ルイズは部屋を出た後、流れる涙を止められずにいた、
使い魔に見放された、そんな悲しさ、虚しさ、寂しさが襲いかかってくる。
「うっ…うぅっ…ひっく…」
止めて欲しかった、文句を言って欲しかった。
だが彼の口から出て来た言葉は一切の関わりを拒絶する言葉。
胸が、心が締め付けられるかのように痛い。
「なんであんなこと言っちゃったんだろう…」
そう呟きながらワルド達が酒を飲みつつ談笑している下へと降りる、
―ドゴォォォォン!!
階段を降り切った所で、突如宿を凄まじい衝撃が襲う。
「えっ?なに!?」
ルイズがあわてて周りを見渡すのと同時に、
宿の扉が音を立てて開く。傭兵と思われる男たちが殺到してきた。
それにいち早く反応したワルドがルイズを抱き抱え、テーブルの影に隠れる、
タバサとキュルケがテーブルの足を崩し、盾にしながら魔法を放ち応戦する、
魔法を使われてはたまらないと、傭兵達は一度撤退し、外から矢を放つ。
ギーシュは泡を食ったようにパニックに陥っていた。
「なっ!?なんなの!?こいつら!?」
「おそらく貴族派に雇われた傭兵だろう」
パニックに陥り叫ぶルイズをよそにワルドは険しい表情で淡々と返す、
その顔には玉の様な汗をかいている、それは目の前の傭兵に対してではなく、
信じがたい化け物を目の前にしたような表情をしていた。
「フーケも来てるみたいよ!」
魔法を放ち、応戦しながらキュルケが叫ぶ、
なるほど、窓からはゴーレムの脚らしきものが見える。
おそらくさっきの衝撃は二階のベランダを殴ったのだろう、
ベランダ…
「バージル!バージルは!?」
ルイズはそう叫ぶとワルドの腕の中でもがき二階へと向かおうとする。
「ルイズ!彼なら大丈夫だ!だから落ち着いて!」
それをワルドは必死になだめる
「でもっ!でもっ!」
―ズズゥゥゥン・・・
突如、外のゴーレムが崩れ落ちる、
「なっ…なんだ!?」
「あの姉ちゃんが殺られた!?」
「ヒッ…ヒィィィィィィ!!!」
外から傭兵達の悲鳴が響き渡る、
ルイズはおそるおそるテーブルから顔を覗かせ外を見る、
―ズッドォォォン!!という凄まじい音――
バージルが『ベオウルフ』と呼んでいた具足を纏い、蒼い隕石の如く地面に着地するのが見えた。
バージルの流星脚をもろに食らった一人の傭兵の身体が、爆ぜ、粉微塵になって消しとんだ。
「うっ…」
思わず口元を押さえる、何度か見ているが流石に慣れることはない。
「見ちゃだめだ!」
ワルドがマントでルイズの目を覆う。
目の前で起きているのは、只々一方的な虐殺。
流星脚で着地し近くにいた傭兵に、円状の白光を放つ「日輪脚」を浴びせる。
傭兵の顎から上が消滅し、崩れ落ちる。
「…脆いな…」
そう呟くと同時にバージルは居合の構えを取る、それを傭兵達は一斉に取り囲んだ。
「この野郎!よくも!」
「てめぇからブッ殺してやる!」
そういいながら傭兵達は武器を構え、弓に矢をつがえバージルを狙う
突然、バージルの姿が消えた。
「きっ…消えた!?」
「どこだっ!?」
「どこに行きやがった!」
何が起こったか分からず、その場に傭兵達は立ち尽くす、
―キィン…!
再び円の中心にバージルが現れる、先ほどと違うのは、右手には抜き身の閻魔刀が握られている。
「……」
バージルは沈黙したままスッと閻魔刀を納刀する。
「なっ…なんだ…?」
「Die.(―死ね)」 ―キンッ!
閻魔刀の鍔と鞘が打ち合う音が響く、
―グパンッ!
バージルを中心に傭兵達が円を描くように大輪の血の花を咲かせる。
斬られたことにも気がつかず傭兵達は一瞬で絶命した。
宿の前の広場はもう凄惨たる有様だ、血の海、その表現がぴったり当てはまる。
フーケを含め数十人いた傭兵達がものの数秒で全滅…。
ワルドの背中に寒いものが走る、絶対にこの男との直接戦闘は避けなくてはならない…。
何をしたのかまるで見えなかった。なんだあれは?魔法という次元を超越している。
「…」
沈黙のままバージルは店内へと入ってくる。
「ひっ…」
「あ…悪魔…」
中の従業員や他の客からは彼を恐れる声まで聞こえてきた。
大量の血を浴び、垂れた髪を無造作にオールバックにまとめる、
「あ…えと…ダーリン?」
キュルケが恐る恐る話しかける
「……」
「えと、な…なにをしたの?ていうかフーケ来てなかった?あたし、ほら、全然見えなくって…」
「殺した」
何も大したことはしていない、呼吸をするようにその言葉を口にする。
その眼は今まで以上に冷たく、見る者を戦慄させる。
宿の中が異様な沈黙に包まれる。
「ど…どうやら、貴族派には僕たちがここにいることがすでにバレてしまっているようだね…」
その沈黙に耐え切れなくなったのかワルドが口を開く。
「仕方がない、今すぐアルビオンへ出発することにしよう、船長には僕から説得する。」
店内の従業員からの視線も痛い、
そう言うならとギーシュやキュルケ達も納得する。
一行が『女神の杯亭』から桟橋へと向かう。
「…どう見ても樹だが…あれが桟橋だと?」
バージルが怪訝な顔でタバサに訪ねる、
「アルビオンは空にある」
「空…だと?大陸が浮いているとでも?」
「浮いている」
「…??」
バージルが疑問の表情を浮かべると、タバサが杖で看板を指す
「アルビオン・スカボロー港行…」
「読めた」
そういうとタバサは無表情だが…どこか満足げにバージルを見た。
「フン…」
その様子をルイズは複雑そうな表情で見つめる
「(なによなによ!なんでタバサなんかと仲良くしてるの!?なんで私には全然相手してくれないのよ!)」
ご主人様である自分を無視してタバサと仲が良さそう(?)に会話をするバージルを見て泣きそうになる、
でも、もう知らないと言ってしまったのは自分だ…、癇癪を起こし文句を言うことはできない。
ぐっと涙を堪え無視するように前を向く。目の前にはワルドが歩いている。
使い魔に見放された、そんな悲しさ、虚しさ、寂しさが襲いかかってくる。
「うっ…うぅっ…ひっく…」
止めて欲しかった、文句を言って欲しかった。
だが彼の口から出て来た言葉は一切の関わりを拒絶する言葉。
胸が、心が締め付けられるかのように痛い。
「なんであんなこと言っちゃったんだろう…」
そう呟きながらワルド達が酒を飲みつつ談笑している下へと降りる、
―ドゴォォォォン!!
階段を降り切った所で、突如宿を凄まじい衝撃が襲う。
「えっ?なに!?」
ルイズがあわてて周りを見渡すのと同時に、
宿の扉が音を立てて開く。傭兵と思われる男たちが殺到してきた。
それにいち早く反応したワルドがルイズを抱き抱え、テーブルの影に隠れる、
タバサとキュルケがテーブルの足を崩し、盾にしながら魔法を放ち応戦する、
魔法を使われてはたまらないと、傭兵達は一度撤退し、外から矢を放つ。
ギーシュは泡を食ったようにパニックに陥っていた。
「なっ!?なんなの!?こいつら!?」
「おそらく貴族派に雇われた傭兵だろう」
パニックに陥り叫ぶルイズをよそにワルドは険しい表情で淡々と返す、
その顔には玉の様な汗をかいている、それは目の前の傭兵に対してではなく、
信じがたい化け物を目の前にしたような表情をしていた。
「フーケも来てるみたいよ!」
魔法を放ち、応戦しながらキュルケが叫ぶ、
なるほど、窓からはゴーレムの脚らしきものが見える。
おそらくさっきの衝撃は二階のベランダを殴ったのだろう、
ベランダ…
「バージル!バージルは!?」
ルイズはそう叫ぶとワルドの腕の中でもがき二階へと向かおうとする。
「ルイズ!彼なら大丈夫だ!だから落ち着いて!」
それをワルドは必死になだめる
「でもっ!でもっ!」
―ズズゥゥゥン・・・
突如、外のゴーレムが崩れ落ちる、
「なっ…なんだ!?」
「あの姉ちゃんが殺られた!?」
「ヒッ…ヒィィィィィィ!!!」
外から傭兵達の悲鳴が響き渡る、
ルイズはおそるおそるテーブルから顔を覗かせ外を見る、
―ズッドォォォン!!という凄まじい音――
バージルが『ベオウルフ』と呼んでいた具足を纏い、蒼い隕石の如く地面に着地するのが見えた。
バージルの流星脚をもろに食らった一人の傭兵の身体が、爆ぜ、粉微塵になって消しとんだ。
「うっ…」
思わず口元を押さえる、何度か見ているが流石に慣れることはない。
「見ちゃだめだ!」
ワルドがマントでルイズの目を覆う。
目の前で起きているのは、只々一方的な虐殺。
流星脚で着地し近くにいた傭兵に、円状の白光を放つ「日輪脚」を浴びせる。
傭兵の顎から上が消滅し、崩れ落ちる。
「…脆いな…」
そう呟くと同時にバージルは居合の構えを取る、それを傭兵達は一斉に取り囲んだ。
「この野郎!よくも!」
「てめぇからブッ殺してやる!」
そういいながら傭兵達は武器を構え、弓に矢をつがえバージルを狙う
突然、バージルの姿が消えた。
「きっ…消えた!?」
「どこだっ!?」
「どこに行きやがった!」
何が起こったか分からず、その場に傭兵達は立ち尽くす、
―キィン…!
再び円の中心にバージルが現れる、先ほどと違うのは、右手には抜き身の閻魔刀が握られている。
「……」
バージルは沈黙したままスッと閻魔刀を納刀する。
「なっ…なんだ…?」
「Die.(―死ね)」 ―キンッ!
閻魔刀の鍔と鞘が打ち合う音が響く、
―グパンッ!
バージルを中心に傭兵達が円を描くように大輪の血の花を咲かせる。
斬られたことにも気がつかず傭兵達は一瞬で絶命した。
宿の前の広場はもう凄惨たる有様だ、血の海、その表現がぴったり当てはまる。
フーケを含め数十人いた傭兵達がものの数秒で全滅…。
ワルドの背中に寒いものが走る、絶対にこの男との直接戦闘は避けなくてはならない…。
何をしたのかまるで見えなかった。なんだあれは?魔法という次元を超越している。
「…」
沈黙のままバージルは店内へと入ってくる。
「ひっ…」
「あ…悪魔…」
中の従業員や他の客からは彼を恐れる声まで聞こえてきた。
大量の血を浴び、垂れた髪を無造作にオールバックにまとめる、
「あ…えと…ダーリン?」
キュルケが恐る恐る話しかける
「……」
「えと、な…なにをしたの?ていうかフーケ来てなかった?あたし、ほら、全然見えなくって…」
「殺した」
何も大したことはしていない、呼吸をするようにその言葉を口にする。
その眼は今まで以上に冷たく、見る者を戦慄させる。
宿の中が異様な沈黙に包まれる。
「ど…どうやら、貴族派には僕たちがここにいることがすでにバレてしまっているようだね…」
その沈黙に耐え切れなくなったのかワルドが口を開く。
「仕方がない、今すぐアルビオンへ出発することにしよう、船長には僕から説得する。」
店内の従業員からの視線も痛い、
そう言うならとギーシュやキュルケ達も納得する。
一行が『女神の杯亭』から桟橋へと向かう。
「…どう見ても樹だが…あれが桟橋だと?」
バージルが怪訝な顔でタバサに訪ねる、
「アルビオンは空にある」
「空…だと?大陸が浮いているとでも?」
「浮いている」
「…??」
バージルが疑問の表情を浮かべると、タバサが杖で看板を指す
「アルビオン・スカボロー港行…」
「読めた」
そういうとタバサは無表情だが…どこか満足げにバージルを見た。
「フン…」
その様子をルイズは複雑そうな表情で見つめる
「(なによなによ!なんでタバサなんかと仲良くしてるの!?なんで私には全然相手してくれないのよ!)」
ご主人様である自分を無視してタバサと仲が良さそう(?)に会話をするバージルを見て泣きそうになる、
でも、もう知らないと言ってしまったのは自分だ…、癇癪を起こし文句を言うことはできない。
ぐっと涙を堪え無視するように前を向く。目の前にはワルドが歩いている。
「…?どうしたの?」
タバサがバージルに声をかける。
見るとバージルが険しい表情で立ち止まっていた。
「先に行け…別の相手が来たようだ…」
そういうと突如空間が歪み、直視するもおぞましい化け物が次々と姿を現す――
「なっ…なんだこいつは!?」
ワルドが驚きの声を上げる。
魔力で作り上げた真っ赤に燃える鎌を持ち、
深淵の名を冠する上級悪魔、アビスが姿を現した、
「見ツケタゾ…スパーダノ血族!」
「貴様ノ命、ココデ貰イ受ケル!」
「魔帝ガ御為ニ!」
そう叫ぶや否やアビスはバージルに飛びかかり、鎌を振り下ろす、
それを目にもとまらぬ速さで弾き斬り落とす、
「早く行けと言っている…」
一瞬で三体のアビスを屠り、バージルは振り返らずに言う。
次々とアビスがわいて出てくるのが見えた。
「…礼は言わぬ、行くぞ!」
「でもワルド!バージルを置いて行けない!」
「彼がああ言ってるんだ!それに僕達には大事な任務がある!」
「離して!バージル!バージル!!!」
ワルドは尚も叫ぶルイズ抱き抱え港への階段を駆け上がる、
ギーシュとキュルケもそれに続くが、タバサだけは動こうとしない。
「ちょっとタバサ!?どうしちゃったの?」
「彼を手伝う、シルフィードで追いつく」
そう短く言うとひらりとフライを使いバージルのそばへと降り立つ。
「だ、大丈夫なのかい?」
ギーシュが心配そうにキュルケに訪ねる。
「ダーリンとタバサならここは問題ないわ、私たちはルイズ達と先を急ぎましょ。」
そういうとキュルケとギーシュも階段を駆け上って行った。
タバサがバージルに声をかける。
見るとバージルが険しい表情で立ち止まっていた。
「先に行け…別の相手が来たようだ…」
そういうと突如空間が歪み、直視するもおぞましい化け物が次々と姿を現す――
「なっ…なんだこいつは!?」
ワルドが驚きの声を上げる。
魔力で作り上げた真っ赤に燃える鎌を持ち、
深淵の名を冠する上級悪魔、アビスが姿を現した、
「見ツケタゾ…スパーダノ血族!」
「貴様ノ命、ココデ貰イ受ケル!」
「魔帝ガ御為ニ!」
そう叫ぶや否やアビスはバージルに飛びかかり、鎌を振り下ろす、
それを目にもとまらぬ速さで弾き斬り落とす、
「早く行けと言っている…」
一瞬で三体のアビスを屠り、バージルは振り返らずに言う。
次々とアビスがわいて出てくるのが見えた。
「…礼は言わぬ、行くぞ!」
「でもワルド!バージルを置いて行けない!」
「彼がああ言ってるんだ!それに僕達には大事な任務がある!」
「離して!バージル!バージル!!!」
ワルドは尚も叫ぶルイズ抱き抱え港への階段を駆け上がる、
ギーシュとキュルケもそれに続くが、タバサだけは動こうとしない。
「ちょっとタバサ!?どうしちゃったの?」
「彼を手伝う、シルフィードで追いつく」
そう短く言うとひらりとフライを使いバージルのそばへと降り立つ。
「だ、大丈夫なのかい?」
ギーシュが心配そうにキュルケに訪ねる。
「ダーリンとタバサならここは問題ないわ、私たちはルイズ達と先を急ぎましょ。」
そういうとキュルケとギーシュも階段を駆け上って行った。
「貴様は残ったのか」
「悪魔を狩る」
そう一言だけ呟くとバージルと背中合わせになるように杖を構える、
それを横目で見てニヤリと笑う、
アビス達が、二人に襲い掛かった。
「悪魔を狩る」
そう一言だけ呟くとバージルと背中合わせになるように杖を構える、
それを横目で見てニヤリと笑う、
アビス達が、二人に襲い掛かった。
「離してっ!キュルケ!離してよっ!」
一方、これから出発する船の中でルイズは大泣きして暴れていた。
ワルドが船長へ交渉に行っている間、キュルケがルイズを引き止めていた。
「お願いだから!バージルを置いて行かないで!悪魔と戦ってるのよ!?」
ルイズは尚もバージルの元へ向かおうとしている、
―パンッ!
キュルケの平手打ちの音が船内に響く。
「っ…」
「…落ち着いた?」
「―……」
それを聞きルイズはようやく押し黙る。
「ダーリンが先に行けって言ったのよ、あなたもダーリンの強さは知ってるでしょう?
主人であるあなたがダーリンを信じなくてどうするの?」
「う…」
「それにタバサも残ったわ、置いて行くわけじゃない、シルフィードで合流出来るわ」
そう言うとルイズの頭を自分の胸にうずめる。
「ヒック…うえ~~~ん」
大泣きするルイズにやれやれと言った顔でキュルケは頭をなでる。
「私っ…バージルにひどいこと言った…ひっく…謝らなくっちゃ…」
「そうね、でもそれは後、ダーリンもきっと許してくれるわ」
船が動き始めた、交渉は成立し、一行はアルビオンへと向かう。
「友情って美しいねぇ、なぁヴェルダンデ…」
今まで傍から見ていたギーシュは自身の使い魔に抱きついている。
「あら、ギーシュ、使い魔なんていつ連れ込んだのよ?」
それを見て少し呆れたようにキュルケが聞く。
「ついさっきだよ、こっそり後をつけていたみたいなんだ、あぁヴェルダンデ!やっぱり君は最高さ!」
一人感極まった様子でヴェルダンデに頬擦りするギーシュをみてキュルケは苦笑しつつ、
徐々に離れていく港を見つめる。
「絶対に死んじゃダメよ…タバサ…ダーリン…」
一方、これから出発する船の中でルイズは大泣きして暴れていた。
ワルドが船長へ交渉に行っている間、キュルケがルイズを引き止めていた。
「お願いだから!バージルを置いて行かないで!悪魔と戦ってるのよ!?」
ルイズは尚もバージルの元へ向かおうとしている、
―パンッ!
キュルケの平手打ちの音が船内に響く。
「っ…」
「…落ち着いた?」
「―……」
それを聞きルイズはようやく押し黙る。
「ダーリンが先に行けって言ったのよ、あなたもダーリンの強さは知ってるでしょう?
主人であるあなたがダーリンを信じなくてどうするの?」
「う…」
「それにタバサも残ったわ、置いて行くわけじゃない、シルフィードで合流出来るわ」
そう言うとルイズの頭を自分の胸にうずめる。
「ヒック…うえ~~~ん」
大泣きするルイズにやれやれと言った顔でキュルケは頭をなでる。
「私っ…バージルにひどいこと言った…ひっく…謝らなくっちゃ…」
「そうね、でもそれは後、ダーリンもきっと許してくれるわ」
船が動き始めた、交渉は成立し、一行はアルビオンへと向かう。
「友情って美しいねぇ、なぁヴェルダンデ…」
今まで傍から見ていたギーシュは自身の使い魔に抱きついている。
「あら、ギーシュ、使い魔なんていつ連れ込んだのよ?」
それを見て少し呆れたようにキュルケが聞く。
「ついさっきだよ、こっそり後をつけていたみたいなんだ、あぁヴェルダンデ!やっぱり君は最高さ!」
一人感極まった様子でヴェルダンデに頬擦りするギーシュをみてキュルケは苦笑しつつ、
徐々に離れていく港を見つめる。
「絶対に死んじゃダメよ…タバサ…ダーリン…」
タバサはバージルの戦いを見る、何としても彼の戦い方を自分のものにすべくここに残った。
バージルは幻影剣を自身の周りに水平の円形で展開、回転させ接近を許さぬように盾にしているが、
さらにその状態で自身が斬りこむことにより、効率よく相手に深手を負わせている。
なるほど、接近戦を挑む際には非常に効果的である。相手は剣のため近寄ることができないが、
こちらは気にせず攻勢に転ずることが可能だ。
タバサも即座に真似をする、得意な魔法の一つである『ウィンディ・アイシクル』を応用。
氷の剣を作り出し、それを自身の周りに配置、回転、維持させる。
それだけのことなのだが精神力をかなり消耗させられる。
生成、配置、回転、それだけならまだいい、一番厄介なのは、維持…
集中力が途切れた時点で氷の剣は崩れてしまう。
だが、出来ないわけではない。タバサは己の中の新たな可能性を見出し、どこかうれしそうな表情をする。
アビスは今まで戦って来た悪魔よりも強い、
砂等のよりしろを用い現世に姿を現すセブン・ヘルズやエニグマとは違い自身の血肉を持った上級悪魔だ。
殆どバージルが片付けているとは言え、
強力な悪魔と戦い、可能性を見いだせたことは大きな収穫だ。
二人によって殲滅させられ、最後の生き残りの一体が吠える
「オノレ!オノレ!逆賊ノ分際デ!」
「黙れ」
―ドッ!ドッ!ドッ!
「グギャアアアアア!!!!」
そのまま壁に叩きつけ幻影剣で磔にする
幻影剣で串刺しにされながらもアビスは生きていた。
「魔界の狗め、俺を追って来たのか?ご苦労なことだ…」
「忌マワシキ逆賊スパーダノ末裔メ!コノ世界モ我ラガ主ガ―」
「黙れと言っている」
―ドッ!
「グギャアアアアア」
磔になっているアビスに幻影剣をさらに突き刺す、
おぞましい悲鳴を上げ、血を豪快に噴き出しながらアビスが悶絶する。
「地獄で奴に伝えろ」
バージルの声が低くなる、それを聞くタバサが恐怖する…これは、研ぎ澄まされた殺意と怒り……
「何ッ!?」
「出迎えはいらん、直に俺自ら貴様の元に出向いてやる、首を洗って待っていろ、とな」
「貴様!我ラガ主ニ抗ウ気カ!?半人半魔ノ分際デ!」
―キィィーン…!
バージルの閻魔刀が一閃する、
「ム…ムンドゥス様ァァァァァァァ!!!!!」
―バシュンッ!
最期の雄たけびを上げ、アビスが絶命する、何度バージルの斬撃が叩き込まれたのだろうか。
アビスの肉体が肉片一つ残らず霧散し、消え去った。
「魔帝…ムンドゥス…」
アビスが絶命時に口にした言葉。母の仇…
バージルの瞳に怒りが灯る…それが全ての元凶への、道標となると信じて……
バージルは幻影剣を自身の周りに水平の円形で展開、回転させ接近を許さぬように盾にしているが、
さらにその状態で自身が斬りこむことにより、効率よく相手に深手を負わせている。
なるほど、接近戦を挑む際には非常に効果的である。相手は剣のため近寄ることができないが、
こちらは気にせず攻勢に転ずることが可能だ。
タバサも即座に真似をする、得意な魔法の一つである『ウィンディ・アイシクル』を応用。
氷の剣を作り出し、それを自身の周りに配置、回転、維持させる。
それだけのことなのだが精神力をかなり消耗させられる。
生成、配置、回転、それだけならまだいい、一番厄介なのは、維持…
集中力が途切れた時点で氷の剣は崩れてしまう。
だが、出来ないわけではない。タバサは己の中の新たな可能性を見出し、どこかうれしそうな表情をする。
アビスは今まで戦って来た悪魔よりも強い、
砂等のよりしろを用い現世に姿を現すセブン・ヘルズやエニグマとは違い自身の血肉を持った上級悪魔だ。
殆どバージルが片付けているとは言え、
強力な悪魔と戦い、可能性を見いだせたことは大きな収穫だ。
二人によって殲滅させられ、最後の生き残りの一体が吠える
「オノレ!オノレ!逆賊ノ分際デ!」
「黙れ」
―ドッ!ドッ!ドッ!
「グギャアアアアア!!!!」
そのまま壁に叩きつけ幻影剣で磔にする
幻影剣で串刺しにされながらもアビスは生きていた。
「魔界の狗め、俺を追って来たのか?ご苦労なことだ…」
「忌マワシキ逆賊スパーダノ末裔メ!コノ世界モ我ラガ主ガ―」
「黙れと言っている」
―ドッ!
「グギャアアアアア」
磔になっているアビスに幻影剣をさらに突き刺す、
おぞましい悲鳴を上げ、血を豪快に噴き出しながらアビスが悶絶する。
「地獄で奴に伝えろ」
バージルの声が低くなる、それを聞くタバサが恐怖する…これは、研ぎ澄まされた殺意と怒り……
「何ッ!?」
「出迎えはいらん、直に俺自ら貴様の元に出向いてやる、首を洗って待っていろ、とな」
「貴様!我ラガ主ニ抗ウ気カ!?半人半魔ノ分際デ!」
―キィィーン…!
バージルの閻魔刀が一閃する、
「ム…ムンドゥス様ァァァァァァァ!!!!!」
―バシュンッ!
最期の雄たけびを上げ、アビスが絶命する、何度バージルの斬撃が叩き込まれたのだろうか。
アビスの肉体が肉片一つ残らず霧散し、消え去った。
「魔帝…ムンドゥス…」
アビスが絶命時に口にした言葉。母の仇…
バージルの瞳に怒りが灯る…それが全ての元凶への、道標となると信じて……
「スパーダ…」
タバサが不意に話しかける。
「…、逆賊って?」
「俺の…父だ。遥か昔、悪魔でありながら人間界を魔界の侵攻から守った伝説の、魔剣士スパーダ…」
「……」
「そして、その時魔界を率いていたのがその魔帝ムンドゥスと呼ばれる悪魔だ、母は…そいつに殺された」
絞り出すようにバージルが続ける。
「だから…逆賊…」
「この世界にいる理由がなくなった、な…」
バージルは小さく呟く
「魔界に行くの…?」
なぜかすがるような視線を送るタバサを見ずバージルは続ける、
「情報が足りん、魔界から奴がこの世界に介入している以上、こちらから魔界へ通ずる道もまた存在するはずだ。
…まずは目の前の問題を片付ける」
タバサはその言葉を聞きどこか安心したような表情を見せる、すぐに元の無表情に戻ってしまったが。
「シルフィードで行けるな?行くぞ…」
そう言うと、階段へと歩いて行く、
その後を追うようにタバサは小走りでついて行った。
タバサが不意に話しかける。
「…、逆賊って?」
「俺の…父だ。遥か昔、悪魔でありながら人間界を魔界の侵攻から守った伝説の、魔剣士スパーダ…」
「……」
「そして、その時魔界を率いていたのがその魔帝ムンドゥスと呼ばれる悪魔だ、母は…そいつに殺された」
絞り出すようにバージルが続ける。
「だから…逆賊…」
「この世界にいる理由がなくなった、な…」
バージルは小さく呟く
「魔界に行くの…?」
なぜかすがるような視線を送るタバサを見ずバージルは続ける、
「情報が足りん、魔界から奴がこの世界に介入している以上、こちらから魔界へ通ずる道もまた存在するはずだ。
…まずは目の前の問題を片付ける」
タバサはその言葉を聞きどこか安心したような表情を見せる、すぐに元の無表情に戻ってしまったが。
「シルフィードで行けるな?行くぞ…」
そう言うと、階段へと歩いて行く、
その後を追うようにタバサは小走りでついて行った。