あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの騎士団外伝-02a


生き物は何かしらの思いを持って生きている。
「お姉さまったら、本当にひどいのね」
タバサの友人である、シルフィードは自身の友人の事で憤慨していた。
「最近扱いがひどかったけど、あの青トンガリが来てから、更に酷くなったような気がするのね」
最近現れた、タバサの使い魔を頭に浮かべながら、矛先をそちらに向ける。
数年前、自身が森で怪我した際に、彼女はタバサに助けられた。タバサの両親はシルフィードを快く迎え、大事に扱われた。
シルフィードはタバサとその家族を好きになり、彼女達と生きていく事を選んだ。
そして、今の境遇に置いてからは、更に彼女の元にいたいと思った。
「だいたい、なんなのね、アイツは召喚された上にお姉さまの騎士気取りなんて」
タバサの使い魔であるゼータの騎士としての振る舞いが何より鼻持ちならなかった。
シルフィードが見たこともない容姿に人の言葉を話し、
あまつさえタバサと共に食事を取るゼータが羨ましくも有り、自身の居場所と存在を蔑にする事をシルフィードは直感で悟った。
「あんなのが騎士なんて、お笑い草なのね、鏡で自分の姿を見てから言えって事なのね」
シルフィードからすれば、ゼータの容姿はタバサの周りに居る物としては相応しくなかった。
剣の腕は立つようだが、自身は竜それもブレスや先住魔法も使える伝説と言われた韻竜である。
少なくともゴーレムもどきとは比べられる物では無かった。
「この間も、私よりも態度が上と言わん態度だったのね」
ゼータはシルフィードがタバサの友人であるから、彼女に別段敬意を払う訳でもない。
「あきらかに、私の方が付き合いも含めて格上なのに、お姉さまはどうしてそこら辺を解ってくれないのね」
主が使い魔に序列を教えない事が一番の不満であった。

人は何かしらの願望を持って生きている。
ジャン・コルベールは落胆していた。
「なんで私の発明を認めてくれないのでしょう……」
今日、自分の授業時間にやった、油で物を動かすと言う発表は生徒たちから不評よりも疑問すら投げかけられなかった。
火薬に鉱石を混ぜてその色を楽しむと言うのも、魔法の方が綺麗の一言で済まされてしまった。
生徒達はコルベールの行いを、物を投げれば下に落ちてくると同じ程度に思わなかった。
コルベールの人生は火と共にあった。彼はその事を恨みもした。
しかし、彼は今では誰よりも火を好んでいた。
「誰か、私の発明を分かってくれる人はいないのですかね……」
心配する必要のなくなった頭を、コルベールは抱えていた。

人は常に愛に悩んでいる。
ギーシュ・ド・グラモンはその患者とも言えた。
「ああ、モンモランシー」
ギーシュは昨夜の逢瀬の事を振り返る。
だが、その顔は喜びからはとても遠い所にあった。
(昨日はいつもどおりだった……けど)
「モンモランシーは僕に不満を持っている」
昨日の彼女は不機嫌では無かった。
むしろここ最近は平穏とも言える。しかし、ギーシュから見て彼女の顔は何かしらの不満を持っていた。
二人の間は一年の頃からそう変わらない。
だからこそ、この状況そして、彼女の反応が彼の危機感を煽っていた。


昼 アルヴィーズ食堂
食堂では二人の生徒がある問題について喋っていた。
「ミリーナ、どうだい調子は」
男は期待では無く、答えを知っているような声で聞いた。
「ヨシュア先輩……はっきり言って余り状況はよくありません。ヨシュア先輩は?」
ミリーナは先輩であるヨシュアに報告する。お互い解っているが報告する側はにこやかにとは行かない。
「そうか、こちらも状況は良いとは言えない、まぁこの問題は前から上がっていた事だ。今更どうにもならないよ」
ヨシュアは自身が長く関わって来ただけに、その問題の難しさを理解していた。
「毎年、参加者が余り居ないですけど、駄目ですね賞品の魅力が落ちたのが一つと、彼がいますから」
自身の調べた事の結果を思い出しながら、ミリーナは溜息をつく。
「それは解っているよ、ミリーナ。けど、僕にとってはこれが最後なんだ、三年間の集大成でもあるんだ、
人は大した事とは思わないかも知れないけど、僕は何としてもこれを成功させたいんだ。」
会ってまだ短い付き合いであるが、彼はこの事を語る時はいつも真剣だ。
「はい、解っています。」
気持ちは曖昧ながらも、ミリーナは彼の真剣さに思わず返事する。
(解ってはいるんだけど……)
ミリーナは自身の課題の障害を思い浮かべる
(普通、誰が「激闘…鉄鍋レース」なんて物に参加したがるのよ……)
実行委員として、過激なイベントを行う経緯をミリーナは思い出そうとしていた。

ケティとゼータの問題の次の日、校内を歩いている途中ミリーナは男子生徒から声をかけられた。
「君、今度やるイベントに、一緒に実行委員に参加しないか?」
自身と似た赤い髪を持つ三年生に声をかけられて、ミリーナは少し動揺した。
彼女の友人ほどではないが、ミリーナは年頃の男性に声をかけられる経験が多いわけでは無い。
(口説いている訳では無いのよね……)
「あの私、1年何ですけど実行委員と何をするのですか?」
いきなりの異性からの勧誘に、ミリーナは少し興味を持った。
「今度やるイベントなんだけど、あまり人がいなくて困っているんだ、内容は参加者の募集を告知したり、
構内でみんなに知らせるような紙を張ったりするんだよ、後は設備を考えて配置する、
配置はメイドやここで働いている人達に手伝ってもらうんだ。そうだ、君の名前は?」
一通り説明を終えた後に、赤い髪の男が名前を聞いてくる。
「私はミリーナ・ド・エンベルファスと言います。あなたは?」
自身を紹介し、男の名前を聞く。
「僕はヨシュア・ド・メネスこのイベントの実行委員長だよ」
そう言って、ヨシュアは自己紹介する。
(ふーん、結構面白そうかもね……)
ミリーナはその内容を聞いて、更に興味が湧いた。
ミリーナ自身はそう言ったイベント等が嫌いではないし、学校に入った以上、
そう言った自身が何かをやりたいと言う願望は少なからず持っていた。
「すごいですね、私そう言った事やってみたかったんです。」
「本当かい、実行委員をやってくれるかい」
相当嬉しかったのか、ヨシュアがミリーナに握手を求める。
「はい、どんなイベントなんですか?」
自身の学校生活の第一歩の内容を聞く、
ミリーナはこれを機会に学園での人脈を広めるつもりでいた。
「うん、「激闘・鉄鍋レース」だよ」
「おかしいから、それ!」
彼が朗らかに言った単語の過激さをミリーナは真っ先に指摘した。


ミリーナが回想から現実に戻り、ヨシュアと別れた頃。ルイズ達は天気も良好である為、外で昼食をとっていた。
気候も少し寒い春を終えたこの時期は、外でのランチが評判良かった。
「なぁ、ここ最近、飯の味が落ちてないか?」
ダブルゼータが自身の食べていた鳥のソテーの感想を述べる。
「2皿も食べて言う事じゃ無いわよ、けど、味が少し違う気がするわね」
ダブルゼータの行いを否定しつつも、味が普段と違うと言う部分をキュルケが肯定する。
「二人とも失礼だぞ、マルトーさんが作っているのに」
ニューが、二人の感想を注意しながらも、出されたスープが先程から進んでいない。
(たしかに、いつものスープと少し違うな)
何度か飲んでいるだけに、マルトーの作る料理の味のレベルでは無い事に気づく。
「アンタ達に違いが分かるの?シエスタ、いつもの頂戴」
給仕をしているシエスタに、ルイズが自身の好物であるクックベリーパイを所望する。
それが一番の楽しみにあるせいか、この異変には興味が無いらしい。
「はい、ただいまお持ちします」
シエスタがパイを切り分け、全員に乗せる。
シロップにつけられたクックベリーが赤い宝石の様な輝きを見せ、
その下には卵黄、砂糖、小麦粉を混ぜたクリームが敷き詰められている。
クリームの甘い匂いと、クックベリーの匂いを引き立てる。
「ルイズではないけど、たしかにこれは美味しいよ」
ルイズの好物であるが、その味はニュー達も納得するものであった。
「……違うわ」
ルイズが一口食べて、違和感を口にする。
「ルイズ、如何したのだ?」
ニューがルイズの調子でも悪いのか聞いてくる。
「違うわ、これはいつものクックベリーパイじゃない!」
「何を言ってるんだ、ルイズ何時もと変わらないじゃないか」
ニューも何度も見ているので、ルイズの叫びが理解できなかった。
「だから、アンタは馬鹿なのよ、この馬鹿ゴーレム!」
ルイズが、ニューに指をさす。
「何が違うんだ?ルイズ、言いがかりだぞ」
味もさほど変わらないのか、ニューが抗議する。
「いい、クックベリーパイはクックベリーの酸味と程良い果物的な甘みと、クリームの柔らかい甘み、
そして、少し塩気の利いたパイが三位一体となって初めてクックベリーパイとなるのよ!」
ルイズが、ニューが見てきた中で一番強い口調で力説する。
「定義は解ったが、何が違うんだその条件は十分「甘いわよ」」
ニューの言葉を聞く暇もなく、ルイズがそれを否定する。
「まずはパイ、塩気が足りないわ!確かに強すぎると味が崩れてしまう、しかし、これはその加減を分からずに弱気を感じさせるわ!
次にクリーム、小麦を入れすぎよ!柔らかいと言うよりもむしろ固いわ!
最後にクックベリーのシロップ漬けこれが一番いけないのよ!本来の酸味がシロップが甘すぎて消されているわ!これではクックベリーパイを名乗れないわ!」
普通は分からないような事を、ルイズが一つずつ指摘する。
だが、そう言いながらもすでに一切れ食べ終えて、二切れ目に突入している。


(そんなに違うか?普通に美味しいのだが……)
「ルイズ、お前が好きなのは知っているが、それはもはや「さすがルイズ様!」」
ニューがさすがに呆れる横で、シエスタが口に手を当て驚いている。
「シエスタ、どうかしたのかい?」
ゼータがシエスタの驚きに戸惑いながら驚きの原因を聞く。
「……皆さんの言う通り、味が落ちていると言われても仕方ありません、なにせ、ここ最近はマルトーさんが厨房に居ないのです。」
シエスタが、いつも厨房を管理する料理人を思い浮かべながらその理由を述べる。
「何で居ないんだ?まさか、マルトーの親父に惚れた貴族が連れて行ったのか?」
ダブルゼータが勝手に推測し、モット伯の時とは比べ物にならない位怒り出す。
ダブルゼータにとって、ここの食事は楽しみであり、それを奪われたと感じ怒り出すのはある意味当然の権利とも言えた。
「違います、実はここ最近あるイベントの為に休暇を取っているんです」
「ああ、あのイベントね」
キュルケが何かを思い出したのか、マルトーが居ない理由に妙に納得する。
「ん?この時期何かあったけ?町のお祭りはもう少し先よ」
ルイズは合点いかないのか、細い首をかしげる。
「シエスタ、そのイベントとはなんだい?」
二人の反応を見ながら、ニューがシエスタにイベントを聞く。
「はい、「激闘・鉄鍋レース」です」
「なんなんだ、それは!?」
シエスタの言葉から出てきた、イベントには程遠い過激な単語にニューがその点を指摘する。
「ニューさん達の所には無いんですか?「激闘・鉄鍋レース」?」
「当たり前のように繰り返さないでくれ!スダ…ドアカワールド全土を探したってそんな物は無いよ!」
おおよそ、自身の人生で初めて聞いた単語を当たり前のように範唱するシエスタを全力で否定する。
「ああ、そう言えばこの時期だったわね……」
やっと思い出したのか、ルイズも納得する。
「なんだ、ここでは珍しくないのか?」
「珍しいわよ、一部の貴族が運営して平民が手伝うのよ、こんな事やるのはこの学院だけよ!」
ルイズにとっても非常識なものに感じるのか、ニューの意見を否定する。
「それで、マルトー殿とそのレースとどういった関係があるんだ?」
(そのイベントの炊き出しでもするのか?)
ゼータにとってはこの二つの共通点が分からなかった。
「それはなぁ、この俺が「激闘・鉄鍋レース」の5年連続チャンピオンだからだよ!」
ゼータの疑問に応えるように、その場に一番現れて欲しい人物が現れる。
「親父!何だ、その格好は!?」
現れたマルトーの格好を見て、ダブルゼータが驚く。


マルトーの格好は唯の私服であるが、その背中には巨大な鍋が括り付けられて、両腕で同じような鍋を持っていた。
その光景はいろいろな意味で唖然とするものであり、その場の空気はルイズ達の居る場所に注目が集まる。
「当然、鉄鍋レースに向けての特訓だよ、この時期になると特訓期間で俺が居ないんだ、味が落ちるのは勘弁していくれ」
手に持った鍋を地面に響かせながら、マルトーが弟子の未熟を謝罪する。
よく見ると、長時間の訓練の後なのか全身を汗と蒸気でサウナの様になっている。
「マルトー殿はその鉄鍋レースの為に休暇を取っているのか?」
呆れながら、ゼータが聞く。
「当然だ、5年連続チャンピオンとして、王座防衛に余念はねぇ!」
マルトーが仁王立ちで、自身の絶対を現す。
自身の特訓と日ごろの肉体労働で、マルトーの腕は彫刻の様に太かった。
「あなたが強すぎるから、カルチョが盛り上がらないのよね……」
去年、マルトーの余りのオッズの低さに、参加を拒否した事をキュルケは思い出す。
「……で、そのレースってのはどんなんだよ?」
ダブルゼータが内容を知らない為に近くのシエスタに概要を聞く。
「鉄鍋レースは十年前に、ある美しい貴族の娘に恋をした男達を誰にするか選ぶために、その娘が条件に出したのが由来です」
「なんか、迷惑な女性だな……」
そのレースを考えた女を、この間自分を図った少女に姿を重ね、ゼータがひとり頷く。
「もちろん、そんな条件を飲む貴族はいませんでした」
「いや、正解だと思うよ」
ニューが当時の貴族たちの判断の正常さを評価する。
「けれど、そんな中、この学園で働く一人の平民がその挑戦を受ける事にしたのです」
なぜか、嬉しそうに手を組み合わせて、シエスタが続ける。
「いつの時代も、馬鹿な平民が居るものね、貴族と結婚できる訳ないじゃない」
ルイズがその平民の行いを愚行だと思いながら、2切れ目を食べ終える。
「トリステインではそうかも知れないけど、ゲルマニアなら可能よ。シエスタ、続けて」
キュルケはシエスタに続きを促す。
「ルイズ様の言う通り、その行いを笑い挑戦した時には沢山の石が投げられました。
しかし、その平民はその鍋を盾にして石の雨を潜り抜け見事、その娘の許に着いたのです」
右手を光の方に向け、演技をしている女優の様にシエスタが語る。
「貴族たちは、娘が平民を選ぶ訳がないと思いました。
しかし、「彼は私の為に石の雨の中を潜り抜けてきました。私は彼を選ぶ事にします」と言い、
貴族の娘は親の反対を押し切りその平民と結ばれたのでした」
舞台が終わりを告げたのか、シエスタの動きがクライマックスから一気にフィナーレへと移行する。
そして、語り終えた後、エプロンをつかみ優雅に一礼する。
その様子を見ながら、周りの者達はまばらな拍手を送った。


「ありがちな話だな、娘の出した条件以外は……」
拍手を送りながらも、ニューは心の底からその二人を祝福する気にはなれなかった。
「本当よね、いい話に見えた喜劇じゃない」
ルイズもニューと同じ気持ちの様であった。
その話を頷きながら、マルトーが話を切り出す。
「そいつは悪かったですね、まぁ、その名残で男達が好きな女が待つ所に鍋を持って走るんだよ、お前達は出るのかい?」
「出ませんよ、そんな危険なレース」
ニュー達が呆れながら参戦を拒否する。
「安心しろよ、今は割れやすい動物の皮に水を入れて、投げるだけだからよ!」
俗に言う水風船を当てるようになった事で安全性を強調する。
「安全とか関係なくて、言ってんだよ!そんな事やってないで「ダブルゼータ、あなた出なさい!」何い!?」
珍しくマルトーを諭そうとしたダブルゼータを、キュルケが遮り参戦の命令を出す。
「この大会は優勝賞金500エキューと旅行付き、今年はアルビオンだけどそれでも出場する価値はあるわ!」
キュルケは何かを勝手に計算し、勝算ありとみているらしい。
「逃げるのかダブルゼータ、この学院のチャンピオンなんだろ?」
マルトーがダブルゼータを右手で挑発する。
「……親父、厨房に戻りな特訓の必要はないぜ、この俺が参戦するんだからよ!」
ダブルゼータが立ち上がり、参戦の表明とマッシブなポーズを取り出す。
(単細胞め……)
ダブルゼータに対する感想を、5人が心の中でハモらせる。
「ゼータ、お前はどうなんだい?」
「下らない、ダブルゼータでないですけど、怪我はしないで下さいね」
ゼータが参戦を問われ呆れながら、紅茶を口にする。
マルトーはそれを見て、不敵に笑いカードを切り出す。
「ほう、さすがは騎士様だ、戦場から逃げる事は一流の様だな」
「そうだゼータ、引っこんでろ!」
マルトーが挑発し、ダブルゼータが無意識に追い打ちをかける。そして、それは彼の参戦を促すのには充分であった。

「貴様ら……よかろう、私も参加しよう。貴様らのその口黙らせてやるわ!」
ここに、もう一人の参戦が決定した。
(直情一直線バカ)
4人が再度同じ評価を下す。
「アンタ達って、本当に馬鹿らしいわね。ニュー、アンタは挑発になんか乗らないでよ!」
先程のやり取りが馬鹿らしかったのか、ルイズがニューに釘をさす。
「ほう、貴族様は平民に負けるのが怖いんですかねぇ?」
「今、なんて言った?……」
ルイズにとっては聞き流せない事を、マルトーが耳に届ける。
「いえ、いつもふんぞり返る割に平民に恐れをなすなんて、さすがはヴァリエール家ですねぇ……」
マルトーがいやらしく、笑いを残す。
本来はその場で首を切られかねない暴挙だが、マルトーには確信があった。
「ふざけるんじゃないわよ!平民がヴァリエールの名前を出すなんて100年早いわ!
ニューあんたも参加しなさい、この際だからキュルケやタバサの使い魔より優秀ってところを見せてやるのよ!」
ここに、三人目の挑戦者が現れた。
(ガキ……すべてが)
3人が、今までと変わらない評価をさらに強める。
「何やっているんだ、お前は……」
今更ながら、ニューがルイズの行動に単純さに呆れる。
それに構う事は無く、場は既に、4人のにらみ合いの様相を呈していた。
「結局、いつものメンバーが出る事になりそうね……」
紅茶を飲みながら、ある意味予想通りの展開をキュルケが眺めていた。
「待ちたまえ、君達!その勝負、僕も参加するぞ!」
ルイズ達4人のにらみ合いに、一擲を投じるような声が響き渡る。
「ギーシュ!あなたも参加するの!?」
金髪の少年の参戦に、キュルケも驚く。
「もちろんだとも、キュルケこれは神聖な愛の戦い、
君達みたいな功名心やちっぽけなプライド、欲の為に戦う物ではない。このギーシュ、薔薇に誓う」
意外な参戦者に冷えかけた場が熱を取り戻す。
「いいぞ、ギーシュ!」
「貴族の力見せつけてやれ!」
「ダブルゼータ、貴様の天下もここまでだ!挑戦代100エキュー返せ!」
他人事なので、好き勝手に周りの貴族たちが声援を送る。
「いいじゃない、アンタ達なんか返り討ちにしてあげるわ!」
「おもしれぇ、みんな纏めて叩きつぶしてやる!」
「騎士を侮辱された償い、甘くないぞ」
「君達に、貴族の力と恐ろしさを教えてあげるよ」
「このマルトーに挑もうとは恐れ知らずなガキどもだ」
各々がかつてないほどの気迫で、意気込みを語る。
広場は久しぶりに熱気に包まれていた。
「馬鹿ね……」「馬鹿だな……」「馬鹿ばっか……」
当事者たちに近い三人は冷静に感想を述べた。
その様子を一人の少女が眺めていた。
「神様、始祖ブリミルよ……感謝いたします!」
ミリーナにとってまさにその光景は天恵とも言える物であった。


「……なんて事なのね」
その様子を上空から見つめるシルフィードがいた。
「あの青トンガリ!お姉さまの使い魔のくせに愛の為の戦いだなんて!」
ゼータ参戦の理由よりも、このレースの由来とギーシュの言葉だけがシルフィードの心を捉えていた。
「許せないのね、あの青トンガリ使い魔の分際で!……アイツの体で爪をそぎ落としてやるのね!」
そう言いながら、興奮してシルフィードは高速旋回をしていた。

人は神という何かに感謝する事がある。
コルベールは自身の発明を見せたが今日も生徒達の反応はいま一つであった。
「ミスタ・コルベール!」
午前の授業が終わり、コルベールはある一人の生徒に声をかけられた。
「おや、あなたはミスタ…メネスでは無いですか、どうかしましたか?」
コルベールはあまり声をかけられた事の無い生徒に声をかけられ、
「ミスタ・コルベール今日の授業の事なんですが」
「おおっ!アレの事ですね、興味を持ってくれましたか?」
「はい、誰でも使えると言うところが特に興味を持ちました。」
ヨシュアにとってコルベールの発明は神の啓示にも見えた。
「素晴らしい、私の発明の着眼点を一目で見抜くとは、どういった所を知りたいんだい?」
「はい、それなのですが……」
そう言って、話をしながら二人が歩き出す。
(ミリーナ、こちらは目処が立ったよ。)
自身の長年の課題に決着がついた事で、彼の表情は至福の一言であった。

人は何かしらの思惑を持って生きている。

ゼロの騎士団-外伝 「激闘…鉄鍋レース」 前編

「21.5お姉さまの為にアイツを亡き者にしてやるのね」
風竜 シルフィード
人語を理解する。
HP 870

青い竜が跳ぶ、吼える。
咆哮が唸り、ブレスが吐かれる。
鉄の爪が奴の体をこじ開ける。
炎の向こうに待ち受ける、ゆらめく敵は奴だ。
いま、解きあかされる、「黒い三年生事件」の真相。
いま、その正体を見せるコルベールと使い魔の真の姿。
次回「逆襲」。
シルフィード、牙城を崩せ。


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