第一話
神、出現
どん!どどん!どどん!
凄まじい爆発に爆煙が生まれ、そして晴れる。
「…何よ、これ?」
彼女が召喚したのは一冊の本だった。
トリステイン学院春の使い魔召喚の儀式、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは
幾度も幾度も詠唱と、それによる爆発を繰り返しその結果、穿たれた一番大きなクレーターの真ん中。
そこにあったのは、魔獣でも、もはや生物でもなく、本だったと分かった瞬間、彼女は絶望した。
「ミ、ミスタ・コルベール!や、やり直しを…」
「ミス・ヴァリエール。残念ですがそれは許可できません。たとえ本であろうと、召喚したならば
それはあなたの使い魔です。」
教師から放たれたその言葉が、再び彼女を絶望に突き飛ばす。
「し、しかし…!」
「だめです。それに契約をしないというのならば、召喚失敗ということで残念ながら留年、ということになりますが?」
「そんな!」
ただでさえ肩身の狭い思いをしているのだ。ヴァリエール家の三女として留年という選択肢はルイズには無かった。
「あははははは!さすが『ゼロ』のルイズ!本を召喚するなんて!」
「生物ですらないなんて『ゼロ』の二つ名はだてじゃないな!」
同級生の嘲弄と嘲笑に涙が出そうになるがこらえて、ルイズはクレーターに向かい、そこにある本を手に取る。
改めてその本を見ると表題が書かれていた。
題名は「パタポン~再び海に出る~」
「絵本…かしら?」
「はやくしろよ!ゼロ!」
「コントラクト・サーヴァントも失敗か?!」
同級生の野次に意を決して、声を上げる。
「わが名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!五つの力を司るペンタゴン。この物に祝福を与え我が使い魔となせ!」
そして表紙に口付けする。淡い光が本を包む。
「……あれ?」
本は淡い光を放っただけで何も変化が起こらなかった。
「ふむ。…これは、失敗、ということですかな?」
「ちょ、まままってください!本の中かもしれません!」
失敗。この二文字は慣れ親しんだものだが、今回ばかりは遠慮したい。慌てて本を開く。そこには…
「これ…契約…書?」
一頁目、そこには、余白でも目次でもなく、契約書、と書かれたページがあった。
そこにはこう書かれていた。
『私は世界の果てを目指すためパタポンの神様になることを誓います。途中で投げ出しそうになっても絶対に最後まであきらめません。』
そして契約者の欄はまだ空欄だった。契約者のルーンはなかった。別のページかと思い次のページを開く…が開かない。
「これは…契約しないと開かないみたいですね。マジックアイテムの類でしょうか?」
後ろから見ていたコルベールが言う。
「それで?」
「はい?」
「それに契約しないんですか?」
契約書とかかれているのだ。契約するのだろう。当たり前だ。しかし…書いた途端、デロデロデロデロデーロロ、と呪われるかもしれない。
「さあどうするんですか?あなたが最後なんです。早く決めなさい。」
そういって錬金で作った羽ペンを差し出すコルベール。
それをニヤニヤと見つめる同級生たち。
ルイズは困惑していた。これが何なのか分かりもしないのだ。しかもそれに契約しないと留年になってしまう。
ルイズは考える。今までの人生を。困難と苦難にまみれた人生。
「…それがどうだって言うのよ。」
今までの人生苦難でできたようなもの。もうひとつぐらい。
「背負ってやるわ!」
コルベールから羽ペンを奪いとり、ルイズは再び声を上げる。
「良く聞きなさい!わが名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!苦難だろうと!困難だろうと!いくらでものりこえてやるわ!」
ルイズが書き込むと、書いた文字が光りだす。そしてその末尾に契約のルーンが刻まれた。
「ふむ、これで契約完了ですね。しかし…いったいどんな内容なのでしょうか?」
自称、研究者のコルベールは見たことも無い文字でかかれた本に興味があるようだ。。
「せんせー!もうかえりましょうよー」
「ゼロが出した物なんてたいしたこと無いですって!」
「まあまあ、さわりだけでも見せてくれませんか?ミス・ヴァリエール」
興味津々といった感じでルイズの本を覗き込むコルベール。
「はあ、わかりました…」
正直てかる頭がまぶしいが、ルイズはページを開く。
そこには奇妙な生き物が描かれていた。目玉。目玉が手が生えて足が生えて動いていた。
動いて…
「え?!これ、動いてる?!」
絵本の絵は動いていた。そこに描かれた…多分これがパタポンなのだろう。
それがせわしなくページを動き回っていた。
文字がページに浮かび上がる。
「ほう。やはりマジックアイテムですか。動く絵本とはこれまた珍しい。」
ー最強の悪魔を倒し、かつての都市に帰りついたパタポン達ー
ーパタポラーナはかつての繁栄を取り戻そうとしていたー
「おや?これはどうもに続編、のようですね…。」
コルベールがつぶやく。いきなり最強の敵との戦いが終わってしまっている。
これが一冊目なら作者は何かの病気だろう。
ーしかしパタポンたちの旅はまだ終わりませんー
ーもう一度海を越えるためー
ー彼らは再び船を作りましたー
そこまで読むと勝手にページがめくれた。
「自動とは!これまた面白い!」
一人喜ぶコルベール。そんなコルベールの様子に同級生たちが周りに集まってくる。
ーふたたび海に漕ぎ出したパタポンたちー
ー荒波小波を超えて、はるかなる世界の果てを目指しますー
ーしかし…その途中パタポンたちの前に鏡が現れましたー
「?…これって。」
その鏡をルイズは見たことがあった。
「これは…サモンゲート?」
パタポンたちの船の前に突然描かれたそれは、まぎれもなく召喚の際に呼び出されるサモンゲート。
それを見た面々はざわめきだす。
ーパタポンたちはあんまり考えないで突っ込みましたー
そう書かれた直後にパタポンたちは船ごとサモンゲートに入っていった。
考えなさいよ!とルイズが頭の中で突っ込んだ瞬間、背後に大爆音、あわててルイズが振り返るとそこに…
凄まじい爆発に爆煙が生まれ、そして晴れる。
「…何よ、これ?」
彼女が召喚したのは一冊の本だった。
トリステイン学院春の使い魔召喚の儀式、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは
幾度も幾度も詠唱と、それによる爆発を繰り返しその結果、穿たれた一番大きなクレーターの真ん中。
そこにあったのは、魔獣でも、もはや生物でもなく、本だったと分かった瞬間、彼女は絶望した。
「ミ、ミスタ・コルベール!や、やり直しを…」
「ミス・ヴァリエール。残念ですがそれは許可できません。たとえ本であろうと、召喚したならば
それはあなたの使い魔です。」
教師から放たれたその言葉が、再び彼女を絶望に突き飛ばす。
「し、しかし…!」
「だめです。それに契約をしないというのならば、召喚失敗ということで残念ながら留年、ということになりますが?」
「そんな!」
ただでさえ肩身の狭い思いをしているのだ。ヴァリエール家の三女として留年という選択肢はルイズには無かった。
「あははははは!さすが『ゼロ』のルイズ!本を召喚するなんて!」
「生物ですらないなんて『ゼロ』の二つ名はだてじゃないな!」
同級生の嘲弄と嘲笑に涙が出そうになるがこらえて、ルイズはクレーターに向かい、そこにある本を手に取る。
改めてその本を見ると表題が書かれていた。
題名は「パタポン~再び海に出る~」
「絵本…かしら?」
「はやくしろよ!ゼロ!」
「コントラクト・サーヴァントも失敗か?!」
同級生の野次に意を決して、声を上げる。
「わが名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!五つの力を司るペンタゴン。この物に祝福を与え我が使い魔となせ!」
そして表紙に口付けする。淡い光が本を包む。
「……あれ?」
本は淡い光を放っただけで何も変化が起こらなかった。
「ふむ。…これは、失敗、ということですかな?」
「ちょ、まままってください!本の中かもしれません!」
失敗。この二文字は慣れ親しんだものだが、今回ばかりは遠慮したい。慌てて本を開く。そこには…
「これ…契約…書?」
一頁目、そこには、余白でも目次でもなく、契約書、と書かれたページがあった。
そこにはこう書かれていた。
『私は世界の果てを目指すためパタポンの神様になることを誓います。途中で投げ出しそうになっても絶対に最後まであきらめません。』
そして契約者の欄はまだ空欄だった。契約者のルーンはなかった。別のページかと思い次のページを開く…が開かない。
「これは…契約しないと開かないみたいですね。マジックアイテムの類でしょうか?」
後ろから見ていたコルベールが言う。
「それで?」
「はい?」
「それに契約しないんですか?」
契約書とかかれているのだ。契約するのだろう。当たり前だ。しかし…書いた途端、デロデロデロデロデーロロ、と呪われるかもしれない。
「さあどうするんですか?あなたが最後なんです。早く決めなさい。」
そういって錬金で作った羽ペンを差し出すコルベール。
それをニヤニヤと見つめる同級生たち。
ルイズは困惑していた。これが何なのか分かりもしないのだ。しかもそれに契約しないと留年になってしまう。
ルイズは考える。今までの人生を。困難と苦難にまみれた人生。
「…それがどうだって言うのよ。」
今までの人生苦難でできたようなもの。もうひとつぐらい。
「背負ってやるわ!」
コルベールから羽ペンを奪いとり、ルイズは再び声を上げる。
「良く聞きなさい!わが名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!苦難だろうと!困難だろうと!いくらでものりこえてやるわ!」
ルイズが書き込むと、書いた文字が光りだす。そしてその末尾に契約のルーンが刻まれた。
「ふむ、これで契約完了ですね。しかし…いったいどんな内容なのでしょうか?」
自称、研究者のコルベールは見たことも無い文字でかかれた本に興味があるようだ。。
「せんせー!もうかえりましょうよー」
「ゼロが出した物なんてたいしたこと無いですって!」
「まあまあ、さわりだけでも見せてくれませんか?ミス・ヴァリエール」
興味津々といった感じでルイズの本を覗き込むコルベール。
「はあ、わかりました…」
正直てかる頭がまぶしいが、ルイズはページを開く。
そこには奇妙な生き物が描かれていた。目玉。目玉が手が生えて足が生えて動いていた。
動いて…
「え?!これ、動いてる?!」
絵本の絵は動いていた。そこに描かれた…多分これがパタポンなのだろう。
それがせわしなくページを動き回っていた。
文字がページに浮かび上がる。
「ほう。やはりマジックアイテムですか。動く絵本とはこれまた珍しい。」
ー最強の悪魔を倒し、かつての都市に帰りついたパタポン達ー
ーパタポラーナはかつての繁栄を取り戻そうとしていたー
「おや?これはどうもに続編、のようですね…。」
コルベールがつぶやく。いきなり最強の敵との戦いが終わってしまっている。
これが一冊目なら作者は何かの病気だろう。
ーしかしパタポンたちの旅はまだ終わりませんー
ーもう一度海を越えるためー
ー彼らは再び船を作りましたー
そこまで読むと勝手にページがめくれた。
「自動とは!これまた面白い!」
一人喜ぶコルベール。そんなコルベールの様子に同級生たちが周りに集まってくる。
ーふたたび海に漕ぎ出したパタポンたちー
ー荒波小波を超えて、はるかなる世界の果てを目指しますー
ーしかし…その途中パタポンたちの前に鏡が現れましたー
「?…これって。」
その鏡をルイズは見たことがあった。
「これは…サモンゲート?」
パタポンたちの船の前に突然描かれたそれは、まぎれもなく召喚の際に呼び出されるサモンゲート。
それを見た面々はざわめきだす。
ーパタポンたちはあんまり考えないで突っ込みましたー
そう書かれた直後にパタポンたちは船ごとサモンゲートに入っていった。
考えなさいよ!とルイズが頭の中で突っ込んだ瞬間、背後に大爆音、あわててルイズが振り返るとそこに…
一隻の船があらわれていた。そしてそこから
「ほへ?」
「ふへ?」
「おや?」
と、わらわらと船の上から目玉生物が、絵本に描かれていたその姿そのままの『パタポンたち』が顔を覗かせていた。
「ほへ?」
「ふへ?」
「おや?」
と、わらわらと船の上から目玉生物が、絵本に描かれていたその姿そのままの『パタポンたち』が顔を覗かせていた。