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狂蛇の使い魔-07



第七話



タバサが怪物に襲われた日の夜。

夕食を終えて部屋に戻ってきたルイズは、床で寝転がっている浅倉に、昼間の出来事について再び問いかけた。

夕食の時にタバサにも聞いてみたが、彼女は「謎の怪物に襲われた」としか答えてくれず、残る浅倉以外に詳細を知る者がいないのだ。

「ねえ、アサクラ。昼間、一体何があったの? ……いい加減教えなさいよ」
なるべく機嫌を損ねないように、穏やかな口調で浅倉に尋ねる。



例の怪物事件の後、浅倉が厨房へ戻る途中でそれは起きた。
ルイズが事件についてあまりにもしつこく食い下がったため、浅倉の怒りを買ったのである。

「大体あんたはなんでいっつも人の話を……うぐっ!!」
胸ぐらをぐいと掴み上げられ、壁に叩きつけられると、殺意のこもった目で睨まれた。
「調子に乗るのもいい加減にしろ。……それとも何か? 俺をイライラさせて、そんなに死にたいのか?」
「ご、ごめんなさい!!」

死を直感したルイズが必死に謝ると、乱暴に床へと投げ出されたのだった。



サモン・サーヴァントの一件以来感じることのなかった、恐怖の感情。
それが再び蘇り、ルイズはいつものように上手に出られないでいた。



「相変わらずしつこい奴だ。……まあいい。何が知りたい」
好きなだけ異世界で暴れ、好きなだけ厨房で食べた浅倉は、その満足感からルイズの質問を容認したのであった。

いきなり起き上がった浅倉に驚きつつ、ルイズは頭の中で聞きたいことを整理した。
「え、えーっと、まずは……」

昼間何があったのかを始めに、怪物のこと、鏡の中のこと、浅倉の持つ奇妙な道具と格好のこと……
今まで疑問に思っていたことを一つずつ並べていき、それぞれに対して浅倉が答えていった。



「つまり、あのバケモノは鏡の中に存在していて人間を襲う、と。」
ルイズが続けて言う。
「で、同じく鏡の中と外を行き来できるのは、あの変な格好をした『仮面ライダー』だけなのね?」
「そんなところだ」
答えた浅倉は再び寝転がる。

「じゃあ、その『仮面ライダー』っていうのは、バケモノをやっつける人ってこと?」
ルイズが再び疑問をぶつけると、浅倉はルイズの方を向き、言い放つ。
「それは違うな」
笑みを浮かべながらの浅倉の返答に、ルイズは思わず食って掛かる。
「じゃあ、一体何のためにいるのよ」



浅倉は心底嬉しそうに、言った。
「殺し合うためさ」



予想だにもしなかった回答に、ルイズは一瞬言葉を失う。

「……え? 嘘でしょ? そんな……」
「嘘じゃないさ。現に、何人かはこの手で始末してきたからな……」
浅倉は自分の手の平を見つめながら、不気味に笑っていた。

「そんな……! それじゃ、一体何のために殺し合うっていうのよ!」
ルイズが声を張り上げる。
浅倉は笑みを浮かべたまま振り向き、答えた
「願いを叶えるためだ」

浅倉は続けて言う。
「ライダー同士潰しあって、最後に勝ち残った者はどんな願いでも叶えることができる……。それが、戦う理由だ」
戦えるんなら何でもいいんだがな、と最後に一言つけ加え、浅倉は目を閉じた。

ルイズは俯き、再び言葉を失ったが、しばらくすると何かを思い出したように顔をあげ、言った。
「それじゃあ、アサクラ。あんたの望みは何なの?」

浅倉は目を閉じたまま、答える。
「俺か? 俺は……永遠にライダー同士の戦いが続くことさ。寝るぜ」



言い終わると同時に、浅倉は呆然としているルイズに背を向け、眠り始めたのだった。



ルイズの部屋の扉の前で、タバサは目を見開いたまま、硬直していた。

(どんな願いでも叶えることができる……!!)
他人の命を奪わなければならないという非道な条件に見合った、実に魅力的な褒賞である。



しかし、あの使い魔の言うことはどこまでが真実なのだろうか……。

見た目は雑で性格も凶暴だが、知恵はある。
単純な部分のあるルイズなら、簡単に騙すぐらいはできるだろう。
騙す目的があれば、だが。

それに、いつも目に溜め込んでいる、狂気じみた光。
何より力を振るうことを楽しんでいるのだ。
必要とあらば、何かを犠牲にすることさえ厭わないだろう……。



(もっと、知りたい……)

これからは今まで以上にルイズや浅倉と行動をともにし、あの男について知識を深めなければ。
もしかしたら、本当に私の願いを叶えることができるかもしれない。

そのためにも、結果的にとはいえ助けてくれた浅倉への「借り」は、近づくためのいい口実になるだろう。
お礼は、またその時でいい。


(それだけが理由ではないのだけれど……)
扉の前を後にし、自分の部屋へと元来た道を戻っていくタバサ。
その道中で、頑なに結んでいた口元がほんの少しだけ緩んだ。



数日後。
『虚無の曜日』と呼ばれるその日は、学院での授業もないため、生徒たちはそれぞれ自由に休日を過ごしていた。



「あんたに剣を買ってあげるわ」
ルイズは横になっている浅倉に向けて言った。

浅倉によって、連日のように『決闘』という名のワンマンショーに付き合わされているギーシュ。
彼が日に日にやつれているのは、誰の目にも明らかなことであった。
それを見かねたモンモランシーが、ルイズにどうにかしてほしいと頼みこんだのである。

普通なら、もう決闘は止めるようにと言い、「使い魔は主人の言うことに絶対服従だ」と強引に一件落着……
といきたいところなのだが、相手はあの浅倉である。
言い聞かせて素直に従うような奴ではないし、下手をすればこちらの身が危ない。

ギーシュには悪いが、せめて対等に渡り合えるよう、浅倉に剣を与えようと決めたのである。
仮面ライダーとかいう奇妙な姿ではなく、普段の浅倉なら、少なくともギーシュが一方的にやられたりはしないだろう。
ルイズはそう考えたのだ。

浅倉も「そろそろ今のやり方には飽きてきたな」と、どうやら乗り気である。



「それじゃ、早速行きましょう!」
そう言うと、ルイズは身支度を始める。

が。
「お前一人で行け。俺は寝る」
浅倉は横になったまま動こうとしない。
「な、なんてこと言うのよ! あんたの剣なのよ!?」
「知らんな。武器なら何だっていい……行くんならとっとと行け」
そう言うと、浅倉は横になったままルイズに背を向けると、眠り始めた。

もう何を言っても無駄だ……。
そう悟ったルイズは、身支度を終えると渋々馬小屋に向かって行ったのであった。



(ウフフ……これはまたとないチャンス!)
ルイズが一人馬を走らせ、城下町の方へ向かうのを確認すると、キュルケはすかさずルイズの部屋に忍びこんだ。
目的はもちろん浅倉である。

「ハ~イ、ダーリン! ちょっといいかしら?」
キュルケが扉を開くと同時に言った。
浅倉が横になったまま、振り向きもせずに答える。
「お前……確かキュルケ、とか呼ばれてたな」
「覚えてくれて嬉しいわ! もし暇だったら、私とお茶でもいかがかしら?」

浅倉は尚も動かずに答える。
「そんなものはどうでもいい。それより……」
「それより?」
キュルケが首を傾げる。



「お前が持ってる、あの赤いトカゲ……。あれ、どうやったら食えるんだ?」

「……は?」
予想の斜め上を行くその質問に、キュルケは呆気にとられ、目をぱちくりさせている。
対する浅倉は、顔をキュルケの方へ向けるとさも普通といった表情で、彼女に期待の眼差しを送っていた。



(このボロ剣ならアサクラも……)
城下町から帰る途中、ルイズは馬を走らせながら思った。

町の武器屋に着くと、ルイズはなるべく弱そうな剣を探し、この錆びついた剣を手に取った。

実はこの剣、デルフリンガーという名のインテリジェンスソードらしい。
店でも持て余していたようで、叩き売りされていたのである。
しかし、例えインテリジェンスソードでも、この傷み具合なら実戦では役に立つまい、とルイズは買うことにしたのだった。

「なぁ、嬢ちゃん。俺の持ち主になるってのは、一体どんな奴よ?」
「それは会ってからのお楽しみよ」
カチカチと音をたてて喋る剣と淡白な会話をしながら、ルイズは一路学院へと戻るのであった。



後日、錆びた剣を携えた浅倉がガンダールヴの能力を遺憾無く発揮し、ギーシュのワルキューレたちを、彼の僅かに残ったプライドごと粉砕したのは言うまでもない。





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