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ゼロの女帝 第十三話


「最も優れた者、ですか? 道化が?」
「その通りだ、使者殿。
 道化とはいわばおどけて周りのものに侮辱されるのが仕事だ。
 しかし一方で王や貴族を、許容される範囲内で侮辱する権利を持っている。
 ならばその『侮辱』は的を射たものでなければならない。
 的をはずした物や単に場の空気を読まず、ただ悪口を言っただけ、では道化とは言えない。
 そして相手が我慢できる容量を見切って、限界ぎりぎりを見極めなければいけないのだ。
 そして、使者殿のように大抵の者が道化を軽く見ているからその前では口が軽くなる。
 密談を聞かれても道化なら気にしない、というのも多いのだ。
 わかるかい、道化とは城で最も自由で何にも縛られず、最も情報を持ち
 最も賢明でなければ生きていけない存在なのだ」

「そしてジョゼフ王は『無能王』として周囲に軽視されながら策略を練っている」
「そこまで言い切る理由は?」
キュルケの質問に、肺の空気すべてを吐き出すようなため息をついて答えるウェールズ。
「ここまで追い詰められてから、ようやく情報というものの価値を理解出来るようになってね
 周辺国家の反応や様々な出来事を調べるようになったんだよ。
 結果ね、数年前『無能王』ジョゼフが『サモン・サーヴァント』を行った事(結果は不明)
 その直後腹心の如く彼の周りでちらりほらりと姿を見せるようになった謎の女性、
 そしてその女性と同一と思われる人物がレコン・キスタ首領、オリヴァー・クロムウェルの傍で見かけた
 との情報がある。
 たったこれだけの情報を得るのにどれだけの犠牲を払ったことか・・・・・・
 まあいい、とりあえず今夜は城で宴だ。
 我がアルビオン最後の宴、使者殿ご一行も参加してくれるね」
「それは命を捨てて戦う決意の宴ではないのですね」
「誇りを捨ててでも戦い続ける、という決意の宴さ
 では後ほど」
一行が出て行こうとした時、ワルドが話し掛ける。
「恐れながら殿下、お願いがございまして・・・・・・」


パーティーは、城のホールで行われた。簡易の玉座が置かれ、
玉座にはアルビオンの王、年老いたジェームズ一世が腰掛け、集まった臣下たちを目を細めて見守っている。
これが最後とやけくそのように、ずいぶんと華やかなパーティーであった。
王党派の貴族たちはまるで園遊会のように着飾り、テーブルの上には様々なご馳走が並んでいる。
キュルケは幾人もの殿方を老若関わらず侍らせ、タバサはテーブルを一人で掃除せんとするが如く食べ漁り
(にもかかわらず下品さが感じられないのは一体どういうわけなのだろう)
ギーシュは何人もの女性に声をかけていた。

「むむっ」
「どうしたの、モンモランシー」
「今、何処かでギーシュが浮気をしてるような気配がしたわ」
「ここ数日授業サボって出かけてるわね、そういえば」
「まったく……見下げ果てたわ」
「と言いつつ講義のノート、きっちり取ってあげてるのね」
「こ、これは、べべべべべべつにギーシュの為に取ってる訳じゃないのよ」
「でもそれにしちゃあなたが選択してない授業の分まで取ってるようだけど?」
「・・・・・・・・・放っといて!」

ヴェルダンデは蜂蜜をぺちゃぺちゃと舐め、フレイムはシルフィードと共にお肉を沢山パクついてご機嫌である。
「セトは・・・・・・なにやってんのかしら」
なにやらテーブルを渡り歩いてごそごそしている。
そんな情景を見ながら、 ぼんやりと先ほどの光景を思い出す。
「血痕 けっこん ケッコン kekkon・・・・・・・結婚かぁ」
ワルドは嫌いではない、むしろ好きといっていいだろう。
だがそれは本当に男女の愛なのだろうか。
そもそも自分はワルドを愛しているのか
そしてワルドは自分を愛しているのだろうか

何かが引っかかる。
そして、先ほど自分を見つめたワルドの目。
女性に愛を語る目というのはあんなものなのか
シエスタと一緒に読んだ○○○本では、殿方はもっとロマンチックに見つめ、かつステキに囁きかけていた。
それに・・・・・・・・・


そんなルイズを横目で見た瀬戸はにっこりと(他者から、特に彼女をよく知る者からすればにんまりと)微笑んだ。
「悩みなさい、ルイズちゃん。
 悩んで悩んで悩みぬいて、自分で考えるというのはどんな結果になっても無駄ではないのだから」



朝。ルイズとワルドは、始祖ブリミルの像が置かれた礼拝堂で皇太子の到着を待っていた。
ルイズはワルドとの結婚を受け入れていいのか、いまだ結論を出せぬまま。
ワルドはそんなルイズの頭に、アルビオン王家から借り受けた新婦の冠をのせる。
そんな様を、式に出席している新婦の友人一同が眺めていた。
(どう思う、キュルケ)
(ワルドさまも、いい男の割に女の扱いがなってないわね。まだルイズは迷ってるわ。
 その迷いを包み込んで一時的にしろ忘れさせるのが殿方の器量だってのに)
そんな一同を、瀬戸はにっこり(にんまり)見守っていた。






扉が開き、皇太子が姿を見せる。
今にも先端が開かれんとするハヴィランド宮殿において、一種奇妙な結婚式が始まろうとしていた。

「では、式を始める」
(私は何を迷ってるの?)

「新婦?」
ウェールズの言葉に意識を現実へと戻す。ルイズは慌てて顔を上げた。
どうやら式はクライマックスのようだ。新婦が夫に永遠の愛を誓う場面。
「緊張しているのかい? 仕方がない。初めてのときはどんなことでも緊張するものだからね」
ウェールズはにっこりと笑って、ルイズを落ち着かせようとした。

「ごめんなさい、ワルドさま。
 わたし、あなたと結婚出来ません」
「え?」
「・・・・・・新婦はこの結婚を望まぬか?」
「はい、そうでございます。大変失礼をいたすことになりますが、わたくしはこの結婚を望みません」
「子爵、誠にお気の毒だが、花嫁が望まぬ式をこれ以上続けるわけにはいかない」

「何故だ!」
ワルドは、今にもルイズに掴み掛からんばかりに血相を変えてルイズに詰め寄る。
「何故君は僕との結婚を受け入れないんだ!」
「ごめんなさい、ワルドさま。でも駄目なの。
 わたしはまだあなたの妻となる程の人間じゃない。
 学業でも魔法でも、それ以外でもあまりに未熟なの」
「世界だルイズ。僕は世界を手に入れる! そのためにきみが必要なんだ!」
豹変したワルドに怯えながら、ルイズは首を振った。
「……わたし、世界なんかいらないもの」
ワルドは両手を広げると、ルイズに詰め寄った。
「僕にはきみが必要なんだ! きみの魔法が! きみの力が!」
「わ、わたしにはそんな能力も力もないわ」
ワルドの剣幕に、ルイズは恐れをなした。優しかったワルドが怖い。ルイズは思わず後ずさった。

「ルイズ! きみの才能が僕には必要なんだ!」
「だから、わたしはそんな才能あるメイジじゃない。系統魔法ところかコモンすら碌に使えないのよ」
「何度言えばわかるんだ! 自分で気付いていないだけなんだよルイズ!」
ルイズの頭がワルドから離れろと命じてくる。
が、ワルドの手を振りほどこうとしても、物凄い力で握られているために、振りほどくことができない。
「そんな結婚、死んでもいやよ。あなたはわたしをちっとも愛してないじゃない。わかったわ、あなが愛しているのは、
 あなたがわたしにあるという、在りもしない魔法の才能だけ。ひどいわ。そんな理由で結婚しようだなんて。こんな侮辱ないわ!」
「子爵、今すぐラ・ヴァリエール嬢から手を離したまえ! さもなくば、我が魔法の刃がきみを切り裂くぞ!」
時が流れるのを拒絶したかと思われた永劫の数秒間の後、ワルドはルイズから離れた。


「……どうやら目的の一つは諦めなければならないようだ」
悲しげな表情を浮かべてワルドは天を仰いだ。
ルイズは首を傾げる。
「目的?」

ワルドは唇の端をつりあげると、その端正な顔ににやりと不快感すら催す笑みを浮かべる。
「そうだ。この旅における僕の目的は三つあった。その二つが達成できただけでも、よしとしなければな」
「達成? 二つ? どういうこと?」
ワルドは右手を掲げると、人差し指を立てて見せた。
「まず一つはきみだ。ルイズ。きみを手に入れることだ。しかし、これは果たせないようだ」
「真っ平ごめんだわ!」
「二つ目の目的は、ルイズ、きみのポケットに入っている、アンリエッタの手紙だ。そして三つ目……」
身の危険を感じたウェールズがとっさに杖を構えて呪文の詠唱を始める。
しかし、ワルドはそれを上回る速さで杖を引き抜き、呪文の詠唱を完成させるとウェールズの胸に突き立てる。
「そして、これが三つ目だ!」
「き、貴様……まさか……『レコン・キスタ』……」


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