あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ラスボスだった使い魔-17b


(あ、何だか久し振り、この夢……)
 ルイズは、夢の中にいた。
 とは言っても、いつもの『仮面を被った誰か』の夢ではなく、昔から良く見る夢である。
 ラ・ヴァリエールの領地。中心に小さな島がある、中庭の池。
 自分の『秘密の場所』。
 叱られたり、落ち込んだり、悲しかったりした時に、ひっそりと一人でその痛みを癒すための―――
(でも……)
 小船の上で寝転びながら、ルイズは胸を痛める。
 いつも夢の中で自分を慰めてくれた人は、自分を裏切った。いや、自分だけならまだ良い。あの男は姫さまを、ウェールズさまを、トリステインを裏切ったのだ。
 もう自分を慰めてくれる人はいない、とルイズは涙を流す。
 ……と、誰かが小船の上にいることに気がついた。
「誰?」
 顔はよく見えないが、白衣を着ているということは分かった。そして銀髪であるということも。
 その男はルイズに近付き、そっと彼女を抱え上げようとした。
「あ……」
 何するの、と怒鳴ろうとしたが、どうにもそんな声が出て来ない。
 そのままルイズは彼の手に身を委ねようとし、そして近付く男の顔がハッキリしてきたところで、

 ザアッ!!

(え?)
 風景が一変する。
 静かなラ・ヴァリエールの森と池は、見たこともない高い塔と石造りの道に。
 更に、銀髪で白衣の男は消えていた。
(え、え、え?)
 ルイズが混乱していると、彼方から物凄いスピードで『巨大な何か』が接近してくる。
(な、何なの!? ……で、でも……)
 一瞬で自分のいる地点にまで飛行してきた『巨大な何か』の全容を見て、ルイズは溜息をついた。
(きれい……)
 その身を形作るのは、美しい白銀の鋼。羽ばたく鳥を思わせる形をしており、どこか神々しさも漂わせる巨人。
 美しい。それ以外に形容する言葉が思い浮かばない。
 ルイズがぼんやりと『それ』に見とれていると、更に別方向から『新たな何か』が現れた。
(!?)
 身体は闇黒を連想させる、深い藍色。まがまがしさと威圧感を漂わせ、まさに『魔神』という単語が相応しい巨人。
(こ、怖い……)
 『闇の魔神』には、それ以外の感情を感じない。
 そして、『美しさの化身』と『恐怖の化身』は対峙し……『恐怖の化身』が、『美しさの化身』に向けて話しかけた。

「ほう……これは……サイバスターじゃありませんか。まさか地上で出会えるとは思いませんでしたね」

(い、一体、何なのよ~~!!?)
 ―――もはやいちいち感想を抱く暇すらない、怒涛の情報の奔流が、ルイズを翻弄していく。

「あなたはマサキ・アンドーですね? それともランドール・ザン・ゼノサキスとお呼びした方が良いですか?」
「俺の質問に答えろ!! 何で貴様はサイバスターを知っている!?」
「私もラングランの人間だからですよ。……私の名はシュウ・シラカワ。もっとも、これは地上での名前ですけどね」

「あれが、サイバスターに選ばれた操者……やはり、私では無理だったわけですか。
 しかし、ラ・ギアスもなかなか楽しくなって来たようですね」

「クリストフ……その名で呼ばれるのは久し振りですね。しかし、今の私は、クリストフ・グラン・マクソードではありません。
 強いて言えば、クリストフ・ゼオ・ヴォルクルスになりますが……」
「ヴォルクルス……だと……まさか、邪神徒になり下がったのか、クリストフ!!」

「あなたは、剣術師範のゼオルート大佐ですね? およしなさい、無駄なことは」
「……あなたの気、邪悪すぎますよ、クリストフ。何があったかは分かりませんが、野放しには出来ませんね」
「……ムダに命を散らすこともないでしょうに」

「まさか……あのゼオルートが……」
「お……お父さんが……お父さんが死んじゃったの? ウソ……だよね? そんなわけないよね?」
「……ウソだろ? あのおっさんが……こんなにあっけなく逝っちまうなんて……」
「フ……人の死など、全てあっけないものなのですよ。そして、死こそがあらゆるものに対して公平なのです」

「あなたが勝てる確率は、万に一つもありません。なのになぜ、そうムキになってかかって来るのです?」
「確かにそうかもしれねえ……けど、それじゃ俺自身が納得出来ねえんだよ!!」
「やれやれ、そんな下らないプライドのために命を落とすつもりですか。愚かな……」

「バカな……あのマサキに、精霊との融合が出来るとは……」
「や、ヤバくありませんか、御主人様?」
「……いえ、本来の能力が引き出されたサイバスター……一度は戦ってみたい相手です」

「くっ……これほどとは……残念ですが、今のサイバスターは無敵……ということですか……。
 仕方ありません、ここはおとなしく引き下がりましょう……マサキ、見事でしたよ」

「遅かったですね、マサキ……全ては終わりましたよ、たった今ね」
「こ……こんな……。
 シュウ……てめえっ!! てめえがやったのかっ!!」
「私ではない、と言ったところで、あなたは納得しないでしょうね。あなたには事実より真実の方が大切なようですから」
「きっさまぁぁぁぁぁっ!!!」
「あなたの相手をしていては、身がもちませんからね。それに、私はこれから地上で一仕事してこなければなりません。
 あなたのお相手をしているほど、暇ではないのですよ。では、私はこれで失礼します」


 ―――分岐点発生。
 3パターンに分岐している並行世界より、指定された世界へのサーチを開始。
 ………………座標検出、成功。
 引き続き、『シュウ・シラカワ』を軸とした世界の探知を開始。


「ようこそ、私のオフィスへ。あなたがクスハ・ミズハ君ですね?」
「そうです」
「私はDC日本支部の責任者……シュウ・シラカワです。そして、こことテスラ研、連邦軍極東支部とで進められているスーパーロボット開発計画……通称、SRX計画のオブザーバーも務めています」

「なかなか勘の良い子でしたね……ケンゾウ・コバヤシ博士が見込んだだけのことはあります」

「……これからの我々の行動には4つの選択肢があります。
 まず、一つ目は地球を捨て、太陽系から脱出すること……。
 二つ目はロンド・ベル隊やSDFが力と恐怖で地球圏を一つにまとめ、異星人と戦って勝つこと……。
 三つ目はエアロゲイターに降伏すること……。
 そして最後は何もせず滅亡を待つことです」
(もっとも、五つ目の選択としてNervの人類補完計画もありますが…)

「私の目的は……複合するゲートを開く者を、抹殺することですから」
「それは、ヴォルクルス様への不必要な干渉を止めるために……ですね」
(……急がねばならない……何故かは分かりませんが……。しかし、このもどかしさ……何なのでしょう……)

「シュウ! 貴様、こんな所に!!」
「ほう……マサキですか。これは奇遇ですね。一匹狼を気取っていたあなたが、いつから群れをなすようになったのです?」
「貴様こそ何を考えている!? 何が目的で地上に現れたんだ!?」
「話したところで、私の考えがあなたに理解出来るとは思えませんがね……」

「グランゾンとアストラナガンが全力で戦えば、『この宇宙』を消滅させることになりかねませんからね……。
 私と彼は、そういう愚かな選択をしなかっただけのことです」

「力ある者がラプラスコンピューターを手にすれば……因果律を操作することが容易になるでしょうね。
 つまり、この世の全ての事象の原因と、結果の関係を予測するだけでなく……直接的にも間接的にも操れるということです。
 そして……それが可能な者は、神のような存在であると言えるでしょう」
「じゃあ、■■■■は神にでもなるつもりか?」
「……まさか。人は神にはなれませんよ」

「フフフ……事象の地平を超えられたのはあなただけですか、■■■■■■■■■……」
「……この宙域は一連の因果律……そして、時間軸と空間軸もが複雑に絡み合っている……。
 クロスゲート・パラダイム・システムが完成していなくても……因果の鎖をたどり、量子波動跳躍を行えば、事象の地平の向こう側から抜け出すことは可能だ……」

「この亜空間に入り込んだ時点で、あなたの命運は尽きました。
 今から私があなたの帰るべき世界へ案内してあげましょう……」
「フッ……私には見えるぞ。お前の背後には邪悪な意志が存在している……」
「……何人たりとも私を束縛することは出来ないのです。それが例え……神であっても」


「あなたはイージス計画がどうなってもいいと思っているのか?
 今は僕たちがあの計画を継続させているから何とかなっているものの……下手をすれば、全人類が死滅することになるんだぞ!」
「……私は今、生けにえを必要としています。あるモノが復活するための生けにえをね……」
「あるモノだと……? まさか……」
「そのためにゲートを開こうとしているのか!?」

「お気づきの方も多いでしょうが、私はあなたたちを利用していたに過ぎません。このグランゾンのテストを行いながらね……」
「利用……僕たちを利用して、エアロゲイターの■■■■■■■■■を倒すことが目的だったというわけか……」
「……私の目的はもう一つあります。それは、この世界を本来あるべき姿に少しでも近づけることです」
「世界の……本来あるべき姿!?」
「そうです。既にこの世界は、歴史が大きく変貌してしまっていますからね」
「どういう意味だ、シュウ!?」
「今の我々は、本来とは別の時間の流れへ入っています」
「な、何…!?」
「私とあなたの例を挙げれば、私たちが初めて地上で顔を合わせた前後から、歴史の流れが大きく変わって来ているのです」
「地上で初めてお前と会った時……? それって……バルマー戦役が始まる前のことか!?」
「そうです。そして、その後の出来事は本来とは違った形、時間で発生しています」
「じゃあ、クリストフ……この世界は間違った形で存在しているとでも言うの!?」
「本来の歴史や世界ってのは……いったい何なんだ!?」

「シュウ! てめえっ!!」
「……その言葉遣い、直りませんか? 下品ですよ」
「うるせえっ!! 何でこんなことをする!? 何の得があるってんだ!」
「損得でなどではありませんよ。私は、私の心の命じるままに、行動しているに過ぎません」

「最後に一つだけ聞いておこう。シュウ・シラカワ……お前の真の狙いは何だ?」
「シンクロンシステムを操るあなた方なら、分かっていただけるかと思っていましたがね」
「……並行宇宙への過度の干渉は危険だ。下手をすると、全てが無に帰してしまうぞ」
「だからこそ、私はあなた方の存在を消去してこの世界に安定をもたらすのです」
「貴様の行為が、世界の破滅の引き金となることを知っての上でか!?」
「ククク……もちろんですよ」
「やれやれ……俺ちゃん、あーゆー風に何考えてるかわからない奴も苦手なのよね」
「アイツがどれだけ偉いか知らないが、他人に犠牲を強いるやり方は認められねえな」
「ああ。そいつぁ悪党のやることだぜ!」
「キッド、ボウィー、お町! あの男の始末、J9が引き受けた!!」
「OK!」
「悪党には情け無用のJ9、お呼びとあらば即参上ってね!」

「サイバスター……俺のプラーナを…いや、俺の命をお前にくれてやる……! 俺はどうなろうと構いやしねえ……だがな、奴だけは……奴だけは生かしちゃおけねえんだ!!」
「………」
「……俺がもっと早く奴の正体に気付いていれば……今までの悲劇は起きなかった……!
 ……俺は……もう後悔したくねえ。あんな想いは……あんな想いはもうたくさんなんだ!!
 だから、サイバスター……俺は全身全霊をかけてシュウを、ネオ・グランゾンを倒す!!
 俺を操者として認めてくれるのなら、俺に力を貸してくれ、サイバスター!!
 ―――――うおおああああっ!!」

「み……見事です……このネオ・グランゾンをも倒すとは……。
 これで、私も悔いはありません……戦えるだけ戦いました……。
 全ての者はいつかは滅ぶ……今度は私の番であった……それだけのことです……。
 これで、私も……全ての鎖から解き放たれることが……でき……まし……た……」


「私は……私の名は……シュウ。シュウ・シラカワ。
 そして、あなたはルオゾール……ルオゾール・ゾラン・ロイエル……。
 ですが……なぜ私はここに? ここはどこです?」
「無理もございませぬ。あなた様は一度、死んでおられるのですからな。我が蘇生術と言えど、完全に元には戻せませぬ」

「私のことまで忘れられてしまうなんて、あんまりですわ。
 あなたと二人で過ごした、あの甘い夜のこともお忘れですの?」
「サフィーネ様っ! いいかげんなこと言わないでくださいっ!」
「あら、チカ、いたの? でも、あなたに人のことが言えて?
 どうせあなたのことだから、貸しもしていないお金を返してくれ、なんて言ったんじゃない?」
「そ、そ、そそそそんなことないですっ!!」

「ああ……!! お会いしたかった!! これでもう、私は思い残すことはありません!」
「さあ、私と一緒にここから脱出しましょう」
「はい、シュウ様とならば、どこまでもついて行きます」
「文法が変ですよ、モニカ」

「生きてやがったとはな……だが、ここで会ったが百年目! 今度こそ逃がさねえ!!」
「……この下品な物言い……思い出せそうなのですが……」
「なにワケの分かんねえこと言ってやがる!! 俺のことを忘れたとは言わせねえぞ!!」
「……残念ながら、本当に覚えていないのですよ」
「なん……なんだと!? ま、まさか……記憶喪失!?」

「い……今……ヴォルクルス様の名を……」
「ああ、呼び捨てにしたことですか?」
「そんな……ヴォルクルス様と契約を結んだ以上、逆らうことなど……」
「……あなたのおかげですよ、ルオゾール。
 あなたの蘇生術が未熟だったおかげで、私のヴォルクルスとの契約の記憶が消されたのです」
「ま……さか……」
「安心なさい、ルオゾール。ヴォルクルスはちゃんと復活させてさしあげますよ。あなたの命でね」
「……ヴォルクルス様を……ふ……復活させ……どう……とい……だ」
「ヴォルクルスは、私を操ろうとしました。
 ……私の性格は知っているでしょう? 自由を愛し、何者もおそれない……。それが私の誇りでした。
 それが……あの忌まわしきヴォルクルスとの契約で……私の自由は奪われ……。
 ……この世界で、私に命令出来るのは私だけなのです……!
 ヴォルクルス……許すことは出来ません。この手で復活させ……この手でその存在を……消し去ってあげますよ……!」
「おお……お……れおおい…そ……」
「苦しいですか、ルオゾール? もうロクに話も出来ないようですね。
 ……そう、楽には死ねませんよ。あなたのその感情が、復活のカギなのですからね」

「とうとう出ましたね……ヴォルクルス……長かったですねえ……」
「……ワガ…ネムリヲ……サマタゲ……ヨビオコシタノハ、オマエ……タチカ?
 ホウビヲ、ヤレネバナランナ……オマえたちの、のぞむもの……それは……死だ!!」

「た……たかが人間の分際で……この神である私を……倒すと……いうのか……」
「何が神です? あなたも所詮、太古に滅びた種族の亡霊にすぎません。亡霊らしく、冥府へと帰りなさい」
「私は……わたシハ……シナン……ワタシハ……オマエタチ……ダ……オマエ……タチノ……ミ……ライ……」
「……たとえ本当の神であろうと、私を操ろうなどとする存在は決して許しませんよ」


「シュウ!? 何でてめえがこんな所に!? このデモンゴーレム、てめえの仕業かっ!?」
「……ふう。やれやれ、久しぶりに会ったというのに、挨拶がそれですか」

「……マサキ、あなたは変わりましたね」
「そ、そうか?」
「ええ、良くも悪くも。昔のあなたは、そこまで考えてはいませんでした」
「昔のって……御主人様、記憶、戻ったんですか?」
「ええ、かなりね。……しかしマサキ、あなたの変化はまだ過渡期でしょう。今のあなたは、大義に縛られすぎています。
 真の魔装機神操者となるのなら、心のおもむくまま、感情の命ずるままに動き、それでいてあやまたない……。
 その境地を目指さなくてはなりませんよ」
「ちっ、お説教かよ」
「……まあ、今に分かるようになりますよ。私の言葉の意味が……ね」

「……物事はストレートに表現しすぎると、下品になるということを覚えておいてください、マサキ」
「うっせい。上品ぶったのはキライなんだよ」

「これはこれは……ようこそお越しいただきました。マサキ殿にシュウ殿。歓迎いたしますぞ」
「まったく、まだ生きていやがったとはな……くたばりぞこないが!!」
「あなたが何をたくらんで、何をしようとかまいませんが……私の邪魔をするとなれば、話は別です。
 もう一度、今度は復活さえも出来ないように、原子のチリに還すか、事象の地平に追放して差し上げましょう」

「こ、これは……ヴォルクルスの……」
「左様、ヴォルクルス様の波動です。そしてあなたは、かつてヴォルクルス様と神聖な契約をかわされた。
 消えていた記憶が戻る……つまり……」
「何だとっ!? おい、シュウ!!」
「くうっ……ま、まさか……私を、この私を再び操ろうと……」

「シュウ!! お前が求めていたのは何だったんだ!?
 こんなバケモンに操られて、それでよく俺に偉そうなことが言えるなっ!」
「くっ!! マ、マサキ……私があなたに劣ると……」
「現にてめえは、こんなヤツに操られてるだろうが!! 情けねえぜっ!!」
「ううっ……い、言いたいことを言いますね……」
「そう思うなら、なんとかしろってんだよ!!」

「ククク……マサキ……あなたの言葉、ヴォルクルスの呪縛より効きましたよ……」
「な……なんと!?」
「ルオゾール……たかが死人の分際で、私にこのような屈辱を味合わせるとは……許せませんね……」
「正気に戻ったか、シュウ!!」
「ええ……おかげ様でね。マサキ、感謝しますよ」

「ば……バカな……ひ、人の身で神に逆らおうとは……そのような……そのようなことが……うおおおおっ!!」
「ふ……愚かな……」
「神だと……神がどうしたってんだ! 生きてる俺たちの方が、神なんかよりよっぽど大事だぜ!」

「シュウ、お前、これからどうするつもりだ?」
「……それは、あなたにもお聞きしたいですね。あなたはこれからどうするか、考えているのですか?」
「俺か? 俺は……どうするんだろ?」
「私も同じことです。先のこと、全てを見通せるわけではありません。神ならぬ、人の身ですから」


「う、う~ん、う~ん、ぼるくるすが、ぼるくるすが、ぐぉお~って……」
「……なんかうなされてるなあ、ルイズ……」
「起こしてあげた方が良いかしら……」
 『こーげきとは、こーするものです』とか『ぶ、ぶらっくほーるくらすたー、はっしゃー』とか意味不明なことを呟きながら、ルイズはウンウンとうなされていた。
 見かねたキュルケがルイズを揺さぶろうと近付くが、
「? ……タバサ、何で止めるのよ?」
 タバサに肩を掴まれて、止められてしまう。
 ……キュルケの肩を掴んだまま、タバサは無言で首をゆっくりと横に振った。
「これは、彼女が自分の力で乗り越えるべき」
「そう……ね」
 その言葉に、キュルケは少し痛ましそうにルイズを見る。
「辛いことが沢山あった、この旅だったけど……。あなたには頼もしい使い魔がついてるんだから、安心しなさい」
 ルイズが魘されている原因を完全に誤解していたが、それでもキュルケはルイズに優しく微笑みかけていた。
 しかし主人がうなされていると言うのに、横で黙って沈黙を続けるこの使い魔は本当に大丈夫なのだろうか……と、不安になる。
 それにワルドと何か話していたようだったが、一体どんなことを話していたのだろうか?
「……あなたにはなすひつよーはないでしょー、まさきー……」
 トリステインに到着するまでは、まだまだ長い時間が必要であった。


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