あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

異世界BASARA-52




ニューカッスル城外にある塔の上で、幸村はワルドの猛攻を凌いでいた。
ワルドは得意とする風の魔法を用いて上空に浮かび、そこから自在に攻撃を繰り出してくる。
それに対し、幸村は槍を手に必死にワルドの魔法を防いでいた。
いかに幸村といえど空を飛ぶ事は出来ない。それに、不用意に跳び上がれば身動きの取れない空中で攻撃を受けてしまう。
その為、幸村は防戦一方のままワルドの攻撃に耐えるしかなかった。

「どうしたカンダールヴ!?風をそんな槍1本で防ごうとでも!?」
ワルドは楽しそうに叫ぶと、「エア・カッター」を幸村に向けて発射した。
幸村は槍を翳して防ごうとする。しかし……

「ぬぅっ!!」

ザシュ、という音と共に、幸村の体のあちこちに切り傷が出来る。
形を持たない風の魔法は、槍で防ぎきれるものではなかったのだ。
とはいえ、出来た傷はそれ程深くはない。
ワルドは幸村がまだ立っているのを見て舌打ちをした。
「体の頑丈さは大したものだな。なら、こちらも本気を出すぞ」
そう言うと、ワルドは呪文を唱え始める。そして呪文が完成したその時。

ワルドが分身し、5人に増えた。

「分身だと!?お主忍びの者か!?」
「シノビ?何を言っているのかね?これはユビキタス。風の遍在だ」
5人のワルドが一斉に躍りかかる。1人目が上方から杖を幸村に向けて振り下ろした。
咄嗟に幸村は槍で防ぐ。
その瞬間、2人目がウィンド・ブレイクを幸村の鳩尾に叩き込む。
そのあまりの衝撃に、幸村の体は空高く打ち上げられた。
「もらった!」
この好機をワルドは逃さなかった。
それぞれがエア・カッター、エア・ハンマーなどを唱え、幸村を空中で弄ぶ。
止めとはがりに放たれたウィンド・ブレイクで、幸村は城壁に叩きつけられた。
そのまま重力で幸村は落下する筈だった。


だが、ワルドはそれを許さなかった。


青白く光る杖で、幸村の腹部を貫いたのである。


幸村の口から血が滴る。
勢いよく杖が引き抜かれると、そこからも赤黒い血が噴き出した。
幸村は落下し、突き出たテラスの地面に打ち付けられる。
衝撃で視界が霞む……だが、すぐに意識が覚醒した。
気絶した方が楽になれるのだが、受けた傷の痛みがそれを阻むのだ。

「あれだけやってもまだ立ち上がるか……」
再び立ち上がった幸村を見て、5人のワルドは呪文を詠唱し始める。
「そろそろこちらの精神力も切れる。これで終わりだ」
ワルドの杖から雷が発生する。
『ライトニング・クラウド』。これで止めを刺すつもりなのだろう。
しかし、幸村はまだ諦めていない。
自分が戦いを放棄すれば、待っているのは敗北……それは自分だけでなく、主人のルイズの敗北……或いは死に繋がる。
そんな事はあってはならない。自分を守って勝手に死なないで欲しいと、ルイズ殿に言われたばかりではないか。
幸村は痛む体に鞭打って、槍を構えなおした。
その時だった。


「ユキムラアァァッ!!」


テラスの扉が勢いよく開かれ、ルイズが飛び込んできた。
ルイズは持っていたデルフリンガーを幸村に向かって投げる。
「相棒!!俺を掴めえぇぇー!!」
デルフリンガーが声高らかに叫んだ。
幸村は投げられたデルフリンガーを掴む。それと同時に、ワルドのライトニング・クラウドが放たれた。
「相棒!俺を前に翳せ!!」
「しかし奴の術は……」
「いいから!ほら来やがったぞ!」
ライトニング・クラウドを目にした幸村は、咄嗟にデルフリンガーを構えた。
「無駄だ!風を防ぐ術はないと分かったであろうが!」
ワルドは勝ち誇ったように叫ぶ。

ところが、彼の予期せぬ事が起こった。

命中するかに思えたライトニング・クラウドが、剣に吸い込まれるように消えたのである。


「何!?」
予想外の出来事にワルドが驚いて声を上げる。
だが、驚いたのは彼だけではない。幸村も左手に持ったデルフリンガーを見て我が目を疑った。
「デルフ殿……これは一体……それにさっきの術は!?」
幸村が驚くのも無理はない。デルフリンガーは古びた剣ではなく、今まさに研がれたかのように光り輝いていたのである。
「これが本当の俺の姿さ、いやぁすっかり忘れてた。俺は昔ガンダールヴに握られていたんだ」
デルフリンガーが嬉しそうに言った。
「まぁ安心しな!ちゃちな魔法は俺の力で吸い込んでやる!この『ガンダールヴ』の左腕、デルフリンガー様がな!」
幸村はルイズの方に向き直った。
ほっとしたような安堵の表情を浮かべている。
幸村もまた、ルイズが無事だった事に安心していた。


だが次の瞬間、一陣の風が吹き、ルイズを吹き飛ばした。


「ルイズ殿!!!!」
吹き飛ばされて壁に叩きつけられたルイズを目の当たりにし、幸村が叫んだ。
「余計な事を……もっと早くに殺すべきだったな」
背後からワルドの声が聞こえた。その声が耳に届いた瞬間、幸村の目が大きく見開かれる。
「許さぬ……」
ぽつりと、幸村の口から怒りの篭った声が漏れた。
「許さぬ、許さぬ、許さぬっっ!!」
怒りが体を震わせ、得物を持つ手に力が入る。そして、幸村は野獣が吼えるかのように叫んだ。




「許さんぞ!!!!!ワルドオォォォォォォーーーッッ!!!!!」




幸村が絶叫すると、彼の左手……ガンダールヴの証であるルーンが光り輝いた。
と、その輝きに同調するかのようにデルフリンガーも輝き出した。
「その調子だ相棒!ガンダールヴの強さは心の震えで決まる!何だっていい、とにかく心を震わせな!」
「ううぅぅおおおおおおおおお!!!!!!」
幸村はさらに力強く吼える。
不安を感じた1人のワルドがエア・カッターを放った。
デルフリンガーがそれを吸収する。と、魔法を吸収した瞬間、異変が起きた。
幸村が右手に持った槍、「朱羅」から炎が巻き上がったのである。

5人のワルドに戦慄が走る。
このまま放っておくのはマズイ。そう思ったのか、幸村に向けて一斉に呪文を唱えた。
だが放たれた魔法はデルフリンガーによって全て吸い取られた。
そして魔法が吸い取られると、槍から巻き上がる炎がさらに大きくなる。まるで吸い取った魔法を糧にするかのように。


「ぬおおおおああぁぁっ!!」
「あ、相棒!ちょっと待てやり過ぎ……熱!アチチチチ!!!」


デルフ自身も炎の熱に耐えられないのか、刀身が赤くなり、喚き始める。
正にその時であった。
「ぉぉぉぉおおおおおおおらあああぁぁぁぁーーー!!!!」
幸村の咆哮に呼応するかのように、槍から発している炎が一段と大きくなる。
そして激しく舞い上がりながら、巨大な翼を広げた鳥の形に変わっていった。
(不味い……!!)
身の危険を感じたワルドは上昇を始める。だが、既に遅かった。


「灼っっっ!!熱っっっ!!!!!」


一足早く、幸村の技が完成したのである。


「炎鳳覇ああああああぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!!」


翼を広げた火の鳥が、甲高い鳴き声を上げて飛翔した。


恐るべきスピードで突っ込んできた炎の鳥に、ワルド達はなす術もなく飲み込まれる。
断末魔を上げる暇もなく、骨1つ残らず燃やし尽くされた。
スクウェアクラスに匹敵する程の火力である。
飛び立った火の鳥は上昇を続けていたが、しばらくすると再び炎に戻り、四散した。

と、ドサリ!と空から何かが落下してきた。
落下してきたものは地面に落ち、呻き声を上げている。本体のワルドだ。
「ぐ、ぐおおおぉぉ……」
ワルドは激痛に顔を歪めながら自分の左腕を……否、元々左腕が有った部分を見る。
先程の炎で焼かれたのか、左腕が肩の部分から焼失している。
それでも、直撃を避ける事が出来たのは幸いであった。
「くそ……この『閃光』が遅れを取るとは……」
ワルドが傷を押さえながら悔しそうに呟く。


「如何に風が全てを吹き飛ばす力を持っていたとしても、我が熱き闘志を消し飛ばす事は出来ぬ」


そう言うと、幸村は槍を振り上げようとした。しかし、よろめいて膝をつく。
「無理すんなよ相棒、無茶すればそれだけガンダールヴとして動ける時間が減るんだ」
まだうっすらと刀身が赤く熱されているデルフリンガーが説明する。
その言葉通り、幸村の体はボロボロであった。

「まぁ……いい。どのみちこの城は我がレコン・キスタによって落とされる。愚かな主人と共に死ぬがいい」
「このような所で果てる気などない!必ずや生き抜いてみせる!」
ワルドの言葉に、幸村が激昂する。
しかしワルドは鼻で笑うと、残った右手で杖を振るい、再び宙に浮いた。
「ならば足掻くがいいさ、無駄だと思うがね」
吐き捨てるように言うと、ワルドは空へと飛び去った。
後にはまだ気絶しているルイズと、満身創痍の幸村が残された。



「ルイズ殿……!」
幸村は思うように動かない体で引き摺るように歩き、ルイズの元に歩み寄った。
ルイズの体を抱え起こし、口元に手を当てる。息をしていた。
幸村は安堵の溜め息を漏らす。しかし、すぐに険しい表情に戻った。
「どうする相棒、ここにいたらまず生き残る事は出来ないぜ?」
左手に握られたデルフリンガーが喋る。
城の中からは戦う貴族や兵士の怒号や断末魔が聞こえ、大砲の音が幸村のいるテラスにも響いてきた。
幸村はルイズを抱き抱え、テラスから城内へと戻った。
「まだ手立てはある」
幸村は、おそらく貴族が使っていたであろう部屋に入るとベッドにルイズを寝かせる。
「我等がここに来た時の港、あそこには明日出航する船がある筈。それに乗って逃げる」
「なるほど。だけどなぁ……相棒、フネの操縦は出来るのかい?」
デルフリンガーが最もな言葉を述べる。
例え港に着いてフネに乗れたとしても、動かせなければ意味がないのだ。
「それにだ、そこまで行くのに敵と出会わないなんて事はないだろ?辿り着く前におっ死んぢまうのは目に見えてるな」


「果てる気などない。と言った筈でござる」
「あん?」
「拙者はルイズ殿と誓った。ルイズ殿を守る為に命を無駄にしないと……だから必ず生き延びる」
「……操縦はどうするんだ?」
「拙者の気合で、意地でも動かしてみせる」
「もしフネが出航しちまってたらどうする?王様の話じゃ敵は5万だろ?」
「その時は、5万の敵を斬り捨てるまでよ。拙者の槍と、デルフ殿でな!!」

「いいねぇ気に入った!そうこなくっちゃいけねぇ!なら、とっとと港に向かうかね。」
デルフリンガーが嬉しそうに震える。
とはいえ、ルイズはまだ気絶したままだ。起こしても、まともに走れるかどうかも分からない。
幸村は少し考えると、意を決したように立ち上がった。
窓に近寄り、備え付けられたカーテンを掴むと、それを一気に引き千切る。
そうしてカーテンを長いロープのようにすると、今度はルイズを背負い、千切ったカーテンで体を固定した。
「この際、破廉恥などと言って恥じている場合ではない!!」
幸村はしっかりとルイズを背中に背負い、右手に槍と左手にデルフリンガーを持った。


「真田源二郎幸村、これより死地を駆け抜けるっ!!!」


幸村は自身に気合を入れ直して叫ぶと、部屋から飛び出し、走り出した。



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