あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの赤ずきん-03


ゼロの赤ずきん三話

「おねぼうサンは嫌われるのよっ そろそろ起っきましょーねっ」

明るく弾んだその言葉を聞き、ルイズは眠たげな顔を上げた。恨めしそうな目でバレッタを睨む。
「おはようっ!昨日はよく眠れた?ルイズおねぇちゃん」
「座ったまま熟睡できるわけないでしょっ、こんのバカッ!!ていうか眠れなかったのよ!」
貴族育ちのルイズにとって、椅子に座ったまま一晩を寝るために過ごしたことなんてもちろんない。
だから、うとうとしながらも眠れないまま朝を迎えた。

ルイズは自分で着替えた。本当はバレッタを侍女のように扱い、着替えも手伝わせようと考えていた。
しかしそれはしなかった。自分の使い魔をうかつに扱うと、ヤケドどころじゃ済まないことをしっかり学習していたからだ。
二人が部屋を出ると、ちょうど隣の部屋から人が扉を開けて出てきた。
燃えるような赤い髪、ルイズとは正反対な豊満な胸元、褐色の肌、身長はルイズよりもずっと高い。
彼女はルイズを見ると、にやっと笑った。

「おはよう、ルイズ、あら、どうしたの?目の下に隈なんてつくってみっともないわねぇ」

ルイズは顔をしかめると、嫌そうに挨拶した。

「こんばんわ、キュルケ」

キュルケと呼ばれた女性は不思議そうな顔をした。よくよく見ればルイズから生気があまり感じられない。

「どうしたのよルイズ、具合でも悪いワケ?」

面倒くさそうにルイズは答えた。

「寝てから目を覚まさないと夜は明けないのよキュルケ、そうよ、寝たら朝が来るのよ」

明らかに様子がおかしい。キュルケは話題を変えることにした。
「あなたの使い魔って、それ?」
バレッタを指差して、馬鹿にした口調でいった。
「そうよ」

「あっはっは!ほんとに人間なのね、すごいじゃない!『サモンサーヴァント』で平民喚んじゃうなんて、
 あなたらしいわ。さすがは『ゼロ』のルイズ。……ねえちょっとは反応してよね、面白くないじゃない」

ルイズは目線を斜め下に落として、その話を黙って聞いていた。
「うるさいわね」
「……まあいいわ。あたしも昨日使い魔召喚したのよ。どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわよねぇ~。フレイムー」
その呼び声でキュルケの部屋からのっそりと、トラほどの大きさのある赤いトカゲが現れた。

「うわぁーすごいっ!」
バレッタが歓喜したようすで二人を通り過ぎフレイムに近づく。その姿をルイズとキュルケは目で追った。
「おっほっほ、見る目あるわねこのコ。フレイムは間違いなく火流山脈のサラマンダー、ブランド物よー。
 好事家に見せたら値段はつかないわよ?いいでしょう?」
この時になってルイズがキュルケの言うことに初めて過敏な反応を示した。

「っっよくないわよ!!何やってんのよもう!キュルケ!!」

責められた理由をキュルケは良く理解できなかった。何がなんだか、首を傾げるばかりであった。
つかつかと早歩きでルイズはバレッタに近づく。

「バレッタ、言っておくけど使い魔を奪って売り飛ばそうと考えていても無駄よ」

予想外過ぎるその言葉に心底驚いたキュルケが口を挟んだ。
「ちょっと待って何言ってるの?売り飛ばすってフレイムを!?このコが!!?」
ルイズはそのキュルケの言葉を無視し、バレッタに続けて言った。

「いーい?バレッタ。あんたは知らないでしょうけど、使い魔と主人は感覚を共有できるの。具体的に言えば、
 使い魔が見たもの聞いたものを主人は知ることが出来るの、あんたと私は出来ないみたいだけど、
 とりあえずわかった?使い魔を生きたまま攫おうが殺してからバラして売ろうがすぐに足がつくのよ、
 だからやめなさいよホントに!!使い魔が使い魔連続失踪事件なんて起こさないでよ……!」

今まで二人に背中を見せていたバレッタは振り向いて残念そうな顔を浮かべる。手にはナイフが握られていた。
「そうなのー?ざんねーん……」
よく見てみれば、フレイムがぶるぶると体を震わせ怯えてる。
キュルケは信じられないものをこの短い間でいくつも見た。自慢の使い魔がルイズの使い魔に怯えている姿。
可愛らしげな少女が物騒なナイフを持つ姿。精神的にすれたルイズ。
驚きを隠せないキュルケを見てとったルイズは語りかけた。

「信じたくないけど、これが私の使い魔なの。言っておくけど人間で平民よ。……悪魔だけど。それと、もうひとつ、
 昨日あんたの命救ったのは私なんだからね、感謝しなさいよ……」

キュルケはますます意味がわからなくなった。

命を救った?一体何のこと?

頭の中がごちゃごちゃになり一旦整理をしようとしているところにバレッタが喋りかけてきた。
「キレイなおねぇーさん、はじめまして。わたし、バレッタよ」
そういって、ペコリとおじぎをした。
「え、ええ、はじめまして。キュルケよ。そうね、キュルケって呼んでいいわよ……」
目の前の少女は、赤一色のずきんが良く似合うだけの普通の女の子にキュルケは見えた。すくなくとも外見は。
そうなのにもかかわらず、背中には薄ら寒いものを感じている。

このコは一体……。

「……じゃあお先に失礼するわ」

数多くの疑問を抱えたまま、キュルケはその場を去っていった。
キュルケがいなくなると、ルイズは拳を握り締めた。

「くやしい……、なんなのあの女。自分が危険じゃない使い魔を呼んだからって、えらそうに!!」

「悔しがるところまちがってるよぉー、ルイズおねぇちゃん♪」

二人は朝食をとるために食堂に向かった。
そこは学院内にあり、『アルヴィーズの食堂』と呼ばれている、とても華やかな作りの建物。
中に入ると、バレッタは、その内装の豪華絢爛さに本当に驚いていた。

「うお、スッゲェなこりゃ……じゃなかった。うわぁーキレイー!まるで御伽噺に出てくるお城みたーい!」

やたらと長い机に、これでもかというぐらいに贅沢を極めた料理が所狭しと並べられている。
バレッタにはとても朝食とは思えないほどの料理であった。
驚いている間にルイズは自分の席についていた。
バレッタがそれに気づいて、自分も座ろうと席を探すが、どこも空いていない。

バレッタの顔がにこやかな顔から変異しているのをルイズは危険信号とみた。
しかし、ボロボロになったプライドは、無謀にも昨夜のことについて復讐を果たそうとしていた。

「あのね? ホントは使い魔は、外。あんたは私の特別な計らいで、ゆ、ゆ、床なの…」

最後の方が口が震えて上手く言えなかったが、一応は言った。ルイズは言ってやった。
そして指をさす。バレッタがその指の先にあるものを見た。そこには皿が直に床へ置かれていた。
皿の中には、粗末なスープ、その皿の端っこには固そうなパンが二切れ置いてあるだけであった。

ルイズは、崖から飛び降りるような気持ちで賭けをしていた。
バレッタがあのような二面性を持つということは、暴力的な面を他者の目から欺くためであるに違いない、
そうであるからして、自分ひとりや数人に本性がバレるならまだしも、大人数がひしめき合う食堂の中で、
まさか、暴れだしたりするわけがない。ルイズは昨夜一晩中考えた末、そう予想していた。

使い魔に関しては、誰にも、教師にも頼るわけにはいかない、それだけが今のルイズの中にある最後の砦であった。

ルイズは、自分の料理に目をやる。ここが正念場だと気を奮い立たせる。そしてバレッタに背を向けたまま言った。

「平民が貴族と同じもの食べられるわけないでしょ、。でもそんなのを食べたくないでしょ?だから一つ条件をのんでくれ……」

言い終わる前に、ルイズの背後で、乾いた破裂音のようなものが食堂中に響いた。
食堂にいる者全てが何事かと思いざわつき辺りを見渡す。
ルイズは振り返り、後ろを見る。そこには、皿であったものが原型を留めず粉々に割れており、
割れた衝撃でスープは広い範囲に床へぶちまけられていた。明らかに何か道具を用いて割られていた。
割った犯人であるはずのバレッタの姿は食堂のどこにも無く、すでに消えうせていた。
ルイズはまるで、自分の将来の成れの果てを見るかのように、その皿の残骸を見下ろしていた。

ヤバい……失敗した……怒らせた?もしかして……ほ、報復される?

ルイズは頭を抱えた。豪華な朝食はあまり喉に通らなかった。

メイドの格好をした素朴な感じの少女が、朝食の給仕を終え、厨房に帰ろうと食堂から出てきた。
彼女の名はシエスタといった。
シエスタは銀のトレイを手に持って歩いている。その道中に一人の少女が座りこんでいるを見つけた。
少女はシエスタと同じ平民であるようだった。しかし、学園で働いている使用人ではない。それは見てわかった。
その少女の横顔には、憂いの感情がにじみ出ていた。儚く消えてしまいそうな、そのような弱さを感じさせる。
そんな悲しげな表情を浮かべている少女は、誰もかもが庇護欲を抱かずにはいられなくなる何かがあった。
シエスタも、放っておくことが出来ない衝動に駆られていた。
そして、故郷にいるきょうだい達とその少女を重ね合わせた。シエスタは、ますます放っておくことが出来なくなる。
やさしい笑顔を浮かべ、相手を怖がらせないように細心の注意を払い、シエスタは少女に語りかけた。
「どうしたの?具合でも悪いの?」
話しかけられた少女はシエスタの言葉に対し反応をみせなかった。ただ何かを見つめていた。
「お花」
その言葉で少女が見ていたものがわかった。一輪の小さな花がそこに植わっている。
「お花、キレイだよね……」
シエスタはその場に座り、目線を同じ高さにして、柔らかい口調で言った。
「そうね、とてもきれい、それにとても可愛らしいお花ね。……あのね、もしも何か困ったことがあったのなら
 お姉さん、助けになりたいのだけど、よかったら教えてくれないかな?」
きょうだいがいるおかげで、年下の扱いに慣れているシエスタは、この場合辛抱強く聞くことが重要であることを知っていた。
しばらくして、押し黙っていた少女が口を開く。

「バレッタね、お腹ぺこぺこで朝のお食事楽しみにしていたの。それでルイズおねぇちゃんがショクドーに連れて行ってくれたの」

ルイズという名前で、自分のことをバレッタと言った少女のことが誰であるかシエスタは理解した。
学院の使用人である平民達の間でも噂になっていた、ヴァリエール嬢が呼び出した使い魔であった。

平民のルイズへの評価は可も不可もなくといった具合だが、それは単に接点が少ないというだけであった。
シエスタはそのヴァリエール嬢と使い魔との間にトラブルがあったとものと考えた。バレッタの話の続きを待った。

「ごーかな食事で、うれしかったの。でもね、座るところがなかったのね、聞いたらルイズおねえちゃんがこう答えたの」

「“あまえるなカス、きさまらへいみんはしょせん、われらがきぞくに、さくしゅされるがわのちくしょうにすぎない、
 それがきぞくとおなじものをくちにするなど、はなはだおこがましいこういだ、みのほどをしれ、かちくふぜいが。
 せいぜいじべたにはえているくさでもくってろ。このっそうしょくどうぶつめがっ!!!”って」

「バレッタね、むずかしいことはわからないけど……」

「……草なんてたべたくないよぉ……っ」

ひどいっ……!!!ひどすぎるっ……!!!こんなことがあってっ!!ああ許されていいのでしょうか!!

シエスタは、おもわず口を手で覆った。目頭が熱くなる。そしてこんなひどい仕打ちが出来るルイズの人格を疑った。

貴族の平民に対する扱いは確かにひどいものがあった。だが、このような小さな少女に対してする行為ではなかった。
それに、ルイズは最初から食事を与えるつもりがないのにもかかわらず、腹を空かしたバレッタにただ見せ付けるだけ、
それだけのために食堂まで連れて行ったのだ。非道すぎる、鬼畜すぎる。シエスタはそう考えた。

この少女は自分が助けなければ、そうだ、残酷無比の悪魔の手にかかった、このかよわい少女を。

シエスタの中に強い義務感と使命感が生まれていた。

鼻をすすりながらシエスタは涙声でバレッタに言った。

「つらかったでしょう……もう……もう大丈夫よ。お姉さんがお腹いっぱいおいしいものを食べさせてあげるからねっ……!
 良く頑張ったね……!これからは困ったことがあったらすぐに私に言って。絶対にバレッタちゃんを助けるから……!」

その言葉を聞いたバレッタは信じられないものを見るような目をした。そしてすぐに満面の笑みに変えた。

「ありがとうおねえちゃん……。おねえちゃん、お名前はなんていうの?」

「シエスタ、シエスタよバレッタちゃん」

言い終わるかどうかのほどで、バレッタはシエスタの胸に飛び込み、胴に手を回しギュッとメイド服の端を掴んだ。
よほどつらかったのだろうと包むようにバレッタを抱き、シエスタは頭をやさしく撫でた。

「ありがとう、ここに来てから優しくしてくれたのはね、シエスタおねえちゃんだけなの……ホントにありがとう……」

シエスタの胸に顔を埋めたまま、バレッタはもの悲しげに言った。

「バレッタ、ニンゲンだったんだね……」

「!!!っっうぅ……!!!」
せき止めていたいたものが一気に決壊し、シエスタは涙をボロボロと落とした。
一方バレッタはシエスタを落としたことを確信していた。

その後シエスタは涙を拭いながら、バレッタを厨房へ連れて行った。
バレッタのために用意された料理は賄い食であったが、ルイズに出されたのに比べれば天と地ほどの差があった。
かつかつと美味しそうに料理を食べるバレッタを、安らかな笑顔でシエスタは見守っていた。
「ふふふっ、そんなに慌てて食べなくても、料理は逃げないわよ、バレッタちゃん」
「だって、すっごく美味しいんだものっ!」
バレッタは口の周りを汚し、机の上に食べ物をこぼしながら食べていた。
行儀がいいとは言えない食べ方しているが、実際は『子供らしい』食べ方をしているに過ぎなかった。
バレッタが食べ終わると、シエスタは食事で汚れた口を拭いてやった。傍から見れば仲の良いきょうだいに見えた。
「いーい?バレッタちゃん。お腹が空いたらいつでもここに来るのよ。お腹いっぱい食べさせてあげるからね」
「うんっ、ありがとうシエスタおねえちゃん!」
言い終わるとバレッタは座ったまま両足を豪快に食卓の上にのせ、腕を組んだ。
そして懐から煙草をとりだし、火をつけ食後の一服を味わう。煙を鼻からふいた。
シエスタの笑顔が凍り固まる。

「あの、バ、バレッタちゃん?それは子供が吸っていいものじゃないよね?ね、……わかるでしょ?」

一瞬凄惨な顔をちらつかせた後、顔の前で両手を開いて、バレッタは陽がさすような眩しい笑顔で答えた。

「あたしコドモだから わっかんなーい♪」

「そ、そう……そうね、子供なら、し、仕方ないはず……うん」

額に変な汗をかきながら、いまいち納得できないことを納得してしまったシエスタであった。
シエスタは自分が思い違いをしているはずはないと強く信じた。グッと拳を握り締める。

一方のこの時ルイズは、魔法の授業に出席していたが、他の生徒達が使い魔と同伴しているのに対し、
ルイズだけ連れて来られていないことを、クラスの全員から嘲笑され恥をかいていた。

さらに、昨日から寝ていないことがたたり、授業中居眠りをしてしまい、そのため皆の前で錬金の魔法の実演をさせられ、
見事に失敗。結果、爆発を起こし、教室をめちゃくちゃにしてしまい、恥の上塗りになってしまった。

そして、ルイズは自分で起こした爆発の後始末である教室の片づけを命じられ、
一緒に片付けをしてくれるのが当然である使い魔もいないので一人寂しくこなすことになっていた。


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