「それじゃ改めてよろしく、アキミ、ユズ」
「よろしくお願いします!」
「……は、はい……」
「そうそう、私はまだ自己紹介してなかったわね。私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。……まあ、さっきみたいに『姉様』とか『お姉ちゃん』って呼ばれるのはちょっと嬉しいかしら。私3姉妹の末っ子だったから」
「そうだったんですか」
「そういえば、アキミは4人兄妹の3番目だったわよね? ユズへの自己紹介も兼ねてちょっと話してくれる?」
「あ、はい。まず1番上が春人兄様。お仕事で留守がちだった父様や母様の代わりにボク達3人の面倒を見てくれたとっても優しい兄様で、ボク大好きなんです! 2番目が千夏姉様。世話焼きだけど不器用なんですよね……。元気がよくって運動が得意です。千夏姉様ももう何でそうなのかわかんなくなるほど、兄様の事が大好きなんですよ。それで末っ子が美冬。生まれつき体が弱くて病気がちだけど、可愛がられて育ったからなのかちょっとわがままで……」
「そうなの、同じ病弱でもカトレア姉様とは随分違うのね。ねえユズ、ユズの家族の事も聞きたいけどいいかしら?」
「……ユズにはママしかいなくて、パパはいないんです……。でも大好きな先生がいるから……、寂しくなんかないんです……」
「そう……。その先生ってきっと素敵な人なのね」
「はい……、先生のお薬がたくさん飲めると思うとそれだけで元気がでてくるんです……」
ルイズは秋巳とゆずの事が気に入った。なぜなら2人はルイズにとって可愛い妹のような存在になったのだ。先程本人が言った通りルイズは3姉妹の三女。妹が欲しいと思った事は1度ならずある。
そこに現れた2人は、ルイズの庇護欲をかきたてるのに充分な魅力を持っていた。
そんなルイズが早速した事は、2人に近付けさせたくない人物の名前を連ねたブラックリスト作成だった。
(まずはツェルプストーのとこのビッチね。あの女見境無いから特に注意しないと。いつも小柄な青髪の子連れ回してるけど、あの子もう餌食にされたんだわ……。後はギーシュにマルコメ……本名何だっけ? まあ、思い出せないって事は大した事無い奴だろうから別にいいわ。この辺を注意すれば大丈夫ね)
「ルイズ姉様、どうしたの? ぼんやりして」
「いえ、何でもないわ。……あ、もうこんな時間じゃない。そろそろ寝るわよ。2人ともベッドに入って。特にユズはあんまり体が丈夫じゃないんでしょ? 召喚されて疲れてるだろうから」
「……あ、はい……」
「え、いいの……? ルイズ姉様」
「何言ってるの。女同士なんだから遠慮しないの!」
『………』
ベッドに潜り込んだ2人の沈黙の意味をルイズはまだ知らない……。
「よろしくお願いします!」
「……は、はい……」
「そうそう、私はまだ自己紹介してなかったわね。私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。……まあ、さっきみたいに『姉様』とか『お姉ちゃん』って呼ばれるのはちょっと嬉しいかしら。私3姉妹の末っ子だったから」
「そうだったんですか」
「そういえば、アキミは4人兄妹の3番目だったわよね? ユズへの自己紹介も兼ねてちょっと話してくれる?」
「あ、はい。まず1番上が春人兄様。お仕事で留守がちだった父様や母様の代わりにボク達3人の面倒を見てくれたとっても優しい兄様で、ボク大好きなんです! 2番目が千夏姉様。世話焼きだけど不器用なんですよね……。元気がよくって運動が得意です。千夏姉様ももう何でそうなのかわかんなくなるほど、兄様の事が大好きなんですよ。それで末っ子が美冬。生まれつき体が弱くて病気がちだけど、可愛がられて育ったからなのかちょっとわがままで……」
「そうなの、同じ病弱でもカトレア姉様とは随分違うのね。ねえユズ、ユズの家族の事も聞きたいけどいいかしら?」
「……ユズにはママしかいなくて、パパはいないんです……。でも大好きな先生がいるから……、寂しくなんかないんです……」
「そう……。その先生ってきっと素敵な人なのね」
「はい……、先生のお薬がたくさん飲めると思うとそれだけで元気がでてくるんです……」
ルイズは秋巳とゆずの事が気に入った。なぜなら2人はルイズにとって可愛い妹のような存在になったのだ。先程本人が言った通りルイズは3姉妹の三女。妹が欲しいと思った事は1度ならずある。
そこに現れた2人は、ルイズの庇護欲をかきたてるのに充分な魅力を持っていた。
そんなルイズが早速した事は、2人に近付けさせたくない人物の名前を連ねたブラックリスト作成だった。
(まずはツェルプストーのとこのビッチね。あの女見境無いから特に注意しないと。いつも小柄な青髪の子連れ回してるけど、あの子もう餌食にされたんだわ……。後はギーシュにマルコメ……本名何だっけ? まあ、思い出せないって事は大した事無い奴だろうから別にいいわ。この辺を注意すれば大丈夫ね)
「ルイズ姉様、どうしたの? ぼんやりして」
「いえ、何でもないわ。……あ、もうこんな時間じゃない。そろそろ寝るわよ。2人ともベッドに入って。特にユズはあんまり体が丈夫じゃないんでしょ? 召喚されて疲れてるだろうから」
「……あ、はい……」
「え、いいの……? ルイズ姉様」
「何言ってるの。女同士なんだから遠慮しないの!」
『………』
ベッドに潜り込んだ2人の沈黙の意味をルイズはまだ知らない……。
翌朝、秋巳が目覚めた。とても清々しい朝、絶好の洗濯日和だろう。
ルイズ・ゆずはまだ寝ている。
横には洗濯物が丁寧に置かれていた。
秋巳はまずルイズの寝姿を覗き込んだ。
昨夜、もし先に起きたら起こしてほしいと頼まれたのだ。
「ルイズ姉様、朝だよ」
体を揺らしたり耳元で声をかけたりしてみたが、ルイズは相変わらず寝息をたてている。
「乱暴にお布団剥がしちゃったら、きっと怒られるだろうなあ……。……兄様を起こしてたみたいにやってみようかな?」
まず秋巳はゆっくり布団を剥いで、ルイズに可能な限り体重がかからないよう注意しつつ馬乗りになる。
「ルイズ姉様……」
そしてそっとルイズと秋巳の顔と顔、唇と唇が接近していき、あとわずかで触れ合いそうになった時、ルイズの目が開いた。
「ア、アキミっ!? 何すんのよ!?」
「あ、起きた起きた。朝だよ、ルイズ姉様」
「そこにある服取って! ……アキミ、何であんな起こし方したのよ?」
「ご、ごめんなさい……。ルイズ姉様なかなか起きなかったから、家にいた時いつも兄様を起こしてたやり方ならきっとうまくいくかなって……」
「アキミ、あんた家でそんな起こしかたしてたの……?」
「う、うん……。それで時々ベッドの中に引っ張り込まれて……、それで、その……、学校お休みしちゃったり……」
「……アキミの兄ってもっと立派な人だと思ってたけど、考え改めた方がいいみたいね……」
ルイズ・ゆずはまだ寝ている。
横には洗濯物が丁寧に置かれていた。
秋巳はまずルイズの寝姿を覗き込んだ。
昨夜、もし先に起きたら起こしてほしいと頼まれたのだ。
「ルイズ姉様、朝だよ」
体を揺らしたり耳元で声をかけたりしてみたが、ルイズは相変わらず寝息をたてている。
「乱暴にお布団剥がしちゃったら、きっと怒られるだろうなあ……。……兄様を起こしてたみたいにやってみようかな?」
まず秋巳はゆっくり布団を剥いで、ルイズに可能な限り体重がかからないよう注意しつつ馬乗りになる。
「ルイズ姉様……」
そしてそっとルイズと秋巳の顔と顔、唇と唇が接近していき、あとわずかで触れ合いそうになった時、ルイズの目が開いた。
「ア、アキミっ!? 何すんのよ!?」
「あ、起きた起きた。朝だよ、ルイズ姉様」
「そこにある服取って! ……アキミ、何であんな起こし方したのよ?」
「ご、ごめんなさい……。ルイズ姉様なかなか起きなかったから、家にいた時いつも兄様を起こしてたやり方ならきっとうまくいくかなって……」
「アキミ、あんた家でそんな起こしかたしてたの……?」
「う、うん……。それで時々ベッドの中に引っ張り込まれて……、それで、その……、学校お休みしちゃったり……」
「……アキミの兄ってもっと立派な人だと思ってたけど、考え改めた方がいいみたいね……」
そんなこんなでルイズ・秋巳・ゆずは一緒に部屋を出た。
廊下には同じような木製のドアが壁に3枚並んでいた。
そのドアの内の1枚が開いて、中から炎のような赤髪の少女が現れた。
「おはよう、ルイズ」
「おはよう、キュルケ」
ルイズは顔をしかめて嫌悪感もあらわに返事をした。
「ルイズの使い魔ってその子達?」
「そうよ」
「本当に2人も平民の子供を召喚したのね! 本当に凄いじゃない。私なんかこーんな立派なサラマンダーを召喚しちゃったわよ。いらっしゃい、フレイム」
キュルケが呼ぶと後ろのドアから大トカゲが出てきた。尾には炎が燃えていて非常に熱そうだ。
ゆずはキュルケに尋ねる。
「……キュルケお姉ちゃん、熱くないんですか……?」
「大丈夫、私にとっては涼しいくらいよ」
「とっとと行くわよ!」
「何をそんなに怒ってるの?」
「あ、そうそう、あなた達名前は?」
「ボクは志木秋巳です。こっちが橘ゆずちゃん」
「そう、変わってるけど可愛い名前ね。じゃ、お先に失礼。教室で会いましょうね」
そう言うとキュルケはフレイムを連れて颯爽と去っていく。
キュルケがいなくなるとルイズは拳を握り締めて吼える。
「何なのあの女! 自分が立派なサラマンダーを召喚できたからって!!」
「……あの……、ゆず達何か悪い事しちゃいましたか……?」
ルイズの剣幕に若干怯えたようにおずおずとゆずが声をかけてきた。
自分の憤怒がゆずの表情を曇らせた事にはっとしたルイズは、笑顔を浮かべてゆずの頭を撫でる。
「……大丈夫よ、何でもないわ。それより食堂に行きましょう。朝食が待ってるわ」
廊下には同じような木製のドアが壁に3枚並んでいた。
そのドアの内の1枚が開いて、中から炎のような赤髪の少女が現れた。
「おはよう、ルイズ」
「おはよう、キュルケ」
ルイズは顔をしかめて嫌悪感もあらわに返事をした。
「ルイズの使い魔ってその子達?」
「そうよ」
「本当に2人も平民の子供を召喚したのね! 本当に凄いじゃない。私なんかこーんな立派なサラマンダーを召喚しちゃったわよ。いらっしゃい、フレイム」
キュルケが呼ぶと後ろのドアから大トカゲが出てきた。尾には炎が燃えていて非常に熱そうだ。
ゆずはキュルケに尋ねる。
「……キュルケお姉ちゃん、熱くないんですか……?」
「大丈夫、私にとっては涼しいくらいよ」
「とっとと行くわよ!」
「何をそんなに怒ってるの?」
「あ、そうそう、あなた達名前は?」
「ボクは志木秋巳です。こっちが橘ゆずちゃん」
「そう、変わってるけど可愛い名前ね。じゃ、お先に失礼。教室で会いましょうね」
そう言うとキュルケはフレイムを連れて颯爽と去っていく。
キュルケがいなくなるとルイズは拳を握り締めて吼える。
「何なのあの女! 自分が立派なサラマンダーを召喚できたからって!!」
「……あの……、ゆず達何か悪い事しちゃいましたか……?」
ルイズの剣幕に若干怯えたようにおずおずとゆずが声をかけてきた。
自分の憤怒がゆずの表情を曇らせた事にはっとしたルイズは、笑顔を浮かべてゆずの頭を撫でる。
「……大丈夫よ、何でもないわ。それより食堂に行きましょう。朝食が待ってるわ」