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異世界BASARA-54


「ウジマサ!」
「何だ?この爺は」
現れた老人、氏政を見てギーシュと傭兵のメイジは声を上げる。
氏政は地面に突き刺した槍を引っこ抜くと、尻餅をついているギーシュに向き直った。
「ふん、威勢よく出て行った割には情けない姿じゃのぅ」
その一言にギーシュは顔を真っ赤にした。
「う、うるさい!これから巻き返すんだ!逆転するんだよ!」
ギーシュは薔薇を握り締めて立ち上がろうとした……が。

氏政は槍の柄をギーシュの足に引っ掛けた。

派手に転び、ギーシュは顔を地面に強く打ち付ける。
「何をする!邪魔しないでくれ!」
「今のお主なんぞ蚊ほどの役にも立たんわい、ここはわしに任せておけい」
「ウジマサだってもう年なんだから無理は出来ないだろう!?」

「その坊やの言う通りだ、爺は船の中でブリミル様にでも祈ってな」
と、2人のやり取りを見ていた傭兵のメイジが口を開いた。
「最も、船に逃げても全員捕らえるがなぁ……」
そう言ってそのメイジは馬鹿にするように笑い出す。
周りのレコン・キスタ兵もつられて笑い出した。


「わしをただの爺と侮るでないわあぁぁぁーーー!!」


「この北条氏政、年老いても武士!武士の意地があるっっ!!!!」
氏政は槍を豪快に振り回しながら叫ぶ。
「その意地にかけて、力の無い女子供に手を出すお主等を……」
と、振り回していた槍を止め、その矛先をレコン・キスタ兵に向ける。



「見過ごすわけにはいかんのじゃあぁっ!!!!!」

「……爺と思っていたが、見上げた騎士道精神じゃねぇか。分かった……俺もそれに応えよう」
傭兵のメイジは杖を掲げて兵に合図を送ると、その杖を氏政に向けた。
「遠慮なく叩き潰してやる」


(う、ううむ……ああは言ったがあの人数……ちと厳しいのぅ)


氏政は改めて相手の数を見て、眉間に皺を寄せる。
鍾乳洞の港には敵が約50……だがその内上からも増援が来るであろう。


(やはり“あれ”を使うしかないわい)


氏政は懐に手を入れて“あれ”を掴む。
突然この世界に飛ばされた彼は“あれ”を3個しか持っていない。その為、出来るだけ温存していたのだ。

氏政が取り出した物を見て、ギーシュは首を傾げた。
手にしていたのは、何やら茶色くて三角のオブジェであった。そして氏政はさらに意味不明な事をしだした。
その三角の物体を頭に乗せたのである。


(ウジマサが本格的にボケ始めた……)


ギーシュは氏政に哀れみの目を向け、自分の最期を覚悟した。

「誰でもよい!わしの頭に火を放て!!」
氏政の言葉に、一同はさらに唖然とした。たまらずウェールズが口を開く。
「もういい!もういいから大人しく戻ってくれ!自殺してどうするんだ!」
「だ、誰がそんな事するか馬鹿もん!いいから頭のこれに火を放たんか!」


「じゃあ俺が点けてやるよ」


そう言ったのはレコン・キスタ兵の中にいた傭兵メイジだった。
杖を振って再びフレイム・ボールを唱え、氏政に向けて放ったのである。
「しょえええぇぇ~!!」
まさか敵から火を放たれるとは考えてなかった氏政は、驚いて尻餅をついてしまった。
それが幸いしたのか、放たれたフレイム・ボールは顔にではなく、頭に乗せていた茶色い何かに命中した。
「何をするか貴様!わしは武士でも老体じゃぞ………んん?」
と、氏政は妙な声を上げ、すっと立ち上がった。
「おお?おおおぉぉぉぉ~!!」
すると、氏政の体に異変が起こった。
手が震え、次第にそれが体全体が伝わり始める。顔にもみるみる生気がみなぎっていく感覚を感じた。
「きたきたきたああぁぁぁーーーー!!!」
氏政は突然跳ね起きると、栄光槍を手に走り出した。それを見たレコン・キスタ兵は各々に武器を構え、氏政に向かって駆け出す。

敵は皆、氏政を見て勝てる相手だと思っていた。
年老いた老兵……誰もがそう考えていたのだろう。兵の殆どが何の警戒も抱かず、その老兵に斬りかかった。



しかし次の瞬間、最初に突撃したレコン・キスタ兵が氏政の槍で薙ぎ払われ、吹き飛ばされた。

ギーシュが、傭兵のメイジが、周りの兵達が予想外の光景に目を疑う。
たった1人の、それも年老いた氏政に敵が次々と倒されていく……
一体この老人の何処からそんな力が出てくるのか、その力の正体は、氏政が頭に乗せた茶色の物体だった。


この頭に乗せた物体こそ、北条家に伝わる『北条家最高灸』……
あらゆる身体疲労に効果があり、若かりし頃の活気を蘇らせる万能のお灸である。


「ほりゃああぁ~!!」


氏政がブンッ!と槍を振るった。予想以上に速い振りに敵は追いつけず、再び5人の敵兵が吹き飛ばされた。
「ひょ~ひょっひょっひょ、余裕!余裕じゃあ~!」
氏政が自身ありげに言うと、傭兵メイジが歯軋りをしながら睨みつけてきた。
だが、氏政はそれでも余裕の態度を崩さない。
「どうした若いの?今なら謝れば許してやらん事もないぞ?」
「っっ!ふざけるな死に損ないが!!」
メイジは怒りを露にし、杖を氏政に向けて言葉を吐き散らした。


「随分と激昂しているな、セレスタン」


その時、階上から誰かの名を呼ぶ声がした。
その声に傭兵のメイジ……セレスタンは顔色を変えて振り向いた。
「マツナガ様……!」
「ほう?苦戦しているようだな。所詮は有象無象の兵……こんなものか」
声の主は一歩ずつ薄暗い階段を降りていく。次第にその姿もはっきりとしてきた。
そしてその姿を見て、次に驚いたのは北条氏政だった。


「き、貴様はまさか……!松永久秀!!!」

「ほう?これは驚いた。卿も来ていたか」
松永は氏政の姿を見つけると、口の端を吊り上げて言った。
「貴様……独眼竜に斬られたと聞いておったのに……何故ここにおる!?」
「ふむ、どうやら地獄の閻魔にも愛想を尽かされたようでね」
松永はくぐもった笑い声を上げるが、氏政は緊張した顔つきで松永を見ている。
何故なら氏政は彼の性格を知っているからだ。
自分の欲望を満たす為ならば何でもする男……好きなように破壊し、奪う。
氏政のいた戦国の世で、独眼竜の持つ竜の爪を一度は奪った男……
それが松永久秀である。

「さて、今は卿の“過去”を貰う気はない」
と、松永は笑うのを止めて顔を上げる。
「私が欲しいのは……」
松永はその欲望の矛先を、若きアルビオンの王子に向けた。




「ウェールズ・テューダー、卿の“愛の証”を頂こう」



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