ニューカッスル城内は騒然としていた。
突如として、上空に浮かぶ戦艦レキシントン号が砲撃を開始したのである。
さらにレコン・キスタの兵がなだれ込み、戦闘の準備もままならない王軍に襲い掛かっていった。
突如として、上空に浮かぶ戦艦レキシントン号が砲撃を開始したのである。
さらにレコン・キスタの兵がなだれ込み、戦闘の準備もままならない王軍に襲い掛かっていった。
「こいつぁ大砲だぜ相棒、連中もうおっ始めたみたいだな」
砲撃で揺れる中、幸村の背中のデルフリンガーが落ち着いた様子で言った。
「攻撃は明日って話だったが……ありゃ嘘だったのかねぇ……ところで相棒、さっきからどうした?」
ふと、デルフは左目を押さえている幸村に不思議そうに尋ねた。
「ワルド殿が……ワルド殿が見える」
幸村は、自分の左目に映る光景に驚く。まるで右目と左目が、それぞれ違うものを見ているようだった。
「これは……拙者の目はどうしてしまったというのだ!?」
砲撃で揺れる中、幸村の背中のデルフリンガーが落ち着いた様子で言った。
「攻撃は明日って話だったが……ありゃ嘘だったのかねぇ……ところで相棒、さっきからどうした?」
ふと、デルフは左目を押さえている幸村に不思議そうに尋ねた。
「ワルド殿が……ワルド殿が見える」
幸村は、自分の左目に映る光景に驚く。まるで右目と左目が、それぞれ違うものを見ているようだった。
「これは……拙者の目はどうしてしまったというのだ!?」
「ああ、そりゃあ娘っ子の視界だろ」
驚く幸村にデルフリンガーが答える。
「ルイズ殿の?」
「ああ、使い魔ってのは主人の目となり耳となる能力があるって聞かなかったか?逆の場合もあるのさ」
幸村は左手に輝くルーンを見る。
なるほど、これもまた自分に与えられた能力なのだと、幸村は納得した。
しかし、何故今になってこんなものが見えるようになったのか……
驚く幸村にデルフリンガーが答える。
「ルイズ殿の?」
「ああ、使い魔ってのは主人の目となり耳となる能力があるって聞かなかったか?逆の場合もあるのさ」
幸村は左手に輝くルーンを見る。
なるほど、これもまた自分に与えられた能力なのだと、幸村は納得した。
しかし、何故今になってこんなものが見えるようになったのか……
「相棒、娘っ子の所に行った方がいいぜ。多分やばい状況になってんだ」
「何っ!?」
デルフリンガーの言葉に、幸村は思わず声を上げる。
もし、ルイズの身の危険を教える為にこの能力が現れたのならば早く向かわねば。
幸村は十文字槍を手に取り、部屋から駆け出した。
「何っ!?」
デルフリンガーの言葉に、幸村は思わず声を上げる。
もし、ルイズの身の危険を教える為にこの能力が現れたのならば早く向かわねば。
幸村は十文字槍を手に取り、部屋から駆け出した。
ルイズは不安におののきながら、ワルドを見つめていた。
今のワルドの言葉……
今のワルドの言葉……
“総攻撃の合図”とはまさか……
ルイズの心の中で、考えたくない答えが急速に膨れ上がっていく。
震える声でルイズはワルドに尋ねた。
「ワルド、あなたまさか……レコン・キスタ!?」
「そうとも、いかにも僕はアルビオンの貴族派『レコン・キスタ』の一員さ」
ワルドは冷たい、感情のない声で言うと、杖を掲げて呪文を唱え始めた。
ルイズはハッとなり杖を抜くが、『閃光』の二つ名の如き素早さで呪文「ウィンド・ブレイク」を完成させていた。
強力な風の魔法に、ルイズの小さな体は紙切れのように吹き飛ぶ。
「欲しいものは力ずくでも奪え。それが出来ないのなら、他の者に奪われるぐらいなら、いっそ壊した方が良い。なぁルイズ?」
吹き飛んだルイズに向かって再度呪文を唱え始める。
空気が震え、稲妻がワルドの杖から発生する。ワルドが得意とする呪文……『ライトニング・クラウド』だ。
「さようなら、僕のルイズ」
ワルドが叫ぶと同時に杖が振られ、ライトニング・クラウドが放たれた。
震える声でルイズはワルドに尋ねた。
「ワルド、あなたまさか……レコン・キスタ!?」
「そうとも、いかにも僕はアルビオンの貴族派『レコン・キスタ』の一員さ」
ワルドは冷たい、感情のない声で言うと、杖を掲げて呪文を唱え始めた。
ルイズはハッとなり杖を抜くが、『閃光』の二つ名の如き素早さで呪文「ウィンド・ブレイク」を完成させていた。
強力な風の魔法に、ルイズの小さな体は紙切れのように吹き飛ぶ。
「欲しいものは力ずくでも奪え。それが出来ないのなら、他の者に奪われるぐらいなら、いっそ壊した方が良い。なぁルイズ?」
吹き飛んだルイズに向かって再度呪文を唱え始める。
空気が震え、稲妻がワルドの杖から発生する。ワルドが得意とする呪文……『ライトニング・クラウド』だ。
「さようなら、僕のルイズ」
ワルドが叫ぶと同時に杖が振られ、ライトニング・クラウドが放たれた。
(ああ……私、殺される……)
立ち上がろうとするが、ショックで足に力が入らない。
ルイズは震えながら自分の最期を悟った。
不意に1人の青年の姿が脳裏に映る。ルイズは、自然とその青年の名を口にしていた。
「助けて……助けに来なさいよ……」
ルイズは震えながら自分の最期を悟った。
不意に1人の青年の姿が脳裏に映る。ルイズは、自然とその青年の名を口にしていた。
「助けて……助けに来なさいよ……」
眼前にまで青白い雷光が迫ってくる。
ルイズはあらん限りの声でその青年の……使い魔の名を叫んだ。
「ユキムラアァッッ!!!!」
ルイズは目を瞑る。
ルイズはあらん限りの声でその青年の……使い魔の名を叫んだ。
「ユキムラアァッッ!!!!」
ルイズは目を瞑る。
その時だった。
ルイズの目の前の床が砕け、見覚えのある赤い甲冑を着た男が飛び出してきたのは。
「貴様……!」
ワルドは驚いたように呟いた。
床を突き破って現れた幸村がルイズの前に立ちはだかり、代わりにライトニング・クラウドを受けたのである。
「ユ、ユキムラ……」
「ルイズ殿、御無事でございますか?」
幸村はルイズに問い掛ける。ルイズは尻餅をついたまま、何度も頷いた。
ワルドは驚いたように呟いた。
床を突き破って現れた幸村がルイズの前に立ちはだかり、代わりにライトニング・クラウドを受けたのである。
「ユ、ユキムラ……」
「ルイズ殿、御無事でございますか?」
幸村はルイズに問い掛ける。ルイズは尻餅をついたまま、何度も頷いた。
「驚いた、まさかあれを受けて立っている者がいようとは」
と、ワルドが幸村を見て言った。
ワルドのライトニング・クラウドは、当たれば相手の命を奪う程の威力だ。
だが信じられない事に、直撃を受けたにもかかわらず幸村の体は多少火傷を負った程度であった。
原因は、彼の世界……戦国の日本での戦いだった。
奥州独眼竜や越後の龍との幾重にも渡る戦い……そして武田信玄による厳しい修行が、幸村の屈強な肉体を作り上げたのである。
と、ワルドが幸村を見て言った。
ワルドのライトニング・クラウドは、当たれば相手の命を奪う程の威力だ。
だが信じられない事に、直撃を受けたにもかかわらず幸村の体は多少火傷を負った程度であった。
原因は、彼の世界……戦国の日本での戦いだった。
奥州独眼竜や越後の龍との幾重にも渡る戦い……そして武田信玄による厳しい修行が、幸村の屈強な肉体を作り上げたのである。
「とはいえ、流石に体を動かすのは難しいようだな。ガンダールヴ?」
「くっ!」
「くっ!」
ワルドの言葉通り、立っていた幸村はしばらくすると片膝をついてしまった。
それでも幸村は左手でデルフリンガーを引き抜き、右手に持った槍を構えてワルドを睨みつける。
「これはどういう事だワルド殿、国を……アンリエッタ殿を裏切るというのか!?」
「そうだ」
自分に何の非もないという顔でワルドは言った。
「この攻撃……レコン・キスタとやらに合図を送ったのもお主か!?」
「そうだ」
「何故だ!お主程の男が何故!!」
それでも幸村は左手でデルフリンガーを引き抜き、右手に持った槍を構えてワルドを睨みつける。
「これはどういう事だワルド殿、国を……アンリエッタ殿を裏切るというのか!?」
「そうだ」
自分に何の非もないという顔でワルドは言った。
「この攻撃……レコン・キスタとやらに合図を送ったのもお主か!?」
「そうだ」
「何故だ!お主程の男が何故!!」
「だからこそ!ハルケギニアの将来に憂いたのだ!!」
言うと同時に、ワルドはウィンド・ブレイクを放った。
(いかん!)
咄嗟に幸村はルイズを突き飛ばす。
一足遅れて、ウィンド・ブレイクが幸村に命中した。
強力な風の衝撃は、幸村が叩きつけられた壁ごと破壊する。
咄嗟に幸村はルイズを突き飛ばす。
一足遅れて、ウィンド・ブレイクが幸村に命中した。
強力な風の衝撃は、幸村が叩きつけられた壁ごと破壊する。
壁の向こうは外。しかも、高所に位置していた。
「ぐおおぉっ!!」
幸村はそのまま吹き飛ばされ、上空に舞う。
ワルドは吹き飛んだ幸村を追う為、空けられた穴から外へ出て行った。
幸村はそのまま吹き飛ばされ、上空に舞う。
ワルドは吹き飛んだ幸村を追う為、空けられた穴から外へ出て行った。
突き飛ばされたルイズは慌てて起き上がり、穴から外を覗いた。
辺りを覗うと、幸村の着込んだ赤い甲冑がルイズの目に止まる。
地上に激突したかと思われた幸村だったが、運良く城の外にあった塔のてっぺんに着地したようだ。
ルイズはホッと溜め息を吐く。
辺りを覗うと、幸村の着込んだ赤い甲冑がルイズの目に止まる。
地上に激突したかと思われた幸村だったが、運良く城の外にあった塔のてっぺんに着地したようだ。
ルイズはホッと溜め息を吐く。
「娘っ子!安心してねぇで早く助けてくれ!」
と、崩れた城壁の瓦礫の中から声が聞こえた。
見てみると、瓦礫の下からデルフリンガーの刀身が覗いている。
幸村がウィンド・ブレイクを受けた拍子に手放してしまったようだ。
ルイズは瓦礫をどかし、デルフリンガーを助け出す。助け出されるやいなや、デルフリンガーは叫んだ。
「早く、早く俺を相棒の所に!」
ルイズはもう一度外に目を向ける。
塔に着地した幸村が、空中に浮かぶワルドと対峙していた。
と、崩れた城壁の瓦礫の中から声が聞こえた。
見てみると、瓦礫の下からデルフリンガーの刀身が覗いている。
幸村がウィンド・ブレイクを受けた拍子に手放してしまったようだ。
ルイズは瓦礫をどかし、デルフリンガーを助け出す。助け出されるやいなや、デルフリンガーは叫んだ。
「早く、早く俺を相棒の所に!」
ルイズはもう一度外に目を向ける。
塔に着地した幸村が、空中に浮かぶワルドと対峙していた。