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ゼロの黒魔道士 幕間劇-01


二人の男がおったとさ

一人は銀髪、一人は青髪

二人の男がおったとさ

一人は作られし存在で、
虚構の城に立てこもり、
世界を変えると意気込んで、
世を混乱に陥れ、
数多の命を奪いけり

   一人は無能と蔑まれ、
   豪奢な城の主となり、
   実の弟の命を奪い、
   その妻子をも苦しめて、
   狂えし王と囁かれり

一人は命もつきかけて

   一人は命を絶ちたくて

光の鏡に

   召喚の扉を

入ったそうな

   開いたそうな


―ゼロの黒魔道士―
~幕間劇ノ一~ Obey Me, or Defy Me ?


一人の男は困惑の顔

   一人の男は驚愕の顔

一人の男はその手を月光にかざす

   一人の男はその手で顔を覆う

「――…どういうことだ?」
一人の男は困惑の声

   「――…くはははは!こいつはいい!本当に死神が現れた!」
   一人の男は狂った笑い

「死神?そう呼ばれるのは久しぶりだねぇ……それで?君は誰かな?」

   「くははははは!この俺が!無能の俺が!死神を召喚したぞ!さぁ、俺を殺せ!」

「やれやれ……つまり、君がこの僕を呼び寄せ、黄泉返らせた、とでも?」

   「なんだ?貴様、死人だったのか?俺が?弟を殺した俺がお前を現世に戻したと?傑作だ!」

「質問の答えになってないようだ……もう一度聞こう、君がこの僕を喚んだ、それでいいかい?」

   「あぁ、そうさ!死人よ!この俺がお前を喚んだ!光る鏡を越えただろ?それが何よりの証だ!」

「――…なるほど、すると君は死人の魂を喚ぶ悪魔の類というわけかな?」

   「悪魔?くははは!それはいい!あぁ、そうさ、俺は悪魔さ!始祖を恨む悪魔さ!」

「――…悪魔とはいえ、この命を永らえさせてくれたことには感謝しよう…それで?望みは?」

   「望み、だと?ふん、そんなものは、決まっている!俺を殺せ!現世に求むる物など何も無い!」


一人の男は直感する
こいつは自分に似ていると
運命を恨み、それに抗い、全てを壊そうとした自分に

男自身は、憎んでいた弟に諭され、
全てを許容し、自分の持つ物を全て妹に与えることで贖罪とし、
命運尽きたと砂上の楼閣で果てるはずだったのだが、
何の運命かこの男に喚ばれた……ならば……


「そうか…でも、バカバカしくないかい?僕を喚びよせた悪魔殿?」

   「バカバカしい、だと?ふん、貴様に何が分かる!いいから殺せ!」

「そうさ、運命を恨むなら、運命に抗えばいい!貴方にはまだその力があろうに!」

   「力、だと!?無能と呼ばれ続けたこの俺に、力だと!?冗談にしても笑えんぞ!」

「ハハハハハ!お笑い種だねぇ、悪魔殿!この僕を喚んだ、君が無能だと?」

   「あぁ、俺は無能さ!始祖を恨んでも、何もできず!弟を恨んで、それを殺し!俺は…無力だ!」

「――…何も成さずに、さえずるんじゃないよ、悪魔殿」

   「何を言う!貴様に、貴様なんかに、俺のことが…――」

「運命に抗わずに、殺せ、だ?ふん、そんな醜い命に興味は無いね!」

   「ほう、貴様、この俺の命が醜いだと?奪う価値すらないとでも?」

「貴方は運がいい…――かつて運命に抗った男、しかも一度失敗した男がここにいる…」

   一人の男は直感する
   こいつは自分に似ていると
   運命を恨み、自分を生んだ者を恨み、全て棄ててしまいたいと思った自分に

   男自身は、憧れだった弟を殺し
   全てを憎み、自分の持つ物をいずれ全て姪に与えることで贖罪とし、
   命運果ててみろと豪奢な城で戯れに召喚の扉を呼び出したのだが…
   何の運命かこの男を喚んだ……ならば……

   「――…貴様の失敗談から学べ、とでも?死人殿」

「そうは言わないさ、命続くならば抗うのもいいんじゃないか、というささやかな提案さ」
一人の男が妖艶の笑み
自分と似ているこの男
ならばその運命を救おうと

   「――…くはははは!!気が変わった!お前、俺の使い魔になれ!新しい遊戯を始めるぞ!」
   一人の男が豪胆な笑み
   自分と似ているこの男
   ならばその運命を賭けようと

「ほう?遊戯?」

  「あぁ、忌まわしき始祖様の仮面を剥ぐ遊戯だ!おもしろいぞ!6000年分の恨みをこめて遊んでやる!」

「おもしろい…ならば手伝いましょう…あなたの見せる舞台に美しい華をそなえましょう……」


二人の男がおったとさ

一人は銀髪、一人は青髪

どちらも運命を恨んでた

二人の男がおったとさ

―――

   「どうした?何かおもしろいことでもあったか?クジャよ」

それから月日は流れ、

チェス盤の駒も増えていく

「いやいや、少々思い出し笑いを。あの夜もかように月が輝いていたかと」

   あの日、運命に惑わされ、屈し、果てようとした男が、

あの日、運命に操られ、悔い、果てたはずの男が、

出会ったその日から幾星霜

   「やれやれ、そんな詩的な表現を使われちゃ、誰が俺の愛人か分からなくなる」
   王がにこやかに苦笑する。詩的な表現は少々腹が立つが、この男の報告はいつも楽しみなのだ

「おや、貴方のチェス・パートナーはこの僕だと思っておりましたが?」
男はいつもどおりの怪しい笑み。王を理解しているのは自分に他ならぬと確信している

   「ふん、それで?アルビオンのルークが落ちる報告か?既にお前に任せたはずだが?」
   今年度の農作物の収穫量予想に関する書類を脇へどける。所詮面白みの無い数字の羅列だ

「フフ、そのルークを狙うビショップ共が、トリステインで新たな駒を見つけたようでね」
城壁を狙う僧共。それはまさしくアルビオン王城に攻め入らんとするレコン・キスタのこと

   「ほう?エルフとの厄介なゲームよりも大分おもしろくなってきているな?虚無か?」
   聞かぬともわかることをあえて聞く。本当に残念そうな顔をする。王は遊戯が好きなのだ

「しかも両方だよ!いや、実際は片方は女王自身とそのナイト、もう片方は、そう女王を守る女ナイト、といったところか」
男は暗喩を続け笑みを一層妖しくする。この男にとって、世界は舞台。自分はそこに華を添える脇役と心得ている

   「女ナイトだと?おいおい、新しい駒だな!どういう動きを見せるんだ、そいつは?」
   王はいよいよ身を乗り出す。その表情はかつて死を望んだ廃人ではなく、まさしく悪童と呼べるもの

「ナイトではなく、正確には盗人なんだがね!被りし仮面は“土くれ”で、その中身はサウスゴータの元貴族!」
男は華々しく新しい役者を紹介する。それは舞台の道化にして、舞台の支配人も思わせる言葉運び

   「なんと!これは面白い動きをしそうだな!アルビオンの馬鹿共はこのことに?」
   手を叩き喜ぶ王。この新しい駒の登場に、頭に浮かぶチェス盤で、駒が激しく踊りだす

「サウスゴータの名で“土くれ”の力を動かす、としか考えてないようでね、まだ彼女の守る女王にはお気づきでない」
肩をすくめる男。彼の前には、彼の『神の頭脳』の前にはほとんどの者はその馬鹿共に含まれる。いや、少なくとも一人…――

   「そうか……そのナイト、こちらに欲しいな……」
   『神の頭脳』が認めた男、『神の頭脳』の主はそう言って口元をつりあげる

「幕間に奪おうか?庭に出てバラを摘むより楽な仕事だけれど」
聞かぬともわかることをあえて聞く。いよいよもって美しくも妖しげなる笑みだ

   「いや……そうだ!馬鹿共が飽きたときを狙え、バラは摘めば早々に飾らねばならんしな!」
   笑い声が思わず忍び洩れる。もはや駒の動きはほぼ読めた。読めぬとすれば、神の気まぐれ

「御随意に、王よ!それでは、アルビオンの終幕、とくとご覧あれ!」
優雅で、艶やかな一礼。舞台の幕は既に開き、観客共がもうすぐ揃う

舞台で踊るはこの世の命
それを彩るは虚無の子達

   チェス盤で舞うはこの世の理
   それに対峙するは二人の男


運命は常にこう問いかける「我に従うや?我に抗うや?」

二人の男はこう答えるだろう「我等汝に破れし者なり、我等汝を倒す者なり」



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