あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの仲魔-01


 進級試験にあたる使い魔召喚の儀式。学院の一年生であるルイズも当然それを受けなければならなかった。
 順番は監督のコルベールが勝手に決めて、彼女は最後だった。
 始まるまではクラスメイト達の嘲笑を虚勢で張り飛ばしていたが、時間が過ぎていくうちにゆっくりとだが、彼女の胸の中を、呼吸を阻害するような劣等感が苛み始めた。
 嘲り、哀れみが多くなっているのではなく、減っている事が原因だった。
 召喚、契約に成功したものたちは自分たちが呼んだものへの、これから一生を共に過ごしていく使い魔たちへと興味が移っている。もう、ルイズにいつもの罵倒を浴びせる事すらしなくなっていた。
 それを見ていて、ルイズは、自分には出来ないかもしれないという不安に押しつぶされそうだった。
 しかし、時は誰にも平等で、彼女にもその瞬間は訪れてきた。
 監督のコルベールが言うままに、ルイズはやけに大きな心臓の鼓動を耳にしながらゆっくりとクラスメイト達と同じ場所に歩んだ。
 草原の上、天を仰げば、暖かな光を注ぐ太陽が目にしみた。彼女にはそれすらも、自分を嘲るものであるように思えた。
「始めなさい」
 低い声がルイズに命令した。彼女はしばし目を瞑り、深呼吸をした。
 家柄、父、母、二人の姉、どれも優秀である。自分だけが、自分だけが、違う。メイジとして、生まれてきていない。そう思えるほどの、無能。失敗の二文字が彼女の頭をよぎる。
 けれども、心の奥底で、あまりにも淡く、儚い、愚かな希望を抱いてもいる。何かとてつもない、この不安を、己を殺してしまいそうな劣等感を吹き飛ばしてくれるようなものが使い魔として出てくるんじゃないか、と。
 ルイズは、極度の緊張状態でありながらも、コルベールに再度促される前に、呪文を唱えた。願いを込めて、自信を助けてくれるものが現れることを望んで。
 そうして、出てきたのは、小さな小さな光だった。

 ルイズは戸惑いながらそれを見つめていると、あることに気付いた。徐々に、だが、確実に質量を増していっているのだ。
 やがて小さな太陽とも思えるほどの熱を発し始めていた。魔法を使うといつもは爆発なのだが、こんな現象は生まれて初めてだった。
 ルイズはいつまでもこうしてはいられないと恐る恐る手を触れてみた。
 その瞬間、大気を揺るがす轟音と、それに伴って衝撃破が発生し、彼女はぶっ飛ばされた。
 草原の上をごろんごろんと転がり目が回ってしまったがそれでも持ち前の意地で顔を上げた。と、そこにはもはや光は無く、代わりに真っ黒な人間が倒れていた。
 髪が黒かった。被っている帽子も黒かった。マントをつけているがそれも黒、ズボンも黒、靴も黒。黒ずくめの少年だった。
 意識はあるようで、彼は手に持っていた白い木でできた棒を杖代わりにして立ち上がろうとしたが、よろよろと生まれたての子鹿のように震えている。
 よくよく見れば、顔には新しい、深い切り傷があり、そこからだくだくと滝のように血液を流していた。マントにはどういうわけか焦げ跡が残ってもいた。まるで、敗走した兵士のようだ。
 それでも目に宿る光は強く、射殺すような鋭い目つきで周囲を見回した。
 そして最後に天を仰ぐと、またばったりと倒れてこう呟いた。
「ここは、どこ、だ」
 少年の意識はそこで消えたのか、目を閉じてしまった。しんと静まり、この状況に誰も口が開かず、風だけがそよそよと変わらず吹いている。
 一番に、正気に戻ったのは監督のコルベールだった。彼は急ぎその怪我をしている少年に駆け寄った。が、それを止める者がいた。
 誰でもない。それは、少年の影に伏せていた、これまた真っ黒い猫だった。
 その猫は毛を逆立て、その場に居るもの全員に向かって警戒心を露にして、どきそうになかった。
 しかし、ぐいっと、彼の小さな体を抱き上げる者がいた。ルイズだった。
「先生! 早く!」
「わかりました! 治癒が出来るものたちも手伝いなさい!」
 コルベールの一声で生徒の何人かが男のもとに向かった。猫はルイズの腕で暴れている。
 爪で引っかき牙で齧りついたが彼女はその手を離さなかった。その間にコルベールたちは少年の呼吸、心拍を確かめて治癒の魔法を施した。
 それで流れ続けていた血は止まったが、コルベールの顔は青いままだ。
「ミス・ヴァリエール!」
「は、はい!」
「私は急ぎ、この彼を学院に連れて行きます。思った以上に危うい状態です。あなたはその猫をつれてあとで来てください!
他の方達も、学院へ戻ってください!」
 コルベールはふわりと浮かび、空を飛んでいった。クラスメイト達も同じく、空を飛んでいく。
 ルイズはこの基礎的な魔法も使えないので徒歩で彼らのあとを追っていった。
 腕の中の猫が目と口を大きく開けてぽかんと間抜けな表情をしている事には気付いていなかった。

 学院につくと、門前でコルベールがルイズを待ち構えていた。
 その姿を発見すると、彼女は全力で走り出した。相当な距離を歩いている為に疲労はあったが、そんなものは関係なかった。
 猫がぎゅうと絞められて暴れている事も気になっていなかった。
 途中途中で何度か足を止めてしまいながらも、コルベールのもとにたどり着くと、すぐさまルイズはたずねた。
「あの、あの男の容態は、どうだったんですか!」
 コルベールは微笑を浮かべて答えた。
「安心しなさい。命に別状はありません。今夜は難しいですが、数日中には意識を戻すでしょう」
「数日……そんな怪我をしていたんですか?」
「うん。身なりからして平民だろうが、どうもね。顔には斬られた傷があるが、衣服には明らかに魔法を受けた跡がある。それもなかなかに強力な。
それに、属性も多種多様だったから、相手は一人ではないんだろうね。これは驚きだよ。けど、彼は非常に頑丈な体をしている。鍛え方が尋常じゃ
ない。どれも命を落すようなものではなかった。ただ、気になる事はあったがね」
「気になる事?」
「ああ。けど、それはそのうちに、自分で気付いて、君が彼から教えてもらいなさい。これから先、君と彼はメイジと使い魔、一生の友となるんだから」
「……」
 ルイズは、言葉を発さず、手元の猫に目を移した。
 コルベールが声をかける。
「どうしたんだい?」
「いえ、その、やっぱりあの男の方なんですよね。私の使い魔は」
「そうだね。この猫は、彼に引っ付いてきた形だ。契約はこの猫としてはいけないよ」
「わかってます!」
 ルイズは必要ない大声を出した。コルベールはやや驚いたが、すぐさま男が眠る部屋を教え、そこへ向かうように言った。

 医務室、治療の為にか衣服を外された姿の男が眠るベッドに着くと、ルイズの腕から猫が飛び出した。
 猫は男の横に座り、じろりと咎めるような視線をルイズに向けてきた。彼女はまるで自分の心が見透かされているような気がした。
 コルベールに契約をしてはいけないよと言われた時、彼女の心はひどく痛んだ。
 思いもしない事を言われたからじゃない。思っていた事を、かすかにでも思ってしまった事を言われたからだ。
 この猫と契約すれば、家族たちに顔向けが出来る。飛びぬけていい使い魔だというわけではないが、普通だ。
 落ちこぼれが普通になる事が出来るのだ。恐ろしく、飛びつきたくなってしまいそうだった、甘美なものだった。
 けれども、けれどもそれは違う。メイジがどうとかではない。貴族としてでもない。ルイズとして、ちっぽけな彼女の矜持が許さなかった。
 越えてはいけない一線なのだ、それは。
 だから、耐える。奥歯をかみ締めて、涙をこぼしながらも、彼女は耐えていた。
 しばらくそうしていると、とんとんと誰かが扉をノックした。ルイズは慌てて涙を拭って中へ入ることを了承した。
 そうして、やってきたのはクラスメイトの一人だった。青い髪に眼鏡をかけた小さな少女だ。治癒を手伝ってくれた一人でもある。
 彼女はちらりと、少年を見てからルイズに尋ねた。
「契約、どっちとするの?」
「……人間のほうよ」
「そう。なら、いい」
 それだけ言って、少女は部屋を後にした。
 ルイズはやはり、胸が痛んでいたが、それでも嘲りや咎めるようなものが含まれていなかったのでそんなに深く傷つく事はなかった。
 もう少し経つと、またしてもノックがしたので、ルイズは中へ入るように言った。今度は先ほどの少女とは対照的な人物だった。
 髪は燃えるように赤く、肌も真っ黒、体つきも出ているところは出ていてと、十分立派なものだった。ルイズはあからさまに嫌な顔をした。
「なによ、折角様子見に来てやったのにそんな顔しないでよ」
「うっさいわよ。で、何しに来たのよ」
「別に。ただ、あんたが呼んだのがどんなのか気になったのよ」
 彼女、キュルケは鼻歌を唄いながら興味深そうに横たわりながらも学帽を被ったままの少年を眺める。
 そして、実に自然な動きで身をかがめ、ぐうっと顔を近づけていく。
「なにしてるのよあんた!」
 唇が触れ合う寸前でルイズが止めに入った。体格差をものともせずに羽交い絞めにして、無理矢理離した。
「惜しかったわ」
「惜しかったわじゃないわよ! あんた一体なにしてんのよ!」
「いやぁね、見たらわかるでしょ」
「わからいでか! そうじゃなくて、なんでそんな、キキ、キ、キスしようとしてんのよ!」
「だってえ、見なさいよ。彼。いい男じゃないの」
「ええ?」
 ルイズはキュルケから目を離し、男を見た。
 確かに、鋭く尖ったモミアゲが特徴的であったが、御伽噺にでてきそうなほどに端正な顔立ちをしていた。
 この地域では珍しい黒い髪というのもあって、不思議な雰囲気をかもし出している。
 呼吸音も静かであり、まるで人形のようでもあった。

「そういうわけで、させてもらうわよ」
「――んで、そうなるのよ!」
「いいじゃない。どうせあんたは先にやってるんだから」
「してないわよ!」
 キュルケはあっさりと身を引き、ルイズを見下ろして言った。
「じゃあさっさとしなさいよ。いまなら眠ってるんだから、簡単でしょう?」
 うっと、ルイズは即座に言葉を返せなかった。
 キュルケのそれは正論。相手が眠っていようが起きていようが、どのみち使い魔にせざるを得ないのだ。この人間を。
 起きて、体が治ってしまえば抵抗される可能性は大いにあるので、いまのうちにやっておかねばならない。
「あ、あんたの目の前でやることないじゃないのよ!」
「いいの? だって、そこのお邪魔さんをどうにかしないといけないじゃない」
 キュルケは己の杖で黒猫を指した。
 言葉が通じているわけではないだろうが、男を護るように二人を無言で威嚇している
「もしかしたらゼロだもの。猫に邪魔されて失敗するかもしれないものね」
「……わかったわよ! やってやるわよ! したらいいんでしょうが!」
 ルイズは憤然としながらも男の枕元に近づいた。猫が身を屈めて、飛び出そうとするが、その身がふわりと宙に浮かび上がった。
 猫は全身をばたばたとさせるが落ちてくる気配はない。キュルケが浮遊の魔法をかけたのだ。
 すうっと深く息を吸い、男の寝顔をルイズは改めて見下ろした。けれどもさっきのように注視はしない。
 できるわけがない。これでも乙女だ。恥じも照れもある。眠っている男の唇を奪うなんぞ、とてもではないが考えられない。
 だが、これは儀式。儀式である。だからノーカウントだ。
 誰にでもなく自分に言い訳して、ルイズは呪文を詠唱し、静かに、心の中で言い訳をして、接吻をした。
 相手の目を見る必要がなかったのは恩の字である。
 時が止まったかのように静かな時間。ルイズは顔を上げて、袖で唇を拭った。
「コントラクト・サーヴァントは一回で成功。よかったわね」
「どういたしまし……」
『なんだその、こんとらくと・さーばんとというのは』
 ルイズはどこからか低い声が聴こえたので周囲に視線を向けた。キュルケ以外に誰もいない。
 少年はまだ目覚めてもいない。
「ツェルプストー、なにかいった?」
「なにを?」
 どうやら違うらしい。そもそも契約、コントラクト・サーヴァントについて彼女が尋ねてくるわけがないので当然だった。
 では、一体誰なのか。この場にいるのは自分とキュルケと少年、だけである。
『しかし、いつになったら下ろしてくれるのだ? 落ち着かんぞ』
 今度ははっきりと聴こえた。低い、男のものだ。
 方向もわかったのでそちらに目をやると、ぷかぷかと浮いている黒猫の姿があった。
「さっき喋ったのって、もしかしてあなたなの?」
『……ん、なんだ。我か? 我に言っているのか?』
 また声がした。やはり、その黒猫から発せられていた。
「そう、そうよ。あなたよ。あなた、喋れたの?」
『本来ならば、デビルサマナー以外には我の言葉は理解できぬはずだが、こっちの女はわかっているのか?』
「ツェルプストー、あなた、この猫の言葉はわかる?」
 その質問に、キュルケは首を横に振った。
「なによ。あなた、わかるようになったの?」
「そうなのよ。なんで? なんでかしら」
『考えるのはいいのだが、早く下ろしてくれるように頼んでくれんか』
「……ツェルプストー、下ろしてやって」
 キュルケはあっさり魔法を解いてやった。急に重力が戻ったので猫は驚いていたが、しっかりと着地して見せた。
 尻尾を揺らしながら猫はルイズの目の前にまでやってくる。
『質問、してもいいな』

 一旦キュルケに外へ出てもらい、二人と一匹だけになってから話を始めた。
『まずは名乗っておこう。我はゴウトだ』
「ゴウトね。あなた、あの男のなに? 使い魔?」
『いいや、違う。我はあやつのお目付け役だ。もっとも、必要だったのかどうかはともかくな。というかな、まずは私に質問させろ』
「ぐ……わかったわよ」
 ルイズはおとなしく了解した。これは彼女にとって珍しい事であった。
 ルイズは自身が位が高い貴族だという自覚を持っている。そのために、プライドだけは異様に高い。
 そのために、頻繁に同じこの学院のものたちと諍いを起こす事がある。
 仮に、見ず知らずのものにこのような態度を取られたら、自身がどこの誰であるかを大きな声で宣言し、無理矢理にでも頭を下げさせるだろう。
 しかし、この目の前の黒猫、ゴウトからは不思議なものを感じている。ただの猫、見掛けはそうであろうが、とてもそれだけとは思えない。
 それに、喋る猫がともにいることから、相手はもしかしたら、そう、メイジかもしれないのだ。杖は持っていないのだが。
『とりあえず、ここはどこだ。何故我らはここにいる』
 ルイズはこの場所、魔法学院だということを教え、トリステインという国についても教えてやった。
 サモン・サーヴァントという魔法で呼び出し、先ほどの接吻で契約したということも。
 ゴウトは頭を抱えているようで、いくらなんでもそんなむちゃくちゃなものがあるかと言っていた。
 魔法、それについても質問されるだけの事は教えてやった。四系統に、どうして魔法などというものを使えるようになっているのか。
 始祖ブリミル、かいつまんだ歴史も話した。
『まあ、こちらとしてもちょうどよい機会だったからな。かまわん。ライドウ、そこな少年には我が説明する。一応、命の恩人にはかわりないのだから感謝もしよう』
「そう。じゃあ、私の使い魔になるってのには納得してくれるのね」
『さてな。できるかどうかはわからん。ルイズよ、お目付け役がいるということは、我らの立場が少々特殊なものであるという事はわかるであろう』
「な、なによ。帰らせろっていうの? 言っておくけど、そんな魔法ないからね」
『いいや、帰るつもりはない。まだな」
「まだ? じゃあ結局、そのうち帰るつもりなんじゃない」
『恐ろしく長くなり、もしかしたら歴史に残るような大事になるかもしれん。うぬの使い魔とやらの役目は果たせるであろう』
 いまいち、信じきる事ができないルイズであったが深く追求するのはやめておいた。
 とりあえず話はここらへんにしておいてから、この試験の監督であったコルベールにこのことを伝えに向かおうと部屋の扉を開ける。
 と、目の前に三人の男女が立っていた。
 教員であるコルベール、外へ出てからすぐに彼を呼びに行っていたのであろうキュルケ、それと、彼女よりも先に様子を見に来ていた青髪の少女である。
「なにをしてるんですか、先生……」
「あーやー、これはだね。ミス・ヴァリエールが私の見ていないところで契約したとミス・ツェルプストーに教えられて飛んできたら、なにやら黒

猫と話し込んでいたので、その内容が気になっていたんだよ」
「私は、まあ、おもしろいものでも聞けないかしらと思ってね」

 コルベールとキュルケは素直に口を割った。
 別段立ち聞きされていても困らない、自分しか人の言葉は喋っていなかったので、内容はほとんどわからなかっただろうからどうでもいい。
 そして、もう一人、
「それで、えーと、あなた」
「タバサ」
「タバサはなんでまたここにいるのよ」
「人間の使い魔が気になった」
 カチンと来た。この少女は立派な風竜を呼んでいたのだ。
「なによ。わざわざからかいに来たって言うの?」
「違う。どんなルーンが刻まれるのか、どこに刻まれるのか、それが気になった。人間の使い魔は、記録に残っていない」
「ふむ。それもそうですね。いやいや、ミス・タバサは勉強熱心なことです」
 コルベールは嬉しそうに何度も頷いた。ルイズとしては、やはり馬鹿にされているだけにしか思えなかったが。
 入り口で話していると、ゴウトがやってきて、ルイズの肩に飛び乗り、話しかけてきた。
『聞いてもらえぬか。この男がつけていたマント、及び道具はどこにある』
「わかったわよ。先生、えと、この猫、ゴウトが、私の使い魔が身に着けていた道具がどこにあるのかって言ってます」
「ああ。あれですか。いや、どうもマジックアイテムらしきものもありましたので、私の部屋で厳重に保管してありますよ。
無造作においておくわけにもいきませんからね」
『服はともかく他の道具は大事なものだ。返してもらってくれ』
「先生、その他の道具はとても大事らしいので、返してくれてかまいませんか。いざとなったら私が保管しておきます」
「そうですね。かまいませんよ。そうですね、明日にでも渡します」
 コルベールは一旦その場を離れた、だが、キュルケとタバサは帰らない。
「あんたたち、戻りなさいよ。授業があるでしょ」
「別に一度サボった程度でどうもしないわよ。でもまあ、残っていても仕方ないのは確かね。私の使い魔もお披露目してあげようかと思ったけど、
またの機会にしてあげるわ。タバサはどうするの?」
「私は、見てみたい。使い魔を」
 そういって、じっと彼女はルイズを見つめる。断る理由もなく、会話もしたことがないので嫌いだとかの感情もないので了承した。
 二度目なのに何故だろうかと疑問には思ったが。
 タバサは少年に近づくと、なぜかこれだけは取られなかった帽子をややずらして額を見る。そこにはなにもない。
 次に、毛布を捲り上げて、彼の右手を持ち上げる。その手の甲に、文字が刻まれていた。
「そんなに気になるの? 人間の使い魔が」
「いや、もういい。わかった」
 タバサは毛布を直し、ルイズに頭を下げて部屋を出て行った。
『なんだったんだ? あれは』
「わかんないわよ」


新着情報

取得中です。