アイオリアはジュール・ド・モット伯爵の邸宅の前に立っていた
隣には自分を兄と慕う少女が居る
事の始まりは少し時間を遡る、朝の日課 シエスタとの洗濯の時間に
いつになっても現れないシエスタに、病気にでもなったのかと心配したアイオリアが
他のメイドに尋ねた所、貴族に妾として買われていった事が発覚
兄様が行くなら私も、と聞かない少女を連れ
いざシエスタを取り戻さんとやってきた訳である
いつになっても現れないシエスタに、病気にでもなったのかと心配したアイオリアが
他のメイドに尋ねた所、貴族に妾として買われていった事が発覚
兄様が行くなら私も、と聞かない少女を連れ
いざシエスタを取り戻さんとやってきた訳である
ちなみに主人であるルイズはこの事を知らない
モット伯の邸宅には門には門番が、敷地内には見回りの平民兵士が相当数おり
恐らく邸内にも相当数詰めていると思われる
下級貴族も雇われている事だろう
恐らく邸内にも相当数詰めていると思われる
下級貴族も雇われている事だろう
「さて、今から邸内に向かう訳だが彼等は雇われているだけだ、怪我人は出したくない」
「私が囮に」
「私が囮に」
「怪我人は出したくないと言ったはずだ、タバサ。」
「私なら―――」
言いかけたタバサの頭の上にアイオリアの手が置かれる
言いかけたタバサの頭の上にアイオリアの手が置かれる
「女性を囮役にしたとあっては私の立つ瀬がない、ここは任せてもらえないだろうか」
「はい、兄様」
タバサの頬に少し赤みが刺す
タバサの頬に少し赤みが刺す
「タバサには上空で待機いていて貰いたい、シエシタを見つけ出したらそこの窓を割る。それを見つけ次第そこからシルフィードにシエスタを乗せて学院に飛んでくれ」
――――それでは、兄様が
と思ったタバサだったが、任せると言ってしまった手前言い出せず
「わかりました」
と不安気な顔で言うのだった
と思ったタバサだったが、任せると言ってしまった手前言い出せず
「わかりました」
と不安気な顔で言うのだった
「案ずるな、このアイオリア。こんな所安々と倒れはせんよ」
そう言うとアイオリアは邸宅の方に歩いて行った、堂々と 正面から
屋敷に近づいてくるアイオリアに対し門番が立ちはだかる
「誰だ貴様!こことモット伯の屋敷としっての事か!」
「歩を止めよ!しからざれば攻撃する!」
「誰だ貴様!こことモット伯の屋敷としっての事か!」
「歩を止めよ!しからざれば攻撃する!」
「ここの主人に様がある」
アイオリアは歩みを進める
「貴様ァアアア!」
アイオリアに槍が突き立てられる、 槍が折れる
アイオリアに槍が突き立てられる、 槍が折れる
敷地内の衛兵が応援に呼ばれ アイオリアに対し弓を射る、斬りかかる、突き立てる
その全てが徒労に終わった
その全てが徒労に終わった
屋敷の前まで来たアイオリアはドアに手をかける
ドアを開けた瞬間に 魔法が弾幕のようにアイオリアを襲う
ドアは粉々に砕け散り、粉塵が立ち込める
しかしそれすらも徒労に終わったと知った時、
もはやアイオリアに立ち向かう物は居なくなっていた
ドアを開けた瞬間に 魔法が弾幕のようにアイオリアを襲う
ドアは粉々に砕け散り、粉塵が立ち込める
しかしそれすらも徒労に終わったと知った時、
もはやアイオリアに立ち向かう物は居なくなっていた
「ジュール・ド・モットはどこだ」
粉塵から姿を現した黄金の獅子の問いかけに対し、雇われ貴族はそれに答える以外の道を知らなかった
寝室のドアを開ける、そこにはベッドの上で卑猥な格好をさせられたシエスタとそれに迫るモット伯の姿があった
「アイオリアさん!!!」
「なんだ貴様は!!!!!」
とっさに杖をベッドの脇に置いてある取る
とっさに杖をベッドの脇に置いてある取る
―――危機一髪、と言ったところか・・・
「俺の名はアイオリア、獅子座(レオ)のアイオリアだ!」
「衛兵は!衛兵はどうした!!!侵入者だ!!!!!!」
しかし、答える声は無い
「その娘を返してもらえないだろうか」
アイオリアは怒りを押し殺して、あくまで紳士的に尋ねた
アイオリアは怒りを押し殺して、あくまで紳士的に尋ねた
「たわごとを!私の二つ名は『波涛』!『波涛』のモット!トライアングルのメイジだ!杖も持たず無断で侵入した事、後悔するがいい!」
ベッドの脇に置いてあった杖を取り構えを取り、魔力を集中させる
ベッドの脇に置いてあった杖を取り構えを取り、魔力を集中させる
「・・・そうか」
アイオリアはシエスタに向かって歩いて行く
アイオリアはシエスタに向かって歩いて行く
その瞬間空気中の水分から水が生まれ、濁流となりまさに龍の様にアイオリアに襲いかかる
しかし吹き飛ばされる所かその場に留まる事もなく、アイオリアは歩みを進める
まるで何事も無いかのように
しかし吹き飛ばされる所かその場に留まる事もなく、アイオリアは歩みを進める
まるで何事も無いかのように
アイオリアはモット伯を無視してシエスタを抱えると拳で窓を割る
そしてシルフィードの背にシエスタを乗せると
そしてシルフィードの背にシエスタを乗せると
「兄様も」
と手を差し出すタバサの手を断り
「行け、私にはまだやる事がある」
とモット伯の方へ向き直った
と手を差し出すタバサの手を断り
「行け、私にはまだやる事がある」
とモット伯の方へ向き直った
「さて、ジュール・ド・モットよ・・・、何か言う事はあるか?」
「ひ、、ひィッ!!!」
モット伯はその場でへたり込むと、やみくもに魔法をふるう
無数の氷の刃、巨大な濁流、巨大な氷の竜巻
その全てが無意味だった
その全てが無意味だった
腰が抜けてしまって、立てなくなったジュール・ド・モットの脛を踏みつける
鈍い音して、モット伯の足に関節がひとつ増えた
鈍い音して、モット伯の足に関節がひとつ増えた
―――――――――――――――――――-ッ!!!!!
悲鳴が邸内に響き渡る
「ぉお・・!!!
お前・・・は馬鹿か!?
伯爵であるこの私に・・・王宮の官吏であるこの私に!!!こんな事をして許されると思っているのか!?」
お前・・・は馬鹿か!?
伯爵であるこの私に・・・王宮の官吏であるこの私に!!!こんな事をして許されると思っているのか!?」
モット伯は言わば貴族流の命乞いをアイオリアにする
しかし、それがアイオリアの怒りにさらに油を注ぐ結果になってしまった
しかし、それがアイオリアの怒りにさらに油を注ぐ結果になってしまった
「では聞くが、貴族は平民に何をしても許されるのか!
貴族とは自己の欲望の為に、力を見せつける為に
弱い者を足蹴にしても良い物なのか!!!」
貴族とは自己の欲望の為に、力を見せつける為に
弱い者を足蹴にしても良い物なのか!!!」
「あ・・・当たり前だ!!貴族あっての平民だ!!私が私の道具を思い通りにして何が悪い!!」
震える声でモットは言う
震える声でモットは言う
その姿にはもはや貴族の威厳等かけらも無く、血と糞の詰まった肉袋が恐怖に怯え、縋る様な目でこちらを見ている
反省の念があれば許すつもりであった、しかしこの肉袋は自分が悪い事をしているという認識すらない
反省の念があれば許すつもりであった、しかしこの肉袋は自分が悪い事をしているという認識すらない
「残念だ・・・!あの世で今まで足蹴にした者達に詫びよ!!!」
そういうとアイオリアは右腕を伸ばし、拳を放とうとした
しかしまさにその時、アイオリアの背中に少女がしがみついた
しかしまさにその時、アイオリアの背中に少女がしがみついた
学園に帰ったはずのタバサである
兄が心配だったタバサはシエスタとシルフィードを先に学園に帰らせ 自分は残って様子を見ていたのだった
兄が心配だったタバサはシエスタとシルフィードを先に学園に帰らせ 自分は残って様子を見ていたのだった
「兄様・・・、だめ・・・」
タバサは震える声で言った
タバサは震える声で言った
「止めるなタバサ!こいつは最早貴族などでは無い、欲望の走狗に成り下がったクズだ!!」
怒れる黄金の獅子は、その牙を尚も肉袋に向けようとする
怒れる黄金の獅子は、その牙を尚も肉袋に向けようとする
「だめ・・・ルイズが・・・」
ここでアイオリアはハッと気付き、考える
ここでこいつを殺せば 主人であるルイズに累が及ぶ事は避けられない
しかも王宮の勅使を殺したとあればラ・ヴァリエール家の3女とはいえどう軽く見積もっても重罪
しかし己の非を認めない、傲慢な欲望に溺れたこのクズをを聖闘士として、いや男として見過ごす訳にはいかない
ここでこいつを殺せば 主人であるルイズに累が及ぶ事は避けられない
しかも王宮の勅使を殺したとあればラ・ヴァリエール家の3女とはいえどう軽く見積もっても重罪
しかし己の非を認めない、傲慢な欲望に溺れたこのクズをを聖闘士として、いや男として見過ごす訳にはいかない
「くっ・・・・・・!!!」
行き場を無くしたアイオリアの怒りが、部屋の壁を消滅させる
行き場を無くしたアイオリアの怒りが、部屋の壁を消滅させる
結果として肉袋(元ジュール・ド・モット)は条件付きで許された
- 弱者に対し、己の力を持って理不尽な要求をしない事
- 今日の事を公にせず、またアイオリアの罪の一切を問わず、その周りの者に累を及ぼさない事
- シエスタや今まで手をかけた者に対し相応の慰謝料を払う事
- 以上の3つの誓いを反故にした場合、その命を持って償わせる事
この4つの条件で許す旨を伝える際、終始アイオリアは苦虫を噛み潰したような表情だった
一段落し、二人はモット邸の庭園に腰掛け月を見上げながらシルフィードを待つ
「先ほどは済まなかった、これでは兄失格だな」
「先ほどは済まなかった、これでは兄失格だな」
悔しそうに言うアイオリアにタバサは
「そんな事無い」
と短く呟くと、兄の胸に顔を埋め、その瞼を閉じるのだった