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デモゼロ-04


 再び怪我を負ったゼロのルイズ
 先生を護って怪我したゼロのルイズ

 自分の身に起こった変化の全てに、まだ彼女は気づいていない


 医務室で、水メイジの治療を受けることになったルイズ
 血を流しながら医務室に入ってきたルイズの姿に、慌てて水の秘薬を持ち出すメイジ
 治療を受けようとした、まさに、その瞬間

 ぐ~~~~ぅううう

「………」
「…ミス?」
 あぅあぅあぅ
 こ、こんな状況でおなかが鳴る事ないでしょぉおおおおお!!!
 自分自身のおなかに、心の中で突っ込みをいれるルイズ
 しかし、おなかはぐうぐうぐきゅるるん、遠慮なく悲鳴をあげる
 恥ずかしさで真っ赤になりながら、ルイズは食事の用意をお願いした
 医務室勤務のメイジは、たまたま医務室の傍を通りがかったメイドを捕まえ、食事をここに持ってくるよう言っている
 ドアの隙間から見えた姿は、ルイズが意識不明の状態から目を覚ました時、どんどん食事を運んで来てくれた、あのメイドだった
 珍しい黒い髪をしたメイドだから、よく覚えている
 ……あの時と同じメイドで良かった、とこっそり思うルイズ
 ほ、他のメイドにまで、自分の大食いっぷりが知られてしまうだなんて、耐えられな…
 …あ、待てよ?
 運んできてくれたのはあのメイドだけど、食事を作ったのは、別にあのメイドではなくて
 当然、料理を作ったコックはわかっているだろうし、当然その周りにいる使用人たちも…
 …………
 考えているうちに羞恥で死にそうになったため、ルイズは考えるのをやめた
 ぐううう、おなかは悲鳴をあげ続けているし
 …空腹の感覚で、痛みの感覚が忘れられる、と言うのは、果たして幸福か否か
 とりあえず、水のメイジは改めて、傷の治療をはじめてくれた
 どうやら、ルイズには通常の人間以上の自然治癒力が身についているらしいという事が既に伝えられているせいだろうか、治療は簡単なものだ
 ルイズ自身も、その程度の治療で問題ない、と自然と自覚できた
 人間の体って、こんなにも丈夫になるものだっけ?
 ちょっぴり、疑問にも思ってみるが
(…これが、私の使い魔の力、なのかしらね?)
 自分の体の中にいる使い魔が、自分を護ってくれようとしているのだろうか?
 まぁ、それは愛情とか忠誠心によるものじゃなくて、ルイズが死んだら自分も死ぬから、と言う意識からなのだろうが
 それでも、使い魔の能力を実感できると言うのは、メイジとして嬉しい事である
 傷の治療が大体終わったところで、メイドがぱたぱた、料理を運んできてくれた
 ふわり、食欲を誘ういい香り
 ぎゅぐるるるるるるるるる
 ……えぇい、おなかの音よ、静まれ!!
 メ、メイドが必死に笑いを堪えているではないか
 ま、まぁ、笑わないで頑張ってくれているのだから、良しとしてあげるけどねっ!!
 早速、始祖への祈りを捧げてから、食事を開始するルイズ
 …そう言えば、意識不明から起き上がった直後の食事の時は、始祖への祈りを忘れてしまっていた
 貴族としてあるまじき事だ
 以降は、絶対にそんな事がないよう、気をつけないと

 もぐもぐもぐもぐもぐ
 ぱくぱくもぐもぐむしゃむしゃごっくん
 朝食を、しっかりと(いつもより多めに)食べたはずなのに
 まだ、昼食の時間には、少し早いはずなのに
 ルイズの食欲は止まらない
 もぐもぐもぐ、何だか、朝よりも食欲が増しているような気がしないでもない
 …まさか、時間が経つごとにどんどん、食べる量が増えていく、なんて事はないわよね?ないわよね!!??
 自分の中にいるらしい使い魔にそう心の中で問い掛けつつも、食べる食べる
 それでも、がっついて食べるのではなく、きちんと食事マナーを護っている辺りは流石、とでも言うべきなのだろうか
 もぐもぐ、まるで前日の様子を繰り返すように、ベッドの傍には空の食器が、どんどん詰まれていっている
 …御免なさい、医務室勤務の水メイジ
 お願いだから、唖然とした表情で見つめないで、恥ずかしいから!
 ぱくぱくぱくぱく、食べ進めていっていて…その内、ルイズはおや?と思い始める
 簡単な治療で済ませたために、背中がずきずき、痛いままだったのだが…その痛みが、消えてきている
 体中の痛みが、嘘みたいになくなっていっているのだ
 まるで、初めから怪我などしていなかったかのように、体中の痛みが全て、消えうせた
 その事実に驚きながらも…食事をする手は、止まらなかった
 けふっ
 満足したところで、ルイズはようやく食事を止めた
 …満足、したんだけど
 でも、デザートも食べたい
 できれば、美味しい美味しいクックベリーパイ辺りを
「デザートも、お願いしていいかしら?」
「あ、は、はい。デザートも、こちらに運べばよろしいでしょうか?」
 尋ねられて、ルイズは少し、考える
 もう、体の痛みは消えてしまっているのだ
 自分の目では確認できない箇所ばかりだからわからないけれど、多分、怪我はもう全部治りきってしまっているのではないか?
 そう考えると…ベッドの上で食べ続ける、と言うのも、行儀が悪い
「いえ、食堂で食べるわ。着替えたらすぐ食堂に向かうから、準備をしていてくれる?」
「は、はい、わかりました」
 頷いて、医務室を後にしようとするメイド
「あ、ちょっと、待って」
 そのメイドを、ルイズは少し、引きとめた
 びくーーん!と体を震わせ、ちょっぴり怯えた表情でメイドは振り返る
 な、何よ、別に、とって食おうって訳じゃないのに
「あなた、名前は?」
「あ、その……シ、シエスタ、です」
「そう。悪いけれど、私がこれだけ大量に食事をする、って言う事…言いふらさないでね?」
 ぷしゅう
 少々頬を赤くさせながら、そう命令…と言うより、お願いしたルイズ
 だって、恥ずかしいから!!
「ゼロのルイズが大食いのルイズになった」
 とかなんて、絶対、絶対言われたくないから!
 もしかしたら、もう手遅れかもしれないけれど!!
 ルイズのそんなお願いに、シエスタは一瞬、きょとんとして
「はい、わかりました。秘密にしておきます」
 と、とても優しい笑顔を浮かべて、了承してきた
 どうやら、ルイズの乙女心が伝わってくれたらしい
 ぱたぱた、シエスタが医務室を出て行くのを見送って、ルイズは立ち上がる
「ミス・ヴァリエール。本当に大丈夫なのですか?」
「はい。問題ありません」
 立ち上がっても、どこにも痛みは感じない
 本当に…完全に、傷は完治していた
 と、なると、今考えるべき事は、制服を着替える事だ
 爆発の衝撃で汚れてしまったし、破けたりしてしまっている制服を着たまま食堂に行くのは問題だろう
 医務室の水メイジに礼を述べ、ルイズは急いで寮の自室へと向かった



 ぴしり、予備の制服に着替え、食堂に現れたルイズ
 ちょうど、他の生徒たちも昼食を終えて、デザートの時間になっていたようだ
 …うん、結構ナイスタイミング?
 空いている席につくと、シエスタがすぐに、デザートのクックベリーパイを運んできてくれた
 それは、周りの生徒が食べているものよりも、少し大きめの物だ
 ありがとう、と礼を言って、ルイズは早速クックベリーパイを食べ始める
 あぁ…やっぱり、クックベリーパイは素晴らしい
 この美味しさに、ルイズはメロメロだ
「あら、ヴァリエール。もう大丈夫なの?」
 美味しい物を食べていると、気持ちが穏やかになって余裕ができる
 だから、突然キュルケに声をかけられても、ルイズは調子を崩さず、返事を返す
「えぇ。問題ないわ」
「そう?なら、いいのだけど…」
 結構酷い怪我だったのに、と言ってくるキュルケ
 心配してくれていた?
 いや、まさか、そんな事はあるまい
 何でも、自分に都合よく考えてはいけない
「そう言えば…その、教室、メチャクチャになっちゃったけど…」
「あぁ、あれなら、ミセス・シュヴルーズがゴーレムを作って、それで片付けてたわよ」
 そう、と少し表情を暗くするルイズ
 …自分がメチャクチャにしてしまったのに、ミセス・シュヴルーズに片付けさせてしまっていただなんて
 後で、謝らなければ
 もぐもぐ、クックベリーパイを食べながら、思考の海へと沈むルイズ
 …その、ルイズの思考は、食堂の片隅で発生した言い争いで、引き戻された
 何事だ人が美味しく食べている時に、煩いじゃないか
 ちょっぴり不機嫌になりつつ、そちらに視線をやると…
 おや、あれは、確かギーシュとか言う生徒だったか
 そのギーシュが見覚えのない、恐らく下級生であろう少女に平手打ちを食らっており
 さらに、え~と…香水だっけ洪水だっけ、どっちだっけ…とりあえず、モンランシーにワイン瓶を脳天に叩きつけられている
 今の自分だったら耐えられそうな一撃だけど、あれ、結構痛いんじゃないだろうか 
 当たり所が悪かったら、相当な大怪我になるような
 耳へと入り込んでくる声などを聞いていたところ、どうやら、ギーシュが二股したのがバレたらしかった
 まさしく、自業自得である
 興味を失い、意識をクックベリーパイへと戻そうとしたルイズだったのだが

 そうも、行かなくなった

「………!!」
 ギーシュが、二股がバレる原因となったらしいメイドに、因縁をつけているのが見えた
 そのメイドは……シエスタ!
 シエスタは、泣き出しそうな表情で、ぷるぷる震えていて
 そのシエスタの姿に…ルイズはむか、と苛立ちを覚えた
 こうなったのは、そもそも、ギーシュが二股をかけたのが原因ではないか
 経緯はよくわからないが、シエスタは悪くないのではないか
 すくり、立ち上がるルイズ
 医務室にいる時、料理を運んできてくれたシエスタ
 自分の大食いを、秘密にしてくれる、と言ってくれたシエスタ
 彼女は今、貴族に因縁をつけられると言う、平民として最大といっていい恐怖に襲われている
 …助けなければ!!
 どうしたの?と声をかけてきたキュルケに返事をする余裕もなく、ルイズはずんずん、ギーシュとシエスタに近づいてく
「ちょっと、ギーシュ!聞いていれば、そもそも、あんたが二股をかけたのが悪いんでしょう!シエスタは関係ないわ!!」
 ずずい!!
 小さな、ないに等しい胸を張って、ルイズはシエスタを庇うように仁王立ちした
 それに驚いたのは、もちろんシエスタも驚いたが、それよりもギーシュだ
 …何故、ルイズが間に割り込んでくるのだ?
 何故、彼女が、平民のメイドごときを庇うのか?
 理解できなかったが、それよりも、自分が悪いと断言されたのが気に食わないギーシュ
 いや、気に食わないというよりも、認めたくないと言う方が真実か
「何だい?急に割り込んできて」
「平民に因縁をつけて虐めるなんて、貴族として恥ずかしくないの!?」
 そうだ、これは、貴族として恥ずかしい行為だ
 常に、貴族である事を意識し、相応しく振舞う事を良しとするルイズ
 ますます、ギーシュが許せない
 そう言われると、う、と言葉に詰まってしまうギーシュだったが
「そうだ、お前が悪いぞギーシュ!」
「サイテーだな、ギーシュ」
「ってか、おにゃのこ二人と付き合っていたなんて羨ましいぞゴルァ、片方ヨコセ!」
 などと、周囲から言われなどしたら、引き下がれる訳がない
 …とりあえず、最後のお前、後で顔を貸せ
 モンランシーもケティもお前なんかに譲るものか
「ふん、ゼロのルイズは魔法を使えないから、平民に対して親近感でも持っているのかな?」
「……っなんですって!!」
 ぷっつーん!
 元々、怒りの沸点が低いルイズ
 第三者から見れば面白いほどに、あっさりと切れた
 どん!と、怒りに任せて思いっきりギーシュを突き飛ばす

 …そう
 思いっきり、だ
 ルイズは花の乙女、しかも、体格は小柄な方で、当然、腕力などほとんどない
 そんなルイズに突き飛ばされても、少しよろけるだけですむ

 ………はずだった、の、だが



 ギーシュを突き飛ばした、その瞬間
 ルイズは、全身に突然、猛烈な力が駆け抜けたのを、確かに感じた

「ぎゃああああ!?」
 どんがらがっしゃん!!
「……え?」
 きょとん、とするルイズ
 あれ?
 目の前にいたはずのギーシュはどこに?
 しぃん、と静まり返る食堂内
 皆が、消えてしまったギーシュの姿を探す
「…ギ、ギーシュ!?」
「い、いたぞ!!」 
 ギーシュがいたのは、食堂の端の壁際
 そこに、ちょっぴりめり込んで…ぴくぴく、痙攣していた
 頭を打ったのか、だくだく血が流れている
「お、おい、しっかりしろ!何があったんだ!!」
「ギーシュ、寝るな、意識を失うな!!寝たら死ぬぞ!!」
「きゃああああああああ!!??ギ、ギーシュ、しっかりしてぇ!!!」
 え?
 え?え??え???
 混乱するルイズ
 何故か、ギーシュをぶん殴った後食堂から出て行っていたはずのモンランシーまで駆けつけ、皆がギーシュの救助に当たっている
 誰かが、フライの魔法をかけて、ギーシュを運び出していった
 多分、医務室にでも運んで行くのだろう
「ヴァ、ヴァリエール様?」
「え……え~っと……」
 呆然とした声でシエスタに名前を呼ばれ、ちょっぴり気まずい表情で振り返る
 ギーシュに因縁つけられていた恐怖は、どうやら、吹き飛んでしまったらしく
 シエスタはきょとん、とルイズを見つめてきていた
「え、えっと…も、もう大丈夫よ!安心しなさい、シエスタ」
「………っ!!」
 ぶわ、と
 シエスタの両目から、涙が溢れ出す
 吹き飛んだはずの恐怖を、改めて思い出したのだろう
 わっ、と泣き出してしまった
「シ、シエスタ」
「あ、ありが、とう……ありがとう、ございます……」
 ぽろぽろ、ぽろぽろ
 涙を流しながら、ルイズにお礼を言ってくるシエスタ
 大丈夫だから、とルイズはそっと、シエスタの体を抱き締め、落ち着かせるように背中を撫でてやる
「………」
 そして、ふと
 じっと、おのれの右手を見詰めた
 ギーシュを突き飛ばした、自分の右手
(わた……し?)
 ギーシュを突き飛ばしたのは、自分
 けれど、あそこまでするつもりなんてなかった
 と、言うか、結構離れた距離にあった壁までギーシュを突き飛ばせるなんて思ってもみなかった
 それも、めり込ませるくらいに、強い衝撃を与えてしまうだなんて
 自分に…何故、そんな力が?
(これも…使い魔の力なの?)
 シエスタの背中を撫でてやる手を、左手から右手にチェンジ
 今度は、布で覆われた左手の甲をじっと見つめる
 そこに刻まれている使い魔のルーンは、今は特に異常もなく、静かである

 …ルイズがギーシュを突き飛ばした、その瞬間
 左手のルーンが、一瞬強く輝いた事に
 気づいたのは、キュルケと、そのキュルケの傍でハシバミ草のサラダに舌鼓を打っていたタバサと
 そして、その様子をこっそりと見ていた、誰かだけだった


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