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使い魔は不良高校生


使い魔は不良高校生

目の前で私の使い魔が傷だらけになって倒れている。
さらに一発、もう一発と、六体もの青銅のゴーレムは容赦なく相手を殴り倒す。
決闘相手のギーシュはすでに勝ちを確信している笑みを浮かべている。
絶体絶命のピンチだ。
私とて自分の使い魔が半ばリンチ同然の目にあっているのはいい気分ではない。
悪いのはギーシュの方なのも知っている。
だが、それでも私は止めない。
なぜなら・・・・・・

「どうしたんだ平民君。もう終わりかい?」
「そうだ、とっとと降参しちまえ!」
「ただの平民の癖に生意気だぞ!」

やはり、誰一人ツッコむ人間はいない。
私はその瞬間をずっと待っているのだ。
この決闘の最中なら誰かしら気づくと思ったのだが・・・・・・
これで何度目になるか分からない心の叫びを私は再び繰り返した。

(あんたら本当にそいつがただの平民に見えるんですか!?)

そう、
私がどんな角度でどのように見ようと、我が使い魔『メカ沢新一』は人間には見えなかった。

始まりはサモン・サーヴァントの儀式の時だ。
私にとっては始めて成功した魔法だった。
その時の感動は、だがその召喚された使い魔を見たとき一気に引き下がった。
それは黒い布に包まれた銀色の円柱。
とりあえず誰しもがそういう感想を抱くであろう。
さらに言うのなら人を模した出来損ないの工作と言うべきか。
あの黄色い丸は目なのだろうだろうか?
左右と下部にくっついている変なパーツは手足のつもりか!?
と、頭が混乱しきっていた時、

「おい、ルイズが平民を召喚したぞ!」

は?

「おいおい、その辺の平民捕まえてきてインチキするんじゃねぇよwww」

へ??

「さすがゼロのルイズだ。ただの平民を召喚するなんて僕たちじゃとうてい真似できないな」

ナンデスッテ???

こいつらは今なんていった?
ただの平民?
これが?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いやいやいやいや!
どうみてもただの平民じゃない!!
というかそれ以前に人間にすら見えない!!!
こいつらの感性はどうなっているんだ・・・・・・

「ミスタ・コルベール! もう一度やり直しを! こんな・・・・・・こんなの!」
「ミス・ヴァリエール、残念ながらそれは出来ません。使い魔の召喚は神聖なものです。
 あなたが召喚した以上はちゃんと契約しなければなりません。たとえそれが今までに例のない『平民』であっても変わりはありません」

あんたもか、このコッパゲ・・・・・・
唯一の希望を絶たれた私はしかたなくそれと契約する事になった。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔と為せ」

どこが口なのかわからないので仕方なく目(?)の下辺りにキスをした。

「ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

突然それから叫び声が聞こえた。
とりあえずしゃべるって事は生き物なのだろう。
確信はないが・・・・・・

「おいおい、ここはどこだー?」

渋い声だ。



「いやなー、俺の弟がしばらく前からダチの家で世話になっててよ。 迎えに行こうと出かけた途端、目の前に鏡が現れたんだ。
 興味本位で触ったらその鏡に吸い込まれてここに来ちまったってわけよ」

と、そいつは語った。
名前はメカ沢新一という聞きなれないものだった。
ちなみに使い魔のルーンはこんな形→(⊂)の手に巻きつく様に描かれていた為、ミスタ・コルベールにもよく確認出来ず、

「スケッチはまた後日にしましょう」

という事になった。
とりあえず事の詳細を説明したら意外のにもあっさりと使い魔になる事を承諾してくれた。
説得にはてこずるかなと思ったのだが・・・・・・

「とりあえず帰る方法がねぇってんならしかたがねえ。グダグダと騒ぐつもりはねえよ。
 それに、女を守るのは男の役目だろう?」

何かカッコイイ事言ってるし・・・・・・
とにかく、このメカ沢とかいう変なのが私の使い魔となったわけだが、私はこれがどうしてもただの平民とは思えなかった。
これはちゃんと確認する必要がある。
そこで、私はとある事を実行することにした。
すなわち、メカ沢の動向を気づかれないように監視するのよ!
四六時中付いて回れば色んな人に出会う事になる。
その行動に不信な点があれば、いくらなんでもみんなあいつが人間ですらない事に気づくであろう。
これはあいつが変な事をしでかさない様に見守る意味も込められているので、決して悪質なストーキングではない。
繰り返して言うが、決して悪質なストーキングではない!
行動は明日の朝から始めるとしよう。

そして翌朝。
意外と律儀なのか、命じておいた洗濯をちゃんとこなそうとしているではないか。
だが洗濯場がわからないようだ。
お? あそこに見えるのは我が校のメイドではないか。
なるほど、彼女に場所を聞こうというわけか。
ふふふ、これは好都合。
昨日の貴族共ならともかく、相手も平民ならとりあえずあいつがただの平民ではない事ぐらいは・・・・・・

「ちょっといいか」
「え? なんでしょうか?」
「この洗濯物を片付けてえんだけどよ、場所がわからなくて困ってるんだ。知ってたらちょっくら案内してくれねぇか?」
「あ、あなたもしかしてミス・ヴァリエールが召喚した・・・・・・」
「俺を知ってるのか?」
「はい、ミス・ヴァリエールが平民を使い魔として召喚したのは学園中で知れ渡っていますから。
あ、自己紹介がまだでしたね。私はシエスタといいます」
「メカ沢だ。よろしくな」
「はい。同じ平民同士、仲良くしましょうね」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いや!
まだ諦めない。
私はさらに監視を続行した。



「すみません。私の分まで手伝ってもらって・・・・・・」
「なあに。ここまで案内してくれた礼よ。
 気にするな」

メイドと正体不明の生命体が仲良く洗濯をする姿は私が今までに見たあらゆる光景の中で最もシュールなものだった。

「あ、・・・あの、メカ沢さん。ちょっと言いたい事があるのですが」
「何だ?」

これはまさか!

「先ほど一目見たときから気になってずっと気になっていることがありまして・・・・・・」

ついにツッコむのか!?

「水くせえなー。何の話だ?」
「ただ、メカ沢さんが気づいているのかもしれないと思うと言いにくくて」
「俺はお前の事を家族(ファミリー)だと思ってる。何を言われてもきにしねえよ」

さっき会ったばかりの癖に家族って何よ!

「わかりました。では言わせていただきます」

頼む、ツッコんでくれ!!

「お召し物の第二ボタンが取れてますよ」
「あ、ホントだ」

そーじゃねーだろ!!


どうやら洗濯を終え、私の部屋に戻るようだ。
なんか見てるだけなのにやたらと疲れるわ。
と、その途中の道に二人の人物が現れる。

「あら、あなたは昨日ルイズが召喚した使い魔じゃない」

むむ、あいつは我が宿敵、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー!
そして一緒にいるのはあいつの友人のタバサだ。

「ルイズの洗濯を終えた帰り? あんたも無理矢理召喚されたのに随分と律儀なのねえ」
「まあ、一応あいつも責任は感じてるみてえだし、俺が元いた場所に帰るまでの間の面倒を見てくれるっつうんだ。
 このくらいは当然よ」

ふ・・・ふん!
使い魔としての心得はちゃんと出来てるみたいじゃない。
これでせめて、平民でもいいから普通の人間だったらなあ・・・・・・

「あら、意外と殊勝なのね」
「・・・よせよ」

何か普通に会話してますが、現在進行形で頭部を開いて何かをさしたり巻いたりしているのは全力で無視ですか!?
ああそうですか!

「恩があれば返す、間違ったらワビいれる。それは当然の事だろう?
 貴族だとか平民だとかそんな事は関係ねえ、同じ人間として!」

それはひょっとしてギャグで言ってるのか!?

「ふふ、気に入ったわ。ルイズの所が嫌になったらいつでもいらっしゃい。使用人として雇って・・・ってあら?」

キュルケが横にいる友人へと目線を移す。
おやおや、先ほどからタバサはメカ沢の事をじっと見つめているじゃなか。

「ふ~ん。どうやらこの子、あなたを見たときからずっと言いたかった事があるみたいね」
「何だお前もかよ。頼むからとっとと言ってくれよ」

やっとツッコむのか!?
思えばこのタバサとかいう女の子、かなり無口だが質問にはちゃんと答えてくれるし常識はわきまえている。
何より博識だ。
なればこそ気がついたに違いない!

「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

沈黙が流れ、タバサがすっと腕を上げてメカ沢を指差した。
さあツッコめ!

「・・・・・・顔がすごく大きい」
「―――そっか?」

おしいぃ~~~~~~~~けど違う!!



これまでの監視で私の精神力は極限まで疲れきっていた。
食事もマトモに喉を通らなかったし、授業中にマルコリヌに何を言われても言い返す気力すらなかった。
ぶっちゃけ何を言っていたのかもよく覚えていない。
おかげでミセス・シュヴルーズに錬金の指名をされずにすんだ。
こんな状態で錬金なんてやったら失敗して大爆発を起こすのは目に見えている(今までも成功した試しはないのだが)
それは昼食時でも同じだったが、さすがにこの時の騒ぎには駆けつけた。
その騒ぎの中心には私の使い魔がいたのだから。
周囲の話し声から大体の状況は掴めた。
つまりギーシュの落とした香水をメカ沢が拾って、それが原因でギーシュの二股がバレ、
それをメカ沢の責任にして、そこからは売り言葉に買い言葉になって二人が決闘する事になったと。
うん、どう考えても悪いのはギーシュだわ。
だがあいつがどれだけ強いのかは知らないが、ドットとはいえメイジたるギーシュが相手では分が悪すぎる。
すぐに止めようと思ったが、ここで私の頭にある考えが閃いた。

(ギーシュとメカ沢が決闘をする)
 ↓
(当然、沢山の人が集まる)
 ↓
(となると沢山の人がメカ沢の姿を見ることになる)
 ↓
(さすがにそれだけ人が見れば誰かしらあいつの姿かたちにツッコむ人間が現れる!)

というわけで、例によって今回も見守る事にした。
のだが・・・・・・

ここで最初の場面に戻る。
当然それまでにメカ沢にツッコんだ人間は一人もいない。



「その程度じゃ俺はくたばらねえ・・・」
「くっ! なんだと!!」

ああ、何だかここまで誰もツッコまないと自信が無くなってきた。
もしかしたら私が世間知らずなだけであいつは本当にただの平民なのかもしれない。

「いい加減にしたまえ! いくらボクでもいつまでも寛容ではいられないぞ!」

何かあんな人が本当にいるような気もしてきた・・・・・・
そうだ、きっと王都の裏路地にでも入れば二、三人くらいはああいう人間がいるのだろう。

「もう限界だ。これで決着を付けさせてもらう!」

ギーシュがさらにもう一体のゴーレムを作り出す。
がそれまでのと違い、今度のはその手に槍を携えている。
さすがにアレはまずい!
止めに入ろうとした時には遅かった。
その槍は無情にもメカ沢に突き刺され!
・・・・・・その槍がポッキリと折れたのだ。
メカ沢の体はいたって無傷だ。
前言撤回。
どう見ても人間じゃありません、本当にありがとうございました。

「ボクのワルキューレの槍が折れただと・・・・・・」

ギーシュは困惑の表情を浮かべている。
それはこの決闘を見学している全員(当然私も含まれる)も同じだった。

「ボクは今までこいつをただの平民と思っていたが、もしかしたら・・・・・・」

おお! ギーシュ、あなたは意外とマトモだったのね!
さあ、早くツッコんでくれ!!

「体が異常に硬い平民なんじゃないか!?」
「なるほど、メチャクチャ体が硬い平民なのか!」
「つまりはすごく頑丈な平民なわけだな!?」

あんたらもうワザと言ってんでしょ!?

「フフ、お前は俺とサシで殴り合うくらいの度胸はねーのかよ?」
「くっ!平民風情が何を!!」
「今まで対等な条件でのケンカなんざやった事がねえんだろうなあ。ま、ザコにゃ無理な話か・・・」

相変わらずカッコイイ事言ってるし・・・・・・

「その者の言う通りじゃよ」
「オールド・オスマン!」

何と、この決闘騒ぎに我等が学園長がお出ましになるとは・・・

「確かに貴族と平民との間で決闘をしてはならんというルールはない。じゃがそれなりに通すべきスジというものはあるじゃろう?」
「しっ、しかし・・・・・・」
「お主には貴族としての誇りはないのかギーシュ・ド・グラモン? この者を見てみよ。お主よりもずっと貴族らしい・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「え・・・え″ええぇ~~~~~!?」

オールド・オスマンがメカ沢の姿を見た途端に驚愕の叫び声を上げた。
これはまさか・・・今度こそは!

「こっ・・・これは一体・・・」

間違いない!
さすが学園長! この人ならツッコんでくれる!!

「こいつは・・・・・・こいつは!」

もう一息!
そいつは人間なんかじゃ・・・!!

と、オールド・オスマンは懐から何かを取り出した。
それは・・・!

「ミス・ロングビルに踏み潰されてしまったモートソグニルの代わりに新しく召喚したワシの使い魔にそっくりじゃないかーーー!!」
「お・・・・・・お前は弟のメカ沢β!!!」
「メカラッタ」

えええぇぇぇぇぇーーーーーー!?
うっそおおおぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~!!!!!!!


                                    終われ


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