あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

虚無と狂信者-02




アンデルセンは、とりあえずは普通にやってくれていた。キュルケが部屋を私から遠い所
にしたり、あの吸血鬼が昼間寝ていたりなどから2人が出会う絶対数も少なかったし、
出会っても私とキュルケが全力で止めたからだが。彼は普段は温厚な神父の顔を崩さなか
ったし、私の雑用を割りとしっかりやった。曰く「孤児院の仕事で慣れている」そうだ。
しかし、隙あらば平民に彼の神の教えを広めようとするのには辟易した。

けれど、あの時の出来事もまた彼なのだろうか。

私が錬金の授業で失敗した時、クラスの皆は私を責め立てた。それは死人がでてもおかし
くない規模の爆発だったから無理もないけど。情けない気分になる私の前に彼は立ち、
私の両肩に両手を置き、皆にこう言った。
「この中で生まれて一度も失敗をしたことの無い人だけがこの子を責めなさい。」
一瞬黙る皆、続けざまに、
「この子を責める前にするべきことがあるでしょう。」
といった。すると何人かが怪我をした人に駆け寄って手当したり、医務室に運んだりした。
また、罰掃除の時に、ゼロのルイズと呼ばれ馬鹿にされていると話した時も、
「神から与えられた命に優劣はありません。皆必ず何かできることが、あるのです。」
と言ってくれた。また、
「貴方の頑張りを神はいつも見ていますよ。もちろん私もね。」
とも言った。私はそっぽをむいたが、嬉しかった。しっかり掃除はさせられたが。


他にもギーシュに絡まれた見ず知らずのメイドを助けたこともあった。その時何故か決闘
を申し込まれたが受け入れた。その時はギーシュに私が飛び蹴りをし、キュルケが絞め落
とすことで事無きを得たが。
しかし、目覚めたギーシュに、
「汝悔い改めなさい、さすれば許されるでしょう。」
と言い、仲直りするよう促すと、意外にも彼はすんなりと受け入れた。
とにかく彼はあの吸血鬼が絡まなければ結構な人格者らしい。

さて、アンデルセンは暇があれば彼が持っている本を読んだり、白紙の本にそれを書き写したりしている。
主に図書館を利用している。平民は入れないはずだが、ミセスシュヴルースに口利きして
貰ったらしい。そんな彼に私はある事を告げる。
「品評会?」
「ええ、使い魔と主の相性を見るの」
正直彼が何をできるかは分からない。冷静に考えれば私が彼を凄いと思う根拠は吸血鬼
と対峙した時に見せる殺気だけだからだ。まさかあれと闘わせる訳にはいかない。
彼はうーんと唸ったあと、何か思いついたようだ。私は何をするのか聞いたが、
「お楽しみです。」
と、はぐらかされた。しかし彼が丁度写し終えたと、あたらしい本を見せたことがヒントらしい。




一方その頃、キュルケは自分の使い魔に同じことを相談していた。彼はしばし黙考し言った
「アンデルセンと殺し合い」
「NO」
「誰かの血を吸う」
「NO」
「誰かをグールに」
「からかってるでしょ」
「ああ」
キュルケは杖を取り出す。彼は悩むと銃を懐から取り出し己の頭に突きつけた。
彼の頭は弾けた。キュルケはそれをだまってみている。数秒で彼の頭は再生する。
「NOよ。皆卒倒するわ」
彼は笑って言う。
「困った、これでは姿を蝙蝠に変えるくらいしか残っていない。」
「それでいいわよ。」
彼女は部屋を出る。後ろをむきながら、
「それ片付けなさい。」
と、血の残骸をさして言った。荒々しく扉が閉まる。
「了解した。我が主(マイマスター)」
彼はニヤニヤ笑って言った。



品評会当日、いつものように睨みあう2人を引き剥がし、とりあえずアンデルセンを
ステージに引っ張り上げる。
「アンデルセン、顔」
そう言うと彼の顔は戦士から神父へと変わった。大丈夫だろうか。とりあえず私は
彼を東方から来たと紹介した。私はにっこりと挨拶した。その後アンデルセンに、
「本当に大丈夫でしょうね?」
と聞いた。
「任せて下さい。」
彼は笑顔で言う。そして観客に向き直る。
「それでは皆さん、是よりわが神の奇跡をご覧に入れましょう。」
すると、彼は本を取り出した。それを捲っていく。私はある事に気づいた。それはアンデ
ルセンが捲っているのではなく、ひとりでにめくられていくのだ。そして、その本はバラ
バラになりページの一枚一枚が意思をもつ様に動きアンデルセンを隠した。観客はざわつ
き「先住魔法か?」「エルフか?」などと声を上げる。そして本が消えるとアンデルセンの
姿は掻き消えていた。歓声と拍手が鳴り、甲高い口笛が響いた。私はとりあえず笑顔で
ステージから降りた。その後凄しい震えが全身に起こった。
「凄いわ、アンデルセン、」
小躍りした後ふっと我に帰る。
「アンデルセンどこいったの?」


「ふむ、これは困った」
アーカードの言葉に私はそちらを向いた。
「何が?」
「被ったのだ、マスター」
私は首を傾げる。
「前の人間と被った芸はできん、これは決まりの様なものだ。」
嫌な予感がする。
「再生は無しよ!」
「判っている。なーに問題はない。もう一つ飛びっきりの芸をしよう。」
そう言うと彼は笑ってステージに上がる。私はいつもの調子で自己紹介する。吸血鬼
の登場に多少会場はざわついたが、彼が頭を深々と下げるので淡いながら拍手が起きる。
そして彼は懐から何かを取り出した。それは実りのよい大きなリンゴだった。そして、
彼はそれを高々と掲げた後私の頭にのせる。会場はざわめき、私の背中を汗がつたう。
彼は会場の出口まで移動した。その距離20メイル。額からも汗がつたう。
そしておもむろに銃をとりだした。彼は悲鳴に近いざわめきを堪能した後それを撃った。
私の頭の上のリンゴが撃ち抜かれ落ちた。果汁が伝う。壮大な拍手が私を包んだ。さっき
よりも大きい。私は一礼した後アーカードの元に歩いて行き、彼を連れだした。
「拍手はあの娘よりも大きいぞ、良かったな。」
私は震える手で杖を取り出した。



ファイアーボールという叫びと爆音の後、俺の前に蝙蝠の群れが起り、そいつが現れた。
「全く洒落の通じぬ主だ、アンデルセン」
「アーカード…」
俺はそいつを見据えた。
「随分大人しいじゃないか宿敵。お前ならあんな嬢ちゃんの制止など聞かず、
おっぱじめるかと思ったが」
奴は笑顔で言う。
「どうも、ルーンとやらには主の言うことを聞かせる力があるらしい。それに…」
孤児院の子供たちを思い出す。俺は胸のルーンを指して言う。
「子どもには刺激が大きすぎる。」
奴は肩を震わせ笑う。その笑いを見ながら俺は奴と行った戦闘を思い出す。
果たして一度死んだ俺がこいつとまた戦う権利があるだろうか。
そういう考えが浮かぶことこそ、このルーンの力なのだろうか。
「あのー」
後ろを振り向くとシエスタが立っていた。手には料理がある。それを私に手渡した。
「き、貴族の方だったんですか。」
彼女が戸惑った様に聞く。
「いえいえ、平民です。あれは神の御業ですから。」
彼女は首を傾げる。
「神に仕える者なら努力しだいでできます。それに神は皆平等に我々をお創りなされた。」
彼女に懇々と教えを説く。だが、厨房からは彼女を呼ぶ声がする。
「あ、すいません、忙しくて。」
「いえいえ構いません。神から与えられた職務を全うするのは我々に等しく与えられた義務です。」
彼女はニコリと笑い、
「また、為になる話をしてください。今度は皆に。」
そう言い消えていった。奴は肩を震わせた。
「異教の地で宣教師となるか。」
俺は笑い言った。
「今は、プリミルが俺の…敵だ。」









新着情報

取得中です。