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ソーサリー・ゼロ第三部-21

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二〇六

 鳥人は君の慈悲に感謝する。
「俺はすぐにこの場を離れる。風大蛇は襲撃が失敗したことを知れば、俺を生かしてはおかぬはずだ。あの化け物、風神パンガラの力を持つ
大蛇には気をつけろ」
 うわずった声で君に忠告する。
「奴の体は毒煙の塊だ。実体がないので、炎にも稲妻にも傷つけられることはないという!」
 それだけ言うと鳥人は翼を広げ、北西の空へあたふたと飛び去る。
 残された君はあたりを見回し、大きく溜息をつく。
 馬車を牽いていた馬が、君たちの闘いにおびえていずこへともなく走り去ってしまったため、君のそばに居るのはもの言わぬ死者ばかり
――矢に胸を射抜かれた御者と、君が倒したふたりの鳥人の屍だ。
 いや、もの言う存在はひとり――あるいは一振り――だけ居る。
「あの翼人もどきも、相棒と同じ世界の生まれかね? ずいぶんと剣呑な連中だが、≪先住の魔法≫を使わねえだけまだましか」
 デルフリンガーの言葉に君はうなずく。
 彼らの死体をこのままにしてはおけぬと考えた君は、農夫か誰かに助けを求めるべく来た道を引き返す。
 一マイルほど戻れば、畑仕事中の者たちに会えるはずだ。

 空飛ぶ怪物に馬車を襲われ同行者が殺されたという君の報せに、農夫たちは驚きと恐怖の表情を浮かべる。
 怪物のうち二匹を返り討ちにして、残りは追い払ったと聞かされても、彼らはなかなか動こうとしない。
 君はおびえて同行を渋る農夫たちをなだめすかし、死体を運ぶための荷車を用意させる。
 他の連中よりも肝の据わった四人の農夫を率いて、鳥人たちに襲撃された現場に戻った君は、意外な光景を眼にする。
 三人の死体が消えているのだ!
 死体のあった場所には、まだ乾ききっておらぬ小さな血溜りができているが、ひとりの御者とふたりの鳥人の姿はどこにも見当たらない。
 道を通りがかった別の馬車が拾ったか、あるいは狼や熊のような大型の獣に持ち去られたのではとも考えるが、地面には死体をひきずった
跡さえないのだ。
 農夫たちは困惑の表情を浮かべ、死体はどうしたのだと尋ねてくる。
 君はそんなはずはないと言って、近くの藪陰を掻き回すが、三人の死体はいくら探しても見つからない。
 途方に暮れた君は、疑いのまなざしを投げかけてくる農夫たちにそそくさと別れを告げ、とにかくラ・ヴァリエール公爵の屋敷をめざして
歩くことに決める。
 順調にいけば、日付が変わるころには目的の場所に着けるはずだ――深夜の来客に、門を開いてくれるかどうかは別の問題だが。二九八へ

二九八

 君は再度の襲撃を警戒しながら、ひたすら進む。
 途中で足を止めて食事をするが(体力点二を加えよ)、食べ終えるとまたすぐに歩きだす。
 後ろから君を追い越す荷馬車に便乗しようともせず(これ以上の巻き添えを出すわけにはいかない)、黙々と足を進める。

 夕方から降りだした雨はやがて土砂降りへと変わり、君の足取りを鈍らせ、方向感覚を狂わせる。
 深夜になって雨はだいぶ弱まるが、君はとっくに全身ずぶ濡れとなっている。
 暗闇の中で水溜りに足を踏み込むたびに、君は悪意の神スラングを呪う。
 学院を発ってから平穏な旅を続けてきたのに、突然の鳥人の襲撃を皮切りに、死体の謎めいた消失、そしてこの嵐――まるで、神々の
見えざる手でもてあそばれているかのようだ!

 君は丘の頂に立ち、ラ・ヴァリエール公爵の屋敷をほっとした気持ちで眺める――ようやく乾いた場所に立てる!
 それは、屋敷というより城砦と呼んだほうがふさわしい重厚な造りの建物であり、遠く離れた場所に立つ君の眼にも、トリスタニアの
王城にさえひけをとらぬ、堂々とした城壁と幅の広い堀が見てとれる。
 稲妻が光り、天を突く槍の穂先を思わせる尖塔がくっきりと照らし出される。
 君は足を速め、門へと向かう。
 早く屋敷の中に入れてもらわねば。
 堀の向こう、それ自体が塔ほどもある門柱の脇にそびえ立つ巨大な石像を、君は驚嘆の思いで見上げる。
 身の丈七十フィート近くにも達するその石像は、よく見れば人間の脚ほどの太さの鎖を握っている。
 ただの石像ではなく、跳ね橋の上げ下げのために働く、石ゴーレムかなにかのようだ。
 圧倒的な存在感の城壁と石像に向かい合った来訪者は、自分がちっぽけな虫けらになったような錯覚を覚えるに違いない。
 君も同様の影響を受けたが、すぐに我に返ると跳ね橋の前に立ち大声で叫ぶ。
 跳ね橋を降ろしてくれ、中に入れてくれ、と。
 早朝というにはまだ早い時間だが、門には不寝番が就いているはずだ。

 結局、君が跳ね橋を渡り城門をくぐったのは、それから一時間後のことだった。
 公爵家に招かれた客人を雨の中で待たせるつもりか、という君の脅し文句も門衛には通用せず、
「招待状も持っていないくせになにをぬかす! だいたい、公爵さまのお客がこんな時間に、歩いてやってくるわけがあるか!
いいから、執事が起きるまで待っていろ」と言い返されるだけの結果になったのだ。
 不審そうな目つきでじろじろと見つめてくるふたりの門衛に案内されて中庭を通り抜け、玄関らしき大きな扉の前に立つ。
 しばらくすると扉が重々しく開き、黒い仕着せ――ペルスラン老人のそれによく似ており、おそらくこれが執事の制服なのだろう――を
まとった初老の男が姿を現す。
 男は不自然なほど青白い顔に、厳粛な表情を浮かべている。
「当家になんのご用でしょう」
 相手はおごそかに訊いてくる。
 君は、この執事を相手に高圧的な態度をとり、さっさと主人のもとへ案内しろと告げるか(一五六へ)? 
 それとも、相手の機嫌を損なわぬようていねいに事情を説明し、取次ぎを頼むか(二三八へ)?

二三八

 君は執事に向かって名を名乗り、事情を説明する。
 迎えによこされた馬車の御者は、道中怪物に襲われて死んだ、しかしその死体は、眼を話した隙に消えてしまった、と。
 君の話を聞いても男はあいかわらず無表情なままで、その眼には驚愕、疑念、いかなる感情も浮かんでいない。
「では、どうぞ中に」
 しばらくして、男が重々しく告げる。 
「奥さまがお会いになるでしょう。こちらへ」と。
 男は君を玄関ホールへと通す。
 泥だらけの靴で足を踏み入れるのが、罪悪に思えるようなホールだ。
 白く輝く手摺のついた階段が左右にあり、天井からは大きくきらびやかなシャンデリアがぶら下がっている。
 君は、ルイズの実家がトリステイン有数の大貴族だということをあらためて思い知る。
 執事は君に一礼し、まだ水の滴っているマントと荷物、それに剣を預かろうと申し出る。
 君は相手にマントだけを渡し、ほかの物は自分で持っていたいと答える。
 しかし男は、剣も預けるようにと言う。
 武器を持ったまま貴族と向かい合うのは、大変な失礼にあたる、と。
 君は執事の言葉にしたがって、デルフリンガーと、カーカバードから持ち込んだ武器を渡すか(九へ)、それとも断固として拒むか(三〇九へ)?


 君は言われたとおり、武器を相手に預ける。
 執事の骨張った指がデルフリンガーの柄に触れた瞬間、魔剣は
「ん?」と怪訝そうな声を上げる。
 見れば、デルフリンガーは完全に鞘に収まりきっておらず、輝く刀身が半インチほど姿を覗かせている――声を出せる状態にあるのだ。
 思わぬところから発せられた声にも男は驚かず、顔の筋ひとつ動かさない。
 デルフリンガーは続けてなにかを言おうとしたようだが、男はくるりと背を向けると足早にその場を立ち去ってしまう。
 君は男の背中を見送りながら、タバサよりも感情を打ち消す術(すべ)に長けた人間が存在するとは、と驚異の念を覚える。
 今の君はいっさいの武器を持っておらぬので、武器を返してもらうか代わりの武器を見つけるまで、闘いにさいして攻撃力から三点を
引かねばならない。

 君は客間で待たされる。
 タバサの実家の客間も立派なものだったが、この部屋はその倍以上の広さがあり、調度の豪華絢爛ぶりは桁違いだ。
 最初のうちは緊張していた君だが、時間が経つにしたがい、ふつふつと怒りが湧いてくる。
 家財にこれほど金をかけているのに、客には茶の一杯も出さぬとは!
 腹を立てる君を、突然の睡魔が襲う。
 考えてみれば、昨日は大雨の中を夜通し歩き続けてきたのだ。
 疲労と寝不足に悩まされる君にとって、御影石の暖炉の中で焚き木が静かにはぜるこの暖かい部屋は、絶好の休息場所に思える。
 堅固な城壁の内側にあるこの部屋なら、君をつけ狙う風大蛇の脅威を心配することもないだろう。
 しかし、もうすぐ『奥さま』――ルイズの母親――が現れるはずだ。
 君は眠気を追い払おうと、頭を左右に振る。

 三十分は経ったはずだが、誰も姿を見せない。
 部屋の外から物音や人の気配が伝わってくるので、奉公人たちはおのおのの仕事を始めだしたようだが、肝心の『奥さま』はいまだに
天蓋つきの寝台で高いびきか、それとも優雅に朝食をとっているのか。
 真面目に待っているのがばかばかしく思えてきた君は、部屋を出て人を呼ぼうかとも考えるが、そこでルイズの注意を思い出す。
 彼女は「いい? くれぐれも、母さまや姉さまに無礼がないようにね?」「とくに、母さまには絶対に逆らわないこと!」と言っていた。
 待つように言われたのに勝手に動き回るのは、無礼にあたることだろう。
 しかし、礼を失したのは向こうが先だ――平民が相手でも、それ相応の礼儀作法というものはあるはずだ!
 公爵家の次女を治療しにやって来た君が、このような扱いを受けるいわれはない。
 君はどうする?

 眠気と怒りをこらえて、じっと待ち続ける・一六二へ
 無礼は承知で部屋を出て、人を探す・九七へ
 長椅子に横になり、仮眠をとる・二一〇へ

一六二

 時間とともに眠気はいや増し、もはや耐えがたいものとなる。
 君は長椅子から立ち上がると部屋をうろつき、真鍮の火かき棒で暖炉の薪をいじり、最後には自分の頬に張り手を浴びせてどうにか意識を
保つ。
 疲労と痛みで体力点一を失う。

 城門をくぐって一時間半以上は経ったころ、ノックの音とともに客間の扉が開く。
 左右の手にはたきとバケツを持った若い女が入ってくるが、君の姿を眼にしてうろたえる。
 学院で働いているときのシエスタと同じような格好――黒い服と白い前掛け――をしているので、彼女も『メイド』と呼ばれる女中なのだろう。
「し、失礼しました! 誰もいないと思ったもので……」
 そこまで言ったところで、戸惑い顔になる。
「あの、どちらさまでしょう? お客さまですか?」
 君は、憮然とした顔つきで女に言う。
 執事の爺さんにここで待てと言われてずいぶん経ったが、そのあいだ茶菓子も出ず、誰も姿を見せない。
 いったいどうなっているのだ、と。
「で、でも、お客さまが来ているなんて、メイド長は一言も……」
 女は、疑念と困惑のない交ぜになった声でもごもごとつぶやくが、それを聞いた君の表情がみるみる険悪になっていくのを見て、息を呑む。
 おびえた表情を浮かべて、
「今すぐ、上の者を呼んできます!」と言うと、
廊下を走り去っていく。
 罪のない女を脅すような真似をしてしまった自分に嫌悪を覚えながらも、君は首をかしげる。
 あのタバサ以上に無表情な執事は、自らの務めも果たさずになにをしているのだろう?
 君の存在を、ころりと忘れてしまったとでもいうのだろうか? 一八一へ。

一八一

 君とテーブルを挟んで、ひとりの女が長椅子に腰を下ろしている。
 背が高く、均整のとれた体つきの中年女で、見事な仕立てのドレスに身を包んでいる。
 ルイズのそれとよく似た桃色がかった髪を頭の上でまとめているが、なにより特徴的なのはその眼差しだ。
 高貴な生まれで、自分にも他人にも厳しく、誤りは許さないという雰囲気が伝わってくる冷たい眼光を前にして、君の眠気は吹き飛んでしまう。
 雨に濡れ泥に汚れた君の姿を見て、わずかに眉をひそめる美しくも厳しいその面持ちは、華やかな貴婦人というより、厳格な判事か
将軍を連想させるものだ。
 この女こそルイズの母親、ラ・ヴァリエール公爵夫人だ。

 彼女は長々と君を待たせたことを詫びるが、自分はなにも聞いていない、今朝は誰も、君を出迎えた執事の姿を眼にしていない、と言う。
 また、ヴァリエール公爵は間近に迫ったアルビオン出征に関する会議でトリスタニアに出向いていて不在のため、自分が話を聞くと告げる。
 君は銀の碗から暖かい茶を飲みながら(体力点二を加えよ)、学院からここに来るまでに起こった出来事について語るが、話を聞き終えた
公爵夫人は疑わしげな視線を浴びせてくる。
「使い魔を召喚したところ異国の人間が現れ、その者が万病に効く薬を持っていた――ルイズからの手紙を読んだときは我が眼を疑いましたが、
あなたのいま言ったことは、それ以上に信じがたいものですね」
 公爵夫人は、冷たい声で言う。
「御者のオーギュストが空飛ぶ亜人に殺され、あなたは三人の亜人のうちふたりを斬った。そして、死体を運ぶべく人手を集めて戻ってきてみれば、
亜人もオーギュストも消えており、彼らの死体は見つからない……。いったい、どういうことなのです?」
 君はかぶりを振り、自分にもわけがわからぬと答える。
「それに、あなたがわたくしへの取次ぎを頼んだという、執事のジェロームの件もあります。本当に、どこに居るのかを知らないのですか?
あなたと会ったのを最後に、彼は消えてしまったのですよ」
 彼女の口調が厳しいものになる――まるで、隠し事を正直に白状しろといわんばかりに。
 さんざん待たされた末のこの扱いに君はいらだち、ルイズの警告も忘れてしまう。
 相手の周囲に漂う威圧的な雰囲気さえ気にせず、言い返す。
 自分はルイズの頼みで、彼女の姉を救うためにわざわざやって来たのだ。
 それを罪人のように尋問するとは、これが貴族のもてなしなのか、と。
 公爵夫人の表情が固くなる。
「お黙りなさい、平民。あなたは訊かれたことにだけ、答えればよいのです」
 手で触れられるのではないかと思えるほどの凄まじい威圧感が伝わってくるが、君も後には退かない。
 疲労と寝不足と溜まりに溜まった怒りが、恐怖感を麻痺させ、君を無鉄砲にしているのだ。
 君が、知らぬものは知らぬ、こっちは使用人の不手際で迷惑をこうむったのだと言うと、公爵夫人はどこからともなく杖を取り出す。
「もう一度だけ言います。お黙りなさい」

 君が思わず腰を浮かしたその瞬間、客間に奉公人らしきひとりの男が飛び込んでくる。
「た、大変です、奥さま!」
 男は息を切らしつつも大声を張り上げる。
「なにごとです、騒々しい」
「ミスタ・ジェロームが、見つかりました! し、し、死んでいます!」
 君と公爵夫人は同時に立ち上がる。
「どこで見つかったのですか?」
「西側の堀です! 剣に胸を貫かれた姿で浮かんでいたそうです!」
 男の言葉に、公爵夫人の眼つきが険しくなる――先刻の言い争いのときの数倍も!
 彼女にきっと見据えられ、君はびくりと全身をこわばらせる。
「この場を動いてはなりません」
 公爵夫人はゆっくりと、噛みしめるように言葉を続ける。
「いいですか、わたくしはあなたが下手人だと言うつもりはありません。しかし、ジェロームと最後に言葉を交わしたのは、あなたです。
そして、今、この屋敷の中で素性が明らかではない人間は、あなただけなのです」
 君はつばを呑み込み、そっとうなずく。
「あなたには、塔の小部屋に移ってもらいます。疑いが晴れ、身の潔白が明らかになるまで、そこから出ることを禁じます。よろしいですね?」
 公爵夫人の最後の言葉は、君の承諾を得ようと発せられたものではない――有無を言わさぬ命令だ!
 杖をいつでも振れるように構えており、君が反抗的な態度を示せば、なんらかの術を使うであろうことは明らかだ。 

 君はどうする?
 彼女の言葉を受け容れ、おとなしく従うか(一三四へ)?
 奉公人の男を押しのけて、部屋から逃げ出すか(五〇へ)?
 いちかばちか、公爵夫人を取り押さえ杖を奪おうとするか(三三へ)?
 それとも、術を使うか?

 RAZ・四五三へ
 ZIP・三七八へ
 NIF・四七七へ
 MAG・四四七へ
 GEN・四二八へ


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