「では、ここで一旦お別れだな、使い魔君」
「………」
翌朝、ニューカッスルの秘密の港では『イーグル』号に女子供等の非戦闘員の搭乗が行われている、
その中で、バージルとワルドが向かい合っていた。
「ルイズが結婚式の準備でこれなくてね、見送りは僕だけだが、どうか許してほしい。
キュルケ達はタバサの風竜で帰るらしい、では再びトリステインで会おう」
特に会話をすることもなくバージルはさっさと『イーグル』号へと乗り込む。
全ての搭乗が完了した『イーグル』号は音をたて出港していった
「もう生きて会うことはないだろうがね…」
それを見送りながら誰にも聞こえないようにワルドがニヤリと口元を歪め呟く、
同時にワルドの姿が、一陣の風となってかき消えた。
「………」
翌朝、ニューカッスルの秘密の港では『イーグル』号に女子供等の非戦闘員の搭乗が行われている、
その中で、バージルとワルドが向かい合っていた。
「ルイズが結婚式の準備でこれなくてね、見送りは僕だけだが、どうか許してほしい。
キュルケ達はタバサの風竜で帰るらしい、では再びトリステインで会おう」
特に会話をすることもなくバージルはさっさと『イーグル』号へと乗り込む。
全ての搭乗が完了した『イーグル』号は音をたて出港していった
「もう生きて会うことはないだろうがね…」
それを見送りながら誰にも聞こえないようにワルドがニヤリと口元を歪め呟く、
同時にワルドの姿が、一陣の風となってかき消えた。
『イーグル』号の出港から暫くした後…
始祖ブリミルの像が置かれた礼拝堂で、ウェールズは皇太子の礼装に身を包み新郎と新婦の登場を待っていた。
扉が開き、ルイズとワルドが現れた。ルイズは呆然と突っ立っていたが、ワルドに促され、
鎧兜に身を固めた十数人ばかりの衛士が作る花道を通り、ウェールズの前に歩み寄った。
非戦闘員は既に港に向かい、兵士達は最後の戦いの
準備を始めている。式を見守っている人間は、タバサとギーシュ、そしてキュルケの三人だけだった。
「でも、ビックリよねぇ、子爵ったら急に結婚式挙げるって言うんだもん、驚いちゃったわ」
キュルケは言葉とは裏腹にのんびりとした口調で言った。
「しかし、勇敢なウェールズ皇太子殿下に婚姻の媒酌を頼むとは…子爵も粋なことをするね」
ギーシュはなぜか誇らしげに見ている。
「ふーん…ところでダーリンは?」
「帰った」
タバサが短く答える、キュルケは「そう…」と呟くと足を組みルイズへと視線をもどした。
一方のルイズは戸惑っていた。
今朝方早く、いきなりワルドに起こされ、ここまで連れてこられたのだった。
戸惑いはしたが、自暴自棄な気持ちが心をしはいしていたので、深く考えずにここまでやってきた。
死を覚悟した王子たちと、昨夜のバージルの態度が、ルイズを激しく落ち込ませていた。
「でもなんか…ルイズの様子がおかしいわねぇ?」
キュルケが相変わらずのんびりとルイズを見て呟く
「そうかい?緊張してるんだよ、きっと」
「そうかしら?」
顔を寄せ合ってぼそぼそと続けられる彼らの会話は、ウェールズの声によって中断された。
「では、式を始める!」
彼の前にワルドとルイズが並ぶ。ルイズはうつむいたまま、顔を上げようとしない。
「新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。
汝は始祖ブリミルの名において、この者を敬い、愛し、
そして妻とする事を誓いますか」
「誓います」
ワルドは重々しくうなずいて、杖を握った左手を胸の前に置いた。
ウェールズはゆっくりとルイズへと視線を移す。
「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール……」
朗々と誓いの詔を読み上げるウェールズ。
今が、結婚式の最中だという事を改めてルイズは実感した。
相手は憧れていた頼もしいワルド。
二人の父が交わした結婚の約束。幼い頃、ぼんやりと想像していた未来が現実のものに。
ワルドの事は嫌いじゃない。むしろ好いている。好いているはずだ。
なのになぜ、自分の気持ちはこんなにも沈んでいるのだろう。
……彼は……もう艦に乗っただろうか?
まるで言う事を聞かない使い魔の事を、どうして思い出してしまうんだろう。
始祖ブリミルの像が置かれた礼拝堂で、ウェールズは皇太子の礼装に身を包み新郎と新婦の登場を待っていた。
扉が開き、ルイズとワルドが現れた。ルイズは呆然と突っ立っていたが、ワルドに促され、
鎧兜に身を固めた十数人ばかりの衛士が作る花道を通り、ウェールズの前に歩み寄った。
非戦闘員は既に港に向かい、兵士達は最後の戦いの
準備を始めている。式を見守っている人間は、タバサとギーシュ、そしてキュルケの三人だけだった。
「でも、ビックリよねぇ、子爵ったら急に結婚式挙げるって言うんだもん、驚いちゃったわ」
キュルケは言葉とは裏腹にのんびりとした口調で言った。
「しかし、勇敢なウェールズ皇太子殿下に婚姻の媒酌を頼むとは…子爵も粋なことをするね」
ギーシュはなぜか誇らしげに見ている。
「ふーん…ところでダーリンは?」
「帰った」
タバサが短く答える、キュルケは「そう…」と呟くと足を組みルイズへと視線をもどした。
一方のルイズは戸惑っていた。
今朝方早く、いきなりワルドに起こされ、ここまで連れてこられたのだった。
戸惑いはしたが、自暴自棄な気持ちが心をしはいしていたので、深く考えずにここまでやってきた。
死を覚悟した王子たちと、昨夜のバージルの態度が、ルイズを激しく落ち込ませていた。
「でもなんか…ルイズの様子がおかしいわねぇ?」
キュルケが相変わらずのんびりとルイズを見て呟く
「そうかい?緊張してるんだよ、きっと」
「そうかしら?」
顔を寄せ合ってぼそぼそと続けられる彼らの会話は、ウェールズの声によって中断された。
「では、式を始める!」
彼の前にワルドとルイズが並ぶ。ルイズはうつむいたまま、顔を上げようとしない。
「新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。
汝は始祖ブリミルの名において、この者を敬い、愛し、
そして妻とする事を誓いますか」
「誓います」
ワルドは重々しくうなずいて、杖を握った左手を胸の前に置いた。
ウェールズはゆっくりとルイズへと視線を移す。
「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール……」
朗々と誓いの詔を読み上げるウェールズ。
今が、結婚式の最中だという事を改めてルイズは実感した。
相手は憧れていた頼もしいワルド。
二人の父が交わした結婚の約束。幼い頃、ぼんやりと想像していた未来が現実のものに。
ワルドの事は嫌いじゃない。むしろ好いている。好いているはずだ。
なのになぜ、自分の気持ちはこんなにも沈んでいるのだろう。
……彼は……もう艦に乗っただろうか?
まるで言う事を聞かない使い魔の事を、どうして思い出してしまうんだろう。
「新婦?」
心配そうなウェールズの声がかけられる。
ルイズは戸惑っている。この結婚が本当に正しいのか戸惑っている。
しかしワルドは、落ち着かせるように諭す。
「緊張しているのかい?しかし、何も心配する事はないんだ。
僕のルイズ。君は僕が守ってあげるよ。永遠に。それをたった今、誓った。
……殿下、続きをお願いいたします」
しかしルイズは、拒否するように首を振る。
「新婦?」
「ルイズ?」
二人が怪訝な顔でルイズの顔を覗き込んだ。
ルイズはワルドに向き直り、悲しい表情で首を振る。
「どうしたね、ルイズ。気分でも悪いのかい?」
違うそうじゃない。でも、こんな気持ちのままじゃ結婚できない。
「日が悪いなら、改めて……」
ウェールズの言葉の途中、ルイズは首を振っていた。理由はわからない。わからないけど、気付くと首を振っていた。
心配そうなウェールズの声がかけられる。
ルイズは戸惑っている。この結婚が本当に正しいのか戸惑っている。
しかしワルドは、落ち着かせるように諭す。
「緊張しているのかい?しかし、何も心配する事はないんだ。
僕のルイズ。君は僕が守ってあげるよ。永遠に。それをたった今、誓った。
……殿下、続きをお願いいたします」
しかしルイズは、拒否するように首を振る。
「新婦?」
「ルイズ?」
二人が怪訝な顔でルイズの顔を覗き込んだ。
ルイズはワルドに向き直り、悲しい表情で首を振る。
「どうしたね、ルイズ。気分でも悪いのかい?」
違うそうじゃない。でも、こんな気持ちのままじゃ結婚できない。
「日が悪いなら、改めて……」
ウェールズの言葉の途中、ルイズは首を振っていた。理由はわからない。わからないけど、気付くと首を振っていた。
「ごめんなさい。ワルド、わたし、あなたと結婚できない」
否定の言葉、それが出てきた。少なくともルイズに今わかると言えば、この結婚を望んではいないという事だ。
だって、望んでいたらこんな気持ちにはならないはずだ。
はっきりとルイズは言った。ワルドの顔が強張る。ウェールズは腰に手を当てる。キュルケ達は口をあんぐりと開けている。
「新婦は、この結婚を望まぬのか?」
「はいッ……! お二方には、大変失礼をいたす事になりますが……」
ウェールズの表情に緊張が走る。そして静かにワルドへと視線を向けた。
「子爵。誠に気の毒だが、花嫁が望まぬ式をこれ以上続ける訳にはいかぬ」
ワルドの両手がガバッとルイズの手を握るしめる。痛いほどに。
「……緊張しているんだ。そうだろルイズ。君が、僕との結婚を拒む訳が……ない!」
「ごめんなさいワルド。憧れだった、恋だったかもしれない。でも今は違う、違うの」
今度はルイズの肩を掴むワルド。表情は冷たく、双眸が鋭さを増した。
「世界だルイズ。僕は世界を手に入れる! そのために君が必要なんだ!」
豹変したワルドに戸惑うルイズ。しかし構わずワルドは興奮した口調で続ける。
「僕には君が必要なんだ! 君の『能力』が! 君の『力』がッ!」
恐ろしい、とルイズは思った。これが、あの優しかったワルドなの?
違う。ルイズが憧れたワルドは『彼』ではない。
「ルイズ、君は始祖ブリミルに劣らぬ優秀なメイジに成長するだろう……。
今はまだその『才能』に気づいてないだけだ!君の『才能』が必要なんだ!」
肩を握り潰されるほどの痛みに表情を歪めながら、ルイズははっきりと理解した。
―ワルドは、私を愛していない…
だから心から拒絶する。本心本音の奥底から。
「あなたは……私を愛していない、今解った……。
あなたが愛しているのは私にあるという在りもしない魔法の才能。
そんな理由で結婚しようだなんて……酷い……こんな侮辱……最低だわ……」
ルイズは暴れてワルドから逃れようとした。
ウェールズはルイズを引き離そうとワルドの肩に手を置いたが、逆に突き飛ばされてしまう。
その瞬間ウェールズが腰に当てていた手で素早く杖を抜きワルドへ向けた。
「なんたる無礼!なんたる侮辱!子爵!今すぐラ・ヴァリエール嬢から手を引け!
さもなくば我が魔法の刃が君を切り裂くぞ!」
ワルドはようやくルイズから手を離し、再び訊ねる。
「こうまで僕が言ってもダメかい? ルイズ。僕のルイズ」
「誰があなたと結婚なんか……!」
「そうか……この旅で君の気持ちを掴むために努力はしたが……仕方ない。
こうなっては……『目的のひとつ』は……あきらめるとしよう……」
「目的?」
さっぱり意味が解らないというようにルイズは呟いた。
「そう。この旅における僕の目的は『三つ』あった。
そのうちの二つが達成できただけでも、よしとしよう。
まず一つは君だルイズ。君を手に入れる事……だがもう果たせないようだ。
二つ目の目的はアンリエッタの手紙だ。これは手に入れるのはたやすい……」
「ワルド、あなた……」
何やら只ならぬ雰囲気が場を支配する、キュルケとタバサがゆっくりと杖を構えた。
「そして三つ目……」
『手紙』という単語で今こそ確信を得たウェールズは魔法を詠唱する。
だがそれよりも早く、二つ名の閃光のようにワルドは杖を引き抜き呪文を詠唱。
ワルドは風のように身をひるがえらせウェールズの心臓を青白く光るその杖で貫いた。
否定の言葉、それが出てきた。少なくともルイズに今わかると言えば、この結婚を望んではいないという事だ。
だって、望んでいたらこんな気持ちにはならないはずだ。
はっきりとルイズは言った。ワルドの顔が強張る。ウェールズは腰に手を当てる。キュルケ達は口をあんぐりと開けている。
「新婦は、この結婚を望まぬのか?」
「はいッ……! お二方には、大変失礼をいたす事になりますが……」
ウェールズの表情に緊張が走る。そして静かにワルドへと視線を向けた。
「子爵。誠に気の毒だが、花嫁が望まぬ式をこれ以上続ける訳にはいかぬ」
ワルドの両手がガバッとルイズの手を握るしめる。痛いほどに。
「……緊張しているんだ。そうだろルイズ。君が、僕との結婚を拒む訳が……ない!」
「ごめんなさいワルド。憧れだった、恋だったかもしれない。でも今は違う、違うの」
今度はルイズの肩を掴むワルド。表情は冷たく、双眸が鋭さを増した。
「世界だルイズ。僕は世界を手に入れる! そのために君が必要なんだ!」
豹変したワルドに戸惑うルイズ。しかし構わずワルドは興奮した口調で続ける。
「僕には君が必要なんだ! 君の『能力』が! 君の『力』がッ!」
恐ろしい、とルイズは思った。これが、あの優しかったワルドなの?
違う。ルイズが憧れたワルドは『彼』ではない。
「ルイズ、君は始祖ブリミルに劣らぬ優秀なメイジに成長するだろう……。
今はまだその『才能』に気づいてないだけだ!君の『才能』が必要なんだ!」
肩を握り潰されるほどの痛みに表情を歪めながら、ルイズははっきりと理解した。
―ワルドは、私を愛していない…
だから心から拒絶する。本心本音の奥底から。
「あなたは……私を愛していない、今解った……。
あなたが愛しているのは私にあるという在りもしない魔法の才能。
そんな理由で結婚しようだなんて……酷い……こんな侮辱……最低だわ……」
ルイズは暴れてワルドから逃れようとした。
ウェールズはルイズを引き離そうとワルドの肩に手を置いたが、逆に突き飛ばされてしまう。
その瞬間ウェールズが腰に当てていた手で素早く杖を抜きワルドへ向けた。
「なんたる無礼!なんたる侮辱!子爵!今すぐラ・ヴァリエール嬢から手を引け!
さもなくば我が魔法の刃が君を切り裂くぞ!」
ワルドはようやくルイズから手を離し、再び訊ねる。
「こうまで僕が言ってもダメかい? ルイズ。僕のルイズ」
「誰があなたと結婚なんか……!」
「そうか……この旅で君の気持ちを掴むために努力はしたが……仕方ない。
こうなっては……『目的のひとつ』は……あきらめるとしよう……」
「目的?」
さっぱり意味が解らないというようにルイズは呟いた。
「そう。この旅における僕の目的は『三つ』あった。
そのうちの二つが達成できただけでも、よしとしよう。
まず一つは君だルイズ。君を手に入れる事……だがもう果たせないようだ。
二つ目の目的はアンリエッタの手紙だ。これは手に入れるのはたやすい……」
「ワルド、あなた……」
何やら只ならぬ雰囲気が場を支配する、キュルケとタバサがゆっくりと杖を構えた。
「そして三つ目……」
『手紙』という単語で今こそ確信を得たウェールズは魔法を詠唱する。
だがそれよりも早く、二つ名の閃光のようにワルドは杖を引き抜き呪文を詠唱。
ワルドは風のように身をひるがえらせウェールズの心臓を青白く光るその杖で貫いた。
「ウェールズ・テューダー、貴様の命だ」
「き、貴様……まさか…『レコン・キスタ』……」
ウェールズの口から、ゴボリと大量に吐血すると、その体が仰向けに床に倒れた。
ルイズは甲高い悲鳴をあげた。
「殿下!!貴様ァッ!!」
突然の暴挙に凍り付いていた衛士がいっせいにワルドに飛びかかる。
しかしワルドが杖の一振りで巻き起こした『ウィンド・ブレイク』で、その全員が紙切れのように吹き飛んだ。
それを見たキュルケとタバサがワルドに向け一斉に魔法を放つ、
だがそれはワルドが生み出した風の障壁によって阻まれ霧散した。
キュルケが杖を構える、タバサは自身の周りに氷剣を生成している。
ギーシュも慌てたようにワルキューレを生み出した。
ルイズはワルドに向かって叫ぶ。
「き、貴様……まさか…『レコン・キスタ』……」
ウェールズの口から、ゴボリと大量に吐血すると、その体が仰向けに床に倒れた。
ルイズは甲高い悲鳴をあげた。
「殿下!!貴様ァッ!!」
突然の暴挙に凍り付いていた衛士がいっせいにワルドに飛びかかる。
しかしワルドが杖の一振りで巻き起こした『ウィンド・ブレイク』で、その全員が紙切れのように吹き飛んだ。
それを見たキュルケとタバサがワルドに向け一斉に魔法を放つ、
だがそれはワルドが生み出した風の障壁によって阻まれ霧散した。
キュルケが杖を構える、タバサは自身の周りに氷剣を生成している。
ギーシュも慌てたようにワルキューレを生み出した。
ルイズはワルドに向かって叫ぶ。
「貴族派…!ワルド、あなたアルビオンの貴族派だったのね!」
ワルドは喉の奥で笑うと、頷いた。
「いかにも。だが『アルビオンの』というのは正確ではないな。我々『レコン・キスタ』は国境を
越えて繋がった貴族の連盟さ。我々に国境はない」
そう言ってから、ワルドは再び杖を掲げた。
「残念だよ、ルイズ。君の才能が僕たちには必要だったんだ。今からでも考え直してはくれないかい?」
ルイズは力を失ってへなへなと床にへたりこみ、涙を飛ばしながら首を振った。
「いやよ!あなたはわたしの知ってるワルドじゃないわ!」
「残念だよ…では君を殺して手紙を奪うとしよう、そこの仲間も一緒にな」
ワルドは冷たく言うと、杖を構える、その光景がなぜかルイズにはゆっくりと流れて見えた。
ワルドは喉の奥で笑うと、頷いた。
「いかにも。だが『アルビオンの』というのは正確ではないな。我々『レコン・キスタ』は国境を
越えて繋がった貴族の連盟さ。我々に国境はない」
そう言ってから、ワルドは再び杖を掲げた。
「残念だよ、ルイズ。君の才能が僕たちには必要だったんだ。今からでも考え直してはくれないかい?」
ルイズは力を失ってへなへなと床にへたりこみ、涙を飛ばしながら首を振った。
「いやよ!あなたはわたしの知ってるワルドじゃないわ!」
「残念だよ…では君を殺して手紙を奪うとしよう、そこの仲間も一緒にな」
ワルドは冷たく言うと、杖を構える、その光景がなぜかルイズにはゆっくりと流れて見えた。
「―ッ!」
非戦闘員を満載させ、アルビオンから離れつつあるイーグル号の中でバージルが突如目頭を押さえた、
まただ、この視界、目の前にいるのは…ワルド…?ウェールズに向かい何かを言っている、
「ウェー…ズ・テ……ダー、貴様…命…」
その言葉とともにウェールズが崩れ落ちる
「貴族派…!ワルド、あなたアルビオンの貴族派だったのね!」
ノイズが消えルイズの声が聞こえる、
「残念だよ、では君を殺して手紙を奪うとしよう、そこの仲間も一緒にな」
そう言うとワルドが杖を引き抜く、そこで普段のバージルの視界に戻ってしまった。
「チッ……」
「どうしたよ?相棒」
「ワルドが裏切った…奴は貴族派のスパイだ」
「おいおい!どうすんだよ!いまさらアルビオンへは戻れないぜ!?
てか相棒!お前薄々気がついてたんじゃねーのかよ!」
「チッ…」
非戦闘員を満載させ、アルビオンから離れつつあるイーグル号の中でバージルが突如目頭を押さえた、
まただ、この視界、目の前にいるのは…ワルド…?ウェールズに向かい何かを言っている、
「ウェー…ズ・テ……ダー、貴様…命…」
その言葉とともにウェールズが崩れ落ちる
「貴族派…!ワルド、あなたアルビオンの貴族派だったのね!」
ノイズが消えルイズの声が聞こえる、
「残念だよ、では君を殺して手紙を奪うとしよう、そこの仲間も一緒にな」
そう言うとワルドが杖を引き抜く、そこで普段のバージルの視界に戻ってしまった。
「チッ……」
「どうしたよ?相棒」
「ワルドが裏切った…奴は貴族派のスパイだ」
「おいおい!どうすんだよ!いまさらアルビオンへは戻れないぜ!?
てか相棒!お前薄々気がついてたんじゃねーのかよ!」
「チッ…」
バージルが忌々しく舌打ちをすると、砲撃音とともにイーグル号に激震が走る。
「何だ!?何が起こった!?」、
「貴族派の巡洋艦です!囲まれています!」
「クソッ!港がバレていたのか!?」
船内に船員たちの怒号が響く、
その言葉を聞きバージルは甲板に飛び出した。
バージルが甲板に出ると、巡洋艦が4隻、イーグル号を取り囲んでいた。
巡洋艦からは竜騎士隊が出撃し、イーグル号へと向かってきている、
バージルはそれを見てニヤリと笑うと、突如甲板から走り出し、宙へ身を投げ出した。
「おい!相棒!なにしてんだ!」
そのままデルフを引き抜き、飛んできた竜騎士にヘルムブレイカーを浴びせる、
頭を叩き割られた竜騎士は風竜を残しそのまま地上へ転落していった。
風竜を足場に次々と飛んでくる竜騎士を屠っていくバージル、やがてそれは巡洋艦の目に留まったのか
目標をバージルに変え、砲撃と魔法を仕掛けてきた、
軽く舌打ちをすると、竜騎士を風竜ごと叩き斬り、墜落しつつある死骸を器用に足場にしながら巡洋艦の甲板へと降り立つ。
甲板上の兵士は目の前に降りてきた男に戦慄しつつも武器や杖を抜き応戦の構えに入る、だがそれを振るう暇もなく男の姿が消えた。
次の瞬間、甲板上にいた兵士全てが大輪の血の花を咲かせる、それと同時に船が文字通り真っ二つに叩き斬られ地上へと落下していった。
「おでれーた!何したんだ相棒!?」
「黙ってろ」
そう言いながら、バージルは次々と同じように皆殺しにしながら巡洋艦を沈めて行く。
「な…なんだあれは…あ…悪魔だ…!」
あっという間に周囲にいた巡洋艦と竜騎士隊が全滅させられ最後の生き残りの一隻が撤退しようとする、
だが、それを見逃すはずもなく、その巡洋艦の甲板にバージルが着地した。
「ひっ…!悪魔めッ…!」
甲板に兵士たちが集まる、それを文字通り一瞬で殲滅すると、腕を斬り飛ばされ悶絶している生き残りの兵士に冷たく言い放つ。
「この船はもらった。今すぐ操舵に伝えろ、俺の言う通りにアルビオンへ進め、そうすれば命は助けてやる。」
「わっ…わかった!わかったから!たっ…助けてくれ!」
そう懇願しながら首を縦に振り、兵士は操舵室へと転がるように走って行った。
「相棒…相変わらずひでぇな…空賊よりタチわりぃぜ…」
「仕掛けてきたのは奴らだ、文句は言わせん」
イーグル号は、戦闘空域を離れたらしく、もう視界には入らなかった。
バージルは静かに、再び近づきつつあるアルビオンを睨みつけた。
するとアルビオンから一つの影が近づいてくる。
「………」
「おい相棒!ありゃシルフィードじゃねぇか?」
デルフの言うとおり飛んできた影はタバサの使い魔シルフィードであった。
「きゅいきゅい!大変なのね!今すぐ乗るのね!」
シルフィードがバージルに話しかけてきた、
「おでれーた!韻竜だったのか!?」
シルフィードが声を発したことに驚いたのかデルフが声を上げる。
「そんなことはどうでもいいのね!お姉さま達があぶないのね!」
その言葉を聞くとバージルはシルフィードの背中に飛び乗った。
右手には抜き身になった閻魔刀を握り締めている。
「おい…相棒まさか…」
―ズッ…ズズズズ…
デルフがバージルに声をかけた瞬間後ろの巡洋艦が音をたてて真っ二つになり、地上へと落下していった。
「おいおいおいおい!ここまでやるか!?命助けるって言ってたろ!?」
「知らんな…こいつが来れば奴らは用済みだ」
巡洋艦が素直にアルビオンに到達しても叩き斬るつもりだったのかバージルがしれっと言う
「かぁー…昨日の言葉を撤回するぜ…お前さんは悪魔だ…正真正銘の!」
叫ぶデルフを背にバージルはアルビオンへと向かった。
「何だ!?何が起こった!?」、
「貴族派の巡洋艦です!囲まれています!」
「クソッ!港がバレていたのか!?」
船内に船員たちの怒号が響く、
その言葉を聞きバージルは甲板に飛び出した。
バージルが甲板に出ると、巡洋艦が4隻、イーグル号を取り囲んでいた。
巡洋艦からは竜騎士隊が出撃し、イーグル号へと向かってきている、
バージルはそれを見てニヤリと笑うと、突如甲板から走り出し、宙へ身を投げ出した。
「おい!相棒!なにしてんだ!」
そのままデルフを引き抜き、飛んできた竜騎士にヘルムブレイカーを浴びせる、
頭を叩き割られた竜騎士は風竜を残しそのまま地上へ転落していった。
風竜を足場に次々と飛んでくる竜騎士を屠っていくバージル、やがてそれは巡洋艦の目に留まったのか
目標をバージルに変え、砲撃と魔法を仕掛けてきた、
軽く舌打ちをすると、竜騎士を風竜ごと叩き斬り、墜落しつつある死骸を器用に足場にしながら巡洋艦の甲板へと降り立つ。
甲板上の兵士は目の前に降りてきた男に戦慄しつつも武器や杖を抜き応戦の構えに入る、だがそれを振るう暇もなく男の姿が消えた。
次の瞬間、甲板上にいた兵士全てが大輪の血の花を咲かせる、それと同時に船が文字通り真っ二つに叩き斬られ地上へと落下していった。
「おでれーた!何したんだ相棒!?」
「黙ってろ」
そう言いながら、バージルは次々と同じように皆殺しにしながら巡洋艦を沈めて行く。
「な…なんだあれは…あ…悪魔だ…!」
あっという間に周囲にいた巡洋艦と竜騎士隊が全滅させられ最後の生き残りの一隻が撤退しようとする、
だが、それを見逃すはずもなく、その巡洋艦の甲板にバージルが着地した。
「ひっ…!悪魔めッ…!」
甲板に兵士たちが集まる、それを文字通り一瞬で殲滅すると、腕を斬り飛ばされ悶絶している生き残りの兵士に冷たく言い放つ。
「この船はもらった。今すぐ操舵に伝えろ、俺の言う通りにアルビオンへ進め、そうすれば命は助けてやる。」
「わっ…わかった!わかったから!たっ…助けてくれ!」
そう懇願しながら首を縦に振り、兵士は操舵室へと転がるように走って行った。
「相棒…相変わらずひでぇな…空賊よりタチわりぃぜ…」
「仕掛けてきたのは奴らだ、文句は言わせん」
イーグル号は、戦闘空域を離れたらしく、もう視界には入らなかった。
バージルは静かに、再び近づきつつあるアルビオンを睨みつけた。
するとアルビオンから一つの影が近づいてくる。
「………」
「おい相棒!ありゃシルフィードじゃねぇか?」
デルフの言うとおり飛んできた影はタバサの使い魔シルフィードであった。
「きゅいきゅい!大変なのね!今すぐ乗るのね!」
シルフィードがバージルに話しかけてきた、
「おでれーた!韻竜だったのか!?」
シルフィードが声を発したことに驚いたのかデルフが声を上げる。
「そんなことはどうでもいいのね!お姉さま達があぶないのね!」
その言葉を聞くとバージルはシルフィードの背中に飛び乗った。
右手には抜き身になった閻魔刀を握り締めている。
「おい…相棒まさか…」
―ズッ…ズズズズ…
デルフがバージルに声をかけた瞬間後ろの巡洋艦が音をたてて真っ二つになり、地上へと落下していった。
「おいおいおいおい!ここまでやるか!?命助けるって言ってたろ!?」
「知らんな…こいつが来れば奴らは用済みだ」
巡洋艦が素直にアルビオンに到達しても叩き斬るつもりだったのかバージルがしれっと言う
「かぁー…昨日の言葉を撤回するぜ…お前さんは悪魔だ…正真正銘の!」
叫ぶデルフを背にバージルはアルビオンへと向かった。
礼拝堂ではキュルケとタバサ、ギーシュ、そしてルイズがワルドと対峙していた。
四人はもはや満身創痍だ、一方のワルドは傷一つ負うことなく余裕の表情を浮かべている。
「どうしたのかね?魔法学院の生徒はその程度なのかね?」
「やっ…やっぱり僕らじゃダメなのか…?」
「ギーシュ!何弱音吐いてんのよ!!」
呻くように呟くギーシュにキュルケが檄を入れる。
「ハハハハ!実に美しい友情だな!」
そう笑うワルドにタバサがバージルの円陣幻影剣を真似た氷の剣を周囲に展開。
風を纏わせた杖を長剣に見立てこれもまた見よう見真似でスティンガーを突き放つ、バージルのそれには遠く及ばないが一応形にはなっていた。
その技の危険性を見抜いたのかワルドがバックステップで距離をとる、が、タバサが突き出した杖の先からエア・ハンマーが発動し、ワルドを吹き飛ばした。
モット伯邸で見て以来密かにバージルの戦い方や剣技を盗み日々必死に杖を振るい、自身の魔法を加えアレンジをしたのであろう、
「っ…!やるなっ…!」
ワルドがフライを使い空中で受け身をとり、タバサが追撃として飛ばした氷剣を叩き落とす。
「あれじゃまるでミニバージルね…」
切り結ぶ二人を見たルイズが小さく呟く。
危機的状況にも関わらずキュルケが噴き出す。
「あはは!それもそうね!頼もしいじゃないの、ここで死んじゃったらダーリンに笑われるわよ!」
そう言うと杖を握りワルドへフレイム・ボールを飛ばす、
「わっ…わかってるわよ!ギーシュ!行くわよ!」
そう言うと、ルイズは立ち上がりへたりこんでいるギーシュに檄を飛ばした。
「レディが戦っているのに僕だけ見ているなんて…そんなことはできないね!」
ギーシュは立ち上がり少ない魔力を絞り出しワルキューレを作り出した。
ルイズが「ファイアボール」を放つ、だがそれはあさっての方向が爆発し天井に小さな穴をあけてしまった、
穴から外の光が洩れ始祖像を照らす、
それを見たワルドが叫ぶ
「その力だ!その力こそ虚無の系統の証!君の力が欲しい!だから僕と来るんだ!ルイズ!」
「いやよ!誰が行くものですか!」
ルイズは再び拒絶の言葉を口にした、
ワルドが飛んでくる火球をかき消し、ギーシュのワルキューレを蹴散らすようにウインドブレイクで吹き飛ばす。
その破片がタバサに襲い掛かり手から杖が落ち、転倒してしまった。
「タバサッ!」
キュルケが叫ぶより早くワルドの足がタバサの腕を踏みつけ、顔に杖をつきつける。
「ぐっ…」
拘束されたタバサがうめき声をあげる。
「さて、ルイズ、君が僕と来るというならばこの仲間の命は助けよう、無論そこの二人もな、
それでも断るというならば…わかっているね…?」
ワルドは楽しそうにルイズに話しかける。
「くっ…人質を取るなんて…!そんなの卑怯よ!貴族の誇りも失ってしまったの!?」
「僕も本来はこんな手は使いたくないんだ、だが君が僕を困らせるからさ、さてどうするんだね?
それとも使い魔の助けを期待してみるかね?残念だが彼は来ないよ、永遠にね…」
歌うようにワルドが口にした言葉にルイズが反応する
「バージルが…!?ワルド…貴方なにをしたの!?」
「簡単なことさ、貴族派にアルビオンの隠し港の場所を教えた。
彼の乗ったイーグル号は撃沈され今頃海の藻屑さ…」
その言葉を聞きルイズは崩れ落ち座り込む。
「そんなっ…バージル…」
あのバージルが…あんな別れ方してしまったのに…一言謝りたかったのに…
ルイズの目から大粒の涙があふれる
キュルケが呆然とした表情を浮かべている、
だが唯一あさっての方向を見ていたギーシュだけは視線をワルドに戻し鋭く睨みつけた。
「さて、そろそろ答えを聞きたいな、僕のルイズ、さぁ、大事な友達を救いたいなら僕と来るんだ…」
ワルドが優しく囁く、そしてルイズに向かって手を差し伸べようとしたその時
「ヴェルダンデ!!」
ギーシュの叫び声が礼拝堂内に響く、それと同時にタバサが倒れている床がボコッっと陥没し、
拘束を逃れたタバサは穴の中へと消えていった。
「何ッ!?」
ワルドが驚くのもつかの間、強烈な殺気を感じ即座に飛び退く、
その瞬間ワルドが立っていた空間が音を立てて切り刻まれた。
その場にいた全員が始祖像の上を注視する、そこには…
四人はもはや満身創痍だ、一方のワルドは傷一つ負うことなく余裕の表情を浮かべている。
「どうしたのかね?魔法学院の生徒はその程度なのかね?」
「やっ…やっぱり僕らじゃダメなのか…?」
「ギーシュ!何弱音吐いてんのよ!!」
呻くように呟くギーシュにキュルケが檄を入れる。
「ハハハハ!実に美しい友情だな!」
そう笑うワルドにタバサがバージルの円陣幻影剣を真似た氷の剣を周囲に展開。
風を纏わせた杖を長剣に見立てこれもまた見よう見真似でスティンガーを突き放つ、バージルのそれには遠く及ばないが一応形にはなっていた。
その技の危険性を見抜いたのかワルドがバックステップで距離をとる、が、タバサが突き出した杖の先からエア・ハンマーが発動し、ワルドを吹き飛ばした。
モット伯邸で見て以来密かにバージルの戦い方や剣技を盗み日々必死に杖を振るい、自身の魔法を加えアレンジをしたのであろう、
「っ…!やるなっ…!」
ワルドがフライを使い空中で受け身をとり、タバサが追撃として飛ばした氷剣を叩き落とす。
「あれじゃまるでミニバージルね…」
切り結ぶ二人を見たルイズが小さく呟く。
危機的状況にも関わらずキュルケが噴き出す。
「あはは!それもそうね!頼もしいじゃないの、ここで死んじゃったらダーリンに笑われるわよ!」
そう言うと杖を握りワルドへフレイム・ボールを飛ばす、
「わっ…わかってるわよ!ギーシュ!行くわよ!」
そう言うと、ルイズは立ち上がりへたりこんでいるギーシュに檄を飛ばした。
「レディが戦っているのに僕だけ見ているなんて…そんなことはできないね!」
ギーシュは立ち上がり少ない魔力を絞り出しワルキューレを作り出した。
ルイズが「ファイアボール」を放つ、だがそれはあさっての方向が爆発し天井に小さな穴をあけてしまった、
穴から外の光が洩れ始祖像を照らす、
それを見たワルドが叫ぶ
「その力だ!その力こそ虚無の系統の証!君の力が欲しい!だから僕と来るんだ!ルイズ!」
「いやよ!誰が行くものですか!」
ルイズは再び拒絶の言葉を口にした、
ワルドが飛んでくる火球をかき消し、ギーシュのワルキューレを蹴散らすようにウインドブレイクで吹き飛ばす。
その破片がタバサに襲い掛かり手から杖が落ち、転倒してしまった。
「タバサッ!」
キュルケが叫ぶより早くワルドの足がタバサの腕を踏みつけ、顔に杖をつきつける。
「ぐっ…」
拘束されたタバサがうめき声をあげる。
「さて、ルイズ、君が僕と来るというならばこの仲間の命は助けよう、無論そこの二人もな、
それでも断るというならば…わかっているね…?」
ワルドは楽しそうにルイズに話しかける。
「くっ…人質を取るなんて…!そんなの卑怯よ!貴族の誇りも失ってしまったの!?」
「僕も本来はこんな手は使いたくないんだ、だが君が僕を困らせるからさ、さてどうするんだね?
それとも使い魔の助けを期待してみるかね?残念だが彼は来ないよ、永遠にね…」
歌うようにワルドが口にした言葉にルイズが反応する
「バージルが…!?ワルド…貴方なにをしたの!?」
「簡単なことさ、貴族派にアルビオンの隠し港の場所を教えた。
彼の乗ったイーグル号は撃沈され今頃海の藻屑さ…」
その言葉を聞きルイズは崩れ落ち座り込む。
「そんなっ…バージル…」
あのバージルが…あんな別れ方してしまったのに…一言謝りたかったのに…
ルイズの目から大粒の涙があふれる
キュルケが呆然とした表情を浮かべている、
だが唯一あさっての方向を見ていたギーシュだけは視線をワルドに戻し鋭く睨みつけた。
「さて、そろそろ答えを聞きたいな、僕のルイズ、さぁ、大事な友達を救いたいなら僕と来るんだ…」
ワルドが優しく囁く、そしてルイズに向かって手を差し伸べようとしたその時
「ヴェルダンデ!!」
ギーシュの叫び声が礼拝堂内に響く、それと同時にタバサが倒れている床がボコッっと陥没し、
拘束を逃れたタバサは穴の中へと消えていった。
「何ッ!?」
ワルドが驚くのもつかの間、強烈な殺気を感じ即座に飛び退く、
その瞬間ワルドが立っていた空間が音を立てて切り刻まれた。
その場にいた全員が始祖像の上を注視する、そこには…
「「「バージル!!」」」
ルイズ達が驚愕の声を上げる、
始祖像の頭の上で彼を象徴する氷のように蒼いコートを翻しながら、バージルがワルドを睨みつけていた。
「返してもらうぞ…貴様には過ぎた力だ」
そう言いながら右手の閻魔刀をワルドに向け、
ルイズとワルドの間に割り込むように飛び降りる。
「バージル!遅い!遅いわ!一体何してたのよ!ご主人様を待たせるなんてっ!」
ルイズが大粒の涙を流しながら叫ぶ、そんなルイズを横目でチラとみるとバージルが口を開く
「お前らは下がっていろ、巻き込まれたくなかったらな」
そう言うと再びワルドへ視線を戻す、ギーシュがタバサを穴から救出し、キュルケがルイズを抱えそそくさと礼拝堂の隅へと移動していくのが見えた。
「貴様ッ!!なぜだ!あれだけの艦に囲まれてなぜ生きている!」
「フッ…本当に”あれだけ”だったな…奴らは今頃海の藻屑だ」
巡洋艦をすべて叩き落としてきたにもかかわらずしれっとバージルは言う。
「この世は…力こそ全てだ…こいつが欲しければ、俺から奪い取って見せろ」
「フッ…ハハハハハ!!!言ってくれるじゃないかガンダールヴ!いいだろう!ラ・ロシェールでは不覚を取ったが…
今度は全力で相手をしてやる!どんな手品を使っているかは知らんが、それが私に通用すると思わないことだ!」
ワルドが高らかと笑い、再び杖を構える、それを見たバージルがゆっくりと左手の閻魔刀に手をかけ静かに目をつむりながら宣告する。
「You shall die.(―死ぬがいい。)」
始祖像の頭の上で彼を象徴する氷のように蒼いコートを翻しながら、バージルがワルドを睨みつけていた。
「返してもらうぞ…貴様には過ぎた力だ」
そう言いながら右手の閻魔刀をワルドに向け、
ルイズとワルドの間に割り込むように飛び降りる。
「バージル!遅い!遅いわ!一体何してたのよ!ご主人様を待たせるなんてっ!」
ルイズが大粒の涙を流しながら叫ぶ、そんなルイズを横目でチラとみるとバージルが口を開く
「お前らは下がっていろ、巻き込まれたくなかったらな」
そう言うと再びワルドへ視線を戻す、ギーシュがタバサを穴から救出し、キュルケがルイズを抱えそそくさと礼拝堂の隅へと移動していくのが見えた。
「貴様ッ!!なぜだ!あれだけの艦に囲まれてなぜ生きている!」
「フッ…本当に”あれだけ”だったな…奴らは今頃海の藻屑だ」
巡洋艦をすべて叩き落としてきたにもかかわらずしれっとバージルは言う。
「この世は…力こそ全てだ…こいつが欲しければ、俺から奪い取って見せろ」
「フッ…ハハハハハ!!!言ってくれるじゃないかガンダールヴ!いいだろう!ラ・ロシェールでは不覚を取ったが…
今度は全力で相手をしてやる!どんな手品を使っているかは知らんが、それが私に通用すると思わないことだ!」
ワルドが高らかと笑い、再び杖を構える、それを見たバージルがゆっくりと左手の閻魔刀に手をかけ静かに目をつむりながら宣告する。
「You shall die.(―死ぬがいい。)」