あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

毒の爪の使い魔-06


一方その頃…、本塔最上階の学院長室では教師の一人ミスタ・コルベールが学院長のオールド・オスマンと話をしていた。
彼は春の使い魔召喚の際、ルイズが呼び出した使い魔の亜人の左手に刻まれたルーンが気になり、独自に調べていたのだ。
そして、一冊の書物にそのルーンと告示した物が記されており、こうして報告に訪れたのだった。
オスマン氏はそこに記されたルーンをジッと見ていた。
「これは伝説にのみ存在する使い魔のルーンじゃな」
「はい、まさかとは思いましたが…他に類似する物もありませんので」
「むぅ…、しかも召喚したのが、あのヴァリエールの三女とは…」
オスマン氏は眉間に皺を寄せて唸る。
「これは失われたペンタゴンの一角に関わる事じゃ」
「や、やはり…」
「それにしても…」
オスマン氏がそれまでの真剣な表情を崩し、コルベールを見る。
「何か、気になる事でも?」
「いや……君の事だから、おそらくはその使い魔が召喚されたその日から調べていたとは思うのじゃが…。
…どうして4日も経った今になって報告に?」
――鋭いツッコミである。コルベールは一瞬、返答に困ってしまった。
「いや…それはですね…」

彼がこの本を手にしたのは昨晩の事…。
粗方の本を調べつくしたコルベールは本棚に不自然に空いた、本一冊分の隙間に気付き、
部屋中を探し回ったがなかなか見つからずにいた。
実は、問題の本はとある勉強熱心な教師が誤って自室へと持ち帰ってしまっており、本棚に収まっていたそれを、
慌てて返しに来た所、コルベールとバッタリ遭遇したのだった。

「――そう言った訳でして…」
「うむ…それでは致し方ないかの」
その時、部屋の扉が叩かれた。
二人の視線が同時にそちらへ向く。
「誰じゃ?」
「私です、オールド・オスマン」
扉の向こうから聞こえてきたのは秘書のミス・ロングビルの声だった。
扉を開き部屋へと入るや、オスマン氏の下へと歩み寄った。
コルベールは机の上の本を閉じて小脇に抱えた。
「何事じゃ?今はまだ話の最中だったのじゃが?」
「いえ、おそらく教師から『眠りの鐘』の使用許可を求める声がオールド・オスマンに行くと思いまして、
予め許可を頂いておこうかと」
オスマン氏の目が鷹のように鋭く光る。
「どういう事じゃ?一体何が起こったんじゃ?」
「実は、ヴェストリの広場で生徒による決闘が行われているのです」
「アホか。たかが子供のケンカを止めるのにどうして秘法を使わねばならんのじゃ。…誰が暴れておるんだね?」
「一人は、ギーシュ・ド・グラモン」
「グラモンとこのバカ息子か。おおかた女の取り合いにでもなったのじゃろうて。それで、相手は?」
「メイジではありません。ミス・ヴァリエールの使い魔の亜人です」
オスマン氏とコルベールは顔を見合わせた。
「それが、どうして秘宝を使わねばならん事態になるのじゃ?」
オスマン氏の言葉にミス・ロングビルは重い口調で答えた。



「あのままでは、殺されます…。あの亜人に、ギーシュ・ド・グラモンは」



――誰もが目の前の光景に呆然と立ち尽くしていた。
胸を切り裂かれたギーシュは自らの血の海で仰向けに倒れている。
ジャンガはそんな彼を冷たい目で見据える。彼の血で濡れた爪を一瞥し、大きく振るって血を落とす。
「ハンッ!、ざまァないゼ!!」
そんな風にジャンガが吐き捨てるや、周囲の生徒達が一様に悲鳴を上げた。
無理もない。この場に居る全員、こんな事態になるとは夢にも思っていなかったからだ。
ギーシュが目の前の亜人をプライドを守る為に叩きのめす様を娯楽の一環として観戦……そんな風に考えていたのだ。
地面を赤く染める血や、血塗れになったギーシュを見て、泣き出す者、口元を押さえ吐き気を堪える者、
堪えきれずに嘔吐する者など、決闘の場は瞬く間に混乱に包まれた。
そんな生徒達の様子をジャンガはニヤニヤしながら楽しんでいた。
思えば、これほどの開放感を、充実感を、満足感を味わったのは目覚めてから初めてだ。
今までクソ生意気に偉ぶっていたガキ共が慌てふためき、恐怖に怯え、泣き出す様は見ていて気分がスカーッとする。
――そんなジャンガの思考は無粋な怒鳴り声で妨げられた。

「あ、あんた…何やってるのよ!?」
「ああン?」
余裕の無い表情で怒鳴りつけてくるルイズを、ジャンガは正にうんざりとした表情で振り返る。
ルイズは押し寄せる吐き気を堪えながら、血塗れで地面に倒れるギーシュを見る。
決して仲が良い相手ではなかったが、これは幾らなんでもやりすぎだ…。ルイズは再度ジャンガを睨む。
「ギーシュは降参していたじゃない!?それなのにあんたは!!」
「決闘とか言って、命知らずにも喧嘩売ってきたのはあのガキだぜ?
しかも、傷を殴りつけるなんてふざけた真似をしてくれたしよ…。その分の礼をしてやったまでだ」
「だからって――」
「るせェんだよ!」
叫ぶとジャンガは腕を振るう。撥ね飛ばされたルイズは吹き飛び、地面を転がる。
直ぐに身体を起こそうとするが、撥ね飛ばされ、地面を転がった痛みが身体に響く。
そんなルイズを見据えながらジャンガは唾を吐き捨てる。
「ケッ!何時までもご主人様面してるんじゃネェよ!?…これからはテメェの指図は受けねェゼ」
「ど、どう言う意味?」
「もう、テメェ等に合わせる必要は無いって事だ。…さっきも言ったろ?”俺は俺のやり方でやる”ってな」
言いながら、ずれたマフラーと帽子を直す。
「今まで我慢した分、これからは俺の好きなようにやらせてもらうゼ。キキキ…」
そうしてルイズに背を向けるジャンガ。その背にシエスタが声を掛ける。
「ジャンガさん!」
「チッ…」
軽く舌打ちし、肩越しに睨み付ける。その視線にシエスタは背筋が凍りつく様に感じた。
シエスタは震えながらもジャンガに歩み寄る。
「ジャンガさん…。あの…もうやめてください。怒鳴られていた私を庇ってくれたのは嬉しいです…。
でも、これ以上は――」
「バカか、テメェ?」
「…え?」
予想だにしないその言葉にシエスタはどう言う意味か解らず呆然とした。
ジャンガは心底呆れたような表情を浮かべている。
「俺はただ、ウゼェ野郎を黙らせただけだ。テメェを助けようなんて思ってやった事じゃネェよ」
そこでジャンガは何か思い出したように言葉を切った。
「ああ…違ったな。あの食堂での事はテメェを助けようなんて思ったりもしたか…。けどな、別に親切心で助けた訳じゃねェ。
テメェは俺が目を覚まして直ぐに話した相手だからな…?
親しくしておきゃ、色々役立ちそうだったしよ…。更にお人好しな性格なら尚更だ。
有体に言えば…都合良く”利用してやった”んだよ。解るよな、それ位?
まァ…こうなっちまったら、そんな関係を築いてきたのも泡になっちまったがな…。
別段どうでもいい事だがよ……キキキキキ」
ジャンガの告白にシエスタは何が何だか解らなかった。

利用?

自分を利用していただけ?

あの優しげな雰囲気も演技だったの?

解らない…、解らない…、解らない…

何時の間にかシエスタは力無く地面に膝を突いていた。
「嘘……ですよね…、ジャンガさん…?嘘と言ってください…」
注意しなければ聞き取れないほど、か細い声で呟く。
そんなシエスタの最後の願いを託した言葉にジャンガは――

「俺はテメェを都合良く利用できる道具程度にしか思ってねェんだよ…。勝手に善人扱いしてんじゃねェよ、ボケが!」

――これ以上無い位の暴言を彼女に叩き付けた。
シエスタはその言葉に静かに涙を流した。
そんな彼女をジャンガは満足そうな笑みを浮かべて見下ろしている。
…やっぱりこれだ。苦痛と恐怖を与えて大人しくさせ、従順にする。このやり方が、自分には一番イイ。
今まで大人しくしていたのがアホみたいだ。これからはこのやり方で行こう。それがイイ…それが。

ふと、気が付くと、倒れたギーシュの傍に一人の少女が座り込んでいた。
金色の巻き髪と少々広いデコ、顔のそばかすが特徴的なその少女は涙で頬を濡らしながら必死に彼に声をかけている。
その光景を見てニヤリと笑い、ジャンガはゆっくりと近づいていった。

「ギーシュ!、ギーシュ!、しっかりしなさいよ、ギーシュ!?」
少女は必死に彼の名を呼び続ける。――すると、ギーシュがゆっくりとその両目を開けた。
「あ、うあ……モ…ンモ…ランシー…」
少女=モンモランシーはその言葉に更に涙を溢れさせる。
「しっかりしなさいよ!?こんな、こんな事で…死なせたりしないわ!」
直ぐに水の魔法で彼の怪我の治療を始める。
ギーシュはそんな彼女の行動を見つめながら、苦しそうに話しかける。
「どう…して……だい…?ぼ、僕は……君に…」
「…言い訳なら、後でタップリ聞かせてもらうわよ!とにかく、今直ぐに治療して――」
「無駄だと思うけどなァ~?」
突然聞こえた声に二人は顔を向ける。2メイルに達しようかと言う長身が圧倒的な威圧感と恐怖を伴い、そこに立っていた。
ジャンガはニヤニヤした笑みを浮かべながら二人を見据える。
まだまだ苦しんでもらう為に加減したから、ガキが生きてるのは承知の事実だ。
だが、そのお陰でもっと面白そうな事になってきた。
目の前の少女…今の会話を聞く限り、そこのガキがさっきシエスタに怒鳴り散らしていた理由だ。
確か二股がばれたとかだったが…、それなのに目の前のガキを助けようとしている。
「自分をふったも同然の男に、それでもまだ未練を捨てきれないで、助けようだなんてよ?健気だネェ~」
「う…うるさいわよ!?ア、アンタには…関係無いわよ!」
あきらかにモンモランシーは震えていた。それもそうだろう、先程のギーシュとの戦闘を見ていれば。
彼女は水のメイジだが、戦闘はあまり得意ではない。今ジャンガに襲い掛かられたら、成す術無くその爪の餌食となるだろう。
本心では今直ぐにでも逃げだしたい気持ちもあった。それでも、彼女は精一杯の勇気を振り絞り、ジャンガを睨み付けた。
ふと、自分のマントが引っ張られる。見ればギーシュの手がマントを掴んでいた。
「モン…モラン…シー…、僕は…いいから…、早く…逃げ…」
「な、何言ってるのよ!?」
「いい…んだよ……。これは…罰……だと…思うから…。君の……気持ちを…裏切り…、傷…付けた……罪に…対する……罰……。
だから…いい…んだよ……ゲホッ!、ゴホッ!」
苦しそうに咳き込むギーシュ。
そんな彼の様子にモンモランシーは慌てて水の治癒魔法を唱えた。
「モンモ…ランシー…?」
「罪?罰?…何を勝手に言ってるのよ、馬鹿じゃないの!?アンタの浮気性には飽き飽きしているわよ!ええ、そうよ!
…でも、こんなになっているのを黙って見捨てるほど、私は…アンタを嫌いじゃないわよ!」
「……ッ!」
モンモランシーの言葉に涙するギーシュ。
そんなやり取りをジッと見ていたジャンガだが、やがて静かに笑い出した。
「キキキキキキ…」
「な、何よ?何が可笑しいのよ!?」
「いや…この展開は、俺がさしずめ”愛のキューピッド”役なんだろうな、と思っただけだ。
そしたら、笑えちまってよ。…キキキキキ」
可笑しすぎるとばかりに笑い続けるジャンガにモンモランシーは腹が立った。
「う、うるさいわよ!」
「まァ…幾ら怪我を治したところで、無駄だと思うけどな?」
「それ、どう言う意味?」
モンモランシーは怪訝な表情で聞き返す。
そんな彼女の言葉にジャンガは笑みを浮かべる。
「俺のこの爪はなァ…俺の異名の由来にもなってる”毒の爪”ってんだ。
爪っつっても、こいつは俺の指そのものだがな?」
「そんな事はどうでもいいわよ!」
「ケッ、気の短い女だ…。まァいい…、この毒爪はな、その名の通り俺の意思一つで様々な毒素を出せるんだ」
そこまで聞いてモンモランシーは、はっ!となった。
「ま、まさか!?」
「キキキ、その通りさ…。そいつには毒を喰らわせてやったのさ。それも、俺の特にお気に入りな遅効性の猛毒をなァ~」
「遅効性?」
「ああ、こいつは身体に入ると直ぐに身体の自由が利かなくなるが、直ぐに死んだりはしネェ。
ジワジワとゆっくり毒に侵されて行き、苦しみ抜いて死ぬんだ。…最高だろう?」
何がどう最高なのか、モンモランシーには全く理解が出来なかった。
「この毒で今までに何人も死んでいったゼ?涙ながらに命乞いをしてきた奴、死の寸前まで罵倒してきた奴、
大きく分けてそのどちらかだったが……見ていて楽しかったのは同じだったな。キキキキキ…」
「丁寧な解説どうもありがとう」
モンモランシーは棒読みするような口調でそう言った。
「それじゃ、私はギーシュを連れて行かなきゃ…」
「オイオイ、俺は今しがた”無駄だ”って言わなかったか?」
「解毒位は――」
「だから、それが無駄だってんだよ?」
モンモランシーの言葉が終わる前にジャンガが口を挟んだ。
その言葉にモンモランシーは眉を顰める。
「どう言う意味よ?」
「解りやすく言ってやろうか?俺の毒は今まで誰にも解毒が出来なかったんだ…。唯一、解毒剤を作れた奴が一人居たが、
もう会う事もできねェしな。事実上、解毒の手段は無いぜ?」
「そんな事、やってみなければ分からないわよ!」
怒鳴りながらジャンガを睨み付けるモンモランシー。
「キキキキキ…、別に止めやしねェよ。だがよ、駄目だった場合…どうする気だ?」
その言葉にモンモランシーは、うっ!と唸る。
ジャンガは口の端を吊り上げて笑みを浮かべた。
「愛しの彼氏が苦しみ抜いて死んで行くのを…黙って見ているしかないよなァ~?」
「……ッ」
悔しげに歯を噛み締めるモンモランシーを見て、ジャンガは笑った。
そして、そのまま視線をギーシュに向ける。
ぜえぜえと荒い呼吸を繰り返し、見ている限りでは今にも死んでしまいそうだ。
そんなギーシュにジャンガはニヤニヤしながら見下ろす。
「おい、ガキ?」
「…うう…」
唐突に掛けられた言葉にギーシュはぎこちない動きで何とか顔を向ける。
「死にたくないかァ…?死にたくないよな…?」
ギーシュは弱々しく、首を縦に振った。
「じゃあ、どうすればいいか解るよな?」
ギーシュは暫くゼェゼェと苦しげに息をしていたが、やがて口を開いた。
「…助け…てくれ…」
「『お願いします、助けてください、ジャンガ様』だ、ガキが」
「…お…願いし……ます…、助け……てくださ…い…、ジャ…ンガ……様…」
「そうそう…やりゃ出来るじゃねェかよ?」
無様な姿で命乞いをするギーシュの姿に満足そうに笑うジャンガに、モンモランシーは言った。
「ギーシュは謝ったわよ?早く解毒しなさ――」
「誰が助けるかよ、ッバァーーーカ!!」
「なっ!?」
「俺は謝れみたいな事は言ったが、”助ける”とまでは言ってないゼェ?」
「あ、あなた…そんなこじつけで、納得すると思う訳?いいから助けなさいよ!?」
モンモランシーの怒鳴り声にジャンガは目を見開き、叫んだ。
「るせェんだよ!それを決められんのは俺だけだ!引っ込んでやがれ、ドリル頭のデコ娘がァァァーーー!!」
叫びながらジャンガはモンモランシーを蹴り上げる。
華奢な身体が宙に浮き、人垣の向こうに落ちて行くのを見届けるや、再度爪を構える。
「さてと…」
そう呟くや、ジャンガは辺りを睥睨する。



「さっき…俺に魔法だか何かをしようとしたのは、誰だ?」



その言葉に周囲の生徒達から新たなざわめきが広がった。
俺は違う、私も違う、じゃあ誰だ?と言った声が聞こえてくる。
そんな周囲の反応など気にも留めず、ジャンガは爪を振る。
先程、城壁に穴を開けた風のカッターが生み出され、人垣の…否、その向こうの学院の壁の一点に向かう。
ズガンッ!!
カッターは壁に当たり、そこにポッカリと穴が開く。
穴の直ぐ左隣には――表面上は――まるで動じていないタバサが居た。
突然、カッターが飛んで来た事に動揺するキュルケとは対照的に、タバサは静かにジャンガを見つめる。
そんな彼女をジャンガは冷たい目で睨み付けた。
「テメェか…」
ポツリと呟く。しかし、タバサは身じろぎ一つしない。ただ静かに見つめ続けている。
そんな彼女の言動にジャンガは顔を顰め、舌打をする。
「チッ、相変わらず眉一つ動かさネェ…。人形みたいな野郎だゼ?
まァ、いいさ…。それよりも…テメェだな?俺に向かって何かしようとしてくれたのはよ?」
タバサは答えない。
「誤魔化しても無駄だゼェ~?今の俺は妙に感覚が優れていてな……音とか動きとか、
相手の位置とか、そういうのが丸解りなんだよ」
タバサは答えない。
「ハンッ!何にも答えないんだな!?全く…どんな時でも無表情で、誰から声を掛けられてもほぼ無反応で、
人形と比べても大差無ェゼ?…ま、どうせ親に禄に相手してもらえなかったんだろうがな」
その言葉を聞き、それまで全く変わらなかった碧眼の色が変化した。
気付かないのか、ジャンガはそのまま言葉を続ける。
「お前位の年頃で真っ当な人生歩んでるんなら、もう少し感情豊かなはずだゼ?
周りで慌てふためく奴等がイイ例だ…。なのにテメェはどんな時でも眉一つ動かさネェ。
なら、親にすら相手してもらえネェ、不幸で哀れな人生を歩んできたって事だろ?」
タバサは静かに、目の色を変化させながらただ静かに聞いている。
「キキキ…所詮、親なんざテメェが好き勝手に生きれる力を得るまで、体良く利用するだけの存在だ。
テメェで生きる力が付きゃ…後はお払い箱さ。だからテメェも別に気にするなよ?」
そこで一旦言葉を切ると、笑いを引っ込める。
「――遊び相手をする事も出来ねェ、役立たずなバカ親なんざな」
その言葉が決定的な物となった。タバサの碧眼には今や、その二つ名の通りの激しい雪風が吹きすさんでいる。
タバサはキュルケの傍を離れ、人垣を掻き分けるとジャンガの前へと歩み出た。
「んだァ?何か俺に文句でもあるのかよォ~?」
ジャンガの言葉に答えず、タバサはゆっくりと手にした杖を突き出した。
「あン?」
そして、小さいが良く通る声で言った。



「貴方に決闘を申し込む」


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