あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

我が竜を見よ

召喚の前日、ルイズはある言葉が聞こえたと言う。
 大きな絶望に立ち向かう希望に満ちた声を。
 そう、「我が竜を見よ!」と。

「ルイズがドラゴンを呼んだぞ!」
「何故だ!?」
「ありえない・・・」
「これは夢だ。悪い夢に違いない。夢なんだから覚めてくれぇぇーっ!!」

 魔法が一切使えない事で「ゼロ」という屈辱の二つ名を持つ少女、
ルイズは今日この日よりその二つ名が返上されることを確信した。
 黒い鱗に身を包み、申し訳程度に存在する羽は残念ながら飛べそう
に無いが、それは今後の成長に期待する方向でいいだろう。
「ふむ、サイズから言ってミス・タバサの召喚した風竜よりも若い
50歳程度のものでしょうか? 大変珍しい種類の竜ですね。
さ、早く契約を」
 教師のコルベールに促がされ、契約を済ませるルイズ。
 そこに待っていたものは・・・

 ポンッ! と音を立て赤ん坊になってしまったドラゴンだった。

 気まずい沈黙の後、タバサがポツリと呟く。
「ふりだしに戻る?」
 爆笑だった。

「さて、これは奇怪な現象ですね。一体何が起きたのか私にもサッパリわかりません」
 首を傾げるコルベール。
「正直ルーンも見た事の無い珍しい物です・・・これは念のために学院長に立ち会って貰いましょう。
 さ、みなさん。今日の召喚の儀式はこれで終了です。
 まだ召喚の終わって無い人は明日お願いします」
 パンパンと手を打って解散を告げる。
「ミス・モンモランシー。あなたは学院長を呼んで下さい。それからミスタ・グラモン、
あなたはマルトー料理長を呼んでくれませんか?」


「何故です? コルベール先生」
「竜とは言え、赤ん坊に必要な物はまずご飯でしょう。竜の餌になるような物を厨房で作ってもらいなさい」
「わかりました」
 テキパキと指示を出すコルベールの側で、ルイズは硬直して動けなくなっていた。
(な、何が起きたの? 推定50歳前後の幼竜を呼び出したと思ったら、急に生後一週間程度に変化してしまった
      • 超スピードやトリックなんてチャチなもんじゃない、もっとトンデモない何かを感じさせられたわ・・・)
 そんな中、肩に手を置き祝福してくれる存在が居た。
「おめでとう、ルイズ。良かったじゃない。何はともあれ、ドラゴンよ」
 キュルケだった。
「・・・どうして?」
「あら、何が? 小さくなった事だったらあたしにもわかんないわよ?」
「何が」おめでとうなのよ! 言いかけて止まる。
 ルイズは思い直した。
 前日から「召喚には自信がある」と宣言して、その言葉を真正面から聞いて、受け止めてくれた。
 他の誰もが笑う中、確かにドラゴンを呼んだ事を認めてくれた。
「そうね・・・ありがとう」
「ヴァリエールに感謝されるなんて、明日は雪かしらね」
「ツェルプストーに祝福されたから、きっと雪ね」
 今までは家が宿敵だった。それだけの間柄だった。
 でも、今日からは違う関係になれそうだとルイズは思った。
「待ってなさいよ。今は小さなドラゴンでも、きっと世界中で一番強いドラゴンにして見せるんだからね!」
「ええ、待ってるわ。だってあなたはドラゴンを呼べるメイジなんですもの」
 ドラゴンを呼んだ事への敬意。そして対等の者へ向ける力強い視線。
 キュルケがルイズの事を認めた瞬間だった。

 よくわからない現象は起きたけど、自分は確かに召喚を成功した。それも誰もが憧れるドラゴンを!
 ゼロと呼ばれ、どんな魔法を使おうとしても爆発する自分が、今までとは違う何かになったような気がした。
 試しにフライを唱えてみる・・・爆発した。
「こら、ミス・ヴァリエール。何をするのですか!」
 慌ててコルベールが止めに入る。
「残念。魔法が使えるようになったって訳じゃないのね」
「そうね。でも不思議。あの子を見ていると、何だか今のもただの失敗じゃない気がしてきたわ」
 何やら笑顔で話し合う二人をコルベールが不思議そうに見つめていた。
「はて・・・ミス・タバサ。あの二人はいつからこんなに仲良しになったのですか?
「ついさっき」


 オールド・オスマンが現場についた時には、モリモリと食事をするドラゴン
とルイズ、キュルケにタバサ、ギーシュにモンモランシーがその場に居た。
 ギーシュとモンモランシーはコルベールからアレコレ指示を受けたため。
 キュルケとタバサはこの召喚の結論が知りたくて、好奇心から残った。
 ちなみにコルベールはマルトーと次のおかわりの準備に入ってこの場から離れている。
「ふむ。元気な竜じゃのぅ。この子を召喚したのは君かね?」
「は、はい。私です!」
 目を細めて孫を褒めるような顔でいる。
「竜を呼ぶ事は誰にでも出来る事ではない。大切に育てるんじゃよ」
「はい! ありがとうございます!」
「さて・・・この竜は確かに変わっておる。羽は一体どうしたんじゃ?」
「え!?」
 言われて気がついた。
 ドラゴンは生まれた時からその身に相応しい翼があるはずなのに、このドラゴンには無かった。
「あ、あれ・・・おかしいな最初出てきた時には確かに・・・」
 焦って探すルイズだが、どこにも見当たらない。
「良い。恐らくはそういう種類なのじゃろう。わしらも全ての竜を把握しておるわけではないからのぅ」
「そう・・・ですか」
 そういう事もあるんだろう。そう思う事にしたルイズではあったが、やはり残念ではあった。
 ドラゴンとは空を飛ぶものと思っていたし、小さいとはいえ、その背に乗って空を飛びたかった。
「おお、オールド・オスマン! 入れ違いになってしまいましたな。ご覧になりましたか!?」
「良くぞ呼んでくれたな、ミスタ・・・この竜は非常に珍しい」
「やはり学院長もそう思われますか! あと、コルベールです」
「いや、わかっておるよ・・・うん」
 オスマンはすらっとぼけた。

 最初の異変は決闘によって起きた。
 きっかけはギーシュが落とした香水が原因で浮気がバレた事だった。
 売り言葉に買い言葉で決闘する事になってしまったルイズとギーシュ。
「君が『ゼロ』でも関係ない。魔法を使う事を止めないだろうね?」
「ええ、止めないわ」
 練金で生まれるゴーレムがルイズに襲いかかる。
 ギーシュの瞬殺で決闘が終わると思われた所へ闖入者が現れギーシュのゴーレムを粉砕した。
「な! 使い魔だと!? そんなのありか!」
「ありに決まってるじゃない。使い魔とメイジは一心同体よ」


「む・・・まあいいだろう。たかがドラゴンの赤ん坊くらいでひるむ僕じゃないって事を見せてやろう!」
 ギーシュはあくまでも強気だった。
 ドラゴンの強さとは大抵年齢で決まる。古く、大きい竜ほど強い。
 その法則で考えた結果。あの竜が自分より強いはずが無いという結論をギーシュは出した。
「助けてくれてありがとう。でも、もういいわ。あなたに怪我なんてさせられないもの」
 ドラゴンを背に守ろうとしたルイズ。
 しかし、ポンと跳ね上げられたかと思った瞬間にルイズはドラゴンの背に跨っていた。
「バカ・・・ありがとう・・・」
「では良いかね? 全力でいかせてもらおう」
 ギーシュが六体の女性型ゴーレム、ワルキューレを生み出す。
 それに合わせてルイズがドラゴンの角を握った瞬間、その異変は起きた。
(え? 何これ。ここはどこ?)
 真っ暗などこか。一対の瞳に見られる自分を感じる。
(誰? ・・・そうあなた、なのね?)
 その瞳がドラゴンのものだと悟った瞬間。まるで相手と自分が一つになるような気がした。
(え? あいつをどうするかって?)
 ドラゴンが目の前の獲物をどうするか尋ねている。そう自然に感じる事が出来た。
「そうね・・・全部やっちゃいましょうか!」
 ドラゴンとルイズが一緒になって吠える。
 その口からはおよそ赤ん坊の竜が生み出すとは思えない熱量の火の玉が生み出されていた。
「ポォラ!」
 吐き出した火の玉は着弾点を中心に巨大な炎を展開した。
 ルイズの圧勝だった。

 次の異変は盗賊退治。
 フーケが破壊の杖を盗み、それを取り返そうとした時だった。
 巨大な土のゴーレム相手に為す術も無く、ジリ貧になっていた時。
「えい! この! 破壊の杖なんでしょ!!」
 空しく破壊の杖を振るルイズ。
 振り上げられるゴーレムの拳を見て、彼女の取った行動は・・・
「逃げて!」
 自分の使い魔を逃がそうとする事だった。
 しかし、ドラゴンはじっとしたまま何かが起きるのを待つように
じっとしていたかと思うと、何事か突然吠えた。
 そこで起きた異常事態は誰も理解出来なかった。


 どんな理屈で竜が急に大きくなったと言うのだろうか?
 急な成長を遂げたドラゴンは今までより遥かに強くなり、
フーケのゴーレムを破壊した。

「ふむ。まさかあのロングビルがのぅ。まぁ良い。みなの者、よくやってくれた。
今日のフリッグの舞踏会はおぬし達が主役じゃな」
 オールド・オスマンが解散を告げる中、ルイズはその場に残った。
「学院長、あの竜は一体・・・」
「うむ。その件はミスタ・コルベールからも不思議な報告を受けておる」
「コルベール先生が?」
「お主の使い魔のルーン、な。どうもガンダールヴらしい」
「でも、ガンダールヴと言えば・・・」
「あらゆる武器の達人で、その卓越した戦闘力で始祖ブリミルを守った・・・そうじゃな?」
「・・・はい」
「わしにも良くわからん。いったい、どうして竜がガンダールヴなのか。答えはこれから探すしかあるまい」
 あの竜が武器を使う。どうにも想像がつかない。
 しかし、ルイズには何となく感じている事があった。
「多分、私です」
「何がかね? ミス・ヴァリエール」
「私が武器なんです・・・あの竜には乗り手が必要だった。
誰かと一緒に戦う事があの子にとって武器なんだと・・・そう思います」
「ほほぅ。なるほどの。ミス・ヴァリエールは良い使い魔を呼んだのぅ」
「ありがとうございます」

 三つ目の異変は夢の中。
 幼い頃の思い出の小舟の上。
「おや、珍しい。キリコだね?」
 そこには魔女のような巫女のような老婆が居た。
「キリコ? 私はルイズよ。ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール」
「ルイズ? はてね・・・聞いた事のない竜使いだね」
「悪かったわね。まだまだ見習い竜使いよ!」
「そうかい・・・しかし似ているねぇ、キリコに」
 マジマジとピンクの髪を見つめて、ルイズを誰かと重ね併せるように観察した。
「誰なの? キリコって」
「あんたも竜使いならよく知っておきな。世界最強の竜使いの名前だよ」


「そう、教えてくれてありがとう。ところで、私に何か用?」
「ふむ・・・そうだね。ここで会ったという事は、おそらくは
お主にもヒナギク病の事を教えろという事なのかもしれないねぇ」
「ヒナギク病?」
「治療法がまだわかってない病気だよ。心当たりは無いかい?」
 ふと二番目の姉が頭に思い浮かんだ。
 どんな治療法も効果を見せず、部屋を出ることも出来ないカトレア。
「ちぃ姉さま・・・まさか・・・」
「ある様だね。いいかい? ヒナギク病の治療法を探すんだ。世界中で暴走する精霊を掻き集めてデータを集めろ!
 じきにヒナギク病の大流行が起きる。それまでに何としても治療法を探すんだ。いいね!」
「どういう事? そんな・・・」
「じゃあね、キリコに良く似たお譲ちゃん。運が良ければまた会おうさね」

「待って!」
 叫び声を上げながらルイズは目を覚ました。
 汗でびっしょりと身体が濡れていた。
「訳が分からないわ・・・ヒナギク病・・・あれは本当に夢なの・・・?」
 この日からルイズは世界と対峙する事になる。
 並み居る敵を竜で蹴散らし、世界のありとあらゆる場所を巡り、災害という災害と正面から戦うようになった。
 人は彼女を『クレイジー・ルイズ』と呼び、畏れ敬った。
 やがて、ヒナギク病と呼ばれる病が彼女の見た夢の通りに流行した。
 その影に潜む魔族と呼ばれる存在と戦う彼女達の合言葉は、世界の希望と共に語られたと言う。

「我が竜を見よ!」

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