あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

紙袋の使い魔-03


「それじゃ、ファウスト。さっきの話の続きをしましょうか」
 部屋に着いたルイズの第一声がそれであった。
 あれから、ものの数分で部屋についてしまったのだから、あのロボコプターというものの凄さが分かる。
 自力で飛んだ訳ではないのが少し寂しいが、とりあえずは今ある喜びで満足しよう。

「そうですねぇ。何から話をしましょうか?」
「うーん・・・。そうだ。元の世界に居たころは何をしていたの?」
「流れの医者をしておりました」
「え、あんたお医者様だったの!?」
「はいぃ。よく疑われますけどネ」

 話をすればするほど驚かされてばかりだ。まさか、この男。この風貌で医者らしい。
 異世界の医者はみんなこいつみたいなのだろうか?
 だが、異世界とはいえ医者は医者だ。ひょっとしたらこの世界より技術が発達しているかも知れない。
 まだ医者としての実力を見ていないが、近いうちに自らの姉。最愛のちい姉さまの病気について見てもらいたいと思った。

「そう・・・。ところでその紙袋は何とかならないのかしら?契約を結んだ主にさえ見せられないの?」
「申し訳ありません。ルイズさん。コレばかりはご容赦ください。これは私への戒めなのです。私は・・
私は以前・・・罪を犯しました。その罪を償うその日まで私はこの顔をさらす事はしないと誓ったのです。
それにこの紙袋をとっても私の顔フラッシュで私の素顔を見ることは出来ないでしょう」

「罪・・ね・・。いいわ。その件については譲歩してあげる。でも、いつか話を出来る日が来たら教えて頂戴。」
あんたの中で踏ん切りが付き、私を真の主と認めた日に。ね。

「ハイ・・・」

「少し辛気臭くなっちゃったわね。あんたから私へ聞きたい事はあるかしら?」

 ファウストは光が弱くなった目を元のように発光させ、何かを思い出すように考えこんだ。

「私は使い魔として貴女に召喚され、そして契約を結んだ。これはどういった意味を指すんでしょうか?」
「使い魔は主人の目や耳となることができる・・・筈なんだけど私にはあんたの見えるものは見えないわ」

 ファウストの顔を見つめながらそう呟く。もし、彼の視線で物事が見えたらどんな風景なのだろうか?
 なにせ、見上げる程の巨躯だ。今まで自分をバカにした連中を遥か高さから見下してやれたらと思うと
 少しルイズは楽しくなった。

「でも見れないんじゃあねぇ。まぁいいわ。他には魔法で使う秘薬なんかを見つけてきたり・・・」
「秘薬ですか・・・。こちらの世界ではどんな物が秘薬になるのですか?」
「例えば、火の秘薬だと、硫黄。水の秘薬だと・・・確か・・何かの精霊の一部だった筈だわ」
「その精霊の一部はよく分かりませんが、硫黄くらいなら精製できますよ。」

 そのファウストの何気ない一言は、この世界の住人からすればとんでも発言以外のなんでもない。
 手に入りにくく貴重だから秘薬なのだ。それをこの男は精製できると言ったのだ。スクウェアクラス
 のメイジが少量作るのにかなりの精神力を使うという秘薬を。

「ちょ、ちょちょちょっと!今あんた何て言ったの!?」
「硫黄くらいなら精製できると」
「なら見せてよ!!今すぐ!早く!!」
「急かさないで下さいよぉ。はりゃほりゃ!!」

 服のポケットに手を突っ込んで勢いよく引き抜くと・・・。
 その手には硫黄が入った袋があった。

「すごい・・・。ほんとにあんたが精製したの・・・?」
「そうですよぉ。ハイィ~。私が精製しましたぁ~」

 この使い魔の評価がみるみる上昇していく。ルイズの中での彼への評価は、最初が低かったのを考慮
 してもこんなに好評価になるとは思いもしなかっただろう。平行世界の東京から召喚されたS・H
 氏が見たら悶死ものであろう。

「さ、さささ、最後は主人の力となり身を守るってのがあるんだけど・・・あんたはお医者様だもんね。
 さすがに法力とか使えてもねぇ」
 これだけの事が出来るのだ。さすがに戦う力まで望んだら始祖ブリミルから罰が当たりそうだ。

「そうですねぇ。今は私愛用のメスも手元にありませんしねぇ。どうもあれが無いとしっくりこないんですよぉ」
「メス?それは武器なのかしら?」
「手術道具兼武器ですかねぇ。メガデス級のギアが出て来たりでもしない限りはある程度は私でも大丈夫だとは思うのですが」

 メガデス級やらギアやらの意味は分からなかったが、どうやらこの医者、戦闘も多少はこなせるようだ。
 もともと持っていた武器もあるらしいので、次の虚無の日にでも買ってやろうと思う。
 それにしてもこの使い魔。やり手である。私のゼロは今日でお終いよーとか思っちゃったり。

「ところで使い魔はいつまでやらせてもらえば良いのでしょうか?」
「死ぬまで。一度契約した使い魔は死なないと契約を破棄できないの。後でそれを言うのは卑怯だとは思うけど」
「そうですか・・・。死ぬまで・・・。まぁいいでしょう。一度乗りかかった船ですし、ルイズさんが困るのは分かっているのに無茶は言いませんよ。不肖。この闇医師ファウスト。ルイズさんの使い魔として全力をつくさせて頂きます」

 この医者の台詞に思わずルイズは涙ぐんだ。今まで魔法が使えず、同級生からバカにされ、信頼できるものが少なかった少女にはこの医者の台詞は自分の心を包み込んでいった。この男だったら例え有能でなくても自分の使い魔として誇れていたであろう。

「ルイズさん・・・泣いていらっしゃるのですか・・・?」

 ファウストはその大きな体で小さなハンカチを私に手渡してくれた。

「ち、違うわ!!これは心の汗よ!!燃えてくると目から汗が出てくるのは当然の事じゃないの!?」

 そういうとルイズはハンカチで鼻をちーんとかみ。満面の笑顔でファウストを見たのだった。

「(なんと純真無垢でいい笑顔なのだろう。神よ。罪深き私にこの少女と出会う権利を下さり深く感謝いたします。私はこの少女の笑顔を守りましょう)」
「どうしたの?ファウスト。何か考え事?」

「ルイズさん。一つだけお願いがあるのです。私は医者です。もし私が助ける事が出来る命があれば・・・」
「えぇ。言わなくても分かっているわ。助けてあげて。それがあんたの使命なんでしょ?」

 ルイズは安堵するファウストの表情を見ると真剣な顔をした。

「実は私には病気の姉がいるの。ちい姉さまっていって2人いる姉の内、私を可愛がってくれる大好きな姉さまが。」
「分かりました。今からお姉さんの所へ行きましょう」
「今から!?どうやって行く気なの?」
「物質転移を使います。病で苦しんでいる人がいると知った以上、放っては置けません。場所はルイズさんが知っているなら行けますので」

 そんな事まで出来るのかこの男は。の○太が堕落していたのは間違いなくあの青狸のせいだろう。

「ま、まって。この時期はちい姉さまは療養をかねてお父様から任されている領地に居るはずだわ。私が学院に入ってから領地をまかされたから詳しい場所は分からないのよ・・・」

 分かりやすく目の輝くが失われていく。ファウストにとって人を助ける事は自分自身が生きている事の証なのであろう。
 そんなファウストを見るのは辛い。

「・・・心配してくれてありがとう。先日お手紙を出した時はお元気そうだったから今の所は体調もいいのだと思うわ。近いうちに実家に帰る用事を作るから、ちい姉さまの事はその時に見てあげて」
「はい・・・。分かりました。ですが、何か調子が悪そうと感じたらすぐに行きましょう」
「ええ。分かったわ。ありがとうファウスト」

 ファウストと喋っていると時間がどんどん過ぎて行く。法力の事や気になる事はまた今度聞くとしよう。

「ファウスト。私眠くなってきちゃったわ。そろそろ今日はお開きにしましょう」
「そうですね。睡眠不足は美容の大敵。それはナイスな判断ですヨ。ところで私は何処で寝ればよろしいのでしょうか?」
「勿論使い魔なんだからこの部屋よ。まさか人間を召喚するとは思っても見なかったから藁しか無いけど、ベッドは新しく買う予定だからとりあえず床で我慢してくれるかしら?」

 私は何の疑問も持たず言った台詞だったのだがファウストはそう取らなかったらしい。
「イ、イ、イ、イケマセンよ!うら若き乙女と同じ部屋で寝食を共にするなんて!」
「別にいいわよ。あんたは使い魔なんだし。そこらへんの野蛮な男達と一緒とは思っていないわ」

「ですが・・・さすがにそれは・・・」

 ファウストは真剣に悩んでいるようだ。異世界からやってきた有能な医者でもこういった事には免疫が無いらしい。
 その様子を面白そうに眺めていると、ファウストは思い立った様に自分の鞄の中からギザギザの刃が付いたよく分からない物を取り出した。
 どう考えても鞄の大きさからするにありえないものだがこの医者ならそんな事は関係ないだろう。

「ちょっと・・・何それ?何する気なの?」
「コレは電動チェーンソーと言いまして、所謂大工道具みたいなもんです。しばしお待ちを」

 ファウストはその何とかソーとか言うので私の部屋の壁の方へ行くと・・・・。
 おもむろにそれを振り上げ・・・。
 斬り付けた。そりゃもう豪快に。私が声を失って呆然と見続けていると。

「にょほ~!ほれほれ!どうですか!?バッパッパー!!」

 叫びながら、壁を切り刻んでいく。これは後で気付いたのだが、強力な固定化がかかっていた筈なんだが・・・。
 ・・・・・期限切れだったのだろうか?

「これで仕上げですよぉ!!そぉぉぉぉい!!」

 職人のような顔(当然見えないのだが)で満足そうにしているファウスト。
 何と壁に扉が出来ている。

「(私の部屋の隣って・・・ツェルプストーの部屋じゃない!?こんなことしちゃったらあの女ったらまた私に絡んでくるに違いないわ!!ばれない様に塞がないと・・・)」

 ルイズは冷や汗を掻きながらその扉を開けた。
 だが、そこにあるのは見た事も無い部屋で宿敵の姿は見えなかった。
「あ・・れ?ねぇファウスト。あんたこれは何をしたの?」
「さすがにルイズさんと同室はマズイと思いましたので、私用の部屋を作りました」
「作ったってあんた・・・。隣の部屋と私の部屋の間には壁一枚だった筈よ・・・」
「それは気にしない方向でいいと思いますよ。さぁこれで不安材料は取り除かれました。ごゆっくりとして下さいネ」

 考えても無駄。この男、話をしてみると良識人なのだがやっている事は滅茶苦茶だ。ルイズの常識が全く通じない。
 軽く頭痛を覚えたが、眠気の方が勝ったようだ。

「そうね・・・もう寝るわ・・・ふぁうすと・・・ワタシのふくのせんたくと・・・あしたのあさ・・おこし・・・」

 台詞も言い終えぬまま彼女は夢の世界へと旅立った。

「フフフ。強がっていてもまだまだ子供ですねぇ。さて明日のモーニングコールもありますし私もおねむの時間にしますかね。
洗濯については明日の朝考えるとしましょう」

「それでは私の小さなご主人様。おやすみなさい」


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