あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

約束の地ハルケギニア-02


「ところでその猫、あんたの使い魔って言ってたわね」
「え、一応そうなるかな」
時が経ち、辺りは既に夜になっていた。今話しているのは、ルイズの自室である。ハルケギニア魔法学院は、全寮制の学舎であるそうで、今いる部屋も寮の中の一角である。
ベッドや椅子、テーブル等、一通りの家具は備え付けられていた。その中でルイズは椅子に座り、エクセルは壁に寄り掛かっている。因みにロゼはテーブル向かいの椅子に寝そべっていた。
「背中のマントに、使い魔がいる……って事はあんた、メイジなの?」
ルイズは若干不機嫌そうにありながらも、その実興奮を隠し切れずに問い掛けた。もしメイジ、魔術士であれば、人を召喚した事実は変わらないものの、少なくとも何も出来ない平民ではなくなる。
「いや、僕は魔法は使えないよ――剣や鎌、杖とかを使って炎を出したり、氷を生み出したり雷を落としたりはできるけど」
「何それ、意味わかんない」
ルイズの知るかぎり、魔法を用いず使い魔を作る方法は無かった。まあこの部分はいいだろう。ルイズは学問が優秀であるとはいえ、自分の知らないどこかでそんな文化が息づいているのかもしれない。


だが、杖ではなく剣や鎌で炎を出したり雷を落としたりする?その言葉はルイズにとっては完全に常識はずれの事だった。
魔法だってある程度加工してあるものでもいいものの、魔法の媒体になるのは杖である。純然たる武器で魔法を使うなど、聞いたことがなかった……少なくとも、人間の範疇ならば。
ルイズは多少躊躇いがちに、聞いてみる。
「って事は……もしかしてあんた、人間じゃないの?」
「ニンゲン……?違うよ」
人間ではない、との答えに、ルイズは自身の体が硬直するのがわかった。人間でなければ一体、何だというのか。
少なくとも耳は普通の人間のものだから、エルフとかの類ではない……と思う。外見的特徴が人間と殆ど変わらないのに、自らを人間ではないと言うエクセル。
ルイズの心に、若干の恐怖と、嘘だと思う疑いが生まれた。
「なら何なのよ」
ルイズは聞く。若干、好奇心も生まれているようだ。その問いかけに、エクセルの頬に何故か朱が差す。
「信じてもらえるかどうか、わからないんだけど――」
「何よ、勿体振らないで早く言いなさいよ」


「うん、わかった……実は僕、天使なんだ」
部屋の中を、沈黙が支配した。無論、驚きによる沈黙ではない。
「あんた、もうちょいマシな嘘つきなさいよね」
ルイズは大きく息を吐いた。ルイズの心中はもはや、エクセルは大嘘つき、という疑いしかなかった。
これではロゼが使い魔というのも、剣や鎌から炎を出すとかも途端に嘘としか思えなくなる。信じかけていた事に、自分を恥じた。
「やっぱり信じてくれないじゃないか」
「そんな大嘘、外で話さないでよ、恥ずかしいから」
「嘘じゃないのに……」
エクセルは肩を落とし、それからしばらく部屋を静寂が支配する。それを断ち切ったのは、エクセルの遠慮がちな問いかけだった。
「で、ここはリヴィエラのどの辺りなのかな?」
「リヴィエラですって?それがあんたの生まれた田舎の名前なの?ここはハルケギニアのトリステイン、覚えておきなさい、私に恥かかせないようにね」

エクセルは愕然とした。リヴィエラを知らないと言うのだ。常闇の迷宮を脱出している時に飛ばされたから、ここはリヴィエラだと勝手に思っていたが、別の世界なのだろうか。
ルイズの言葉から言えば、ハルケギニアという世界らしいが。
「参ったな、まだ問題が解決したわけじゃないのに……」
「問題が発生してても、不本意だけどあんたは今日から私の使い魔。戻ろうなんてダメよ」
「使い魔ね……ボクはエクセルの使い魔になってから、何かをした覚えがないけど……ここでは、何かしなきゃいけないの?」
椅子に寝そべりながら、ロゼが問い掛けた。ロゼがしてきたことと言えば、小窓にマナウィスプを取りに言ったり、合体攻撃に参加したぐらいのものである。
「当たり前でしょ、私の部屋に住ませてあげるんだから、最低限の働きぐらいはしてもらわないと。
まず、使い魔になった時点で感覚を共有――主人の目となり、耳となる能力が与えられるはずなんだけど……それは無理みたいね」
「そうだね」
「あとは主人の望む物を見つけてくるの。わかりやすいところで秘薬の材料とかね」

「でも僕は、自然とかそういうものに詳しくないからなぁ……キノコならちょっとぐらいわかるけど」
「田舎暮らしだったのに、植物とかの事も判らないのね……いいわ、後は主人を敵から守ることなんだけど」
「あ、それは多分大丈夫。このエクセリオンがあるからね」
エクセルは壁に立てかけていたエクセリオンを軽く掲げる。だがそれでも、ルイズの瞳には疑いが満ちている。
「そんな変な形の武器、見たこと無いんだけど。どっかの美術家が、部屋の飾りとして置いておいたものって言われたほうが、よほど信じられるわ」
「確かにこれはディヴァインだから、普通の武器とは違うけど」
「別にあんまり期待してないからいいんだけどね、その形だし。だから最低限の事をやってもらうわ。洗濯とか掃除とかね」
「……善処するよ」
エクセルはもはや泣きそうになっていた。目には微妙にだが涙が溜まっているように見える。
「災難だね、エクセル」

ロゼは相変わらず寝そべりながら言った。その態度にエクセルは若干ムッとしていたが、何も言い返さなかった。
と、ルイズが口を押さえて、あくびをした。
「もう眠くなってきちゃったわ、今日はもう寝ることにしましょ」
ルイズはベッドのほうに近づいていく。見たかぎり、部屋にはベッドが一つしかない。
「僕は何処で寝ればいいかな」
「……床、嫌なら椅子でもいいわよ」
エクセルは抗議しようとも考えたが、恐らく意味がないだろうと思い、抗議しないことにした。流石に床は嫌なので、椅子に腰掛ける。
「これ使っていいわよ」
ルイズは余っていた毛布を投げてよこしてきた。エクセルはそれを顔をあげて掴み……次の瞬間硬直した。
ルイズがブラウスを脱ぎ、下着姿になっていたのである。
「…………」
エクセルは何も言わないが、ルイズから目も背けない。若干呆けながらも、ルイズの肢体を見つめていた。
やがて下着も脱ぐ。それでもエクセルは目を背けない。頬は紅潮しているようではあるが。
「これ、明日になったら洗濯……」
ルイズはその時になって、始めてエクセルの視線に気が付いた。


「何よ、そんなにじろじろと見て」
どうやらあまり恥ずかしくはないらしい。ルイズの問い掛けにも、エクセルはただ呆けているだけだ。
「……もういいわ、これ、洗濯しておいて」
ルイズはキャミソールとパンティをエクセルに投げると、ネグリジェを着てベッドへ横たわる。
「…………」
やがてランプの灯が消え、ルイズが寝息をたてても、しばらくエクセルは呆けたままだった。


新着情報

取得中です。