あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの使い-06



二人は身分の違いも忘れ、過去の思い出を語らいながら、時に笑い、時に懐かしみ。
そんな他愛もなく、しかしほほえましい雑談を十数分ほど続けた。
「初めまして。メディル殿。」
ずっとスルーされていたが、ようやくメディルに話が振られた。
「お初にお目にかかります、姫殿下。」
「凄いわね・・・こんな素晴らしい使い魔を持っているなんて・・・」
「いえ、そんな・・・勿体無いお言葉を・・・」謙遜するルイズだが、明らかに建前だけだった。

次の瞬間、アンリエッタの表情がどこか儚げなものへと変わった。

「私・・・貴方が羨ましいわ・・・姫なんて籠の中の鳥も同然・・・」
「姫殿下、一体どうなされたのですか?」
「私、結婚することになったの。」

アンリエッタの話ではアルビオンと言う国の反乱軍が勝利を収める前に、
ゲルマニアという国(ルイズ曰くなりあがり共の野蛮な国)と同盟を結ぶべく、そこの皇帝と政略結婚をするという。
ところが、その政略結婚の障害となるものがよりにもよって全滅寸前のアルビオン王家にあるというのだ。
それはアルビオン皇太子・ウェールズに送った文だと言う。それが反乱軍の手に渡れば、直ちに公表され、同盟破棄は必定とは姫の談。
アンリエッタ自身、友人であるルイズに依頼するのは不本意だったが、他に頼むに値する実力と信頼を持ち合わせた者もおらず、まさに苦渋の決断であった。
ルイズは親友の頼みと二つ返事で引き受けた。
主であるルイズもそうだが、メディルもまたその文の内容を悟っていた。
そして、人間とはやはり哀れなものだ・・・と白面の魔術師は思った。
と、その時、部屋の鍵を魔法で開け、飛び込んで来た者が現れた。が、彼はすぐにメディルに取り押さえられた。

「ギーシュ!」
それはメディルに丸焼きにされたばかりか、ここに至るまで名前すら表示されなかったギーシュであった。
美しい姫の姿を見て、磁石に吸われる砂鉄の様にやってきたというのが本人の談。
「姫殿下、こやつの処分、いかが致しましょうか。」先程同様珍しくメディルが敬語で姫に問いかけた。
本来なら、メディルにとってアンリエッタはオスマン同様、敬意を払うべき相手ではない。
しかし、彼女がルイズの無二の友人かつ主君である以上、礼を尽くさぬわけにはいかなかった。
「あなたはグラモン元帥の末っ子ですね。」
「ご存知でしたか!」と喜びの表情を浮かべるのも束の間、
「ええ。常に女難に見舞われている貴族として、王室でも噂になっております。」
姫のあまりにもあまりな返事に、ギーシュがこれでもかと凹む。傍らではルイズがそれを見て必死に笑いをこらえていた。
「この不幸な姫の力になってくれませんか?」
無論、この女たらしが首を横に振るはずはなかった。
出発は明朝に決まり、ルイズは皇太子に渡す文を返還する旨を記した文と資金繰りに困ったとき売り払うための水のルビーを姫から受け取った。

メディルが誰かのイメージを読み取りルーラで行く事を提案したが、この中のメンバー全員、皇太子の居場所を知らぬばかりか、
ルイズとギーシュに至ってはアルビオンにすら行った事が無かった。
唯一、アンリエッタだけは行った事があるらしいが、何年も前の事ゆえ、思い出せないという。

その頃・・・
アルビオン行きの船が出る港町ラ・ロシェールのどこかの酒場・・・

「アルビオンは終わりだ!!」
「あんな金にもならない国滅んじまえよ。」

大勢の傭兵達がアルビオン王家の中傷を肴に一杯やっていた。
そこへ一人の非常識な客が訪れた。
酒場の中に事もあろうに、馬に乗ったまま入ってきたのだから非常識以外の何者でもない。
二つの意味で驚くマスターに最高級ワインを注文し、彼は傭兵達に向き直った。

「傭兵の諸君。仕事はいらんかね?」

傭兵達の顔が青ざめた。それもその筈、そいつは髑髏の顔をしていたのだから。

「欲しくない訳じゃないが・・・か、金は・・・」
一人が震えながら言葉を紡ぐ。
髑髏の男は馬に背負わせていた鉄製の大箱を床に置いた。
「エキュー金貨で10万。足りなければ、もっと用意するがどうする?」

足りないと言う者はいなかった。箱を開けようと近付いた傭兵達の鼻面を、髑髏男のランスが掠めた。
その見事な槍捌きに彼らは関心すると同時に、更なる恐怖を抱いた。

「まだ話は終わっていない。」
注文のワインを飲み下し、彼は続けた。

「この金貨には呪いがかかっている。この金貨を手にしておきがら、仕事を放棄した奴が死ぬようにな。」
「へ・・・へへっ・・・一度請けた仕事を投げるなんて傭兵の恥はこの中には・・・」
「アルビオン王家は数に含まれないのかね?」
「うぐ・・・」その言葉を出されては黙るしかなかった。髑髏男はそんなことを気にするでもなく説明を続けた。
「・・・まあいい。とにかく引き受ける者だけ金貨を手にするがいい。ターゲットは数人のメイジ。
桃色の髪の女の一行だ。メンバーの中に鬼神の如き強さを誇るメイジがいるらしいから、こちらで武器を用意した。」
「随分用意がいいんだな・・・ところであんた・・・そのお面。」
「お面?」髑髏男が怪訝そうな声で言う。
「い・・・いや、その髑髏のお面、あまり似合ってないぜ。」
「クククク・・・これか?」

髑髏面は傭兵達の前で、それを外して見せた。
「生憎と自前だよ。」
首無し人間の手の上でしゃれこうべが喋ると言う恐怖としか言いようのない光景に哀れな数名の傭兵とマスターが気絶した。
彼らは揃って白目を剥き、口から泡を吹き、股間から悪臭漂う液体を滴らせていた。
彼は髑髏を頭に戻し、数枚の銀貨をカウンターに置いて店を去った。

「なんだ・・・ありゃあ・・・」
「あ・・・ああ・・・悪霊だ・・・アルビオンの悪霊だ・・・」
「ど・・・どうする・・・?俺ら呪い殺されるんじゃ・・・」
「じょ・・・上等じゃねぇか・・・悪霊だろうが死神だろうが、
メイジ数人殺すだけで10万なんてボロい商売・・・見逃せるかってんだ。」
口では強がっていたが、その男の股間もかすかに湿っていた。
酒場の外では傭兵達の為に用意された武器が、2つの月光を浴びて鈍く光っていた。
噂では、その後、とある山賊の一団の前にも、馬に乗った死神が現れ、大金と引き換えにメイジの暗殺を依頼したと言う。


翌日、ルイズ達は意外な人物に出会った。
獅子と鳥を混ぜたような外見のグリフォンを操り、全身から涼やかな、それでいて強力なオーラを放つ彼は魔法衛士隊グリフォン隊隊長・ワルド子爵だった。
何の因果かこの男、ルイズの婚約者だと言うのだ。彼曰く、姫に言われて助太刀に現れたとの事。
ちなみに、彼もアルビオンへ行くのは初めてという。
港町ラ・ロシェールへと続く山道をグリフォンと馬で進む道中、山賊の一団の襲撃を受けた。
メディルはメンバーの実力を図るべく、物陰に隠れ敢えて手出しをしなかった。
ワルドはその肩書きに違わぬ杖捌きと強力な風の魔法で次々と華麗に賊を蹴散らした。
ルイズはいつものように失敗魔法の爆発で応戦。狙いが荒いが、威力は申し分ない。
しかし、ギーシュときたらまるで役に立たず、作り出した青銅のゴーレムも山賊の鉄の武器の前にあっさりと砕かれてしまったのだ。
その後はただただ逃げるばかりであった。
メディルの中でいざと言うときの捨て駒候補第1位にギーシュが選ばれたのは言うまでもなかった。
しかし、敵もさるもので、山賊とは思えぬ不屈の闘志で、人数にものを言わせ襲ってきた。
メディル達が知る由もなかったが、彼らが誰一人として逃げないのは呪われているからである。
メディルが大呪文の一つでも見舞おうとしたその時、山賊たちに上空から火炎と烈風が襲い掛かった。
同時に、ルイズが不機嫌そうな顔をした。
それもその筈。上空から現れたのはヴァリエール家の、ルイズの怨敵であり、本作において、
ギーシュ以上に存在感の薄かったキュルケと、その親友にして、ここまで一言も触れられなかったタバサだったからだ。
曰く、良い男(ワルド)目当てで、親友の風竜で追っかけてきたとか。
キュルケの参入でやかましくなったものの、一同は何とか宿に着いた。

「船は既に姫殿下が手配してくれている。明日の朝にはアルビオンへ出発出来るだろう。」
「そうか。しかし、ワルド殿、どうしても解せぬことがある。」
「何だね?」
「何故、このような山の上に船があるのだ?」と異世界の者ならば誰でも口にするであろう疑問を投げかけるメディル。
「ああ、それはアルビオンが浮遊大陸で、そこへ行くのに飛行船を使うからさ。」
「なるほど。」
「あまり驚かないのだな。」
「月が二つもあるような世界だしな。」これは彼の本心だった。
「そういえば君は異界から来たのだったな。」
「ああ。と言っても世界観に言うほどの差はないのだが。」
「同じような世界なの?」
「ああ。剣と魔法が支配する世界だ。わが主はその世界を」

言いかけてメディルはルイズを突き飛ばした。怒ろうとしたルイズだが、先程自分のいた所を鉄の塊が通るのを見て言葉を呑んだ。
「敵襲だ!!」
ワルドが叫ぶと、その場の全員が戦闘体勢に入った。

「撃て撃て!!メイジのクソガキ共をぶっ飛ばせ!!」
百人ほどの傭兵達が「女神の杵」亭を包囲していた。
そして対メディル用に受け取った、車輪付き大砲10門に山のようにある砲弾を込め、次から次へと撃ちまくった。
「矢も弾も惜しむな!!呪いで死にたくなけりゃ撃ちまくれ!!」

「このままじゃ宿が持たないぞ。」とギーシュ。
「雑魚が・・・大砲如きで、私を討ち取ろうなどとは・・・」
外の傭兵に向け、最強即死呪文ザラキーマを発動しようとするメディルをワルドが制す。
「民間人を巻き込みかねない大呪文は控えるんだ。この任務の場合、僕と君とルイズが船に辿り着ければいいんだ。」
「つまり・・・キュルケたちは囮・・・?」
「ま、仕方ないかな。あたしたち、アルビオンへ行く目的知らないし。」
「右に同じ。」
「ぼ、僕は・・・」
「「「お前(君・あんた)は捨て駒確定。」」」
「やっぱり・・・」



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