彼、ギーシュは焦っていた。こんな風船みたいな使い魔、自分の自慢のゴーレムなら
一発当てれば抵抗しなくなって後はルイズが来るまでジワジワトいたぶれるだろうと思っていた
実際抵抗という抵抗はしてこなかった・・・・が、こちらの攻撃が一発も当たっていない
だからといって相手が必死になって避けているのか・・・といえばそうでもなく余裕の表情で避けているのだ
これでは完全に自分が遊ばれている・・・という状況なのだ
一発当てれば抵抗しなくなって後はルイズが来るまでジワジワトいたぶれるだろうと思っていた
実際抵抗という抵抗はしてこなかった・・・・が、こちらの攻撃が一発も当たっていない
だからといって相手が必死になって避けているのか・・・といえばそうでもなく余裕の表情で避けているのだ
これでは完全に自分が遊ばれている・・・という状況なのだ
実際のところは一枚の羽毛に対して攻撃するかのように自分の攻撃の風圧で相手がフワフワと避けているようなのだが
それにしても一発ぐらい入ってくれてもいいのだが何故か一発も入らない
むきになった彼は薔薇の花を振り更にゴーレム・・・ワルキューレを数体呼び出す
そして2体のゴーレムがクラウドを掴む・・・剣筋はヒョイヒョイ避けていたのに何故かあっさりと捕まってしまう、コレも風船ゆえか・・・
それにしても一発ぐらい入ってくれてもいいのだが何故か一発も入らない
むきになった彼は薔薇の花を振り更にゴーレム・・・ワルキューレを数体呼び出す
そして2体のゴーレムがクラウドを掴む・・・剣筋はヒョイヒョイ避けていたのに何故かあっさりと捕まってしまう、コレも風船ゆえか・・・
動けなくなったクラウドにワルキューレの剣筋が振り落とされる・・・と言う時にやっと広場にルイズが駆け込んでくる
「クラウド!」
「遅かったねミス・ヴァリエール、今君の使い魔に止めを刺すところだよ」
「やめて!お願いだから!!」
「遅かったねミス・ヴァリエール、今君の使い魔に止めを刺すところだよ」
「やめて!お願いだから!!」
周りの観客はとどめ・・・?と聊か疑問に思っていたがこの絶体絶命の状況確かにとどめか・・・と納得もしていた
そしてルイズが静止を訴えている中ワルキューレの剣筋が完全にクラウドを捉えた
そしてルイズが静止を訴えている中ワルキューレの剣筋が完全にクラウドを捉えた
間違いなくワルキューレの剣筋はクラウドを貫いた・・・・筈だった
「プワ?」
「何?」
「何?」
見るとクラウドに怪我は無く別に何てこと無いという顔をしている
「フッ、どう避けたのか知らないけどそう何度も避けれはしないだろう!!」
再び、いや何度もワルキューレの剣筋がクラウドを切りつける、切りつけている筈なのだがクラウドは何とも無い顔を変えなかった
まるで雲を切っているかのような感触にギーシュは不気味さを覚え一旦離れる
まるで雲を切っているかのような感触にギーシュは不気味さを覚え一旦離れる
「剣が効かない・・・?一体どうなっているんだ?」
剣が効かない・・・つまり煙のような体なのかはたまたアレは幻なのか、しかし2体のゴーレムが横から押さえつけているところを見ると確かに実体は存在している・・・
と思った直後、クラウドは2体のゴーレムの手の中から抜け出した。
どうやって抜け出した!?と再び掴みにかかるが今度は実体が無いのかいくら掴もうとしてもすり抜けてしまう
そしていい加減相手が自分に敵意を向けていることに気づいたクラウドはギーシュに対して敵意の込めた目で睨み付ける
その魂の篭っていない・・・一片の光も無い瞳に恐怖を感じたギーシュは7体全部のワルキューレをクラウドにぶつける・・・がやはり効果が無いようだ
と思った直後、クラウドは2体のゴーレムの手の中から抜け出した。
どうやって抜け出した!?と再び掴みにかかるが今度は実体が無いのかいくら掴もうとしてもすり抜けてしまう
そしていい加減相手が自分に敵意を向けていることに気づいたクラウドはギーシュに対して敵意の込めた目で睨み付ける
その魂の篭っていない・・・一片の光も無い瞳に恐怖を感じたギーシュは7体全部のワルキューレをクラウドにぶつける・・・がやはり効果が無いようだ
「な・・・何だって言うんだ!?この使い魔は!?」
「クラウド・・・貴方・・・?」
「クラウド・・・貴方・・・?」
その時クラウドの体から何ともいえない生暖かい風が吹く・・・
その生暖かい風は広場一帯を包み込み観客達も巻き込んだ
生暖かい筈なのに寒気がする、背筋がゾクッとする、ハッキリ言って気持ち悪い。
膝を突く生徒や嘔吐しそうになる生徒も居るぐらいだ
その生暖かい風は広場一帯を包み込み観客達も巻き込んだ
生暖かい筈なのに寒気がする、背筋がゾクッとする、ハッキリ言って気持ち悪い。
膝を突く生徒や嘔吐しそうになる生徒も居るぐらいだ
『あやしいかぜ』、相手に対する追加効果は無いが一定の確率で自身の攻撃・防御・特殊攻撃・特殊防御・素早さを上昇させるゴースト攻撃
物理的ダメージは低く魂を持たないゴーレムに効果は無いはずなのだが何故か目の前のゴーレム達が崩れ去っていく
「なっ!?そんな僕のゴーレムが!?」
ギーシュが慌てて花弁を振るう・・・がそれは出来なかった
何故かと言うと先ほどの妖しい風で花弁・・・ギーシュ特有の杖が萎れていた
何故かと言うと先ほどの妖しい風で花弁・・・ギーシュ特有の杖が萎れていた
「何!?何で皆苦しんでるの!?」
周りのもの全てを巻き込んでいるはずの妖しい風だがクラウドの主たるルイズだけは巻き込んでいないようで
彼女自身はバタバタと倒れていく周りの生徒の異常な光景にこれまた恐怖していた
彼女自身はバタバタと倒れていく周りの生徒の異常な光景にこれまた恐怖していた
観客の中に青い髪の小柄な少女、タバサも混ざっていたが彼女はガタガタと本気で震えていた
アレはあんな可愛い顔をしていながらとんでもない事をしている・・・
何よりこの生暖かく寒気がするという矛盾をはらんだ風、これは色々な書物で表記されているある物に酷似している
そう、幽霊が現れる時に共に発生する『おどろおどろしさ』とでも言う不気味な風・・・
その事に気づいた直後、タバサは全力でその場から逃げ出していた
アレはあんな可愛い顔をしていながらとんでもない事をしている・・・
何よりこの生暖かく寒気がするという矛盾をはらんだ風、これは色々な書物で表記されているある物に酷似している
そう、幽霊が現れる時に共に発生する『おどろおどろしさ』とでも言う不気味な風・・・
その事に気づいた直後、タバサは全力でその場から逃げ出していた
妖しい風のダメージによって膝を付くギーシュ、それにクラウドがフヨフヨとゆっくり近づいてくる
その瞳には何も映っていない、見ているだけで自分の魂が引き込まれそうになる
その瞳には何も映っていない、見ているだけで自分の魂が引き込まれそうになる
「ヒィッ!?!?く、来るなああぁぁぁ!!!!!」
使い物にならなくなった杖をブンブンと振る、が当たっている筈でもスカスカとすり抜けてしまう
再び恐怖に駆られ奇声をあげながら魔法使いとしての証でもあるその杖を捨てて足元に転がっている石を投げつける
苦しみながらもまだ見ている観客達は「ああ・・・終わったな」と思っていた、ギーシュの敗北という意外な形で・・・
再び恐怖に駆られ奇声をあげながら魔法使いとしての証でもあるその杖を捨てて足元に転がっている石を投げつける
苦しみながらもまだ見ている観客達は「ああ・・・終わったな」と思っていた、ギーシュの敗北という意外な形で・・・
しかしギーシュの投げた石はクラウドに当たった
「プワ!?」
へ・・・?と呆気に取られた顔をするギーシュ、涙を流しながら石の当たったところを痛そうにさするクラウド
試しにもう一つ石を投げてみる・・・再びクラウドに命中、プワッ!と痛そうな声を上げる
試しにもう一つ石を投げてみる・・・再びクラウドに命中、プワッ!と痛そうな声を上げる
「フフハハ・・・ハハハハハハ!!そうか!石に弱いのか!!」
急に強気になるギーシュ、そして足元にある石を次々と投げる、頭が暴走しているギーシュの投げるそれは数発しか当たらなかったがクラウドには十分致命傷である
「ちょっ、ギーシュ!!それが貴族の戦い方!?完全に蛮族のやり方じゃない!!」
「うるさい!ミス・ヴァリエール!!杖もこうなってしまった以上、使える物は何でも使う!貴族に負けは許されないのだから!!」
「く、狂ってる・・・」
「うるさい!ミス・ヴァリエール!!杖もこうなってしまった以上、使える物は何でも使う!貴族に負けは許されないのだから!!」
「く、狂ってる・・・」
実際今のギーシュは狂っていた、先ほどから今まで味わったことの無いような屈辱と恐怖、その二つを存分に味あわされて彼の中で何かが壊れてしまっていた
しかし一つの石が当たった時、風船らしからぬカシャンと高い音がした
と、同時に嗅ぎなれた匂いがギーシュの鼻腔内に届く
しかし一つの石が当たった時、風船らしからぬカシャンと高い音がした
と、同時に嗅ぎなれた匂いがギーシュの鼻腔内に届く
「これは・・・モンモラシーの香水?」
そう、この決闘の原因にもなったモンモラシーの香水である、まだクラウドが持っていたのだが先ほどの石が一つビンに当たってしまい割れてしまったようだ
それが拙かった、一つは先程まで狂っていたギーシュがその匂いで意識がハッキリと戻ってしまったこと、
そしてクラウドの持っていた持ち物が無くなったという事・・・・その二つである
それが拙かった、一つは先程まで狂っていたギーシュがその匂いで意識がハッキリと戻ってしまったこと、
そしてクラウドの持っていた持ち物が無くなったという事・・・・その二つである
意識が戻ったギーシュはそれでも投石攻撃をやめなかった、見ればもうボロボロであと2~3発ぶつければ勝てると思ったのだ
しかしその石はクラウドに当たることはなかった、意識がハッキリとして狙って投げた石がである
しかしその石はクラウドに当たることはなかった、意識がハッキリとして狙って投げた石がである
「へ・・・・?」
思わず口から間抜けな声が上がる、しかし目の前の風船が有り得ない速度で動いているのでそれはまた仕方の無い事とも言えよう
軽業・・・フワンテ属しか持たないその特性は持ち物を失うことで発揮され自身の素早さが2倍になると言うものである
そのまま先程の風船のような間抜けな動きでなくなったクラウドは一瞬でギーシュの眼前まで詰め寄った
「うひゃぁ!?!?」
ギーシュが理解するまえに目の前に現れるクラウド、必死で石を投げようとするがもう既に石は投げつくしてしまった
ギーシュの精神はもはや限界に達していた、がそれと反比例するようにルイズの心は高ぶっていた
自分の使い魔が貴族相手に圧倒しているのである、それは心も高揚するだろう
そして今ギーシュにとどめを指さんとするクラウドにルイズは精神がハイになっていた
ギーシュの精神はもはや限界に達していた、がそれと反比例するようにルイズの心は高ぶっていた
自分の使い魔が貴族相手に圧倒しているのである、それは心も高揚するだろう
そして今ギーシュにとどめを指さんとするクラウドにルイズは精神がハイになっていた
「やっちゃえ~!!クラウドー!!!」
それが拙かった。
クラウドは今の命令をしっかりと聞いて実行に移したのである、自身の最強の技で
クラウドは今の命令をしっかりと聞いて実行に移したのである、自身の最強の技で
早い話が大爆発である。
結果的に言うと決闘はクラウドの勝ち・・・の筈だったのだがお流れになってしまった。
広場は謎の大爆発に包まれ観客をも巻き込んで崩壊したのである。
その結果ルイズが二人の決闘に水を差したのだ・・・と
広場は謎の大爆発に包まれ観客をも巻き込んで崩壊したのである。
その結果ルイズが二人の決闘に水を差したのだ・・・と
「私は何もしてない~!!!」と彼女は語るが誰も信じる者はいない・・・ルイズがまた爆発させたんだと信じて疑わなかったのだ
ギーシュと使い魔の決闘は引き分け・・・という事になったが当のギーシュは完全な敗北感に打ちひしがれていた
そしてクラウドは大爆発したにもかかわらずケロッとした顔でルイズの傍らをフワフワと浮かんでいた