あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

蒼炎の使い魔-08

午後

彼女は授業を終え自室に戻る最中だった。
当然カイトも一緒だ。
今日は何もなく、いい気分だった。
周りのものがあからさまに彼女に皮肉を言わなかったのである。
また、昨夜つっかえたものを吐き出したこともあるだろう。
いつもと変わらない世界が新しく見えた。

そんな感じで廊下を歩いているとメイドが突然声をかけてきた。
ルイズはその声に振り返るとそこには自分よりはるかにスタイルのよい少女がいた。
この生意気な体の女は誰?

「えと、あなた誰だったっけ?」
その問いに慌ててメイドは答える。
「え、あ!す、すいません。私はこの学院のメイドをさせてもらっているシエスタといいます。
 昨日のギーシュ様の件についてのお礼をしたいのですが…」

そこまでいわれルイズは思い出した。
そうだ、あのときギーシュにひたすら謝ってた…。


話を聞くとどうやら自分の不手際を助けてくれた2人にお礼がしたいらしい。
どうか厨房まで来てくれないか、と彼女は頼んだ。
だがその誘いをルイズは断った。

「別にいいわよ。あれは勝手にやっただけの事だから」
「で、でも」
食い下がるシエスタを見てルイズはカイトを見る。
「私は休んでいるから、あんただけでも行って来なさいよ」
「…ハアアアアア」

それじゃ、と言ってルイズはその場を去った。
残されたのはシエスタとカイトの2人だけ。
彼女はルイズを誘うのを諦めたのかカイトの方を見て微笑む。
「それでは、こちらにいらしてください」
そういってカイトを連れ出そうとする。
了解したのかカイトは声を出した。
「…ハアアアアア」

ビクッ!

彼女の反応は分かりやすかった。
普通なら、「わかった」とか言う所をいきなり唸るともため息とも取れない声を出したのだ。
ルイズだって未だに慣れていない。
震えながらも彼女は声を出す。


「あ、あの。あなたは平民の使い魔なんですよね?」
「…ハアアアアア」

こればかりははっきりいって相手が悪い。
少し涙目になりながらシエスタはカイトを厨房へと連れて行った。
何度か勇気を振り絞って話しかけてみたがすべて撃沈だったと言う…。

場所は変わり厨房
待っていたのはコックとその料理長である。
「『我等の剣』が来たぞ!」
彼はうれしそうに大声で言う。
どうやら歓迎しているようだ。
「よくシエスタを助けてくれた。あの生意気な貴族がお前にコテンパンにやられた時はスカッとしたぜ」
「…ドウモ」
彼は豪快に笑う。
マルトーはカイトを無理やり椅子に座らせご馳走を持ってくる。
それを見て彼は不思議そうにそれを見る
コレハナニ?

「The World」では食料などない。
仮想の世界なのだから当然だ。
だからカイトにとってそれは未知のアイテムにしか映らなかった。
ご馳走を出しても何も反応しないカイトにマルトーは不思議そうな顔をする。

(もしかしてこいつロクなもの食わされてねえんじゃないのか?)

彼はカイトが作られたモノだとは知らない。
だからカイトのことをこう曲解した。

ご馳走に反応しない→今までロクな物を食わされたことがない
→主人がそうするようにした→その主人→貴族=敵!

ぜんぜん違う。というか論点がずれている。

「けっ!これだから貴族ってやつは!」


だがカイトはそれを否定する言葉を出すことは出来ない。
彼がヒートアップしていくのにシエスタは気づいた。
この悪くなってきた空気をかえようとカイトに声をかける。
「あの、カイトさんって言うんですよね?これはシチューって言って…」
そういってスプーンを持たせシチューをすくわせる。
一から教えていくシエスタはまるで出来の悪い弟を見る姉のようだった。
カイトは難しそうにスプーンでシチューをすくい口に入れる。
瞬間、彼は満たされていく感じがした。

なるほど、ルイズが厨房に行けとあの日言われたのはこのことだったのだろう。
口の中の料理が彼の舌を刺激する。
以前グルメのカードを送られたときは「ナイ」と返した。
だが今なら彼は「シチュー」と返すだろう。
普通の人間なら当たり前の事が彼にとっては革命に近かっただろう。



シエスタは一心不乱にシチューを食べるカイト見て不憫に思っていた。
それほどまでにひどい物しか食べてこなかったのだろうか、と。
そして、無邪気な子供を見ているようで、かわいいとも思ってしまった。
最初は怖かった。何者も寄せ付けない雰囲気に。
でも、助けてくれた。
決闘のときは怪我をすると思った。
自分のせいで。
だけど、彼は勝った。

シエスタは微笑んだ。
いつの間にか周りはにやついている。
いつもなら顔を赤くさせ、逃げてしまうところだが、
今日ぐらいは良いだろう。

(もっと、あなたのことが知りたいです。カイトさん…)

次に来たときは自分の料理をご馳走させようと誓ったシエスタだった。


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