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虚無と狂信者-01



 私の好敵手である「微熱」のキュルケの召喚した使い魔は恐ろしいものだった。
赤いコートに防止にサングラス、見かけは只の平民である。しかし私たちは声がでない。
誰も彼も固まったままである。皆一様に彼をみる。彼は私たちを見回し、目があう生徒は皆脅えた。
コルベール先生は杖を向けるがキュルケは左手で制止する。彼女は使い魔に説明をし、契約を要求した。

「私に従僕になれと?」
彼はキュルケに訪ねた。

「ええ、そうよ」
彼女は髪をかきあげながら言い放つ。彼は肩を震わせ笑った。一歩も退かないキュルケに私は改めて感嘆する。
「その前に教えて、あなた何者?」
彼は答えた。

「吸血鬼だ」
その瞬間言いようもない感情が私たちをつつんだ。しかし、私たちは声も上げることができない。キュルケは嬉しそうに手を叩いている。

「では私も問おう。」
サングラスを取り赤い瞳が現れる。そしてその瞬間激しい悪寒が室内に充満する。
生徒達はあるものは失神し、あるものは逃げ出し、あるものは涙を流し笑った。
使い魔達の騒ぎ立てる音が無ければここは静寂だったろう。

「お前はわが主足りえるか?」
狂気のへばりついた顔に絶句した。元々声は出なかったが。キュルケはむっとして言った。

「主人に随分偉そうね」
彼女の言葉の後、私たちを覆った何かが綺麗に消え、使い魔は沈まった。
吸血鬼はキュルケに膝を付き、帽子を取った。

「名前は?」
彼は答えた。
「こう呼ばれていました。

 アーカード」




 正直に言うと私はがっかりした。あの後皆部屋に戻り、残っていた私一人で居残りをさせられやっと成功した召喚魔法で呼び出されたのはただの平民だった。
その人は確かにとても背が高い。おそらく2メイル近くあるだろう。胸には十字架の首飾りが輝いていて、薄汚れたコートを着ていた。
彼は何事が起ったかわからない風に辺りを見回していて、契約を済ませた後も戸惑っていた。
私が色々説明をする間も困ったような顔をするだけだった。コルベール先生にやり直しを要求するが認められない。
私が彼に八つ当たりしたときも、眼鏡の奥の瞳は頼り無さげだった。私は溜息をついた。
なんでいつもこうなんだろうと。

部屋に帰り色々と説明をするが、何も知らないらしく要領を得ない。夜も遅いので眠ろうと着替えるが、
彼は「女の子がはしたないことするんじゃありません」と私を止める。
私は、「使い魔は人間じゃないの。犬猫と同じだから気にする必要なんてないの。」
と言い毛布をかぶる。困っている情けない口調の独り言を聞きながら、頼りにならない使い魔だと思った。
キュルケは吸血鬼で私は頼りないおじさんだと。

しかし、私の彼に対する評価は一変する。
そしてこのやり取りを思い出すたび私は身震いするのだ。
何て命知らずだったのだろうと。



 翌朝彼に起こされ目が覚める。水をもってこさせ、顔を洗うよう命じる。
「いけません、それくらい一人で出来ないと」
彼は穏やかに注意した。
「あのね、あなたは平民でしょ?戦ったり、秘薬も集めたりできないんだから雑用くらいしなさい」
しかし、彼は頑として拒否する。そんな彼に怒った私はとっとと着替えて部屋を出る。
「ああもうこんなに脱ぎ散らかして」
後ろから声がするが無視した。

「あら?」
廊下にはキュルケがいた。挨拶をした後、
「あなた使い魔は?」
と聞かれ、うつむいた。
「あなたみたいな凄いのじゃないわよ」
キュルケは笑って言う
「そりゃ吸血鬼より凄いのなんてそういないわよ」
それはそうだ。
「で?成功したの?」
うなずいた。
「へえ、どんな?」
「へんな平民」
憮然として言う。
「ふうん、けどいいんじゃない?ゼロのルイズにしては」
私はカチンとして叫んだ。前日からのイライラが積もっていた。まあ、いつもどおりと言えばいつもどおりなのだが。
しかし、次のこの一言が原因で私は命を落としかけたのだ。
「何よ!このツェルプストーの淫乱女」


「淫乱女?淫乱女だと」


突如彼が現れた。壁から、すり抜けて。昨日より激しい威圧感が私を叩きつけた。
「き、吸血鬼」
「こんにちはルイズ・ラ・ヴァリエール。そしてさようなら。お前は私の主を淫乱と呼んだ。」
彼は懐から銃らしきものを私につきつける。

「おまえここから生きて出られると思うな。
 ぶち殺すぞ人間(ヒューマン)」

キュルケが慌てて止めに入るが彼の殺意はぐんぐんと増していく。私はいつのまにか座り込んでいた。
銃口は私の額にむけられ、私の頭が弾け飛ぶ映像が頭に浮かんだ。父や母や姉への恐怖が比喩にすらならない。意識を手放しかけたその時。

ドコッ

後方から大きな音がする。皆一斉にそちらを見るとあの使い魔が向かってきた。


光の反射で眼鏡の奥の瞳は見えない。彼は吸血鬼に比肩するほどの威圧感を纏っている。口は笑ったように開き、並びのいい歯が見える。
そして彼の瞳が見えたとき、私はその瞳が吸血鬼以上の狂気を含んでいることを理解した。彼は吸血鬼を裂帛の気声のもとに殴りつけた。
人が人を殴ることではありえない爆発音がする。吸血鬼もまた殴り返した。
二人の顔が笑顔ということに気づき私の恐怖は増幅した。頭を抱えて目を瞑る。風圧が襲う。そして吸血鬼が叫んだ。

「ゲフッ、また逢ったな!アンデルセン!」
彼も鼻血を吹き放ち叫ぶ。

「アーカードォ!!」
吸血鬼は銃を二丁、彼は奇妙な形の剣を二本、それぞれ構え、対峙する。
今にも切り結ぼうとする二人にキュルケが間に入る。

「ルイズを殺さないでアーカード!これは命令よ」
切りつけようとする使い魔に背を向け、アーカードを見据えるキュルケ。

「あんたも止めてルイズ!………ルイズ?」
キュルケは私を見つめ、唖然とした。私の腰辺りをじっと見ている。二人の男もキュルケにつられ私を見て静止した。
気不味い空気に恐る恐る自分の抜けた腰を見ると水たまりが出来ていた。吸血鬼と使い魔は顔を見合わせる。吸血鬼は、

「闘争の空気ではない」
と来た時のように壁をすりぬけた。使い魔は剣をコートにしまい、落ちた眼鏡を拾った。

「すいません、恐がらせてしまいましたね。大丈夫ですか。」
元の穏やかな顔に戻った彼にキュルケも私も目を丸くした。彼は私を抱きかかえ、部屋まで運ぶ。私は呆気にとられるばかりだった。


「逃げたわ…」
キュルケは呆然としていた。メイドのシエスタが近づく。
「どうされました?」
「いや、何でも」
彼女は今の出来事を反芻した。
(アーカードったら…あれ位で怒るとはね。私の為とは言え加減ってものを知らないんだから。よく言って聞かせないと。しっかしルイズったら情けな…いや無理もないか…。)
「あれ、これ何です?」
シエスタは水溜りをみつけた。キュルケは黙って杖を振り火でそれを蒸発させる。
(そして彼)
水溜りは綺麗に消滅した。
(アーカードは大木すら片手で倒した…その力を持つ鬼と殴り合い。ただの人間じゃないことは確か…っていうか知り合いっぽいし…)
彼女は昨晩吸血鬼の力を色々検証した。そしてその強さの底無しさだけはわかった。
(アンデルセンだっけ?アーカードに聞こうかしら)
彼を追いかける
(全く困るわ…もう)
彼女は上機嫌だった。彼女は「微熱」のキュルケである。


部屋の中、彼は新しい服を差し出した。私は自力で着替える。彼は後ろを向いている。
着替えが終わり私は彼に言った。
「助けてくれて…ありがとう」
彼は笑って言った。
「何、礼には及びません」
彼は穏やかだった。先生のようだ。それが逆に怖い。
「今のあなたと、さっきのあなた、どっちが本当なの?」
彼は表情を変えない。
「どちらも私です。」
おそらくさっきの戦ってるのが本当だと思う。
「あなた、何者?」
彼は変わらぬ笑顔で言った。

「アレクサンドル・アンデルセン。ただの神父ですよ。」








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