あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

使い魔オーフェン-6-1

今日は虚無の曜日で学院はお休みである、洗濯を終えて戻ったらルイズが口を開いた
「出かけるわよ」
「はぁ?」
「ちょっと買いたいものがあってね、ついでにアンタが欲しいものを買ってあげるわ」
「そりゃありがたい、桃缶が欲しい」
特売日じゃなく通常値段の桃缶はまさに至高の贅沢、都を一夜にして滅ぼしかねない
「桃缶・・・?なんなのそれ」
「俺は桃缶の為なら死ねる」
「あっそう」
ルイズは呆れた顔で呟いた

「とりあえず武器、あったほうがなにかと便利でしょ」
「そうだな」

魔術士は魔術という武器よりも遥かに強力な攻撃方法を持つ
それ故に武器をもって戦うというのは不意討ちの為の備えか、対魔術士戦に限定される
基本的に攻撃魔術の構成より防御魔術の構成の方が早く、相手の構成を見てから防御に転じることが可能である
そして術者の錬度に大きな開きがない限り、大抵の攻撃魔術を防御することが可能なのである

だから魔術士同士の戦いは白兵戦になりやすい、その時に武装が生きてくるのである
オーフェンもご多分に漏れず肉弾戦の訓練を幼少の頃から積んでいたので大抵の武器は扱える

「昨日はスカっとしたわ、ギーシュをやっつけたんだもん
 アンタを召喚した私の評判もちょっと良くなったみたいだし
 あまり高いものは無理でもちょっとくらいなら奮発してあげてもいいわよ」
「そりゃどうも」
(長物はいらんが、ナイフくらいは欲しいところだな)

こうして町へと繰り出した
「オーフェン、アンタ馬の扱いも慣れてるのね」
「まっ、人並みだけどな」
ルイズは少々上機嫌のようだった、オーフェンが意外とそつなくなんでもこなすのがお気に召したらしい

「ところで聞きたいことがあるんだけどいい?」
「なんだ?」
「昨日、ギーシュのワルキューレを倒す時になんか叫んでたわよね
 その次の瞬間にはなんか剣がすんごい強化されてたみたいだし・・
 それに召喚した夜に窓から飛び降りた時もなにか・・・もしかして魔法使えるの?」
オーフェンはしばし考えた後、答えた
「ルイズ、お前さんらが使うのは魔法だろ」
「ええ、そうよ」
「俺がいた世界には魔法というものはなかった、その代わり魔術というものがある」
「似たようなもの?」
「そうだな、神々が使ったとされる魔法の秘儀を盗み出した連中がいてな、まぁ・・・その劣化版みたいなもんが魔術さ」
「具体的に私達の魔法とどう違うの」
「噛み砕いて言えば、イメージして叫べば発動する」
「そ・・それだけ?」
「まぁ厳密に言えば細かいプロセスがあるがね
 最初に使ったのは重力中和、剣を強化したのは磁場を収束させて力場を発生させる魔術だ」
「杖も使ってなかったわよね」
「そうだな、声を媒体にするから特にそれ以外に必要なものはない」
「ふ~ん、魔法使いではないのね アンタが異世界からきたってのもちょっとは信じてあげる」
「ちょっとかい、まぁいいさ俺は俺だ」
「でもアンタが私の使い魔で、私の言う事は絶対服従ってことを忘れないように」

オーフェンは返事をしなかった

ルイズがこの二日間で使い魔のオーフェンに感じた印象は、まず第一に優秀だということだ
一見すると、みすぼらしい黒い格好、ボサっとした黒髪につり上がった目つき、どう見てもまともな人間には見えない
しかし雑用も割ときっちりこなす、文句もあまり言わない、なにより強かった
頭も悪くないようだが、時折何を考えているのかわからないことがある
謎の多い青年だがルイズはこの黒魔術士に少なからずの信頼を置いていた


(食事さえきちんと与えてれば飼い主の手を噛むことはなさそうだし)
ここに来る前はよほど困窮極まる生活をしていたのか、聞けば丸一日水のみで生活するのも当たり前だとか
本人にはなにやらやることがあるようで、元の世界に帰りたがっている 
異世界というものが本当に存在し、オーフェンという男がそこからやってきたというのも俄かには信じ難い
しかし平民だけどなかなか優秀な使い魔だ、それに召喚してしまった以上手放すのは正直惜しいかもしれない
「ねぇオーフェン、魔術だっけ?ちょっと見せてよ」
街に着き、歩いていると唐突にルイズはそう言った
「ギーシュを倒した時もよくわかんなかったし、見てみたいな~って」
「往来で言うことか、そもそも俺の使う黒魔術ってのは破壊が主な用途だ
 こんなとこで使うもんじゃない」
「ケチね」

そうこうしてる内に店に辿り着いた
「着いたわ」
「・・・武器屋か?」
看板の文字は読めない、しかし武器屋には見えない
外には服が並べてあったからである
「そんなわけないでしょ、私の服を買うのよ」
(なるほど・・・買いたいもんがあるっつってたしな)
「体のいい荷物持ちってわけね」
「よくわかってるじゃない」


女の買い物は総じて長い ゆえにオーフェンは近くをブラブラしていた
「割と似たような感じだなぁ」
トトカンタと比べても文明にあまり遜色が見られない
「でも桃缶はないんだよなぁ」
ルイズは存在すら知らなかったみたいである
或いは貴族はそんなもの食べないのか


そんなことを考えていると、ふと変な気配が襲った
慌てて背後を見ると 赤髪の女がいた
「あらっ、バレちゃった やっほ~オーフェン」
「キュルケ?・・・と、タバサ」
キュルケの背後にはタバサがいた 感情の読めない表情で立っている
「あれ?タバサと知り合い?」
キュルケはタバサを見る、タバサは頷き肯定の意志を示した
「あぁ、昨夜ちょっとな」
「ふむふむ、それでフレイムが連れてくるのが遅かったのか
 もっと早くきてくれれば色々と楽しめたのに♥」
妖艶な瞳で見つめてくる それを無視してオーフェンは話を続ける
「一体なにしてるんだ?」
「むっ、だって私を差し置いてルイズと出かけたじゃない、だから追ってきたの♥」
「シルフィードか」
口にしながらタバサを見る、コクコクと頷いているのが見える

「ルイズなんか放っといてどっか行きましょ、好きなところに連れてってあげるわ
 その服も素敵だけど、私がもっと似合う服をコーディネートしてあげるわよ」
「服はこのままでも構わないからいいや」
キュルケの顔がちょっと歪むのが見えた、だがすぐに笑顔に切り替わる
「そう?もっと高いの買ってあげるのに・・・
 それなら武器やアクセサリー買ってあげるわ、元々そういう意図もあるから街まできたんでしょうし」
「ルイズが買ってくれるっつってたし、大層なモン欲してるわけでもない
 別に無理しなくてもいいぞ」
「あらあら頑固ね、それならついでに美味しいものでも食べにいきましょうよ」
「なに!?」
オーフェンの表情の変化はとても分かりやすかった、なにせ目が輝いている
(な・る・ほ・ど)
キュルケは心の中でしてやったりとガッツポーズをとった
この男は色欲や物欲では動かない、食欲だ


「ふふっ、な~んでも食べさせてあげるわよ ついでに色々買ってあげる」
「よし、張り切っていくとしよう」
(ちょろいもんね、タバサがいるからこのまま一気には無理だけど この弱みは使える)
「いきましょオーフェン、タバサ」
「うん」
「・・・あれ?オーフェン?」
少女は辺りをキョロキョロと見回す 本来いるはずの使い魔がそこにいない
「勝手にどこかへ行って・・・迷子になってるんじゃないでしょうね」
(もしかして一人で武器屋に向かった・・・? でも場所がわかるはずないわよね・・)
ルイズは荷物を一旦服屋に預かってもらい、とりあえず武器屋に向かうことにした
「ねぇ、あたしのこと好きになった?」
「あぁ、好きだぞ」
3人は食事をし終わり武器屋へと向かっていた
「ほほ~、随分と早い心変わりで」
小悪魔のような笑みをしながらキュルケが言った
「俺が好きなのは、常識人と、飯を奢ってくれる人と、桃缶と、猫だ」
「ふふっ、現金ね でもなんか甲斐性なしのヒモみたいね」
「ぐふっ・・」
「どうしたの?いきなりうずくまっちゃって」
「い・・・いや・・・」
(まずい・・・まずいぞ・・確かにこのままじゃヒモみたいだ、
 ヒモなんてものは『シリーズ・人間のクズ』に羅列されてもおかしくない!)

キュルケが顔を覗きこんでくる
「ごっめ~ん、傷ついた?もしかして昔言われたことがあるとか・・・」
「そ・・・ソンナコトハナイゾ」
「声上ずってるわよ」
タバサも頷いて同意する


(大体まずいぞ、シエスタの時といい今といい、こんな美味いものに舌が慣れてしまったらと思うとゾっとする
 元いた世界に戻ったらまた極貧生活は必至・・・あまり贅沢をすると泣きを見る、そうだこれからは我慢するんだ自分!)

「あっ、あの屋台の美味しそうね みんなで食べましょ」
「んむ」
「なに泣きながら食べてるわけ?」
「なに・・・自分の意志の弱さに絶望しただけだ」
「なんかよくわからないけど、頑張って」
(っく・・・ヤバイぞ、俺の鋼の意志はこの程度だったのか、なぁオーフェン)

「なに辛気臭い顔してるのよ、この両手に花な状況なのに嬉しくないの?」
「そんなことはどうでもいいんだ、俺は今、己との葛藤で忙しい」
「アナタねぇ・・」
「着いた」
「え?」
「ん?」
看板が見える、案の定文字は読めないが店の雰囲気で分かる
「あぁ・・・武器屋か」
「ほ~ら、気持ち入れ替えて!好きなの買ってあげるから♥」

とりあえず気を取り直して入ることにした、しょうがない
食欲は人間の三大欲求の一つ、抗うだけ無駄というものだ
(そう・・・無駄だ、しょうがない、至極当然の帰結、決して抗えない、抗っちゃいけないんだ、・・・うん)

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