あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

スナイピング ゼロ-16



朝もやの中、トリステイン魔法学園の玄関前にルイズ達の姿があった。離れた場所では、衛兵がルイズ達を珍しい物でも
見るような目で見つめている。

「マスター、王宮の馬車はまだですか?」
「もうすぐ来るわ、もうちょっと待って」
 始祖本を抱き締めたルイズが外を眺めながら、セラスに返答する。二人の使い魔は主人の背後で座り込み、何やら
話しこんでいる。

「と言う訳で、HELLSINGの連載が終了しちゃった訳だけど・・・次は何が来るかしら?」
 リップがニヤニヤしながら尋ねる。
「私としては『以下略』を続けてほしいですね、真紀ちゃん見たいですし」
「私は『大同人物語』ね、続きが読みたいわ」
(なに話してるのかしら、あの二人は?)
 コソコソ話し合う使い魔をルイズが見つめている時、遠くから馬が歩む音が響いて来た。

「来たみたいね。二人とも、おしゃべりの時間は終わりよ!」
 『は~い』と二人の返事が重なったと同時に、ルイズの目が点になる。
「・・・あれ?」
 目の前に現れたのは、使者が乗った一頭の馬だった。後ろを見やっても、馬車は見当たらない。困惑していると、使者は
ルイズに大声で訪ねた。

「学園長はいらっしゃるか、早急にお伝えしたい事が有るのだが!」
「学園長ですか? 多分、学園長室にいると思いますけど・・・」
 オスマンの居場所を伝えると、使者は馬を走らせ学園の中へ向かっていった。呆然としていると、リップがルイズを
抱き上げた。 

「追うわよ」
「へ? ちょ、ちょっと!?」
「行くわよ、セラス!」
「ヤー!」
 二人は回れ右をして、学園長室へ向かった。


「宣戦布告じゃと!? それは本当かね?」
 結婚式の出席のため準備をしていたオスマンは、突然の報告に顔色を変えた。目の前に立つ使者は、それ以上に顔色が
変わっている。額から幾筋もの汗を流し、両手が震えている。

「はい。そのため、姫殿下の式は無期限の延期となりました。学園に関しましては、生徒・教員の外出禁止令を願います」
「現在の王軍と敵軍の戦況は、どうなっておるのかね?」
「王軍は港町のラ・ロシェールに展開中です、敵軍はタルブの村を竜騎士で強襲。家や草原を焼き払い、艦隊から兵を
降ろして占領したと・・・」
 使者は怒りを抑えながら、出来うる限り冷静に話した。握り締められた拳が、オスマンの目に映る。

「ゲルマニアに援軍を要請したのですが、派兵するには三週間は掛かると言われました」
 (見捨てられたな・・・)と心の中で言いながら、オスマンは溜息をついた。
「アルビオンには条約を破られ、ゲルマニアには同盟を破られる。約束は紙より容易く破られるとは、まさにこの事じゃて」


 学園長室の扉に耳を貼り付けていたルイズは、唖然としていた。結婚式に浮かれていた状況が一変、戦争状態に陥って
しまったのだ。後ろを振り返り、セラスとリップを見つめる。

「大変な事になっちゃった・・・」
「そうみたいね」
 何でもないとでも言いたげなリップの言葉に、セラスは告げる。
「まだシエスタさんがタルブに残ってるはずですよ、早く助けにいかないと!」
 セラスの必死な表情を見やり、リップは指先で頬を撫でる。

「ま、あの子には色々と世話になったし・・・じゃ、行きますか」
「行くって、まさかタルブむrって、またなの!?」
 再びルイズを抱き上げ、二人はルイズの部屋へと向かった。


「何事かと思ったら戦争か、あのシエスタって娘っ子も災難だねぇ」
 操縦席の脇に立て掛けられたデルフが、呑気な口調で呟いた。セラスは操縦席、リップは副操縦席に座り、スイッチや
ハンドルをいじっている。後部の座席にはルイズが座り、二人の様子を見つめていた。

 あの後ルイズの部屋に戻った二人は、自身の武器を手に取りヘリへ向かった。小屋で眠っていたコルベールを叩き起こし、
完成した燃料をタンクに装填した。そして今、ヘリを飛び立たせようとしている。
 途中で朝早くヘリを飛ばす事に対してコルベールが不満気な発言をするハプニングがあったが、リップが首に軽く手刀を
叩きこんで小屋に放り込み事なきを得た。

「ねぇ、本当に大丈夫なの?」
 始祖本を抱き締めたルイズが、後ろから二人に話しかける。
「何が?」
 被っていたヘッドセットを外し、リップが顔を向ける。

「タルブの上空はレキシントン号を含めた戦列艦で、制空権を奪われてるのよ。周囲は火竜を操る竜騎士が飛び交ってて、
近付くことすら難しい。そんな所に、こんな小さな飛行機械で突っ込むなんて・・・」
「あぁ、そう言うこと」
 スイッチの一つに指先を当て、強く押しこんだ。カチッと言う音と共に、メインローターが回り始める。
室内にローターが空間を引き裂く音が響く中、リップは口元を歪ませながら嬉しそうな笑みをルイズに向けた。

「ヒッ!」
 恐ろしい顔を直視したルイズは、思わずへたり込んだ。
「ダメですよリップさん、マスターを怖がらせちゃ」
「あら、ごめんなさい。戦争の濁流の堰が切れてるもんだから、つい嬉しくなっちゃってね」
「もう、気をつけてくださいね」
「そうだぜ相棒の相棒、主人を驚かす使い魔なんて聞いたことねぇぞ」
 デルフと並んで注意しながら、セラスは操縦桿を握り締めた。ゆっくりと手前に引き、機体を浮き上がらせる。



「大戦争だわ・・・」
「何か言いました?」
 外を眺めていたリップに、セラスは顔を向けた。

「いえ、別に」
 ドーファンは更に上昇に、一路タルブの村へ機首を向け飛び去った。


トリステイン王宮の会議室では、怒号が飛び交っていた。将軍や大臣が椅子から立ち上がり、大声で怒鳴り合う状況が
続いている。巨大なデスクは書類によって埋め尽くされ、散乱していた。
 昼を過ぎても意見はまとまらず、議論は続いている。その状況を、上座に君臨するアンリエッタは驚いた表情で、
新設された銃士隊の隊長であるアニエスは冷ややかな表情で見つめていた。

「伝令より報告、タルブ村の領主アストン伯が戦死。引き連れていた部隊も全滅です!」
「偵察に向かった竜騎士隊は帰還せず、敵軍の竜騎士隊は村のあちこちに火を放っています!」
「もはや開戦は避けられん! 今からでも王軍を編成し、ゲルマニアに軍の派兵を要請しよう!」
「何を言うんだ、そんな事をしたらアルビオンに全面戦争の口実を与えるだけだ! ここは特使の派遣を!」

 意見が飛び交う中、マザリーニは結論を出せないでいた。外交か戦争かの瀬戸際に直面した中で、早急に答えを出す
事が出来ない。外交で解決したいという考えと、戦争でしか解決できないという想いが、彼を責め立てていた。
 アンリエッタは、薬指に着けた風のルビーを見下ろしていた。王女として、どうする事が最善の策なのか? 
じっと考えて・・・そして、ボソリと呟いた。

「茶番です」
「殿下・・・?」
 周囲から視線が集まる中、アンリエッタは上座を下りた。
「茶番です、と申したのです。アニエス、着いて来なさい」
「はい」
「どこへ行くつもりですか、殿下?」
 扉へ向かうアンリエッタに、マザリーニが声をかける。アンリエッタは振り返ると、落ち着きながらも力の籠った声で
言い放つ。


「枢機卿、私はこれ以上は付き合いきれません。不毛な議論をしている間にも、何物にも代えられぬ民の血は流され続けて
います。私はこの一連の事態を計画された攻撃行動と認識し、王軍を出動させ敵軍を殲滅いたします」
「そ、そんな!? そんな事をしては・・・」
「マザリーニ枢機卿、お伝えしましたよ」
 アンリエッタの言葉に周囲が騒ぐ中、椅子に座り悩み続けていたマザリーニは顔を上げた。

「分かりました姫殿下、命令に基づきトリステイン軍の編成を行います」
「了解」

 アンリエッタは会議室を出ると、部下を引き連れ自室へと戻って行った。


「アニエス、貴女はどう思いますか?」
「私がですか? そうですね・・・」
 自室へと向かいながら、アンリエッタは腹心の部下に問うた。

「条約破りもいいところですね、あからさまな。時間が経てばたつほど、敵の思う壺です」
「ですが放ってはおけません。宣戦布告にしては、余りにも物騒すぎます」
 自室の扉を開け、中に入る。背後でアニエスが扉を閉める音を聞きながら、ドレスを脱ぎ始めた。

「我が軍の竜騎士隊を退けてから、敵に動きはありません。自ら仕掛けては来ませんが、無視する事は出来ません。
近づけば攻撃してくる、これは典型的な示威籠城戦です」
「村は草原であり無限に広い庭でもあると言う訳です。そしてあの長射程のカノン砲、あの砲に近付ける物など
ある訳も無い・・・」
 ドレスをベットに脱ぎ捨て、下着だけの姿となる。その間にアニエスは部屋の奥から取り出していた一式の鎧を、丁寧に
着せてゆく。



「ですが、連中はもはや脱出出来ない。村を連中にとって地獄の釜の底も同然にしてやります。『レキシントン』艦上から
引きずり出し、そこに叩き墜とす。ですが、そのための方法がありません」
「左様です」
 肩を落とす姫に対し、騎士は冷静に同意した。部屋の中が、しんと静まり返る。床を見つめていたアンリエッタは、
悲壮感を漂わせた表情を部下に向ける。

「艦隊や竜騎士も失った今、どうやったら・・・あの草原の空に君臨する鋼鉄の城塞を打ち崩せるか?」
「・・・姫殿下は、どうすれば良いと考えておられますか?」
 アニエスは腕を組み、姫に問うた。鎧や剣が、ガチャリと音をたてる。
「そうですね・・・」
 顎に手を当て、アンリエッタは考えた。

「大型艦船」
 アニエスは、首を横に振った。
「NON 大型の物は壊滅しました、それに奴らが何時までも上空に船を停泊させているとは限りません」

「小型快速艦艇」
 今度は、アンリエッタが首を横に振る。
「NON カノン砲や火竜の餌食になります、砲弾や紅蓮の炎に耐えられるとは思えません」

「竜騎士隊 直上からの降下」
 再び、アニエスは首を振るった。
「NON 艦載の砲弾で、直上はおろか接近すら出来ません」

「残っている艦艇を大量に使用して ドラゴンの使用」
 アンリエッタも、再び首を振る。
「NON 砲弾は誤魔化せても、竜騎士がいます」

 まさに八方塞がりであった。敵に対し有効な反撃策が無い現状に、アンリエッタは溜息をつく。その時、アニエスは
後ろを振り向いた。直後に、ゆっくりと扉が開かれる。


「結論は」
 現れたのは、青色のドレスらしき服を着た一人の女性だった。背後には、側近らしき女性の姿がある。
「カノン砲も火竜も、戦列艦をも物ともせず・・・草原に君臨する巨艦を大地に叩き落とす事が出来る、そんな方法です」
 二人は、昨夜マザリーニが言っていた外交会議の代表者であった。すぐにアニエスは方膝を付き、頭を下げる。

「まさしく、無理難題です」
「いえ」
 諦めたかのようなアンリエッタの言葉を、側近である女性が否定する。
「あります。一機種のみ、その無謀を適える機体が」
「それは本当ですか!?」
 アニエスは立ち上がると、大声で叫んだ。女性は、ドレス姿の女性に小さな声で話しかける。その女性は、軽く頷いた。 

「本当です。私の個人的な知り合いに、その機体を所持する者がいます。今から連絡を取ってみましょう」
「感謝いたします」
 アンリエッタとアニエスは、同時に頭を下げた。

「もちろん、タダでは出来ません。現在、我が国はエネルギーの輸入や燃料の輸出が出来ず困窮しています。そのため、
トリステイン王国と貿易関係を築きたいのです。この要望、受けてくださいますか?」
「それは勿論、我が国に出来る限りの事をさせていただきます。貴女様の国との貿易は、トリステインにとっても有益な
ことですから」
 その言葉を聞いて、女性は側近に何やら話しかけた。側近の女性は一礼して、部屋を出て行く。扉が閉められると、女性
はアンリエッタに向き直る。

「あと一つ、お願いがあるのですが・・・よろしいですか?」
「なんでしょうか?」
「私と側近の者を、今から向かう戦場に同伴させていただきたいのです」
「「は?」」
 突然の事に、アンリエッタとアニエスの台詞が被った。国交を結んだばかりの相手国の代表を戦場に同伴させるなど、
聞いた事が無かったからだ。額に浮いた汗を手の甲で拭いつつ、アニエスが口を開く。


「お言葉ではありますが、国家の代表であられる者を戦場に同伴させると言うのは・・・」
「非常識であるのは分かっています。ですが、友好国が危機的な状況にあるのを見過ごす訳にはいきません」
「しかし・・・」
 女性はアニエスから、アンリエッタに視線を移す。

「お願いします。どうか、私を貴女達と共にラ・ロシェールにお連れください」
 女性は二人に対し、軽く頭を下げた。
「トリステイン王国王女、アンリエッタ・ド・トリステイン殿 」
「・・・殿下、どうなさいますか?」
 困った表情のアニエスを横目で見ながら、アンリエッタは即座に答えを出した。どうせ拒否したら、敵軍の打破が可能な
機体の提供は却下されるだろう。元から、この願いに否定など出来ようはずも無い。アンリエッタは女性の手を取り、固く
握手を交わした。






「分かりました、お連れしましょう。新興国アザディスタン王国第1皇女、マリナ・イスマイール様







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