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異聞零魔郷 ~ Servant of Interstice-2


─ちょっと脅かしすぎたかしら?

八雲紫は倒れ伏した桃色の髪の少女の前でどうするか困っていた。
自分の身に起きた出来事に気分が高揚し、つい調子に乗ってからかってしまった。
その結果、自分を召喚したであろう少女は気絶してしまった。
そう、自分は召喚されたのだ。この年端もいかぬ少女によって。

長い間生きてきてこのような事は初めてだった。
神社で行われていた恒例の宴会も終わり、片付けを式と式の式にまかせ
酔い覚ましに夜間飛行と洒落込んでいた時の事だ。
突如目の前に『鏡』の様なモノが現れて自分を飲み込んだ。
咄嗟の事に対処が遅れ、そのまま辿り着いた先がこの場所である。

「ここ」が幻想郷ではない事はすぐに分かった。
幻想郷を包む博麗大結界の存在を感じ取れない上、空を見上げれば
─晴れていて見難かったが─自分が名付け慣れ親しんだ星座も見当たらない。
そして目の前にはどことなくあの「鏡」と似た力を感じる少女。
これだけの材料が揃えってしまえば紫の聡明な頭脳はあっという間に答えを叩き出す。

ここは異世界(というより地球とは別の星)で、自分を呼び出したのはこの桃色の髪の少女だ。

─とりあえず、呼び出されたからには理由を聞かないとね。
普段ならおかしな術をかけてきた無礼者などは即スキマ送りだが、紫は今までに無い事に好奇心を刺激されていた。
少女に近づき、目を覚まさせてやろうと紫が手をかざしたその時である。鋭い声がかけられた。
「私の教え子から、離れろ」

トリステイン魔法学院の教師、『炎蛇』のコルベールは決意していた。
二度と破壊の為に炎を使う事はしないという誓いを破ることを。

魔法を使えぬ問題児ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールがサモン・サーヴァントにやっと成功した時は
ほっと一息ついたものだが、召喚されたものを見て身の毛がよだった。
─何なのだあれは!
周りの生徒たちも、普段ならばルイズが何か仕出かす度にからかおうとするが
今回ばかりはこの異様な雰囲気に呑まれ一言も発する事も出来ないようだ。

そして他の者のように違和感を感じていないのか、ルイズがその「何者か」に声をかけた。
すると、ルイズは全身を震わせ、ばたりと倒れたではないか。
何事かと思い「何者か」を目を向ければ宙に浮いていた。否、宙に浮かぶ「何か」に座っていた。
それは恐ろしく禍々しい、形容しがたいものであった。
「何か」を見た瞬間、コルベールの本能が警鐘を鳴らした。
あれに近づいてはならない。あれに触れてはいけない。あれに関わってはいけない──
生徒達もそれを感じ取ったのか、震えだすもの、呆然とするもの、気の弱い生徒などは泣き出していた。
しかし、あれの近くにいるのは、守るべき自分の生徒だ。助けねば。
そう思い直したコルベールは荒くなった呼吸を整え、「何者か」に鋭い視線を向けた。

「ミス・タバサ」
「……はい」
「君は使い魔に乗って学院へ飛びなさい。オールド・オスマンに伝言を。
 『緊急事態 救援を求む』と」
「はい」

「ミス・ツェルプストー」
「は、はい?」
「今すぐにここから避難だ。他の生徒達を先導してくれたまえ」
「で……でも」
キュルケはルイズと「何者か」に交互に目を向け迷っている。
「早くしたまえ。彼女は私が助け出す」
「ヴァリエール……っ。……お願いしますわ、ミスタ・コルベール」
コルベールの只ならぬ表情に感じるものがあったのか、キュルケは迷いを捨てた。

全く勝機を感じられない中、コルベールは意識を段々と戦いへ向けて切り替えていった。

─二十年前の罪を償う事は結局出来なかった。
 この命は「あの村」で生き残った娘の為に残しておくつもりだったが……。

「何者か」がルイズに近づき何かしようとしている。
コルベールはルイズの倒れた場所に向かって、急ぎ歩きだした。

一方その頃、我らが主人公ルイズは悪夢に魘されていた。

ゆかゆかー ゆかりん ゆかりゆかゆかー

「何なのよアンタらーーーっ!」
袋を頭に被った裸の男の群れが、大声で歌いながら近づいてくる。
一体何の冗談だ。

かっわいいよっ かっわいいよっ ゆっかりんりん!

「いーーーやーーー!」
逃げても逃げても追いかけてくる。

少女臭が! 少女臭が! あっががっがが!



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