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使い魔はじめました-11


使い魔はじめました―第11話―

「随分と買い込んだわねー」
帰路の空の上、パンパンになった袋を見ながら、キュルケが笑った。
武器屋に行った後、サララたちは市場に寄って様々なものを買っていた。
薬草や瑞々しい真赤なリンゴ、不思議な音色を鳴らすオルゴール。
サララは、売り手と交渉して、それらを提示された値より安く買っていた。
この指輪のおかげだろうな、と指先にはめた指輪を撫でる。
家具や建材にも使われる、弾力のある木材を加工したものだ。
幸運を呼ぶといわれて、着けているモノの交渉を有利にする力がある。
「スゴいわよね、その指輪。えーっと……トルネコの指輪だっけ?」
「トネリコでしょ。なにその東方の計算機で敵をぶん殴りそうな名前は」
ボケたキュルケに対して、呆れたようにルイズが訂正する。
「いやァー、凄いのは相棒だぜ! こんなちっこい体なのに、
 俺を振れちまうんだから! おでれーた!」
鞘から出されたデルフリンガーが、かちゃかちゃと鍔を鳴らす。
「ちょっと、相棒って言わないでよ。サララはボクのパートナーだよ」
デルフの言葉を聞いて、スネたようにチョコが声を上げる。
「大体、君が言った『神の頭脳』って何なのさ」
『神の頭脳』、デルフリンガーが、サララに握られた時に言われた言葉だ。
「えー……っと、忘れた」
「何それ、あっきれたぁ!」
ニャアニャアカチャカチャとケンカする一匹と一振り。
ルイズとサララは顔を見合わせて、苦笑いした。
「あはは、二人?とももっとやっちゃいなさいよー」
キュルケはそれを見ながら、からからと笑っていた。

「……着いた」
学院の門の前に降り立って、タバサが呟く。
「んー! やっぱ空の上は気持ちよかったわねー、ありがとタバサ!」
キュルケが、ぎゅっとタバサを抱きしめて頭を撫でる。
あ、ちょっと気持ちよさそうだ、サララとルイズが一瞬だけ思った。
「それじゃ、今日はこれで解散ね……え?」
解散しようとしたキュルケに、サララが頼みがあると告げる。
実は、このデルフリンガーには魔法を吸収する能力があるようなのだ、と
「へえ? 君、そんな能力があったんだ」
チョコが感心しながらデルフを見る。
「えー……、ああ。そういや、そんなもんもあったな」
本人(本剣)は忘れていたので、一同盛大に呆れた。
とにかく、と気分を持ち直してサララは続ける。
どれくらい魔法を吸収できるか確認したいので、
夕食が終わった後くらいに、どこかに集まって欲しい、と言う。
「そうねえ……じゃあ、宝物庫の辺りでどうかしら。
 あんまり人もいないし、うっかり建物に当たったとしても、
 宝物庫なら頑丈だから、きっと大丈夫よ」
ルイズの言葉に、分かりました、では夕食後に、とサララは言った。

夕食後、人気のない広場にサララ達は集まった。
では、よろしくお願いしますね、と言いながら、
ざすり、と地面にデルフリンガーを突き刺す。
「え? 待って。いきなり? え?」
刃の部分を狙ってください、と戸惑う彼を軽く無視する。
「……エア・ハンマー」
早速、タバサが呪文を唱えて杖を振るう。
巨大な風の槌が現れて、彼へと一直線に打ち込まれる。
「ぬわーっ! ……って、あれ?」
吹き飛ばされると思ってデルフが悲鳴をあげた。
だが、風はシュルリ、と刃に触れた瞬間掻き消える。
「うそ、すごい! 本当に消えちゃったよ!」
四人と一匹は驚いて、口をポカン、と開けた。
「あー……そういやあ、こんな能力あったなァー。
 分かったならいいだろ? もう抜いて……」
「さて、私の番ね……、ファイヤーボール!」
笑みを浮かべながら、手慣れた仕草でキュルケが杖を突き出した。
杖の先から、メロンほどの大きさの火球が現れ、デルフめがけて飛んだ。
「へぼぁ! 吸い込めるけど熱いんだから勘弁してくれよ!」
その火球を吸い込みながら彼が情けない声をあげる。
「おほほ、ごめんあそばせ」
じゃ、次はルイズさんお願いしますね、とサララがルイズを振り向く。
「へ、わ、私? でも、私の魔法、失敗だし……」
そんなルイズの言葉に、サララは首を傾げる。
爆発するのも、魔法でしょう? と理由を答えた。
「……はぁ。商人ってのは、ポジティブでこそ、だからなのかしら」
どこか嬉しそうに、ルイズが杖を構える。
「え? 嬢ちゃん、何を張り切って……」
「ロック!」
知る限り、最も短いコモンマジックを唱えた。
爆発しかしないのなら、短いほうがいい。
そう、それがいい。それがグッド。
「ぬわーっっ!!」
やる気を込めすぎたせいか、狙いが反れた。
デルフリンガーの刺さった地面が、轟音を立てて爆発する。
その衝撃で、デルフリンガーが宙を舞った。
ごすっ、という鈍い音がして、彼は塔の上層部に突き刺さった。
「あ……マズい」
「あそこって、ちょうど、宝物庫、よね?」
さぁーっとルイズとキュルケとサララの顔が青ざめた。
タバサも、若干顔が白くなっている。
「ぬ、抜かないと! レビテーション!」
「ちょ、ちょっとヴァリエール!」
焦ってレビテーションを唱えようとしたルイズを、
キュルケが止めようとしたが、時すでに遅し。
爆発がものの見事に宝物庫に命中した。
ビキビキと亀裂が入り、デルフの刺さった部分にまで到達する。
「あーんまーりーだー!」
どこぞの炎の流法使いの戦士のような声を上げながら、デルフが落下した。
「げふぅ!」
そして、地面さんと熱烈なキスをするハメになった。
「……状況悪化……」
珍しく冷や汗を垂らしながら、タバサが呟く。

「どどど、どーすんのよ!」
「私だって、どどど、どーすれば!」
どどどどどどど……
「どどどどうるさいよ! 素直に謝るかごまかすか選びなよ」
チョコが慌てる二人に対して意見する。
「……って、あれ? 何か急に暗くなって……うわぁー!
 ご、ゴーレムだあああああ!」
影が差してきたのを不思議がって上を見たチョコが、
そこに巨大なゴーレムの姿を見て悲鳴をあげた。
30メイルはあろうか、とにかく巨大だった。
ゴーレムは、彼女らの目の前で宝物庫の壁を殴った。
先程、ルイズが魔法で亀裂を作った辺りだ。
殴られた壁には、人一人通るくらいの穴が開いた。
ゴーレムの肩から、影が一つ、ひらり、と宝物庫に侵入した。
「も、もしかして、『土くれのフーケ』!」
昼間に買い物の途中で聞いた怪盗の名を思い出して、ルイズが叫んだ。
彼らが呆然としている間にも、フーケは宝物庫から
何か箱に入ったものを抱えて出てきた。
それから、ゴーレムの肩に乗ると、物凄い勢いで逃亡した。
あんなにデカいのに早いなぁとか、うっかり考えてしまう面々だった。
一番最初に正気に戻ったのはルイズだった。
「お、追わないと! 盗賊を逃がすなんてトリステイン貴族の名折れよ!」
「馬鹿ね! 命あっての物種に決まってるじゃない!」
ケンカをする二人を横目に見ながら、心配なら心配だと言えばいいのに、と
思いながら、サララはガレキの下敷きだけは免れていたデルフリンガーを拾う。
「ヒデーよ相棒……」
デルフの泣きそうな声を聞き流しながら、
さて、大変なことになったなぁ、と頭を抱えるサララだった。

翌朝……。トリステイン魔法学院は、蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。
宝物庫の壁が破壊され、学院の宝物が奪われたのだ。
『魔王の宝珠、確かに領収しました。 土くれのフーケ』
宝物庫の中に、フーケの犯行声明が刻まれていた。
教師達が口々に好き勝手なことをわめいているのを、
ルイズ達四人はドキドキしながら見ていた。
衛兵を責めたり、当直のミセス・シュヴルーズを責めたり、
オスマンがとりなして、場をなごませようと彼女の尻を撫でたら
スベっちゃって気まずい空気になったりしていた。
サララは、いつ呼び出されるかと緊張していたのに、
気がついたのが翌朝とは、どれだけ快眠なんだろうこの学院の教師は、とか
そんなことを寝ぼけた頭で考えていた。
足元では、チョコがあくびをしている。かみ殺す気すらないらしい。
教師には、魔法の練習をしていたら、いきなりゴーレムが現れたのだ、と説明した。
ルイズが努力家であることを知っていたので、教師達は納得してくれた。
その直後、ロングビルがフーケの隠れ家を見つけて戻ったので、捜索隊が募られた。
「……何じゃ、誰も志願せんのかね」
オスマン氏が呆れたように呟いた。
この学院は大丈夫なんだろうか……とサララが頭を抱えたくなった瞬間。
すっ、と隣に立っていたルイズが杖を掲げた。
それを見て、キュルケ、タバサも杖を掲げる。
「き、君達は生徒じゃないかね!」
コルベールが驚いて声を上げた。
「誰も掲げないじゃないですか! それに、逃がしてしまったのは私ですもの!」
どうやら、取り逃がしたことを悔しく思っていたらしい。
「……ヴァリエールに負けるわけには行きませんから」
「心配」
キュルケ、タバサもそれに続く。
そんな三人の様子を見て、オスマンは笑った。
「そうか、では頼むとしようか。ミス・タバサはシュヴァリエを持つ騎士。
 ミス・ツェルプストーは優秀な炎の使い手。
 ミス・ヴァリエールは……えー、と、その……」
褒めるところが思い当たらないのか、オスマンがしばし考えこむ。
「ヴァリエール公爵家の、カリーヌ殿の、あ、いやいや、
 とにかくご息女であり、将来有望なメイジだと聞いておる」
カリーヌ、という名にギトーという教師がぴくり、と眉を動かした。
それからオスマンはサララを見つめた。
「その使い魔であるサララちゃん、じゃったかな? は、
 何でも珍しいマジックアイテムを多数所持しておると聞いておる」
コルベールが興奮した調子で後を引き取った。
「そうですぞ! 何せ彼女は、ミョズ……いえ、何でもありません」
あやうく伝説の使い魔の名を出そうとして、コルベールは慌てて口を閉じた。
「魔法学院は、諸君らの努力と貴族の義務とメイジの誇りに期待する!」
オスマンは四人と一匹に向き直ってそう言った。
「杖にかけて!」
と同時に唱和して、うやうやしくスカートの裾をつまんで礼をした。
サララも慌ててそれに倣う。
「では、馬車を用意しよう。ミス・ロングビル。彼女らを案内してくれ」
「はい、もとよりそのつもりですわ」
ミス・ロングビルは頭を下げた。
早速出発しようと、女五人とネコ一匹は学院長室を出た。
が、サララは足を止めて、準備があるから、とルイズの部屋へ駆け出した。
盗賊相手、一体何が必要だろうか、と頭を回転させる。
足止めをするためのアイテムはアレ、ケガをしたときにアレ、
そうだ、あの武器も用意して、デルフリンガーも連れて行こう。
不謹慎だが、ワクワクしている自分を、サララは感じていた。
「サララ、久しぶりの冒険でちょっと楽しんでるでしょ?」
チョコに言い当てられて、恥ずかしそうに笑いながら、サララは部屋へ入った。
そうして、鍋に手を入れて、目的のアイテムを取り出すのだった。


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