あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの社長-17



海馬が朝からタバサと共に吸血鬼退治に行った日のルイズはといえば、
それはもう、機嫌が悪いという言葉ではすまないものだった。
午前中の授業中は、そわそわと落ち着きのない様子でいたが、昼休みを過ぎたころにはどんどんイライラが増し、
午後の授業が終わった頃には、その苛立ちのオーラを隠しもしないまま、コルベールの部屋で不満をぶちまけていた。

「・・・それで、どうして私の部屋に来る事になるんだね・・・ミス・ヴァリエール。
一応私も教師として授業以外でも仕事はあるんだが・・・。」

机の方でカリカリと書類整理をしていたコルベールだったが
部屋の一画を占拠して、体育座りで一人でぶつぶつと海馬への恨み言を呟いているルイズに、
流石に一言言わずにはすまなかった。
だが、ルイズはといえば

「コルベール先生には申し訳ないとは思っていますが、セトはきっと帰ってきても真っ先にここに来るはずです。
アイツはそう言う奴なのよ!・・・です。」

苛立ちからか冷静さを欠いているため、敬語と素がまじった謎の言葉使いになっていた。
それは気にせず、コルベールは肩をすくめてルイズに告げた。

「たぶんまっすぐ、あなたの元に帰ってきますよ。あれでも彼は、あなたの使い魔なのですから。
メイジは使い魔をもっと信頼するものですよ。」

と、その時、コンコンとノックの音がした。
どうぞ、とコルベールがうながすと、扉の外にはキュルケとシエスタがいた。

「あら?珍しい組み合わせね。っていうか、あんた達に縁があるとは思えないんだけど?」
「それを言うなら、アンタがコルベール先生の部屋にいることのほうが・・・あぁ、わかった。セトのおまけね。
それで?セトは?いるんでしょ?」

キュルケはきょろきょろと部屋を見回したが、海馬の姿は見当たらない。

「ちょっとツェルプストー!何ひとの使い魔を呼び捨てにしてるのよ!」
「あら?そんな事私の勝手じゃない。セトってルックスも良いし、ドラゴンなんかも従えてるし。
ヴァリエールにはもったいないんじゃない?」
「な、なんですってぇ!?」




ルイズとキュルケがいつものケンカ状態に入ってしまい、話が進まないと思ったのか、シエスタはコルベールのほうへと近づいた。

「失礼します、コルベール先生。瀬人さんは良くこちらにいらっしゃっているとお聞きしたので・・・。
お忙しいときに申し訳ありません。」

深深と頭を下げるシエスタ。

「えっと・・・シエスタ君だったかな?すまないが海馬君は今日は朝からどこかへ出かけているようでね。
そんなわけで、今日はここにも来ていないんだよ。」
「えっ、そうなのですか?」

シエスタは少し考え込んだ後、コルベールにこう言った。

「・・・・・・あの、コルベール先生、少しお話を聞いていただいてもよろしいでしょうか。
・・・ミス・ヴァリエールも、お願いします。」

シエスタに呼ばれて、一旦二人の口喧嘩が収まる。
そして、シエスタはメイド服の胸元から、あるものを取り出した。

「瀬人さんに伺いたかったのは、これのことでなんです。」

それを見たルイズ、キュルケ、コルベールは同様に驚きを示した。

「ちょッ・・・ちょっと!何であんたがこれを持ってるのよ!」
「え?やだ・・・これって、セトのもっているのと同じカードじゃない。」
「表の・・・カードの絵柄は違うが、まさしくこれはデュエルモンスターズのカード!
シエスタ君!これを君はどこで手に入れたんだい!」

そう、シエスタの手元にあったのは、デュエルモンスターズのカード。
この世界には存在しないはずの、カード・・・

「これは、私の祖父が持っていたカードの内の1枚なんです。
祖父がなくなる間際に、私にお守りにっていってこれを、別のカードの束から抜いて渡してくれたんです。
なんでも、祖父が昔、凄い人にもらったとかで・・・『ラッキーカード』なんだそうです。」

『ハネクリボー』だった。





所変わって、ここは学院長室。
ロングビルは机に座り、テキパキと目の前の書類を片付けていく。
と、そこへオスマンが、なにやら考え事をしているような顔で部屋に戻ってきた。

「オールド・オスマン。そちらに本日目を通していただく書類をまとめておきました。
・・・って、どうかされましたか?珍しく難しい顔をされていますが。」
「ふむ。そうかの?」

白く長い髭を弄りながら、オスマンはロングビルのまとめた書類を手に取り、自分の机に腰掛けた。
1枚、2枚と目を通しながら、オスマンはそういえばと話を始めた。

「のぉ、ミス・ロングビル。最近生徒達の間で噂になっている話を耳にしたかね?」

ロングビルは、「はい?」と不思議そうな返事を返した。

「・・・噂、といわれましても。あの年代の子供達は、大抵噂話が好きですから。
耳を傾けていればいろんな噂が飛び交っていますが?
最近だとやはり、ミス・ヴァリエールの召喚した使い魔の青年のことでしょうか?」

『ゼロ』とあだ名される、ある意味本学院で有名人であるヴァリエール家の三女、ルイズ。
魔法が使えないはずの彼女が召喚した、平民(?)海馬瀬人。
その力は、巨大なドラゴンを操り、生徒でありドットメイジとはいえ、貴族を圧倒して見せた。
噂話のタネにならないはずもない、格好の対象であった。
が、しかし、オスマンの言う噂話とは、どうやらその話ではないらしい。

「近頃、トリステインの貴族の屋敷に忍び込み、そこから物を盗んでいく、怪盗フーケの話じゃ。」

ピクっと、ロングビルの眉が動いた。
怪盗フーケ。またの名を『土くれのフーケ』
現在、トリステイン中を騒がせている盗賊である。
しかも、ただの盗賊ではない。
トリステイン中の貴族の屋敷から、特に、マジックアイテムを狙って盗みを働く、神出鬼没の大怪盗であった。
しかもフーケは、盗みの際には土系統の魔法を使って、壁や扉を土に『錬金』し入り込んでくる、メイジの大怪盗であった。
それだけではなく、30メイルほどもある巨大なゴーレムを操り、守りを固めていたメイジたちを蹴散らし、
白昼堂々とお宝を盗み出した事もある。
そのうえで、盗んだ場所に自らの犯行声明をつづったサインを残していくというものだった。



「なんでもフーケは、今度はこの学院の宝物庫に眠る『召喚銃』を狙っているという話でのぉ…」
「ヘっ・・・へぇ・・・?そ、そうなんですか?」

ロングビルの顔には、明らかに動揺の色が見えるが、オスマンはかまわず話を続けた。
ロングビルの動揺には理由があった。
なぜならこの噂話の主役、土くれのフーケとは、何を隠そうここにいるミス・ロングビルだからであった。
丁度盗みに入ろうと思っていた魔法学院の学院長であるオスマンが、まさか自分を秘書として雇おうとは、
願ってもないことではあったが、宝物庫そのものに掛けられた魔法が強力であり、なかなか手が出せずにいたのだった。

「しかし、あくまで生徒がしている噂なのでしょう?それに、ここの警備も宝物庫そのものの防御も相当強固なもの。
そうそう易々と盗まれる事はないと思いますが・・・?」
「いやぁ…正直そこは問題ではないんじゃ…。」
「?」

ロングビルにはどうにも話が飲み込めなかった。
フーケとしては、この話の中から盗みのためのいい情報が手に入れば、と模索しているのだが、
オスマンの言いあぐねている事は、どうやら警備や宝物庫のプロテクトの事ではないらしい。

「あの…オールド・オスマン?なにが心配なのでしょうか?」
「……もう無いんじゃよね。『召喚銃』」
「……………はぁ?どういう意味でしょうか?」
「いや…じゃから…。召喚銃は今、人に預けているから…宝物庫の中には無いんじゃよ。」

なん…だと…?
召喚銃が…お宝が宝物庫の中には無い?
それじゃ…必死になってあの宝物庫の外壁を破壊する手段を考えたり、
あの性格の悪い風担当の教師に色目を使って話を聞きだしたり、
夜も眠らずに警備のスケジュールを監視したりしてた私の苦労って一体…。

あまりの事実に、ロングビルの心はどっかへ飛んでいってしまいそうになった。
だがそこは世紀の大怪盗。
ハッ!と意識を取り戻し、オスマンに詰め寄った。

「そっ、それで!召喚銃は今どこに!?」
「それは言えん。ただ、信頼できる人物に預けている、とだけ言っておくよ。」

チッと、ロングビルは心の中で毒づいた。
これでは数ヶ月の苦労が報われない…ってあれ?と、そこでロングビルは気がついた。



「あの…オールド・オスマン。それって何か問題があるのでしょうか?
『召喚銃』が無いのならば、土くれのフーケに盗まれる事は無いので、全く問題はないと思われるのですが…?」
「うむ、じゃからのぉ…土くれのフーケには盗むのを諦めて欲しいんじゃ。
…と言うよりも、普通にこのまま、わしの秘書を続けてはくれんかね?」

!?
ロングビルに戦慄が走った。
この目の前にいる老人は…飄々としたただのボケじじいと思っていた目の前の男は、自分の正体に…土くれのフーケに気づいていた。
自然とロングビルは身構える。

「……いつから気づいてたのかしら?尻尾は出していないつもりだったんだけど…。」
「一応これでも学院の長でのぉ。ま、情報収集も仕事のうちじゃて。」

とぼけたような態度だが、一瞬たりとも目はロングビル…いや、土くれのフーケを捉えて離さなかった。

「それで?私をどうするつもりかしら?簡単に捕まってあげる気は無いんだけど?」
「…どうするも何も……さっき言ったとおりなんじゃが。」

と、ふっとオスマンの目から力が抜ける。

「……?」
「いや、じゃから『普通にこのまま、わしの秘書を続けてはくれんかね?』」

フーケは拍子抜けした。
本気か?と問うまでも無い。
目の前の老人は一切の曇りなく真面目にそう尋ねているのだ。
自分の秘書を続けないかと。

「……どういうつもりかしら?」
「なんとなくじゃ。きみを見ていてな、悪人と言う感じはしないのじゃ。
だから、盗みなどやめて真っ当に生きて欲しいと思っただけじゃ。」
「それは、盗みをするために演じていただけかもしれませんよ?
気を許しても、寝首を掻かれるかもしれませんけど?」

皮肉っぽく、フーケはそう返した。
だが、オスマンは笑って返した。

「一応年だけは食っているのでな。そう言う返し方をする皮肉屋は、大抵根が素直なものじゃ。」



ホッホッホと笑ってみせるオスマン。
こう素直に出られては…。
つられて笑顔を見せるフーケ。
だが、彼女には懸念すべき事があった。
実の妹のような、ある少女とその家族たちの事だ。
ロングビルはフーケとなって盗みを働き、そこで得たお金を少女達へと仕送りをしていた。
その少女達のためにも、ある程度の金額を用意していかなくては…
だがその内心、憎むべき貴族から盗んだとはいえ、汚れたお金を少女達に送っている事への良心の呵責が無いわけでもなかった。

「一つ、条件があるわ。今までの給料の倍はいただけるかしら?
それなら、『ロングビル』を続けてもいい。」
「ふむ、なかなか。いいじゃろ、よろしく頼むよ、ミス・ロングビル。」

オスマンが手を差し伸べた。
だが、ロングビルは首を横に振った。
オスマンが奇妙に思っていると、ロングビルはこう返した。

「召喚銃がここに無い事が国やアカデミーに知れたら面倒でしょう?
再就職の礼と、フーケの最後を飾って、フーケが盗んだ事にしてしまいましょう。
『ミス・ロングビル』は、それが終わってからと言う事で。」

学院長室に、二人ぶんの笑い声が木霊した。








ここは、サビエラ村より少し離れた森の奥。
カミューラとの戦闘が終わった後、海馬、タバサ、シルフィードの3人は、話があるとエルザに連れられ、ここまでやってきた。

「ふぁ~~~あ。一体なんでこんなところまでこなければいけないのね。
吸血鬼もやっつけたし、シルフィはもう寝たいのね。」

あれだけの戦闘…いや、決闘を目の前にしてすぐ眠れると言うのも凄いものであるが、
睡眠を害されたシルフィードはご立腹のようであった。
一方のタバサと海馬はと言えば、ただ無言でついてきていた。
と、森が開けた場所でエルザが歩みを止めた。

「この辺りで、いいわね。」
「で?俺たちをここに呼び出した理由はなんだ?下らん事だったら承知はしないぞ?」
「いいえ、くだらなくなんて無いわ?あなた達がしに来た事をやってくれればいいの。」



「?」とシルフィードは首をかしげた。
吸血鬼退治はカミューラを退治した事で終わったではないかと。
だが、海馬もタバサも、エルザの言おうとしている事を理解した。

「あなたを…殺せと?」
「察しが早くて助かるわ。それじゃあ、おねが…」
「ちょっと待つのね!何を言ってるのかわからないのね!仇のカミューラは倒したのに、何でエルザが死ななきゃならないのね!」

シルフィードには理解できなかった。
エルザの復讐は終わった。
ならばこれから明るい未来が始まるのではないのかと。
復讐が終わったら死ぬなんて…それじゃあ何のためにそうしたのかわからない。
そんなシルフィードをよそにエルザは語った。

「そう、カミューラはセトが倒してくれた。本当に感謝しているわ。
私にはしたくてもできなかった、みんなの仇を取ってくれた。
それを見届けただけで、私は満足なの。」
「もう、生に悔いは無い?」

と、タバサが尋ねた。

「えぇ。もともと、私は50年前に死んでいたはずの命。
カミューラの気まぐれで生かされた私の命の使いどころは、みんなの仇を討つためだけだったの。
それも果たされた今、私はもう…」
「でも!生きていれば色々愉しい事もあるのね!美味しいご飯を食べたり!みんなと遊んだり!色々…たくさん…!」

だが、自嘲気味に笑いながら、エルザは言った。

「私はどうせ…日の光の下にはいられないわ。なら、いっそ…」

シルフィードは泣いていた。
せっかく開けた明るい世界が、未来があると言うのに、彼女は手を伸ばせない。
カミューラに与えられた吸血鬼の枷。
半不老不死の命の代償に奪われた日の光。
カミューラを倒しても、その枷はエルザを縛り付ける。
すっと、タバサは杖を構えた。

「それが…あなたの答えなら…」
「お姉様っ!?」

『ラグーズ・ウォータル・デル・ウィンデ…』

アイス・ストーム
タバサが扱うトライアングル・スペル、氷の粒を含んだ風の渦を生み出す高位の呪文である。
巻き込まれれば、子供サイズのエルザは痛みも寒さも感じる間もなく一瞬で氷結し死に至るだろう。
タバサなりの、慈悲の技であった。



「せめて、一撃で…」
「だめぇっ!!」

シルフィードの叫びすらも掻き消して、荒れ狂う氷の嵐がエルザへと向かう。
だが、その直前で、氷の嵐は幾つもの渦の中へと消えていった。

「リバース罠、攻撃の無力化…」
「なぜ…」

嵐を止めたのは海馬だった。
海馬はエルザの傍へと近づく。

「タバサ、吸血鬼への変化は吸血鬼の固有の能力か?それとも、魔法の一種なのか?」

エルザ、タバサ、シルフィードの三人はきょとん、とした顔になる。
それもそうだ、いきなり全く関係の無い話をし始めたのだから。

「…先住魔法の力の一種と解釈されている。
血を吸う際に自分の魔力を含めた自身の血液を送り込み、肉体を改変させるという説がある。
しかし、なぜ今そんな話を?」

タバサの問いには答えず、海馬はエルザに言った。

「もし…吸血鬼から戻せるかもしれないと言ったらどうする?」
「!?」

3人の驚きをよそに、海馬は言葉を続けた。

「俺のカードの1枚『魔法除去』は、発動している魔法効果を破壊する効果がある。
魔法効果だというのなら、それを打ち消す事ができる可能性が無いとは限らないだろう。」

海馬は手に持っていた1枚のカードを指した。
錠前が鍵によって開かれているデザインのカード、『魔法除去』だ。

「……でも、今更人間に戻ったって…」

過ぎてしまったときは戻らない。
自分の父も母も、友達も…みんな、失ってしまったものは…決して…。

「だが、今あるものと共に生きる事はできる。
お前が失った過去は、かけがえの無いものだったかもしれない。
だが、村長や、他の村人達がいる『今』は、それもまたかけがえの無いものではないか?」

エルザは思い出していた。
実の娘のようによくしてくれた、村長。
家の中でしか会った事は無かったが、気さくに話してくれた村人達。
そして、昨夜の集まりでも、初めて会うはずの人ですら、笑顔で触れ合ってくれた。

「過去を積み重ねて今を生きる。それが人間と言うものなら、
貴様も復讐という過去から離れ、今を生きてもいいと、俺は思う。」



ちらりと、海馬はタバサのほうにも視線を送った。
だがそれに気づいたタバサは、すっと目をそらした。

「…もしも…もしも戻れるのなら…私は…生きたい。
今を…生きてみたい。」

すっと、『魔法除去』のカードをデュエルディスクに挿し発動する。
エルザの胸元に、大きな錠前が出現し、鍵が差し込まれる。
ガチリと大きな音がして、その錠前が開かれ、消失した。
期待する効果の割には、あっけない流れであった。

「……どうなったのね?」
「それは、あれが教えてくれるだろう。」

そういって海馬が指差した方向は東。
時刻は既に朝。
少しずつ…少しづつ、光が漆黒の森を明るく染め上げていく。
それは暗闇を進んできた4人には目に刺さるほどのまぶしさだった。

「んっ…まぶしいっ…のね…。……っ!?エルザッ!?」

バッと、3人がエルザのいる方を向いた。
そこには、眩い陽光に照らされている、エルザの姿があった。
エルザ自身も、驚いていた。
そして、不意に涙があふれてきた。
50年ぶりの朝日は、これほどまでに暖かで優しくて…

「……眩しいじゃない…。目が痛くって…痛くって…涙が出てくるわよ・・・」
「エルザッ!!」

シルフィードは、自分の目の涙もぬぐわずエルザに抱きついた。

「……奇蹟?」

タバサは呟いた。
吸血鬼が人間に戻るなど、どこの文献にも載っていなかった。
吸血鬼になった人間と言う例は無い事は無いが、その殆どは人間に退治されて終わる。
それが…人間に戻るなんて…。

「どうかな。エルザは一度も血を吸わなかったと言っていた。
おそらくそれがエルザを・・・いや、やめておこう。
エルザが日の下で笑っていられる。それだけで十分だろう。」






その後、海馬たちは村人達の多大な感謝を背に受けながら、サビエラ村を発った。
ブルーアイズとシルフィードが並んで空を掛けている間、
シルフィードはきゅいきゅいと騒がしかったが、海馬もタバサも黙ったまま風を切っていた。
と、不意にタバサがまた、シルフィードの背の上からブルーアイズの背の上に飛び乗った。

「一つ、聞きたい事がある。」

普段と同じ無表情に見えたが、その瞳に真剣さを海馬は感じた。

「魔法除去…あれは、魔法薬の効果にも効果がある?」

いつに無く真剣なタバサ。

「…悪いが、あのカードを使ったのはあれが初めてだ。
常に上手くいくとは限らん。よって、それを保証する事はできん。」
「そう。」

そう言うと、またシルフィードの背に戻ろうとするタバサ。
すっと飛び立ち、そのままシルフィードの背に降り立った。

「もう、お姉さま!!危ないし、シルフィの心臓にも悪いからやめてほしいのね!」

そんなシルフィードの文句も無視して、タバサは読書に戻ってしまった。
そしてその日の昼少し前頃に、海馬たちが学院に戻ってきて最初に目にしたのは、
大きな穴の開いた宝物庫のある本搭であった。



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