あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの使い-08



空賊如きメディルにとっては物の数ではないが、人質に取られた船員の身を案じるルイズの命により、手が出せないでいた。
三人は大人しく、空賊船の一室に入ることになった。

「どうする?」
「しばらくは様子を見るしかあるまい。」とワルド。

暫くすると、乱暴に扉が開き男が二人入ってきた。

「頭領がお呼びだ。来い!」

連れて行かれた船長室で明らかになったのは衝撃の事実だった。
なんと空賊の正体はアルビオン王党派の空軍で、その頭は捜し求めたウェールズ皇太子だったのだ。
流石に簡単には信じられなかったが、彼の風のルビーと水のルビーが反応し、虹が出来たことで信じざるを得なくなった。
大使であるルイズ一向はアルビオン王国最後の砦であるニューカッスル城へと招きいれられた。
招かれたあまりにも粗末な皇太子の部屋で、ワルドが少しの間だけ席を外した。
少しといっても、1分程度の時間だったのでルイズも皇太子も不審に思わなかった。

「そんな・・・アンリエッタが・・・結婚・・・!?」
姫の文を渡された皇太子は驚愕のあまり声が震えていた。無理も無い話だ。
そのまま無言で、机から小箱を取り出し、何度も呼んだのであろう、ボロボロの文をルイズに渡した。
「殿下、どうか亡命してください。」
明日には敗北すると言う絶望的戦況を聞いたルイズが溜まらず叫ぶ。
「これは姫様の願いです!」
ルイズは悟っていた。あの文には亡命を勧告する一文があったことを。
だが、皇太子の返事は首を横に振ることだった。
「僭越ながら殿下。」とメディルが口を挟む。
「何だね、ミスタ・メディル。」
「5万ぐらいなら、やってやれないことは無いですが・・・」
メディルは少し控えめに言った。
本音を言えば、今の彼は一国を一人で敵に回しても勝つ事の出来る程である。
「貴殿の武勇は聞き及んでいる。しかし、大使を戦争に巻き込むわけにはいかない。」
「左様でございますか・・・それでは最後に一つだけ聞き入れては下さいませんか?」
「何かね?」
メディルの口から出た申し出は意外なものだった。
「ルイズと共に、部屋の入り口付近に行ってくれませんか?」
「は?」
「殿下、お願いです。彼の言う通りに。」
まだ短い付き合いだが、彼女はメディルの人となり・・・否、「魔となり」を知っていた。
彼は意味も無くこんな事を言う者ではないと言うことを。
言われたとおりにルイズとウェールズが移動したところで、メディルは二人から離れた位置にいるワルドに向き直った。

「役者は揃い、文も受け取った。もう猿芝居はいいのではないか?・・・ワルド。」


メディルの言葉の意味がルイズとウェールズにはすぐには理解できなかった。

「何を突然言い出すのかね、ミスタ・メディル。」とワルド。
「生憎と、我々魔族は嫉妬や憤怒、欲望と言った人間の負の感情に敏感でな。
貴様が我々を欺いている事は先刻承知だったのだ。すぐ殺すことも出来たが、案内役と生かしてしておいた。」
「何を馬鹿げた事を・・・なあ、ルイズ。」
ワルドはルイズを見やった。しかし、その目は婚約者に対するものでは到底ありえなかった。
ウェールズもまた、杖を構えている。
「皇太子殿も、このような人間ですらない者の言うことを真に受けるなど・・・」
「確かに、我々魔族は長い歴史の中で星の数ほどの人間を苦しめ、殺してきた。
だが、貴様のように主を裏切ったものは少なくとも私のいた軍にはいなかった。」

メディルの台詞が終わると、ワルドは俯いて黙り込んだ。しかし、すぐに狂ったような高笑いをした。

「ああそうさ。僕はアルビオン貴族派レコン・キスタの刺客。
ルイズと文とウェールズの命を手土産にここを去るつもりだったが、
どうやらルイズは諦める他なさそうだ。だが・・・」
ワルドは懐から杖を取り出し、ウェールズに襲い掛かった。
「文と皇太子の首は逃さん!!」
ワルドの杖がウェールズの心臓に命中する――寸前で、ワルドは飛びのいた。
そうしなければ、メディルが不意を突いて放った火炎呪文で焼け焦げていたから。
「皇太子を殺したければ、私を殺してからにするのだな。」
「面白い。風が最強たる所以とスクウェアメイジの恐ろしさを身を以って知るがいい。ユビキタス・デル・ウィンデ!」
ワルドが詠唱を終えると、部屋の中に、合計五人のワルドが出現した。
「一つ一つが意志と力を持った分身か。」
「一目で見抜くとは流石だ。スクウェア相手に5対1で勝てるかな?」
笑止とばかりにメディルが眼前の一人に最強火炎呪文・メラゾーマを放つ。
しかし、ワルドは周りに強風を起こし、火炎を受け流した。

「君の攻撃は分析しつくしているよ。火炎は見ての通り、フーケを仕留めた死の言葉はサイレントで防ぐ。
爆発も他の魔法も同じ事。そして・・・」

言い終わらぬ内に二人のワルドがルイズとウェールズに襲い掛かった。

「君と正面から戦う必要も無い。」

ドカッ!二人の心臓に深々と杖が突き刺さった。
しかし、次の瞬間その顔が驚愕に染まった。
あろう事か、二人の姿はゼリーの様などろどろの生き物になり、そして崩れ落ちた。
「それはジェリーマンと言って、他人に化けることの出来る連中だ。
普段の姿のときは音も無く移動し、液体であるがゆえにドアの隙間からでも入れる。
ちなみに本物の二人はジェリーマンに持たせた文の指示の下、同じく持たせた消え去り草というアイテムで姿を隠している。
貴様が私に気を取られている僅かな隙を突いて種を仕込ませてもらった。」
「やはり君を先に殺さねばならないようだ。だが、扉を固めてしまえば、二人が脱出する術は無い。」と言いながら一人がドアを封鎖した。

そう。この部屋にはたった一つの扉以外に出入り口は無かった。メディルとの会話中も、ワルドは音に気を配っていた。
その彼の記憶では、ドアの開く音はしなかったので、部屋から出てない事だけは間違いない。
「そうだな。消え去り草もいずれは効き目が切れるだろう。だが・・・」

メディルが未だかつて無い殺気を放った。それは彼が本気でワルドを殺しにかかろうとしている証だった。
「それまでに貴様の息の根を止める!」




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