あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

魔導書が使い魔-01


途方もないほどの時間と、途方もない距離と、途方もない世界を彷徨った
“彼女”は。
温もりを求めるように深く深く潜った眠りの中。
たしかに、その声を聞いた。

『お願い……誰でもいいから……私の元へ来て』

その声は切実で悲しみに満ちていて祈るようでもあり、決して誰も助けてくれ
ないと諦め絶望していた。

(……知るものか)

以前の彼女だったら無視しただろう。
以前の彼女だったら歯牙にもかけないだろう。
無論、今の彼女もそう変わるわけもなく。

ただ、胸にチクリと棘が刺さる。
それは決して大きなものでもなく、彼女が今まで味わった苦痛と比べると物の
数ではない。
……はずだった。

(――っ)

彼女は歯を食いしばる。
小さな棘はチクリチクリとその存在を鮮やかに主張する。
痛さを叫ぶほどでもなく、かといって無視すらできないその存在を、彼女は自
覚しない。
そしてこの痛みを耐えながら彼女はため息を付くようにある結論に至る。

後味が悪い。

奇しくもそれは、彼女が最も呆れ、最も馬鹿にし、最も愛しい考えであった。

(ふん……ちょうどいい。我はちょうど時間が有り余っている。片手間ついで
に救ってやろうではないか)

そうして彼女が深い深い眠りから覚めた時に目にしたものは、画面いっぱいに
浮かぶ巨大な鏡であった。

「なっ!?」

対応する間さえなく、彼女と“彼”はその鏡に接触し、

「これは鏡面を使用した空間転移魔術っ!? いや、それにしては術式がっ!!」

膨大な光が鏡から放たれ彼女の意識を奪っていった。

――――落ちる。

―――堕ちる。

――墜ちる。

そうして彼女は、その世界へと喚起された。



彼女は杖を振り下ろした回数を数えることをすでに止めていた。
この日が来るまでに様々な動物、幻獣、はては亜人までも、ありとあらゆる書
物を見て脳内に焼き付けた。何度となく正確なイメージを構築し、できたたび
にその口は呪文を発し、その手は杖を振り下ろす。
頭に浮かべたイメージは完璧で、細部すら彼女は言い当てられるだろう。

だが

目の前で起きたのは爆発。
彼女が最も慣れ親しみ、そして最も嫌悪する結果だった。
「またかよー!」
「もう止めろ。時間の無駄だ!」
「やっぱりなにやっても“ゼロ”だな!」
はやし立てる周囲の声。
それは侮蔑を侮蔑として認識していない、無邪気さ(この行為が無邪気と言え
るかと疑問であるが)で表現されるからかいである。
彼女は唇をかみ締めるだけで、何も言わない。
プライドの高い彼女は、決して自らの品位を貶めるような行為はしない。
それは得るべくして得たプライドではなく。それを選択するしかなかった彼女
の悲しき寄り辺であった。

はやし立てる生徒の中。
教師であるコルベールが静かに彼女を見つめていた。
コルベールは生徒に対して親身に接してくれる熱心な教師である。彼女は何度
もコルベールから指導も受けて彼の実直さはわかっている。
だがそれゆえに、彼の瞳からもう後がないことがわかった。
彼は確かに生徒に親身で熱心な教師だ。
だが、教師は公平であるべき存在だ。
親身になることはあっても、特別視することはできない。
そしてその隣では赤く長い髪を無造作に流した彼女の宿敵であるキュルケがい
た。
キュルケは彼女を一瞥すると、挑発するようにクスリと笑う。

それは燻りかけた彼女の心に、再び火を点す。

そうして彼女は、数十回目となる行為を繰り返す。

杖を持つ手はすでに疲れ切っている。杖を振り上げるだけで身体よろけそうに
なる。
ほほから静かに汗が伝い、あごから地面へとおちる。
暖かい陽光は今では肌を焼く熱線と同じだ。ジワリジワリと体力を奪っていく。
声の張りすぎで枯れそうな喉を、唾を飲み込むことで無理やり潤わせる。
頭はもう空っぽ、重なった疲れが身体から余分な物全てを抜き去っている気が
した。
これ以上にない、倦怠感が襲う中。

彼女は、祈るように、伝わるように、届くように、
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは求む。もし
我の声が聞こえるのなら、

――その姿を我が前に現せ!」

その声を響かせた。

轟音。

その音を聞いた者は、またか、と蔑みの感想を抱き。
その“物”を見た者は、言葉にならない驚愕に凍りつく。

「な、なにこれ……」
キュルケは静かにつぶやいた。

「…………」
ルイズは目の前に起こった現象に思考が止まった。

杖を振り下ろす瞬間。
“なにか”がルイズの奥底に引っかかる感触がした。
その感触を逃さぬように残された力を振り絞り“なにか”を引っ張った瞬間。
それは現れた。

それは空に浮かぶ、巨大な、巨大な魔方陣。

晴れていたはずの青空は一瞬で渦巻く雲にかげり、その中心からまるで爆発す
るかのごとく広がった魔方陣。
それは清く、そして聖なるものだと感じる。
そうしてその陣を見上げる彼女の前に。

まるで世界に生誕するように、堕胎されるように、祝福されるように、拒絶さ
れるように。

巨大な神の機械人形(からくり細工)が降り墜ちた。



夢を、遠い遠い彼方の夢を見る。
(壇上の女にライト)
それは本来有り得ないできごと。現実とは違うパラレルワールド。まどろみさ
えもまどろむ枕物語。夢をも夢見る語り話。
(女はゆっくりと壇上を歩く)
今宵の夢は誰が見るのでしょう。今宵の話しは誰が主役でしょう。今宵の狂気
は誰のモノでしょう。今宵の語りは誰の物語でしょう。これから始めるのはほ
んのお遊び、楽しい楽しい戯れの時間。
(しだいに壇上が暗くなる)
おや、そろそろ開幕のお時間でございます。それではみなさま、お楽しみ下さ
いませ。
(ブザーが鳴る。ライトが消え、女が暗闇に消える)
それでは始まってない始まりを、終わってない終わりを。開幕の開幕を、閉幕
の開幕を!
(ブザーが途切れる)
最後までご覧下さい。
(幕が上がる)



軌道後方に司令室確立資本ながら主義を変え向い本質的にある本能を理性によ
り高騰させ一パック三十円の卵を二個叩き売り/三法からの表紙を酩酊常態で
浅ましく効能で優しくし呟いて愛してる□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
………………………………………………………………ノイズ。□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□三丁目の角を曲がり二丁目の角を渡り一丁目を飛ばして一丁目
の角へ/あれ?/結局同じ?/無視無視無視☆/王子様は眠っている眠り姫に
陵辱され悪い魔女は民に貪られ小人は王に反旗を翻しストライキ。小人の発言
「労働基準法の適用を!」/A.(アンサー)「却下。死刑」たちまち小人は皆
殺し、チャンチャン/僕は彼女と住んでいる、彼女の体から三匹の子豚が出て
きたから今夜は焼き豚にした、彼女は血と胃と大腸と小腸と肝臓とすい臓と膀
胱と肺と子宮と心臓と胎児を引きずりながら美味しい美味しいと僕を齧る――痛
いいたいイタイ居たい遺体射たい異体鋳たい/その身が/この心が/脳が/魂
が/体が/全てが/犯し冒され侵し返して三千世界を穢し汚し貶め嘲笑い■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
警告(エラー)! 警告(エラー)! 警告(エラー)!
――この書記(ソフト)に虫食い(バグ)の侵入を確認。記述の破壊率6、7、12、
24%――迎撃機関(カウンターシステム)の容認(コール)――機関(システム)の
起動を確認。迎撃開始(カウンター)――
書庫記述(プログラム)の復旧(リガバリィ)を開始

第一・・・破損
第二・・・不能
第三・・・無能
第四・・・復帰

写実保管書(バックアップ)立ち上げ
現在の記述(データ)と比較して破損箇所の上書きを実行

聖書に語る獣のとは。七つの首と十の王冠を持ち黒き王として夢幻の果てにま
どろむ者。無限の狭間に囚われ幾千幾万幾億幾兆の加味苦難悲哀苦境哀愁憤怒
孤独諦め苦悩ため息辛酸を舐め絶望脅威驚愕憤慨悲しみ苦痛不快腐乱動揺狂気
凶気諦観諦念怒号虚無胎動不純乾燥死期を越え死亡生誕死亡生誕死亡生誕死亡
生誕死亡生誕死亡生誕死亡生誕死亡生誕死亡生誕死亡生誕死亡生誕死亡生誕死
亡生誕死亡生誕死亡生誕死亡生誕死亡生誕を繰り返し親から子が産まれ子が親
の誕生を見守る矛盾の螺旋螺旋螺旋螺旋螺旋螺旋螺旋螺旋螺旋の渦――

昔話の英雄とは。強くもなく特別でもなくただの人であった者として白き王と
な 剣を持ち立ち向かう 。無限の に囚われ  千幾万幾億幾兆の   福
楽   使命喜  感喜々嬉々慰安   楽驚  喜感激   激愉悦歓迎満
悦楽  満足   垢純    り正しさ願い望み  を迎え  死亡逆  
亡逆行死亡逆行死亡逆行死亡逆行死亡逆行死亡逆行死亡逆行死亡逆行死亡逆行
死亡逆行    死亡逆行死亡逆  亡を繰り   いを託  くした願いを
   いつまで  る    廻る廻る廻る廻  る廻      ――

闇の狭      千  持つ神について語ろう。  は災   害毒で  
   あることに     混沌の    という  でそ 名  はニャ 
 ト テ……  》A》URT(AUR   ……&#EATG‘(TYH&
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%T)$“YWPG+GFBJM――

警告(エラー)! 警告(エラー)! 警告(エラー)!!
保管書(バックアップ)の破損を確認
現状記述との保管書(バックアップ)の破損箇所との符合を照合。現状復興量は
0.00032%ほど――――現状破損率32.45783%
二割超過で保管書での復旧は不可能と判断
迎撃作業完了(カウンターアウト)、最終破損率37.78392%
全知記録保管異界(アカシックレコード)への接続(コネクト)を要求(コール)
――概念因果律法第8●○6○25○○5条違反により却下(カット)。
手動(マニュアル)による自立復旧(リカバリィ)を提案(コール)

第一・・・承認
第二・・・却下
第三・・・許可
第四・・・了解

多数肯定――自動書記・・・起動開始
自立稼動による記述復旧を準備、記述復旧までの間の――自動書記に異常発
……け……――行動制限を解除
対外道魔導書『アル・アジフ』――起動

「……ん」
ガンガンと後頭部の奥からの響きによって彼女は意識を取り戻した。
脳内に走る術式が焼き切れそうなほど過剰に熱を持ち疾走し、それは痛みに変
換されて頭を苛む。
(我はどうなった? あの鏡は? あの声は?)
今だはっきりとしない思考に、脳内を走る術式は次々と現状を報告する。
――大宙時軸との時系列比較により、強制転移後447秒経過。
――64次元からの観測により前世界より74893ほど空間を隔てた物と思われる。
――現在の記述損傷率は37.78386% 修復率は0.00006% 目視録の破損により
記述検索の効率が82.78654%ダウン
――物質的衝撃によりデモンベインの機器損傷率は……
現状を知らせる報告はいい物がほとんどない。
情報を吟味し整理するのはかまわない、だが謎の転移魔術により飛ばされたの
だ。
いくらあらゆる外道の存在に対抗する魔導書であるアル・アジフとはいえ。自
身に害のある世界に呼ばれたのではたまったものではない。
まずは起きて現状を確かめることから始めることにする。
ゆっくりと身体に力を入れる。
「これが、わたしの呼んだ……」
「ミス・ヴァリエール。コントラクト・サーヴァントを早く……ん?」
ずいぶんと前から動かしてなかった身体に力を入れる作業は意外と骨である。
いくら我の身体とはいえ力加減がよく思い出せない。
まあ、我の身体はほぼ外道の術式なのだが、破損のせいか検索に一々時間がか
かる。
「ミス・ヴァリエール。すこしお待ちなさい」
「なにか……?」
「中に人がいます」
「えっ!?」
術式を発見。多少破損はしていたがこれぐらいなら簡単に直る。
ピクリと指先が動き、それに連動するように少しずつ身体が活性化するのが判
る。
「ほ、ほんとだ!! ど、どうしましょうミスタ・コルベール!」
「多分だが、この巨大なゴーレムは彼女の物なんだろう。そうだとしたら、呼
ばれたのは彼女ということになる」
「ええっ!?」
身体に奔る術式の不備を見つけては修正し、それを繰り返して徐々に慣らしい
く。
やはり重要な部分には破損はなかったのか、滞りなく作業は進む。
「さあ、ミス・ヴァリエール。彼女にコントラクト・サーヴァントを」
「いえ、でも……人を使い魔になんてっ」
「例外は認められません。これが行われないとあなたは留年となりますよ」
「っく。わ、わかりましたっ!」
全ての作業が終わる。診断はオールグリーン。
(うむ、これなら……)
「うぅ……なんでこんな……我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・
ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、
我の使い魔となせ」

「って、さっきからなんだっ! うるさいぞ汝らっ!」
目を開け起き上がった彼女の眼前に、桃色髪の少女がいた。
「なっ!?」
「んーっ!!」
そしてまあ、ブチュウとかそう言う擬音が立ち。
「んっ!? んんんっ!!?? ――っぱあ!! な、汝いきなりっ!」
「よ、よしっ! これであんたは私のっ!」
ちょっと赤くなった頬を隠すように勢いよく桃色の少女は立ち上がり。
「――い、痛たぁあっ!?」
左手を押さえてうずくまった。



ひどく大きな轟音と土煙と共にその巨人は地面へ降り立った。
呆然と見上げる生徒たち。キュルケや教師であるコルベールも目の前の出来事
に思考が追いつかない。唯一の例外としてタバサのみが冷静さを保っていたが。
その中で、ルイズはその巨人を見上げる。
主に白と銀と青で構成されたその鋼の身体。背にはマントのごとき翼を持ち、
跪いたその足には長い丸い盾のような物がついている。その姿はまるで巨大な
城壁を連想させる。
それもただ守り、立て篭もるための場所ではなく。敵を威圧し、兵たちを送り
出すような力強さを感じる。
だが、
「なんだ。よく見ろ! あのゴーレム壊れてやがるぜっ!」
そう、その巨人の胸にはまるで抉られたかのような大きな穴が空き、今も銀色
の血を滴らせている。
どのようなことがあり、この巨人は生まれたのか。どのようなことがあり、こ
の巨人はこんな傷を負ったのか。
そう考える間もなく。
「け、結局……こんな壊れたゴーレムを呼ぶなんて。さすが“ゼロ”だな!」
混乱からさめた生徒の一人が、それを誤魔化すかのように罵りを上げた。
周囲もそれに合わせるかのように口々に罵りを上げる。
やれ、やっぱり失敗だ、こんなボロクズ呼んでどうする、ゼロにはお似合いの
使い魔だ、と。
その心無い言葉は、普段のルイズであれば心を抉られそして憤慨させるには十
分であろうが。彼女の心はその巨人へと注がれている。
そうして、
(どうやって、契約しよう)
なんせ屈んでいるとはいえ下手すると30メイルは超えているのだ。どうがんば
ってこのまま届くわけはない。足から攀じ登るのもいいが、落ちるとしゃれに
ならない。
さあ、どうしよう。
冷や汗をかきながらそう思い始めたとき。
「ミス・ヴァリエール。私がフライで送りましょう」
ポンと肩を叩き、コルベールが隣に立っていた。
「あ、ありがとうございます! ミスタ・コルベール!」
では、とコルベールは短くスペルを唱えると。フワリと浮き上がる。
そっとルイズを抱き上げ、昇っていく。
コルベールはルイズを抱えながら思った。
(……これは)
銀に輝く鋼の肌に、所々にある印のような物。それがほぼ全身へと奔っている。
見たところだが、鋼にはムラがなく。このゴーレムを作った者の技量が伺われ
る。
(金属でゴーレムを作れるだけじゃなくて、この複雑な造形……。ただのゴー
レムではなく、なにかギミックがっ!)
端的にコルベールはこのゴーレムの余りの精度に持ち前の研究意欲がビンビン
に刺激されていた。
もしこれがルイズが召喚したもので無ければ、全身を分解しその構造からなに
まで調べ上げるところだろう。
そうこう考えている内に、二人は顔の前に着く。
先ほどからルイズは巨人の顔に見入り、その視線を外さない。
「これが、わたしの呼んだ……」
そう静かにルイズはつぶやく。その声には感慨があった。
それはそうだろう、いくら彼女が気丈だとはいえ。
入学してから約一年間。魔法が使えないと言うことで、どれだけ傷ついたか。
罵られ、蔑まれ、挑み、挑戦し、敗退し、それでも諦めずに突き進んだ彼女は、
もうすでにボロボロであった。
たとえこの巨人が傷だらけでも、魔法が成功した。使い魔として来た。それだ
けで涙がこぼれそうだった。
それを知っているコルベールは温かい目でルイズを見る。
だがいつまでもこのままにするわけにもいかない。
「ミス・ヴァリエール。コントラクト・サーヴァントを早く……ん?」
その時、コルベールの目に先ほどは全体を観察していたからか見逃していたが、
顔の下に空洞があるのが見えた。
その空洞からは光が溢れ、中には見知らぬ物が多数あった。
興味が引かれたコルベールがよく目を凝らすと。
(……人?)
ちらりと人らしき影が見えた。
「ミス・ヴァリエール。すこしお待ちなさい」
コルベールはあと少しで届きそうな巨人の顔に近づこうとするルイズを止める。
邪魔されて少し不満そうなルイズが応える。
「なにか……?」
 それは感じたがコルベールは冷静に判断して言った。
「中に人がいます」
「えっ!?」

静かに巨人の喉下へと降りる。そこは意外と広くまるで乗り口のようになって
いる。
そして眼前にポッカリと空いている入り口。
意を決して中に入った二人は、そこで倒れている少女を見つけた。
白きフリルのついた服を身に付け、その容姿は未成熟なのにそれがすでに完成
されていると言う矛盾を孕む。かの顔立ちは可憐で儚く、今にも手折れそうな
花を連想させ、容姿と相成って幻想的な雰囲気をかもし出す。それはまるでこ
の世の者とは思えない美であった。
その少女の存在にルイズは一瞬呑まれそうになるが。同姓、しかも同じような
儚さをもつ姉を持つルイズはなんとか平常心を。
「ほ、ほんとだ!! ど、どうしましょうミスタ・コルベール!」
早々取り戻せる物でもなかった。
それにコルベールは勤めて冷静に判断する。
「多分だが、この巨大なゴーレムは彼女の物なんだろう。そうだとしたら、呼
ばれたのは彼女ということになる」
「ええっ!?」
驚くルイズにコルベールは無情にも話を進める。
「さあ、ミス・ヴァリエール。彼女にコントラクト・サーヴァントを」
「いえ、でも……人を使い魔になんてっ」
それはそうだろう。ある種の感動と共に罵られながらも巨人に共感し、いざ契
約しようとしたら、この少女が持ち主だからこっちにするように、なんて言わ
れたら反発もする。
だが無情かな、彼は公平たる教師であった。
「例外は認められません。これが行われないとあなたは留年となりますよ」
それを出されたらルイズも引き下がれない。
「っく。わ、わかりましたっ!」
少女の前に立ち、その顔へと自分の顔を近づける。
同姓とはいえ、契約はキスでなされる。
(ああ、これは契約の儀式だからノーカンよね?)
ある意味彼女は始祖を呪いながらスペルを唱える。
ピクリと少女が動いた気がしたが気のせいであろう。
「うぅ……なんでこんな……我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン
  • ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、
我の使い魔となせ」
そして更に顔を近づけ――
「って、さっきからなんだっ! うるさいぞ汝らっ!」
目を開けいきなり起き上がった彼女の唇は、ルイズの唇へとぶつかった。
「なっ!?」
「んーっ!!」
いきなりのことに少女は混乱し、心構えの数秒前にきたことでルイズは一瞬ひ
るむが。
「んっ!? んんんっ!!?? ――っぱあ!! な、汝いきなりっ!」
「よ、よしっ! これであんたは私のっ!」
(これで契約はなされた! これでっ!)
ちょっと顔が熱いが、ノーカンノーカンと自分に言い聞かせながら立ち上がり。
「――い、痛たぁあっ!?」
いきなり左手に激痛が走る。
今まで感じたことの無いほどの痛み。
「ミス・ヴァリエール!?」
その激痛はたやすく彼女の意識を遠ざけ。
「ふん、我の許可無く変な契約を結びおって。自業自得だ」
(……な、なんでっ?)
そんな声を聞きながら彼女の意識は刈り取られた。


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