あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの平面-2

 …――――ジリリリリリィン! ……――ジリリリリリィン!! …―ジリィン! ―ジィン!!

 あまり聞き慣れない音が耳を貫いた。
 まさに耳を劈(つんざ)くと言える、鋭くて非常に脳へ覚醒を訴えかける音。 
(…………うるさい)
 目を閉じたまま、まだ半分以上寝たままのルイズは率直に思った。
 この音はまるで、人を起こす為にあるものだ。
 理性が嫌がっても、本能的に目が覚めてしまう音だ。

 …――――ジリリリリリィン! ……――ジリリリリリィン!!

 警鐘のごとく二度目を響かせるそれに、とうとうルイズは耐え切れずに目を覚ました。

「あ~っ、もう! うるさいっ!! 何なの? 新手の嫌がらせ!!?」

 怒り任せにかけ布を吹き飛ばして勢いよく起き上がると、音の発信源へと大声で怒鳴る。
 しかし、巡らせた視線が音源を捕らえたときぷつりと怒りがどこかへ飛んだ。
 ベッドの直後ろには真っ黒くてぺらっぺらで、小さくて鼻がでかい『何か』が立っていた。

 ビ――ッ! ビ――ッ!

 薄っぺらで黒いのは、先程とは違う音を小うるさく出し始める。
 ルイズはしばらくぼーっとしていたが、昨日の出来事を思い出して顔をゆがめた。 

「そうだった……こいつが私の使い魔になったんだっ、け……」

 目覚めて早々、目の前で不気味に音を鳴らすぺらぺらな使い魔を見て、ルイズは盛大なため息をついたのだった。

                    ゼロの平面2
               ~ 薄っぺらで黒くてうるさい奴 ~


音と『こいつ』の存在のおかげで完全に意識を覚醒したルイズは、思い出したくもない昨日のことをさらにゆっくりと刻むように頭に浮かべた。
(え――――っとぉ……昨日私はこいつを召喚して、がっくりして、その後部屋に戻ったんだ。
 それでこいつに、伝わってるかわかんないけど掃除と洗濯とやることを説明して、そのまま疲れて寝たんだっけ?)
 寝る際に、こいつは人の形をしてるけど寝床に文句をつけなかった(と言うより気がついたら床に寝そべって寝てた)から、まぁ少し意外かなーって思ったんだけど。
 ……ちなみに、ベッドに向かう時ペラペラのこいつをうっかり踏みつけてこけたのは内緒にしておいた。

「……着替え」 
 ビ――ッ?

 ポツリと呟くと、こいつは「何のこと?」とばかりに首をカクカクして傾ける。
 ルイズは(こいつ、人の形してるくせに関節が無いのか?)と思った。まぁ、平面だし……
 しぐさから見て、とりあえずこっちの言葉は通じているらしい。

「着替えさせて! って言ってんの」
 ビ―――ッ!

 あわてて「了解!」とばかりに手を掲げ、カクカクした変な歩き方でルイズに近づくと、
 やはりカクカクした手つきで――――しかし、それでいて意外と器用に着替えを手伝いはじめる。
 別にどうでも良いけど、こいつの体がどこか動くたびにカタカタピコピコなるのが朝っぱらだけに、
 ルイズにはいい加減うざったかったりする。
 本来なら「『サイレント』の一つでもこいつの体にかけちゃろかいィィィ!」て感じだが、
 おあいにく様ここにいるのはかの『ゼロのルイズ』、そんな事をしたって爆発すること掛け値無しの100%絶対間違いなしである。

「……ちょっと言いすぎじゃない? 私だって――」 

 知ったことか、でございます。 
 と、いうか地の文にいちいち突っ込みを入れないでほしいでございます。
 地の文(作者)に自問自答するSSは、たいてい駄文でございます。

 ビッ?

 黒いぺらぺらが音と共に「何のこと?」と首をかしげていた。


「じ、じゃあ私は朝食の時間だから……」

 着替えを済ませ、マントを靡かせてるように振り向くとに手を掛ける。
 ルイズにこのぺらぺらした真っ黒い『何か』を食堂まで連れて行く度胸は無かった、
 皆の前に『こいつ』を出したらまた何といってからかわれるかわかったもんじゃない。
 貴族としてのプライドが、これ以上バカにされたくないという想いが働く。
 やや、あくまで“やや”名残惜しそうにドアを開け、いざ、と戸口をくぐろうとしたときグイッと強い力で片手が引かれた。

「あ、あんたねぇ……」  

 振り向かずとも目だけを後ろに配らせ、ぺらぺらの小さな両手で自身の手を握るそれを見る。
 ルイズの視線に気づいたそれは、「どこいくの?」と母に尋ねる幼い子供のように首を傾げた。
 握られた手は振りほどこうと強く振り回すルイズを物ともせず、ただぐっと握り締めていた。

「…………わかったわよ」 

 しばしの見つめ合いの後(といっても黒いのに『視覚』があるかどうか不明)、
 一応は連れて行くことを決めた。というかこのままでは埒が明かないから。この黒いの、
 ルイズよりさらに小さいくせにとんでもない力で手を握っていたのだ。(ルイズが痛くないように、だが)

(しかしこいつ、何食べるんだろ……?) 
 引き連れて廊下を歩く中で、ルイズはこのぺらぺらした使い魔が一体何を食べれるのか、疑問に頭を捻った。


 ビ――――ッ♪



 ビ――――ッ
「ちょっと、どこ行ったの? お願いだから私に対しては常に『横向き』でいなさいよ! 
 『縦向き』じゃあんたどこにいるのか全くわからないんだから!!」
 ビ――――ッ! 

 叫んでやると、それまで何も無かったところから音を放ちながらニュッと真っ黒いそれが顔を出す。 
 いや、厳密に言えばこの使い魔がルイズに対し、縦向きから横向きに変わっただけなのだが、
 この使い魔は本当にぺらぺらで紙並みの薄さなので縦を向いていると一本の細い黒線が立っているだけに見えるのだ。
 目を凝らしでもしない限り、見えないのである。
(全く……ほんとに何でこんな奴が私の使い魔なのよ……)
 肩を落としてため息をつく。
 心の中で思えば、余計に落胆した。

 ルイズが食堂の前に立ったとき、ふと背後を見ると、
 真っ黒くてぺらぺらの使い魔はまたしても姿を消していた。

「…………あんの、バカ――――――ッ!!」

 ビ――――ッ

 声に反応してか、どこかからあの音が反響していた。



 ルイズが叫んでいたとき、Mrゲーム&ウオッチはパラパラ漫画のキャラクターよろしく
 体を大きく前後に揺さぶるというコミカルなダッシュで来た道をなぞっていた。

 ピコピコピコピコピコッ………… 

 通り過ぎる道にはこれまた不思議な電子音が残されていく。
 来た道を戻るのは何か忘れ物をしたからなのか、それともただルイズから逃げ出しただけなのか、
 表情の無いMrゲーム&ウオッチが何を考えているかは誰にもわからない。

 突き進むゲーム&ウオッチの進行方向、に一人の女子がいた。
 長くて赤い光沢のある髪、服越しでもわかるほどグラマーなスタイルを惜しげもなく+する端整な顔立ち。
 ルイズの、『戦敵』と書いて『とも』と読める少女、キュルケだ。

「……あら? あれはルイズの……ちょっと!」     

 キュルケは猛烈な勢いで、しかしコミカルな走りを見せるゲーム&ウオッチを見るやいなや、声を掛けた。
 その顔は面白いおもちゃを見つけた子供のように、だが確かに妖艶に笑っていた。

 ビ――――ッ……?   

 ゲーム&ウオッチがやや通り過ぎたのち、ピタッと体を止めた。
 薄っぺらな体を素早く振り返らせると、一歩一歩と距離を縮める。 

「あなた、ルイズの使い魔だったわね? えーと、なんて名前かしら……」
 ビ――――ッ!! ビ――――ッ!! 

 名前が疑問に挙がったとき、ゲーム&ウオッチはキュルケの予想以上の食い付きを見せた。
 考えてみれば、彼はこの世界に来て、まだ一度も名前を呼ばれたことが無かったからだろう。

「ビ――ッ? ……あなた、『ビ――ッ』って名前なの?」
 ビィィィィッ!! ……ビィィィィィィッ!!!

 フルフルと、いや、カクカクと首を振る。……違うようだ。
 しかし、どうやら彼は『ビ――ッ』としかしゃべれないらしい。コレでは名前などわからない。
 いくらルイズのとはいえ、人様の使い魔の名前を勝手に決めて言い訳はどこにも無い。
 キュルケは仕方なしに、ベタだとは思いつつコレを『使い魔くん』と呼ぶことにした。  
(にしてもこの使い魔くん……改めて見たらやっぱり相当変わった生き物よね。まるで人の影がそのままぽこっと抜け出してきたみたい)

 ぺたぺたと頭を触ってみるが、見た目どおり彼は本当に平面だ。
 この身体でどうやって歩いたり走ったり、それ以前になぜバランスを保って立っていられるのだろう?
(タバサが見たら不思議と言うか、興味を持ちそうね……) 
 今この場にはいない友の姿を思い浮かべ、ふふっと微笑が漏れる。と、

 ビ~~~~~ッ!!!  ビ~~~~~~~ッ!!!!

 使い魔くんが強烈な悲鳴を上げる。
 はっと気づいてみれば、自分の手が使い魔くんの顔を紙を破るように前後に引っ張っていた。
 必死で短い手足をばたばたさせる使い魔くんことMrゲーム&ウオッチ、本気で痛がっている。

「あら、ごめんなさ「キュルケ~~~~!! 人の使い魔に何してんのよ―――!!」……あら、使い魔くん。君のご主人様が来た見たいね」

 やっと開放されたゲーム&ウオッチは、まさしく怒号の勢いでこちらに突進するルイズへと
 相変わらずピコピコ言いながら向かっていった。

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