あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロ 青い雪と赤い雨-04


ルイズは怒っていた。
くりくりとした可愛らしい鳶色の瞳が今は怒りの炎に燃えている。

(何なのよあいつうううううううう!!!)

ルイズは今一人で食事を取っている。
彼女の使い魔は食堂へ付くと

「俺はあまり食料を必要としねぇんだ、後で落ち合おうぜ」

と言ってどこかへ消えてしまった。
呆気にとられてしまったルイズではあったが、
まぁその位なら「まったくもう、先に言いなさいよね!」位で済ませる所だった。
しかし、その後がいけなかった。
床に置いてある手を付けられていない粗食と、
その隣の席でおもしろくなさそうに朝食を取っているルイズを見て

「あら、ふられちゃったのね。かわいそうなルイズ♪」
とキュルケにからかわれたのだ。

恐らく、これが一番の原因なのだろうが、果たして前述の「あいつ」とは
キュルケに向けられた物なのか、あるいは自分の使い魔に向けられた物なのか、
という点については本人をもってしても不明瞭なままであった。




そんな事は露知らず、彼女の使い魔は学園内をうろついていた。
学園内をうろついていた、というのは語弊があるかもしれない。
学園内の地中をうろついていた、というのが正解だろう。
量子的存在であるアトリにとって、地中を進む事は訳もない事なのである。

散策も兼ねていたのだが、とりあえず今は水が飲みたかった。
ルイズにどこで飲めるか聞いておかなかった事を少し後悔したが、
過ぎてしまった事はしょうがない。目下自分で探すのみである。

近くで誰かが歩いている気配がしたので顔を出して覗いてみる。
大きいな盥に洗濯物をいっぱいに持っている、メイドの格好をした少女だった。

(あいつを使うか)

「よぉ」



地中から這い上がりながら声をかけたアトリに対するメイドの対応は、
手に持った物を落とし、叫び声を上げ、その場にへたり込む、そして最後にその土の中から現れた人間の姿をした物を怯えた目で見る、という
無個性的であり至極常識的なものだった。

アトリにしてみれば魔法が生活の一部となっているというこの世界で、
土から出てきただけでこの様な対応を受けるのは甚だ心外であったし、意外であった。
これでは水を飲める場所を聞けそうも無い。

アトリは表情を「やれやれ」とも微笑みとも取れるものにした後、
とりあえず自分のせいで散乱しであろう洗濯物をその視界に収めると
「チッ、めんどくせぇ」
とぼやきながらも拾い集め、少女の持っていた盥に入れる。

メイドはボーッとした表情を浮かべその光景を眺めていたが
ハッと起き上がり、アトリに駆け寄る。

「す、すみません!ありがとうございます!」
「大丈夫か、気をつけろよ」

という言葉と共に,目の前に差し出された盥を受け取る。
「ありがとうございます。ところで私に何か御用ですか?」
警戒心は既にどこかへ飛んで行ってしまったようだ。
その表情には既に恐怖心は感じられない、むしろ零れ落ちそうな微笑みを湛えている。

「水が飲みてぇ、どこにある」

「あ、はい!すぐにご案内します!」

メイドは「飲み水は厨房にある」と告げ案内をした。
厨房までの間はとりとめのない会話をした。
会話というより、アトリがメイドの質問攻めにあったという方が正しいだろう。
警戒心を解いたメイドはその若い好奇心を抑える事もなく、その整った口から解き放ったのだ。
厨房らしき場所の前まで行くと「少々お待ち下さい」と言って中に駆け込み、水差しとコップを持ってきた。

アトリは水差しをひったくる様につかむと直接口に水を流し込んだ。

シエスタはそれ見て少し驚いた表情を浮かべたが、すぐに屈託のない笑顔に戻る。
「アトリさんはメイジなんですか?」
「ちげーよ。まぁ、話すと長いからまた今度な。」




唇の片端だけで微笑みそう言って、アトリは踵を返し食堂へ向かう。
面倒だがご主人様と合流する約束がある為だ。
普通に地上を歩いて食道へ向かう。
シエスタの様にいちいち怯えられては面倒だからである。
が、ここで彼は又もやミスを犯す事になる。
見知った建物、つまりが食堂についたアトリは習慣に基づきいつも通りの方法で侵入した。
即ち、壁を通過したのである。
誰も見ていなければそれでも良いのだが、
300人を超す生徒が朝食を取っている食堂に置いてそれを望むのは欲が深いという物であろう。
アトリは壁を抜けた先の少女の表情によって、自らの失敗をその目で確認する事になった。

アトリが壁から出てくるのを見てしまった少女は悲鳴を上げる。
アトリにとっての幸運は、それを見てしまったのは偶然壁の傍を通りがかった一人の少女だけであった事。
通常なら穏やかな表情で、手を差し伸べれば済む。
アトリにとっての不運は、その決して多いとは言えない目撃者が金髪縦ロールの少女だった事だった。
彼女の悲鳴は普通の少女のそれとなんら変わりはしなかったが、
事態を面倒な物にするにはそれで十分だった。

「すまねぇな、大丈夫かよ。」

手を差し伸べようと近づくアトリと少女の間に少年が割り込む。
「モンモランシーに何をした!!」
その言葉も、蒼い瞳も怒気に満ちていた。

「何もしてねーよ」
「黙りたまえ!それ以上モンモランシーに近づく事は許さん!!」
「そうかよ」

アトリは「やれやれ」という表情でその場を去ろうと体の向きを変える。
が、その足が次の一歩を踏み出す事は無かった。
目の前に青銅の鎧が槍を突き付けて立ち塞がっていたからである。

「よもや、このまま帰れると思っている訳ではないだろうね。」

涙を瞳に浮かべて震えているモンモランシーと呼ばれた少女を少年はチラリと見やると、
一層表情を険しい物に変えて、振り返りこちらを睨みつけるアトリを睨み返す。
その全身から絶対に揺るがない強さを滲ませながら。
厳しい目にも、声の響きにも、アトリに向かうその立ち姿にも。
特にその瞳の輝きは苛烈さを極め、まるで青白い炎を放っているかの様な怒気を孕んでいた。
そして、それは確かにどこかで見た事のある眼だった。

「貴族に対する無礼、万死に値する。決闘だ!!」


(めんどくせぇ・・・)

アトリはいよいよ面倒な事態になってしまった事を理解した。
そしてそれと同時に眼下から自分を睨み上げるこの少年の眼の正体。
いや、それと同じ目をしていた男が蘇る。


―――――――アイツだ。相変わらずムカつく眼をしてやがる。



そう思いつつも唇は微笑みを隠せない。

端末で確認するまでも無ぇ、俺には解る。
こいつはあいつだ。
アトリは確信めいた物を感じていた。

あいつには大きな貸しがある。
元より向こうから売り付けてきた喧嘩である。
この少年には「八つ当たり」でしかないが、少し遊んでやるくらいいいだろう。







「俺とやる気かよ、ガキ」






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