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白き使い魔への子守唄 第16話 心の在り処

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皇太子ウェールズに手紙を届け、そしてウェールズから手紙を受け取り、任務を果たしたルイズ。
王党派、最後の夜、最後の宴の最中、ベランダから双月を見上げる。
――ハクオロは無事かしら?
桟橋の階段でライトニングクラウドを受け倒れたハクオロは身動きひとつしなかったが、
デルフリンガーがまだ生きてると叫んで教えてくれた。
とはいえあのまま放置されたとしたら危うい。
クスカミの腕輪で仮面のメイジを撃退したが、他に刺客がいるかもしれないとワルドに言われ、
結局ハクオロを見捨てるような形で船に乗ってしまった。
キュルケ達が何とかしてくれていたらいいけれど。
「ここにいたのかルイズ」
そこにワルドがやって来て、明日、ウェールズに式を上げてもらう約束をしてきたと言った。
「式って?」
「結婚式だよ。僕とルイズのね」

   第16話 心の在り処

「とにかくルイズに会って事情を説明せねばどうにもならんな」
東の空が白む頃、離れた山林からニューカッスル城を見つめるハクオロとタバサ。
城の外側は貴族派の軍隊が取り囲み、城の内側はこちらの事情を知らぬ王党派が控えている。
貴族派を出し抜いてニューカッスル城に入り込めても、
王党派に敵と勘違いされて攻撃されてはたまらない。
もしルイズがすでにニューカッスル城に到着しており、
もしここにいるはずもない使い魔の容姿を伝えていれば、
もしかしたらルイズの使い魔だと主張する事で王党派の信頼を得られるかもしれない。

信頼を得る方法は他にもある。貴族派の敵だと証明すればいい。
例えばシルフィードに乗って飛んで行けば、貴族派は王党派の竜が合流しようとしているのだと勘違いし、
攻撃をしかけてくるだろう。それを逃れて城内に逃げ込めば保護してもらえるかもしれない。
ただ貴族派の自作自演と疑われて余計な手間を取る可能性もあったし、
有無を言わさず殺される……というのも可能性は低いがありえる。

秘密の抜け穴でもあれば都合がいいし、ああいう城にはつき物なのだが、
その存在は極秘に決まっていて、自分達が知るすべなどあるはずがない。
「いっそ、ギーシュの使い魔のあのモグラ……ヴェルダンデと言ったか。
 あいつを連れてきて、地下道を掘ってもらえれば楽だったかもしれんな。
 空から行くよりは幾分マシだ」
「時間がない
もしかしたらルイズはすでに殺されて、ワルドは手紙を持って逃げ出しているかもしれない。
あるいは今、その真っ最中か。」
「一か八か、強硬手段に訴えるしかないか」

シルフィードで上空からニューカッスル城へ向かうと、予想通り貴族派が攻撃してきた。
魔法による炎の矢、風の刃など。
氷や土は自軍に落下するためか使ってこなかった。
さらに竜騎士まで現れ、シルフィードと空中戦を繰り広げる。
王党派からの支援を期待したが、どうやらまだ様子見らしい。
「ルイズがシルフィードに気づいてくれればいいんだが、そうも言ってられないな」
「ここは私に任せて、先に」
「何?」
タバサがフライの魔法を唱え、シルフィードの背中からハクオロを飛ばした。
悲鳴を上げながらハクオロはニューカッスル城城内へと放り込まれ、
斜めの角度で地面に向かって飛んでいく。激突必至。
「デルフ防壁!」
ハクオロはデルフリンガーを抜くと、刀身を地面に向けて突き出した。
「ちょ、相棒、何する気だ」
「衝撃をやわらげる!」
ズンという衝撃とともにデルフは深々と突き刺さり、ハクオロは両足でしっかりと大地を踏みしめた。
頭のてっぺんまで衝撃が抜け、足が痺れて動かなくなる。
まだ癒え切らぬ火傷が痛んで、涙があふれそうになった。
「貴様、何者だ!」
そこに王党派の騎士達が駆けつける。手にはすでに杖が握られて。
「ルイズが私の容姿を伝えていれば助かるのだが……」

まず剣を手放す事でハクオロは無抵抗の意を示した。
怪しい物を持っていないか身体を確認され、特に外れぬ仮面が怪しまれたが、
ディテクトマジックに反応しないためマジックアイテムではないと判断された。
調べられながら、ハクオロは自分がルイズの使い魔である事を話し、
ルイズがすでにニューカッスル城へ到着しているか否かを訊ねた。
騎士は答えない。正体の知れない者に教える必要はない。
だが、ワルドが貴族派の刺客だという話は違った。
逆にハクオロ疑われ、貴族派によるかく乱ではという見方もされたが、
もし真実なら一刻も早く捕まえねば、一緒にいるウェールズの御身が危うい。
「いいだろう。幸か不幸か、ラ・ヴァリエール嬢とワルド子爵は現在共におられる。
 まず、ワルド子爵に気づかれぬよう、ラ・ヴァリエール嬢にのみ確認を取り、
 お前の潔白が証明されれば、ワルド子爵を捕らえよう」
「ありがとう。しかし急がなくては」
「剣は預からせてもらう。我々の信頼を得る前に妙な真似をしたら容赦しないからな」
騎士は三人おり、一人は司令部へと報告に行き、二人はハクオロとデルフリンガーを連れて教会に向かった。
だが彼等の前に白い仮面の男が立ちはだかる。
「また仮面の男? おい、あれは……」
「いかん、ワルドの遍在だ!」
「遍在だと」
騎士は二人とも風のトライアングルで、遍在の恐ろしさは重々承知していた。
真実か否かは判断がつかないが、遍在らしき者は杖を持っている。
一方、ハクオロは杖を持っておらずメイジではない。剣もただのインテリジェンスソード。
スクウェアメイジの遍在と、インテリジェンスソードを持つ平民。
敵が前者であるならば大きな脅威で、平民などろくな戦力にはならない。
けれど後者が敵であるなら、剣を返したとて所詮平民、どうとでもなる。
リスクの問題から騎士はハクオロにデルフリンガーを返した。

「私の火傷は、奴の稲妻の魔法でやられたものだ」
「稲妻? 稲妻を落とす魔法など聞いた事が……」
「ライトニングクラウドだ」
「あれは稲妻だったのか!? てっきり毒か何かだと……うわっ!」
遍在が襲いかかり、ハクオロと話していた方の騎士はエア・カッターで切り刻まれる。
もう一人の騎士はウインドブレイクで反撃したが、遍在は軽々と跳躍して避けた。
ハクオロはデルフリンガーを振りかざして迎え撃とうとするが、
遍在の口から聞こえる詠唱に覚えがあって、タイミングを見計らうため立ち止まる。
「ライトニング――」
「今だ!」
「クラウド」
デルフリンガーを前方に放り、稲妻の盾とするハクオロ。
「相棒、酷いぜ!」
「以前受けた時、お前は無事だっただろう!」
地面に落下するデルフリンガーを飛び越えて、ハクオロは遍在に掴みかかろうとしたが、
遍在の動きは素早く、ハクオロに捕らえきれるものではなかった。
「ワルド! ルイズは、ルイズはどこだ!」
「フッ……私の正体に気づいていたか。安心しろ、ルイズはまだ無事だ。
 だがもうじき僕のモノになる。
 そしてルイズの力によって、僕は世界を手に入れる! その光景を見せられないのが残念だよ!」
「愛してはいないのか。婚約者ではなかったのか」
「愛しているさ、ルイズの才能を。その才能は僕が有効活用させてもらう」
「利用しているだけだというのか、貴様ァーッ!!」
怒号を上げるハクオロの服がはだけ、わずかにあらわになった胸元、
刻まれた使い魔のルーンが輝いていた。

結婚式の緊張から、ルイズはまぶたを閉じていた。
その間、ずっと、ウェールズが詔(みことのり)を述べている間も、
ワルドがルイズへの愛を誓っている間も、ルイズのまぶたにはハクオロの視界が映り、
耳にはハクオロの聞いたものが聞こえていた。
すなわち、城の騎士にワルドが裏切り者だと説明する様も、
ワルドの遍在が立ちふさがり攻撃してきた様も、すべて知った。
――眠っている時以外にも、ハクオロの知覚を感じられるようになってる?
沈黙するルイズ。さらに強まった使い魔との繋がりと、もたらした真実に戸惑って。
「新婦?」
心配げにウェールズが声をかける。今度はルイズが愛を誓う番だ。
だが、ワルドの遍在との会話を聞いてしまった今では、誓えるはずもない。
目を開いたルイズは、ウェールズを見上げて身体を震わせた。
「殿下、あの……」
ワルドは裏切り者ですと、今ここで言ったらワルドが何をするか解らない。
どうする、どうすればいい。

再びまぶたを閉じる。遍在と戦っている。
血まみれの騎士が息も絶え絶えに詠唱し、動きの止まった遍在をハクオロが斬り伏せた。
霞のように消えた遍在を確認して、ハクオロは血まみれの騎士に駆け寄る。
『しっかりしろ』
『わ、私はもう、ダメだ。遍在の情報は、本体に伝わる。急げ……真っ直ぐ行けば教会……』

遍在を倒した! ハクオロが来る!
ルイズの胸に希望がふくれ上がったが、チラと見たワルドが一瞬忌々しげな瞳をした。
ワルドもまたハクオロが来る事を承知している。
このまま結婚式を続けてはいれない、ハクオロが来る前にワルドは行動を起こす。
ルイズはどうしたらいいか解らなかった。
「殿下」
ワルドが残念そうな口調で言った。
「申し訳ありませんが、ルイズの具合が優れないようです。結婚式は日を改めて……」
「ま、待ってワルド。私は平気よ、ちょっと緊張してるだけで」
「無理はよくない。それにあまり長居をしても、貴族派との戦争の邪魔者になってしまう」
「そ、そうだけど……あの、ウェールズ殿下、ご相談が。できれば二人だけで」
ルイズの願いをウェールズもワルドも不審に思ったが、
まさかハクオロと視覚聴覚を共有していたとは知らないワルドは、
「ではその間、ちょっと外に出ているよ」
と言って教会の戸に向かった。外に出したら遍在を唱え、またハクオロに差し向けるだろう。
しかも今度はハクオロに味方する騎士はいない。勝ち目はない。
すべて遍在に任せ、何事もなかったかのように教会に戻ってくるだろう。
今度はハクオロという邪魔者を意識せず、スパイとしての役目を果たそうとするはずだ。
ワルドが背を向けてすぐ、ルイズはウェールズに寄り添い、耳元でささやいた。
「ワルドはレコン・キスタのスパイです。ワルドの遍在があなたの騎士を殺して、
 今、私の使い魔が教会に向かっています。使い魔の視覚と聴覚を共有して、解りました」
早口に言い、身体を離す。ウェールズの表情は張り詰め、小声でルイズに下がるよう言う。
それから杖を抜いてワルドの背中に向けた。
「子爵、そこで止まりたまえ」
そのただ事ではない語調に、ワルドは立ち止まるだけでなく振り返った。
向けられた杖を見て、過程はともかく結果を理解する。正体を知られたらしいと。
ならば。
「殿下。私の二つ名をご存知ですかな?」

ウェールズがエア・カッターを唱える。
だがその間にワルドは杖を抜き、同じエア・カッターを唱える。
先に放たれたのは、後から唱え出したワルドの魔法であった。
ウェールズの五体から血しぶきが上がる。
「閃光のワルド。それが私の名です」
ルイズの悲鳴が上がり、ウェールズが倒れると同時に、教会の戸が強く開け放たれた。
「来たか、使い魔」
「ワルド……それ以上の狼藉は許さん」

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