りを見て余計に恐怖を抱く。
「アンタは罰として杖を磨いているのね、青トンガリ、アンタも見張っているのね!」
杖をタバサに手渡し、ゼータに監視を命じる。
暗い顔でタバサが出て行き、ゼータが後に続く。
(お姉さま、ごめんなのね)
内心では申し訳なさそうに、シルフィードが答える。
タバサを突き放し、尚且つメイジ役のシルフィードから杖を無くす。
これにより、ターゲットが二つに増えた事になる。
そして、杖を持ったタバサは魔法を使える事が出来、シルフィードは韻竜なので杖は必要ない。
シルフィードが不安な顔をする子供達に振り返る。
「ごめんなさいね、みんなは私が守るから安心してね」
近づきながら、子供達の頭をなでる。シルフィードの笑顔で子供達も笑顔を取り戻す。
「では、こちらに用意させていただきました」
「美味しそうなのね!頂きますなのね!」
タバサの謝罪も程々に、普段ではありつけないような食事にシルフィードは腕を伸ばした。

「大丈夫かシルフィードは?」
外から聞こえてくる、シルフィードの浮かれた声に、携帯食料を食べながらゼータがタバサに聞く
酒が入っているのか、シルフィードは周りの子供達に抱きついている。
「おそらくはあなたを警戒して、すぐには動かない。あの娘は安全」
タバサが携帯食をかじりながら応える。
「そうか、では私は見張りの指示を出してくる」
「……いってらっしゃい」
(……珍しいな)
自身に、言葉を送るタバサを珍しく思いながら、男達のいる小屋に向けて、ゼータは歩き出した。

食事も終わり、数時間後、子供達も食事の片づけを終えた女たちも眠りにつく事にした。
ここ数ヶ月間の不安から解放されたかのように、皆がほとんど寝静まり返ってしまった。
その中で、タバサとエルザは同じ部屋で寝る事になった。
「お姉ちゃん、眠くないの?」
同じ布団にくるまりながら、エルザが起きているタバサに声をかける。
「大丈夫、眠くないそれに、吸血鬼が来たら騎士様を起こさなきゃいけないから」
「大変なんだね、お姉ちゃんは風のメイジなの?」
タバサが首を横に振る。少し眠気が無くなってきたのか、エルザの目が大きくなる。
「私ね、メイジって嫌いなの」
「どうして?」
タバサが聞くと、エルザが暗い顔で俯く。
「私ね、お父さんとお母さんをメイジに殺されたの、怖かったの」
タバサに抱きつきながら、エルザが服を強く握る。
「あの方は優しいから、きっと守ってくれるわ」
タバサが、やさしく頭を撫でるとエルザが嬉しそうな顔をする。
「うん、ゼータお兄ちゃんもいるからね、
私ゼータお兄ちゃんみたいの初めて見たの、とっても驚いたけど優しかった」
エルザは恐怖を紛らわすかのように、タバサに積極的に話しかける。
「すこし、出かけてくる。すぐ戻るからここにいて」
エルザの話が尽きかけた頃、タバサが立ち上がる。
「ちゃんと帰ってきてね」
不安そうに、エルザがしがみつく。タバサは頭を撫でて部屋を後にした。

「呑気なもんだねぇ、騎士様は美味いもん食って、俺らに見張りをせて自分はベットの上か」
明かりと気配のない部屋を見ながら、見張りの男が呟く。
(シルフィードの奴、本当に寝ているな)
おそらく寝ているであろうシルフィードに、ゼータは舌打ちする。
「こうして見張っていれば、そう簡単には襲ってこないだろう」
「なんたってグールはここにいるからな」
男は含んだ物言いと視線で、ゼータの隣の方を見やる。
「なんだと!」
ゼータの呼びかけに応じて見張りに来たアレキサンドルがそれに応戦する。
「よさないか、二人の検査は終わったのだ、もうすぐ交代の時間だ、私はアレキサンドルを送る。」
「へいへい、監視をお頼みしますよ」
嫌々に応じる男を無視して、二人はマゼンダの家に向けて歩き出した。

「くそっ!アイツらまったく信用してねぇ」
アレキサンドルが先程の男の態度が気に食わないのか、その辺の草を蹴る。

「この辺りか……」

「ん?どうした!……」
アレキサンドルには何が起こったのか解らなかった。

「芝居は終わりにしてもらおうか」
「ウッ ウグァ……」
デルフで胸を貫かれて、アレキサンドルはそのまま絶命した。
「ふぅ、分かっていても、こう言う真似はしたくはないな」
仕事を終えて一息つきながら、ゼータは愚痴をこぼす。
「下手に騒ぎになるよりかいいだろ」
刀身を布で拭かれたデルフが鞘を鳴らす。
「……これも作戦、それにグールになった人間は倒すしかない」
森の奥から、タバサがやってくる。
ゼータは最初この作戦を反対したが、村人を犠牲にしたくない事そして、穏便に済ませる事を説得され仕方なく同意した。
「しかし、相棒もやるもんだね、グールかどうか俺を使って調べるなんて」
「お前と初めて会った時、私の事に気付いたからな」
ゼータがさっき、マゼンダに剣を手渡したのはデルフを使い二人が吸血鬼かどうか調べる為であった。
デルフは握っただけで、力量などの情報を瞬時に解析する。
だから、違和感があればすぐに気がつくと思いこの作戦を実行したのだ。
「これで、吸血鬼も動かざる負えなくなる」
「だといいがな……しかし、マゼンダさんに真実を言うのは辛いな」
アレキサンドルを魔法で火葬し、地面に埋めて二人は供養した後、村長の家に戻って行った。

日も明けた翌日
何かしら動きを見せるであろう事態を動かしたのは、吸血鬼では無かった。
「おい!何をやっているんだ!」
朝食を終えて、昨日の調査の続きを行おうとして村を巡回している際に、
三人が見た物は焼けているマゼンダ親子の家であった。
「何をしている!早く消さないか!?」
周りにいる村人に、ゼータが檄を飛ばすがその反応は鈍い物であった。
「ふざけるな!せっかくあの吸血鬼を閉じ込めたんだ、このまま焼き殺すにきまっているだろう!」
「まさかっ!マゼンダさんを!あなた達が火をつけたの!?」
この部屋の主がまだ中にいる事を知り、シルフィードが呆然とする。
「こうしては居れん!」
デルフを手に持ち扉を壊して、ゼータが中に突入する。
「何てことするの!?あの人は吸血鬼じゃないのに」
「嘘をつけ、アレキサンドルはグールだったじゃないか!?」
「な!なんでそんな事知っているのね」
三人しか知らない秘密を知り、シルフィードが驚愕する。
「今朝、村の中央にアレキサンドルの死体があったんだ!?奴はグールだったんだ!胸には剣で貫かれた跡が有った、
昨日あのガーゴイルとアレキサンドルが一緒に行くのを見た奴がいたんだ、アイツが殺したんだろ!」
証拠を見つけて、男が嬉しそうに声を上げる。
「確かに彼はグールだったのね、けどマゼン「シルフィード!」」
シルフィードの言葉を遮り、家の中からゼータが飛び出す。
「どうした、吸血鬼の死体でも見つけたか!」
数人の村人が自身の戦果に嬉しそうに声を上げる。
しかし、ゼータはそれを聞いても顔色が変る事が無かった。
「マゼンダさんがいないんだ!」
「なんだって!?」
ゼータの報告にその場にいた全員が驚愕する。
数時間後、燃え尽きた家からはマゼンダの死体は見つからなかった。

「結局見つかりませんでしたな……」
捜索開始から2日後の夜、村長は何かを望むような口調で呟いた。
家が燃え尽きた後、村人達は捜索チームを組んで、周辺を探索したが結局マゼンダは発見でき無かった。
デルフリンガーで吸血鬼では無い事を知っていたゼータ達は体の弱いマゼンダが遠くに行けない事は解っていたが、
だからこそ彼女の行方が知れない事が逆に不安であった。
「きっと、逃げたのさ!騎士様達に簡単にグールを殺されたんだからな」
村人の一人が希望的観測を述べる。
昨日からの捜査の疲労と村人が襲われなかった事もあり、そう言った空気が村人たちを支配していた。
ゼータ達がアレキサンドルを倒し、マゼンダが居なくなった事で村人たちは精神的な負担から解放されつつあった。
(マゼンダさんが居なくなったが、彼女は吸血鬼では無い。しかし、まだこの中に吸血鬼が居るかも知れない……)
ゼータは集まった村人の様子を見てから、隣にいるタバサを見やる。
タバサは何か考えがあるのか、ゼータにデルフの事を口止めしていた。
(今回の件は何かがおかしい、タバサはそれに気づきつつあるように見える)
結局、疲労もありいったん捜査は打ち切りと決まった。そして、三人は村長の家に着くなり、村長に呼び出された

「事件は解決ってどういう事なのね!?」
村長から切り出された言葉を聞いて、シルフィードが机を叩く。
三人を呼び出した村長は、三人に対して事件は解決したのでお引き取りを願ったのだ。
(やはり、そう言う事か……)
村長に呼び出された時点で、ゼータは村長の提案にはさほど驚いていなかった。
彼らは吸血鬼云々と言うよりも、マゼンダ親子を内心では疎ましく思っていた。
そして、それが居なくなった事により、安心と願望から逃避を行おうとしているのだ。
「しかし、グールのアレキサンドルがうち取られて、マゼンダ婆さんが行方が分からなくなりました。
村人のなかにはかまれた跡がある物はおりませんし、
村人のなかに吸血鬼が居ればそもそも、我々は全員がグールになってこうしてお呼びする事は出来ません」
村長が申し訳なさそうに、もっともらしい事を言う。
「だからって、まだ吸血鬼が居なくなった訳じゃないのね」
「解っております。しかし、その……言いにくい事なのですが……」
村長は口を濁らせながら、三人を見る。
「村の人たちが、私達を追い出そうとしているのですね……」
何かを察したように、タバサが村長の言葉を代弁する。
(成程、やはりそこに行き着くか)
ここ数日の気配に気づかないほどゼータは鈍感では無かった。
村と言う閉鎖社会では情報の少ない物、得体のしれない者は疎外される。
これまで、マゼンダ親子がその最有力であったがそれがなくなった事により、今度はゼータ達に矛先が変わったのだ。
「我々がお呼びしといて申し訳ないと思っています。
しかし、もう村人たちも限界なのです。一刻も早く元の暮らしに戻りたいのです。」
村長が机に頭がつくくらい頭を下げる。その様子は後ろめたさを本人でも感じているのが見て取れた。
「……解りました。しかし、引き継ぎの為に他の王国の騎士を呼ばねばなりません。
それまでは、村の警護を兼ねて滞在させて頂きます」
タバサが、シルフィードに変わり提案する。
「分りました、それまではここにお泊まり下さい。せめてもの礼を尽くさせていただきます」
心からとまではいかないが、それでもどこか安心したような笑顔でタバサの提案に応じた。

村長が出て行った後も、三人の空気は緊張を保ったままだった。
「お姉さまどうするの?まだ解決したわけじゃないのね」
「そうだな、それに先程から何か考えがあるようだな、タバサ聞かせてくれないか?」
心配そうなシルフィードと、ゼータがタバサの考えを拝聴しようとタバサに詰め寄る。
タバサはディテクトマジックで、周囲を確認した後、二人に顔を近づける。
「この事件は……」
そうして、二人に自身の考えを述べながら夜は更けていった。

翌朝、村の入り口には三人の人影があった。
「じゃぁ、行ってくるのね、馬車馬のように走るのね、任務が終わったら死んでもいいのね」
「無茶苦茶な事を言わないでくれ、では、行ってくる」
シルフィードの無茶な物言いに、ゼータが呆れながら応じた後、馬を走らせる。
「どうかなされたのですか?」
「王国の連絡の為に、あの青トンガリを行かせたのね、数日で騎士が来るのね」
シルフィードがゼータに命令出来た満足感から、嬉しそうな声で応じる。
「そうですか、朝食が出来ましたのでお越し願いますか?」
「行く!行くのね」
自身の好きな単語を聞いて、シルフィードが村長を置いて駆け出す。
「村長、実は……」

朝食を終えた後、シルフィードは疲れていると言って、家のベッド昼寝を開始した。
「人間の姿でベッドに入るって、とっても気持ちいのね……」
その言葉と共に、彼女はあっさりと意識を旅立たせてしまった。
タバサはそんな彼女の頭をなでる。
「おねえちゃん」
扉を開けて、エルザが入ってくる。
「あのね、森にお花を摘みに行きたいの、一緒に付いてきてくれる」
「……うん」
タバサはシルフィードに毛布をかけて、部屋を後にした。

事件が解決した喜びが、森を歩きながらもタバサの耳に届いていた。
「みんな嬉しそうだね、吸血鬼が居なくなったからかな」
手をつなぎながら、嬉しそうにエルザがはしゃぐ。ここ数日で、エルザはシルフィードでは無くタバサに懐いていた。
そして、その事でシルフィードはゼータに当たり散らしていた。
「お姉ちゃん、口笛上手だね」
タバサが何気なく口ずさんでいる口笛を聞いて、エルザが感想を述べる。
「お父様に習ったの……」
「お姉ちゃんのお父さんはどうしているの」
「……死んだ」
短い一言であったが、その一言はとても力強かった。

「ごめんなさい、けどもう大丈夫だよ……」

彼女が笑顔を見せる。

「……私がずっと一緒だから!」
彼女の眼が見開く。そして、タバサを植物の枝が絡め捕る。

「吸血鬼………!」
「おねえちゃん、安心してこれからはずっと一緒だよ」
拘束された、タバサの目を見ながら、嬉しそうにエルザが頬を撫でる。
「後、ゼータお兄ちゃんが伝令行ったのはウソでしょ?」
「!?」
タバサの顔に驚きの表情が浮かぶ。
「やっぱり、お兄ちゃんが行ったふりをして、おびき出そうとしたんでしょ、けどね……」
エルザがさらにタバサに顔を近づける。
「お兄ちゃんなら……もう死んでるよ、あの悪魔によってね」
彼女の嬉しそうに笑った顔には、吸血鬼の証しである2本の牙が見えていた。


「27 突然、アレキサンドルが襲いかかって来た!」
グール アレキサンドル
凶暴化して襲い掛かる。
HP 280

「28 お姉ちゃん、ずっと一緒にいてあげる!」
吸血鬼 エルザ
ついに、本性を現す。
MP 580


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