「いきなりマジックワールドに召喚されちまったガイアークの三大臣! どうやらマジックワールドでも懲りずに悪だくみ考えてやがんな。いずれマジックワールドに乗り込んで叩き潰してやるから覚悟しろぃ! オンオン!」
うっすら開けた目に光が差し込んだ。
ルイズは眩しい朝日に少々眩んだ目を擦りつつ上半身を起こす。
室内は窓から差し込む光に照らされている。
(う~……、もう朝なの……)
朝である以上ベッドに寝ているのは当然だが、それ以前が問題だ。
ルイズは昨夜、ベッドに入った記憶は無い。
「確か昨日は使い魔召喚の儀式をしたはずよね。私もサモン・サーヴァントを唱えて……、それから……」
その辺りから記憶が不鮮明になっている。
召喚が成功したのはぼんやり覚えているが、
「何を召喚したんだったのかしら……?」
それがどうしても思い出せなかった。思い出してはいけないわけではなさそうだったが、思い出したくないような予感がする。
とりあえずベッドから出ようとルイズが手を突くと、そこに不自然な硬さがあった。
ベッドは柔らかいから硬いのは不自然だ。
ルイズがシーツを怖々めくるとその下にいた女性がルイズを見て一言、
「遅かったでおじゃるな」
ルイズは眩しい朝日に少々眩んだ目を擦りつつ上半身を起こす。
室内は窓から差し込む光に照らされている。
(う~……、もう朝なの……)
朝である以上ベッドに寝ているのは当然だが、それ以前が問題だ。
ルイズは昨夜、ベッドに入った記憶は無い。
「確か昨日は使い魔召喚の儀式をしたはずよね。私もサモン・サーヴァントを唱えて……、それから……」
その辺りから記憶が不鮮明になっている。
召喚が成功したのはぼんやり覚えているが、
「何を召喚したんだったのかしら……?」
それがどうしても思い出せなかった。思い出してはいけないわけではなさそうだったが、思い出したくないような予感がする。
とりあえずベッドから出ようとルイズが手を突くと、そこに不自然な硬さがあった。
ベッドは柔らかいから硬いのは不自然だ。
ルイズがシーツを怖々めくるとその下にいた女性がルイズを見て一言、
「遅かったでおじゃるな」
――GP-02 最初ノイッポ――
「あああああ、あんた! 何人のベッドに勝手に入って……」
「『勝手に』とはご挨拶ぞよ。何やら訳のわからぬまねをして、我らが吹き出した煙をしこたま吸って意識を失ったお主を」
「この部屋のベッドに運び込んだのは我らなり」
「あー……、そうだったわ……。確かあんた達昨日私が召喚した……」
「ヨゴシュタインなり」
「ケガレシアでおじゃる」
「キタネイダスぞよ」
「……それで、こんな時間に何の用なのよ?」
「わらわ達は何をすべきなのでおじゃるか?」
「は?」
「我らにもここマジックワールドで果たしたい目的はあるぞよ。しかしお主の使い魔でもある以上、使い魔としての役目も果たすべきだぞよ」
「……なかなかわかってるじゃないの。まず使い魔は主人の目となり耳となる能力を与えられるわ」
「お主の見聞きしているものが見えたり聞こえたりはしていないなり」
「それから使い魔は主人が望む物を見つけてくるのよ。例えば秘薬とかね」
「見つけるのは無理でおじゃるが、設備さえあれば大抵の薬品は作れるでおじゃるよ」
「最後にこれが1番大切なのだけれど、使い魔は主人を守る存在であるのよ。その能力で主人をその身に迫る脅威から守り抜くのが1番の役目」
「まあ腕に覚えはあるぞよ。望むならもっと荒事専門のやつも用意できるぞよ」
「とりあえず今のところはこの服を洗濯して綺麗にしといて」
「綺麗にだと!?」
「わかったでおじゃる」
露骨に不満そうな表情をしたヨゴシュタインに対し、ケガレシアはあっさり承諾した。
「それじゃ、私は食堂に行くから」
そう言い残してルイズは自室を出た。
「ケガレシア、洗濯物を『綺麗に』するなど、到底我慢できぬぞよ!」
「まったくその通りなり。我らはヒューマンワールドの前にここマジックワールドを我が物にするため、大地を汚し水を濁らせ大気を汚すつもりなり」
「確かにその通りでおじゃる。しかし何もそれは蛮機獣にしかできぬわけではないでおじゃる」
「言われてみればもっともなり」
「忘れたでおじゃるか、キタネイダス? 確か『ヒューマンワールドの空気はここまで綺麗ではない』と言っていたでおじゃるな? ヒューマンワールドの空気をわずかとはいえ汚染したのは、ヒューマンワールドの人間達自身でおじゃる」
「むむむ……、確かにその通りだぞよ」
「その最初の1歩をまずはわらわが踏もうというのでおじゃる。文句は無いでおじゃるな?」
「うむ」
「『勝手に』とはご挨拶ぞよ。何やら訳のわからぬまねをして、我らが吹き出した煙をしこたま吸って意識を失ったお主を」
「この部屋のベッドに運び込んだのは我らなり」
「あー……、そうだったわ……。確かあんた達昨日私が召喚した……」
「ヨゴシュタインなり」
「ケガレシアでおじゃる」
「キタネイダスぞよ」
「……それで、こんな時間に何の用なのよ?」
「わらわ達は何をすべきなのでおじゃるか?」
「は?」
「我らにもここマジックワールドで果たしたい目的はあるぞよ。しかしお主の使い魔でもある以上、使い魔としての役目も果たすべきだぞよ」
「……なかなかわかってるじゃないの。まず使い魔は主人の目となり耳となる能力を与えられるわ」
「お主の見聞きしているものが見えたり聞こえたりはしていないなり」
「それから使い魔は主人が望む物を見つけてくるのよ。例えば秘薬とかね」
「見つけるのは無理でおじゃるが、設備さえあれば大抵の薬品は作れるでおじゃるよ」
「最後にこれが1番大切なのだけれど、使い魔は主人を守る存在であるのよ。その能力で主人をその身に迫る脅威から守り抜くのが1番の役目」
「まあ腕に覚えはあるぞよ。望むならもっと荒事専門のやつも用意できるぞよ」
「とりあえず今のところはこの服を洗濯して綺麗にしといて」
「綺麗にだと!?」
「わかったでおじゃる」
露骨に不満そうな表情をしたヨゴシュタインに対し、ケガレシアはあっさり承諾した。
「それじゃ、私は食堂に行くから」
そう言い残してルイズは自室を出た。
「ケガレシア、洗濯物を『綺麗に』するなど、到底我慢できぬぞよ!」
「まったくその通りなり。我らはヒューマンワールドの前にここマジックワールドを我が物にするため、大地を汚し水を濁らせ大気を汚すつもりなり」
「確かにその通りでおじゃる。しかし何もそれは蛮機獣にしかできぬわけではないでおじゃる」
「言われてみればもっともなり」
「忘れたでおじゃるか、キタネイダス? 確か『ヒューマンワールドの空気はここまで綺麗ではない』と言っていたでおじゃるな? ヒューマンワールドの空気をわずかとはいえ汚染したのは、ヒューマンワールドの人間達自身でおじゃる」
「むむむ……、確かにその通りだぞよ」
「その最初の1歩をまずはわらわが踏もうというのでおじゃる。文句は無いでおじゃるな?」
「うむ」
「くくく、わらわ秘蔵の超強力合成洗剤。これを使えば確実に『服は』綺麗になるでおじゃる。しかし……」
そこまで呟いてケガレシアはふと立ち止まる。
「……しかし洗う場所はどこでおじゃるか?」
真意を考えればそこらで洗ってもいいのだが、まだそれを気付かれるわけにはいかない。
するとそこに洗濯物の入った籠を抱えた1人の少女がやってきた。
黒髪黒目というヒューマンワールドの人間(特にケガレシア達と敵対していた一団)の特徴を持つ少女に若干警戒するものの、ここは素知らぬふりで接触した方が賢明と判断し声をかける。
「ちょっとよいでおじゃるか?」
「はい、何かご用ですか?」
「洗濯をする場所はどこでおじゃるか?」
「あ、はい、こちらです」
洗濯場に案内されたケガレシアはそこに置かれていた大量の洗濯物を見て、
「これをお前が1人で洗うでおじゃるか? 大変でおじゃるな」
「いえ、もう随分慣れました」
「よし、わらわが手伝ってやるでおじゃる」
「そ、そんな、いくら使い魔の方とはいえ、そんな失礼な事……」
「なに、わらわがやるわけではないでおじゃる。わらわの持つ秘薬の効果、とくと見るでおじゃるよ」
そう言ってケガレシアは手にした瓶の中身をたらいに入れて、少女に洗うように言った。
2~3度揉み洗いしただけで際限無く膨れる泡に驚愕した少女だったが、ケガレシアはその泡の山の中から服を1着つまみ出してすすぐよう彼女に言った。
真っ白になった水から出した洗濯物は、新品と見まごうばかりに綺麗になっていた。
「えっ!? どうなってるんですか、これ!? ちょっと洗っただけなのに新しいお洋服みたいに綺麗になってますよ!?」
「わらわが作った特製の秘薬でおじゃる。まだまだあるからこれを使ってどんどん洗うでおじゃるよ。洗い終わったらそこらの川にでも流せばいいでおじゃる」
「いいんですか?」
「特製でおじゃるからな」
数日後、トリステインの主要河川が正体不明の泡に汚染されて国内全域で深刻な水不足が発生する事になるのだった。
そこまで呟いてケガレシアはふと立ち止まる。
「……しかし洗う場所はどこでおじゃるか?」
真意を考えればそこらで洗ってもいいのだが、まだそれを気付かれるわけにはいかない。
するとそこに洗濯物の入った籠を抱えた1人の少女がやってきた。
黒髪黒目というヒューマンワールドの人間(特にケガレシア達と敵対していた一団)の特徴を持つ少女に若干警戒するものの、ここは素知らぬふりで接触した方が賢明と判断し声をかける。
「ちょっとよいでおじゃるか?」
「はい、何かご用ですか?」
「洗濯をする場所はどこでおじゃるか?」
「あ、はい、こちらです」
洗濯場に案内されたケガレシアはそこに置かれていた大量の洗濯物を見て、
「これをお前が1人で洗うでおじゃるか? 大変でおじゃるな」
「いえ、もう随分慣れました」
「よし、わらわが手伝ってやるでおじゃる」
「そ、そんな、いくら使い魔の方とはいえ、そんな失礼な事……」
「なに、わらわがやるわけではないでおじゃる。わらわの持つ秘薬の効果、とくと見るでおじゃるよ」
そう言ってケガレシアは手にした瓶の中身をたらいに入れて、少女に洗うように言った。
2~3度揉み洗いしただけで際限無く膨れる泡に驚愕した少女だったが、ケガレシアはその泡の山の中から服を1着つまみ出してすすぐよう彼女に言った。
真っ白になった水から出した洗濯物は、新品と見まごうばかりに綺麗になっていた。
「えっ!? どうなってるんですか、これ!? ちょっと洗っただけなのに新しいお洋服みたいに綺麗になってますよ!?」
「わらわが作った特製の秘薬でおじゃる。まだまだあるからこれを使ってどんどん洗うでおじゃるよ。洗い終わったらそこらの川にでも流せばいいでおじゃる」
「いいんですか?」
「特製でおじゃるからな」
数日後、トリステインの主要河川が正体不明の泡に汚染されて国内全域で深刻な水不足が発生する事になるのだった。
「ケガレシアめ、やっぱりとんでもない事をやらかしてたな。マジックワールドの人達の大切な飲み水に……。それに姿を見せないヨゴシュタインとキタネイダスはどこで何を企んでるんだ? その話はまた次の機会だ。ガンガガーン!」